街の紹介記事は、どれも日中の情報ばかり。だけど、仕事が終わって帰ってくるのは大抵夜。その街で暮らす人にとっては街灯に照らされた街の姿もまた、思い出を刻む舞台となります。

夜、この街はどんな姿を見せるのか。ライターsiomoonが、実際に終電後の吉祥寺を歩いてみました。時間が深まるにつれて徐々に移り行く、リアルな街の情景をお届けします。

この街に住みたい、この街に友達が住んでいる、一度も行ったことないけど面白そう…この記事に興味を持ったきっかけは、どんな理由でも構いません。あなたも一緒に、夜の散歩に出かけてみませんか。

筆者紹介:siomoon
夜歩きライター。千葉県住み。吉祥寺を訪れるのは3回目(ちゃんと歩くのは初めて)。吉祥寺のイメージは、古着とお好み焼き。

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1:15 吉祥寺駅 北口

 

吉祥寺駅北口
深夜1時過ぎ、JR吉祥寺駅の北口前です。

 

あと数分で終電がなくなるためか、駅前はすでに閑散とした様子。

 

吉祥寺駅の終電時刻 平日 / 土曜・休日
■上り
中央本線・中央線快速 23:47(新宿行) / 22:22(東京行)
中央・総武線各駅停車 0:50(中野行) / 0:50(中野行)
■下り
中央本線・中央線快速 0:31(高尾行) / 0:28(高尾行)
中央・総武線各駅停車 1:18(三鷹行) / 1:18(三鷹行)
※2019年1月時点

 

吉祥寺駅北口
駅前の通りもがらんとして静かです。

 

バスを待つ方や帰宅途中と思われる方が数名程います。

 

吉祥寺駅北口
駅前のロータリーには、お客さんを待つタクシーが数台停まっています。

 

まだツリー型のイルミネーションに光は灯っていますが、街はもうすぐ深い眠りにつこうとしています。

 

吉祥寺駅北口
パルコへと続く駅前の平和通りもこんな感じ。もう人は歩いておらず、ほとんどの看板の灯りも消えています。

 

わずかに見えるのは、荷物を運搬するトラックや24時間営業のそば屋の灯りくらい。

吉祥寺駅北口
駅前を観察しているうちに、いつの間にか最終電車も終了。

 

せっかくなので今から、終電後の商店街の様子を見に行きましょう。

 

深夜帯らしく、荷物を運搬するトラックがこんなところまで乗り入れてきています。

 

1:27 吉祥寺ダイヤ街

 

吉祥寺ダイヤ街
吉祥寺ダイヤ街をのぞいてみると、ほぼすべてのお店のシャッターが下りています。

 

警備員らしき男性が吉祥寺通り方向へと歩いて行く後ろ姿だけが、ゆっくりと小さくなっていきます。

 

1:28 サンロード商店街

 

サンロード商店街
こちらはサンロード商店街。

 

日中、多くの人で混雑するメインストリートも、時が止まったかのように静かです。

 

24時間営業の「マクドナルド」の灯りが、無言で終電を逃した方をやさしく誘います。

 

サンロード商店街
本来賑やかなはずの商店街を包む静寂に、何とも言えない違和感を感じます。

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1:31 九州らーめん祥

 

九州らーめん祥
大手のチェーン店以外で、営業しているお店はないかと諦めかけたところ、本町新道近くで「九州らーめん祥(しょう)」というラーメン屋を発見。

 

なんと、こちらは午前4時まで営業。時間を気にせずに自慢の豚骨ラーメンをゆっくり味わえます。

 

1:33 ホープ軒本舗

 

ホープ軒本舗
さらに、サンロード商店街の路地裏でひときわ光を放っているのは東京豚骨ラーメンの先駆けとして有名な「ホープ軒本舗」。

 

こちらのお店は1938年(昭和13年)創業の老舗で、午前3時まで営業(日曜と祝日は午前2時まで)しています。

 

メニューも「中華そば」と「チャーシュー麺」の2種類のみ。創業当時から守られてきた味を、深夜に心ゆくまで堪能するのも良しです。

1:35 元町通り

 

元町通り
サンロード商店街を離れ、元町通りに来ました。

 

こちらも誰も歩いておらず、カラオケやマンガ喫茶の看板が暗闇の中でひときわよく目立ちます。

 

元町通り
ダイヤ街方向を見ると、まだ灯りが見えるのでちょっと行ってみましょう。

 

1:37 ダイヤ街「さとう」

 

丸メンチカツのさとう
常に行列が絶えない丸メンチカツのお店「さとう」もシャッターが下りています。

 

営業中は商品がたくさん並び、結構大きなお店に見えましたが、こうして見ると不思議と小さく見えます。

 

「さとう」の隣にある「漬け物BAR 4328(清水屋)」には、まだお客さんの姿が。看板メニューである「うずキム(うずらのキムチ漬け)」と書かれた提灯が、通りを温かく照らしています。

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1:39 ハーモニカ横丁

 

ハーモニカ横丁
ハーモニカ横丁(通称:ハモニカ横丁)ものぞいてみたいと思います。

 

夜からオープンする飲み屋が多いので、まだ営業しているお店も多いかもしれません。

 

ハーモニカ横丁
実際に中に入ってみると、想像していたよりも開いているお店は少ない感じです。

 

ただ、営業中のお店には多くのお客さんが残っており、まだまだ盛り上がっている様子。

 

ハーモニカ横丁
飲みたい人はギリギリまで残っても良いし、帰りたい人は好きに帰っても良い。

 

そんな、自由でマイペースな空気がハーモニカ横丁には流れています。

1:41 レンガ通り

 

レンガ通り
吉祥寺パルコ横のレンガ通りに来ました。人がいないのはもちろんのこと、ゴミひとつ落ちていません。

 

さらに、まっすぐに伸びる白い柱と高い屋根のため、どこか神殿にきたような雰囲気すらあります。

 

1:47 井ノ頭通り

 

井ノ頭通り
駅前から少し離れて、井ノ頭通りに来ました。

 

車の往来はかなり少なく、道行く人も見えません。

 

井ノ頭通り
ふと気づくと、少し先の高架下に何人かの集団がいます。どうやら、何かの撮影をしているようです。

 

人のいなくなった終電後の吉祥寺では、人知れず色んなドラマが起きていました。

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吉祥寺駅周辺
夜の吉祥寺駅近辺を歩いてみましたが、普段とは違った街の姿が見えたのではないでしょうか。

 

特に、日中は大勢の人が行き交い、買い物客や駅の利用者で常に賑わっているイメージがあるからこそ、人が消えた通りを見ると不思議な感覚に陥ります。

 

ここまで17時20分から深夜2時前まで、8時間以上にわたって歩いてきましたが、夜の吉祥寺はとても個性的で、エリアごとに全く違う顔が見れました。

 

いくつもの商店街に井の頭公園、武蔵野八幡宮、成蹊学園、井の頭自然文化園などの中心的なスポットに加え、ここにしかないようなお店やスポットが点在しています。

 

そして、どの地区にも落ち着いて暮らせる住宅街があり、住みたい街として名が挙がる理由が、ようやく腑に落ちました。そして気づいたら最後、すでにもっと昼間の姿も見てみたいという欲も出てきて、気づけばすっかり吉祥寺の魅力にハマりつつあるようです。

 

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更新日: / 公開日:2018.01.09