街の紹介記事は、どれも日中の情報ばかり。だけど、仕事が終わって帰ってくるのは大抵夜。その街で暮らす人にとっては街灯に照らされた街の姿もまた、思い出を刻む舞台となります。
夜、この街はどんな姿を見せるのか。ライターsiomoonが、実際に夜の吉祥寺を歩いてみました。時間が深まるにつれて移り行く、リアルな街の情景をお届けします。
この街に住みたい、この街に友達が住んでいる、一度も行ったことないけど面白そう…この記事に興味を持ったきっかけは、どんな理由でも構いません。あなたも一緒に、夜の散歩に出かけてみませんか。
筆者紹介:siomoon
夜歩きライター。千葉県住み。吉祥寺を訪れるのは3回目(ちゃんと歩くのは初めて)。吉祥寺のイメージは、古着とお好み焼き。
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懐かしい映画館のある五日市街道沿い
18:41 五日市街道「吉祥寺プラザ」

五日市街道を西に少し歩くと、左手に「吉祥寺プラザ」という映画館が見えてきました。
電飾看板がレトロな雰囲気を醸し、映画館はこうでなくっちゃと思える、とても味のある建物です。
こちらの「吉祥寺プラザ」が入っているビルの屋上にはバッティングセンターも入っているみたい。映画に野球。昔ながらの娯楽の王道がいまだに残っているのもまた、吉祥寺の深みです。

残念ながら、どちらもちょうど閉店時間だったでようで、眺めている目の前で看板の灯りが消えてしまいました。
訪れる際は、明るいうちに余裕をもって来たほうが良さそうですね。
18:56 八幡宮前交差点

そのまままっすぐ進むと、五日市街道と吉祥寺通り(公園通り)が交わる大きな十字路にあたりました。
この交差点(八幡宮前)が、吉祥寺の本町と東町、北町の分岐点となります。

地図で見るとわかりやすいのですが、五日市街道の南側が吉祥寺本町エリア。
五日市街道の北側は、吉祥寺通りを挟んで東側が吉祥寺東町エリア、西側が吉祥寺北町エリアになります。
ここからは、吉祥寺本町の西側にあたる、本町2丁目を散策してみたいと思います。
新旧キラリと光るお店が目白押し
19:00 吉祥寺本町2丁目 西一条通り

吉祥寺第一ホテルのある吉祥寺通りから1本横の西一条通りに入ってみると、意外にもたくさんの飲食店の灯りが見えます。
人通りは少なく、どのお店も穴場的な雰囲気です。

西一条通りには、つい誰かに自慢したくなるような隠れ家っぽいお店がゆったりとした間隔で並んでいます。
赤いネオンが目を引く、こちらの「ピッコロモンド」はイタリアンのお店です。
外から店内を覗くと、温かい雰囲気の中で食事と共にワインを楽しむステキな老夫婦の姿が。
店内の装飾もステキなので、老若男女問わず、特別な記念日やデートでも使えそうなお店です。

こちらのビストロ「オーケストラ」は自慢の野菜をたっぷり使ったプレートランチが人気のお店です。
看板を見ていると、おつまみコースやスペシャルコースの他に、曜日限定の女子会コースなるものを発見。
料理+時間無制限の飲み放題付きで4000円は、ムードを楽しみながら心ゆくまで飲みたい人には良いんじゃないでしょうか。
お店は23時まで開いており、リラックスした雰囲気の中でヘルシーな料理とお友達とのおしゃべりを楽しめそうです。

この通りはオシャレなカフェやレストランばかりかと思いきや、本格的な和食のお店もありました。
こちらは「花泉(かせん)」というお店で、1万円からのおまかせコースと、要予約の2万円からのふぐのコースがメインのようです。
こうした店内の様子を覗くことはできないけど、いつか行ってみたいと思わせてくれるお店があると街の雰囲気にもメリハリがつきますね。より吉祥寺という街を、面白くしてくれている気がします。

もちろん、気軽に立ち寄れる居酒屋もたくさんあります。
東急百貨店のそばまで来て見つけたのは、串焼きやたんシチューが人気の「やきとり処Katsu」と、魚料理に定評のある新橋に本店を置く魚金グループの「西一条魚金」。
どちらのお店からも温かい料理の匂いと笑い声が通りまで漏れ聞こえ、歩くのをやめて、つい暖簾をくぐりたくなる誘惑にかられます。
19:13 大正通り

通りを抜けると、東急百貨店の北側に位置する大正通りに出ました。駅に近づいたせいか人も増え、賑わいが戻ってきた感じがします。
大正通りは、別名“北欧通り”とも呼ばれ、カフェや北欧雑貨を扱うお店も多く、大小さまざまなお店が軒を連ねています。

大正通りに出て、すぐに目を引いたのがこちら、2018年で開店35周年を迎えた「葡萄屋」。重厚なたたずまいで、見るからに歴史を感じます。
地下2階から地上3階まで、フロアごとに和牛のステーキや焼肉、しゃぶしゃぶ、すきやきなど異なるタイプの料理が楽しめるお店です。
今日は“おもてなしでハズせないぞ”という大事なシーンで活躍してくれる予感。
物件を探す 街の情報を見る昔ながらの喫茶店で味わう“王道サテンメニュー”
19:25 喫茶ロゼで夕食

そろそろ、歩き回ってヘトヘト、美味しそうな誘惑にお腹もペコペコ…どこか食事と一休みができる場所を探していると、ぴったりなお店を発見。
1949年に荻窪で創業したラーメン店「春木屋」の2階に位置する「喫茶ロゼ」。こちらも見るからに年季が入ったお店です。
せっかくなら吉祥寺で長く愛されるお店で、この街の歴史さえも舌を通して体感できたら最高ですよね。いざ、細い階段をのぼります。

こうあってほしいとイメージした通りの店内。懐かしさの中に、品の良さを感じます。
清潔感があり、置かれたテーブルや椅子、絵なども取ってつけたような嫌みがありません。
そこに置かれて以来、ずっと時が止まってしまったかのように、すべてが空間の中に静かに溶け込んでいます。
すぐに、カウンターの後ろから優しそうな女性が出てきて注文を取ってくれました。

注文したのは、オムライスとクリームソーダ。喫茶店の王道メニューです。
オムライスにかかったケチャップは、王冠や象形文字の“山”を思わせる独特なタッチで描かれています。

味もとても美味しいです。オムライスは、ケチャップ強めの“サテン”の味というより、レストランで出てくるような本格タイプ。
ケチャップは控えめで、細かく刻まれた野菜の食感と脂のコク、わずかな酸味がアクセントになった納得の味わいです。
クリームソーダはしっかりと甘く、ここまで歩いてきた疲れもリフレッシュされます。
調べてみると、喫茶ロゼは1983年にオープン。そして筆者も1983年生まれ。たまたま入ったお店ですが、思いがけず吉祥寺と繋がったような気がします。ごちそうさまでした。
豆知識
「喫茶ロゼ」は、もともとサンロードの西友近くにお店がありましたが、2011年にこの場所に移転。
⇒夜の街を歩く…吉祥寺「本町エリア」編【Vol.4】はこちら
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更新日: / 公開日:2018.12.26









