「古くなってきたので、トイレを一新したい」。 「思い切って間取りを変更して、動線のいい場所にトイレを置きたい」。 「1つのトイレでは家族と取り合いになるので、思い切って増設したい」。 トイレをリノベーションするきっかけは人それぞれですが、 毎日使う場所だからこそ、快適なトイレがいいという思いは同じ。 トイレのリノベーションに成功するためのコツと注意点をまとめました。
どう違う?トイレの「リフォーム」と「リノベーション」
「リフォーム」と「リノベーション」。施工会社によっては、特に分けられていない場合もあり、違いがわかりにくい言葉です。
「リフォーム」は、一般的に「古くなったものを新しくする」という意味で使われています。 古くなって壊れたもの、汚れたものを直し、機能を回復させるという意味合いが強く、トイレの場合で言えば、位置を変更させず、タンクの取り替え、壁紙や床の張り替えなどを指します。
一方、「リノベーション」は、建物自体に工事を行い、機能性を高めて、新たな価値を付与するという意味で使われています。既存の間取りを変更したり、よりデザイン性の高い暮らしを実現させるのが、リノベーション。トイレなら、トイレ内のレイアウトを変更する、トイレの位置を部屋ごと移動させる、新たに増設する、などがそれに当たります。
トイレのリノベーションには、どれくらいの費用がかかる?
トイレのリノベーションは、便器を取り替えるだけの簡易なリフォームとは異なり、それなりに費用はかかります。移動と増設、2つのパターンを見てみましょう。
【移動パターン】トイレの位置を変更させる......約50万円~100万円
玄関近くにあったトイレを、寝室に近い場所に変更させるというような、家の中でのトイレの位置変更です(同じフロア内で移動させる場合を想定。廃材処分料は別途)。また、同じフロア内にもう一つ増設するというパターンも、これに近い費用になります。
内訳は、
洋式水洗仕様タンク付きトイレ 8~10万円
収納付きの洗面台 10万~30万円
トイレの内装 5万~10万円
移動に関する工事費用 20万円~50万円
※配管工事が必要な場合は別途費用がかかる場合があります。
【増設パターン】トイレを2階の同位置に増設する......40万円~70万円
戸建てで、1階にあるトイレの真上に、2階用トイレを増設した場合です。家族が増えた場合に、よく依頼のある増設パターンでもあります。
※2階でも、別の位置に増設した場合は、もちろん工事費用が上がります。
内訳は、
洋式水洗仕様タンク付きトイレ 8~10万円
収納付きの洗面台 10万~30万円
トイレの内装 5万~10万円
増設に関する工事費用 20万円
※配管工事が必要な場合は別途費用がかかる場合があります。
リノベーションのコストを左右するポイント3点
家の構造や、移動・増設させる場所によっては、費用は変わってくることがあります。コストをなるべく抑えながらリノベーションをするためには、以下の3点を確認しておきましょう。
①トイレを造る位置は本当にそこでいいか
工事費用のポイントは、給排水管との距離、つなぎやすさ。無理な位置に造る場合は、費用がかさみます。利便性とコストのバランスをよく見比べて、トイレの位置を決めることが大切です。
②製品のグレードはどれくらいに設定するか
便器や、洗面台・収納などの付属品のグレードはさまざま。付属品が必要かどうかも含めて、予算を組み立てましょう。
③複数の施工会社から見積もりを取る
リノベーションを受けるに当たっては、複数の施工会社から、現地調査をした上での見積もりを取りましょう。面倒に思えるかもしれませんが、比較検討をすることは、コストダウンへの近道です。
マンションでもトイレのリノベーションは可能?
マンションでも、トイレを増設したい、位置を変更したい、という要望はあります。これは、マンションによって可否が分かれるというのが実情です。 マンションは、排水構造上、こうした大胆なリノベーションが難しい場合が多いのですが、まずは、工事が可能かどうかを確かめるところから始めましょう。 マンションの管理組合に相談、または、管理規約を確認します。
工事が可能だとわかったら、施工会社に依頼し、給排水の構造から、希望する工事が物理的にできるかどうかを調べてもらう、という順序です。
集合住宅の構造上、給排水管の工事の難易度が上がるほど、費用はかさみます。予算とのバランスを見ながら、慎重に検討しましょう。
マンションのトイレリフォーム(便器交換)の注意点
上記のように、マンションでは、難易度の高い「リノベーション」よりも、位置を変えずに、トイレを新しくする「リフォーム」を選ぶことが多いと思います。 コストも抑えながら、工期も短く、手軽にできるリフォームですが、注意しておきたい点もあります。
①マンションのトイレ排水を確認する
便器の排水には、「床排水」と「壁排水」の2タイプがあります。 マンションは「床排水」が採用されることがほとんどですが、まれに「壁排水」の場合もあります。リフォーム前の排水タイプと同じものを選ぶ必要があるので、施工会社とも確認をし合いましょう。
②人気のタンクレスタイプを希望するときは
見た目もすっきり、人気のタンクレス便器。 集合住宅は、給水圧力が低いという性質があり、タンクレスの設置が難しいと言われていました。 しかし、最近は、加圧装置を付けて水圧を補うという方法があります。設置が可能かどうか、調べてもらうといいでしょう。
掃除しやすく雰囲気のいいトイレ空間をつくるコツ3つ
トイレのリノベーションというと、どうしても便器の機能を中心に考えてしまうもの。 しかし実際は、便器だけでなく、内装・洗面・収納といったインテリアが、トイレ全体の印象を決めます。 掃除がしにくかったり、収納が不足したりと、使い勝手が良くなければ、せっかく高価な便器を選んでも、後悔することになりかねません。 そこで、トイレを快適にするためのコツを3つ、ご紹介します。
①トイレ内のレイアウトを考えて
便器の機能ばかりに気を取られ、大きさを考えずに設置したら、トイレがとても狭くなってしまった......。 こんな失敗も、よく聞く話です。 便器を選ぶ前に、まずはトイレの広さを確認し、レイアウトを決めておきましょう。 ポイントは、下記の3点です。
・埃がたまりやすい便器の後ろ側に手が入れられるかどうか。
・便座から前方の壁までのスペースが50センチ以上確保できるか。
・収納、タオル掛け、ペーパーホルダーが余裕を持って設置できるかどうか。
立ったり座ったり、手を洗ったり、掃除をしたり。トイレ内では、意外とアクションの多いもの。 余裕のあるレイアウトを目指して、シミュレーションをしてから便器を選ぶようにしましょう。
②床材・壁は、水回りに合った素材を選ぼう
雰囲気はいいものの、無垢材は、水に弱く、トイレには不向きとされています。 水分とアンモニア成分は、木を変色させ、カビもつきやすくなります。 最近、トイレの床材として人気なのは、
・タイル
・プラスチックタイル
・クッションフロア
・抗菌性・防水性のある木製フローリング
など。 いずれも、洗剤にも強く、掃除しやすい点から、清潔感も演出してくれます。 好みとコストを考えながら、施工会社に相談してみるといいでしょう。
③小さな工夫で、トイレの快適性がグンとUP!
【扉の使い勝手】
毎日頻繁に使うトイレの扉選びは、大切なポイント。 扉が内側に開けば、スリッパの置き場がなくなります。外側に開くスペースもなければ、引き戸を考えてみるのも手。 トイレ周辺の状況も考えながら、使いやすい扉を選びましょう。
【収納の工夫】
毎日頻繁に使うトイレの扉選びは、大切なポイント。 扉が内側に開けば、スリッパの置き場がなくなります。外側に開くスペースもなければ、引き戸を考えてみるのも手。 トイレ周辺の状況も考えながら、使いやすい扉を選びましょう。
【電源コンセントの設置】
古いタイプのトイレでは、電源コンセントがない場合も。最新トイレはほとんどが要電源タイプなので、電源コンセントの増設も必須です。コンセントがあれば、トイレ内にヒーターを取り入れることもできます。

