宿泊施設ではない一般民家が、旅行者を宿泊させ対価を得る“民泊”が注目を集めています。これまでは旅館業法などの規制によって民泊は認められていませんでした。しかし、世界の動向や訪日外国人観光客数の増加から民泊の必要性が増加し、政府も規制緩和に動き出しています。
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民泊が話題となってきた大きな理由に、政府の訪日外国人観光客数増加という目標があります。2016年3月には2,000万人だった目標数を倍増させて2020年までに4,000万人を目指すと発表しました。観光客数増加を目指すのは、国内での消費が落ち込んでいてGDP(国内総生産)が上がらないためです。
観光大国となり、観光客に多くのお金を使用してもらうことが景気回復につながります。

 

政府がアジア各国におけるビザの条件を緩和させるなどの施策を行い、観光客数は年々増加傾向です。町を歩いていると外国人観光客を見ることも多くなってきました。けれども、観光客が増えるにつれて宿泊場所の不足という新たな問題が露呈しました。

 

大都市では観光客が増加したため、出張で訪れるビジネスマンがホテルを予約できないという問題も発生しています。東京都の宿泊施設稼働率は、2015年8月には83.6%、大阪府でも90.4%となり、このままでは2020年の東京五輪には確実に宿不足となってしまいます。

 

大都市では土地面積も限られているためホテルや旅館を増やすにも限界があります。そこで、欧米を中心に利用が広がっている民泊が解決策になるとして政府も動き始めました。

 

欧米では、民泊をバケーションレンタルと呼び、ホームステイやファームステイなどの意味合いも含め、日本と比べて広い意味で使われています。価格の安さだけでなく、暮らすように宿泊できるバケーションレンタルの人気は高いです。日本で使われている民泊には明確な定義はないものの、個人で所有する民家を旅行者に貸すという意味合いが一般的です。

 

自分の家も宿にできる“民泊”の特長と課題

自分の家も宿にできる“民泊”の特長と課題

アメリカやイギリス、フランスなどでは、民泊が法的に認められている地域もありますが、日本の現在の旅館業法ではまだ解禁されていません。旅行者を宿泊させる場合に、“宿泊料を受けて人を宿泊させる営業”と判断されると、簡易宿泊営業として許可が必要です。もし許可を受けずに民泊を営んだ場合には6ヶ月以下の懲役又は3万円以下の罰金となる可能性があります。
さらに、2016年6月に政府の規制改革会議は、部屋を貸し出せる日数を年180日以下とすることを条件に解禁することを盛り込んだ規制改革実施計画を閣議決定しました。

 

しかし、日本でも少しずつ規制緩和の動きは進んでいます。旅館業法上でも一部の例外が認められるようになりました。まず“イベント民泊”という方法があります。これは、イベント開催時に宿泊施設の不足が想定される場合に、一般民家が自宅を開放する民泊を旅館業法の許可なく行えるものです。過去には、東北での自転車レースイベントなどで活用されています。

 

ただし、イベント民泊は営業日数が2・3日程度とされているので継続的に民泊を営むことはできません。そこで、政府は民泊の完全解禁を前に、試験的に民泊を認める国家戦略特区を設けました。2016年1月に東京都大田区が開始し、4月から大阪府でも開始されました。特区に認められると旅館業法上の営業許可は必要ありませんが民泊として申請は必要です。そして、その要件が厳しいためなかなか広がっていません。

 

また、試験的な特区だけではなく、本格的な民泊解禁への動きもあります。
観光庁を中心に議論を進めていて、2016年6月には民泊解禁の新法制定に関する報告書を発表しました。新法の素案は、インターネットで申請すればどこでも民泊を始められるという画期的な内容です。

 

本格的な民泊解禁への動きもある

本格的な民泊解禁への動きもある

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民泊が解禁されるにあたっては、心配事も多々あります。特に大きな問題点は、一般家庭が民泊を始めた場合に、周辺に住む人たちへ迷惑となる可能性があることです。

 

インターネット上で旅行者を募集し、民泊営業を許可なく行っていたことで逮捕されるニュースも全国で出てきていますが、中には周辺住民の通報で発覚した事例もあります。住宅街に見知らぬ外国人の集団が出入りすると、不安に感じる人も多いでしょう。

 

また、新法ができたとしてもマンションの場合はマンション管理規約で使用目的が制限されていることもあるので、事前に確認が必要です。民泊を始める場合には、マンションであれば管理組合に相談することがおすすめです。一戸建てでも周辺の住民の人たちに説明を行わないと大きなトラブルとなる懸念があります。さらに家主が一緒に過ごす形態ではなく、空き家や空き室を貸す民泊の場合には対策が必須です。周辺住民から民泊だと分かるように表札を掲げたり、又貸しが行われていないか定期的に見回りを行ったり、宿泊者の名簿作成も欠かせません。

 

ゴミ捨てや騒音などのルールを守らずに迷惑をかける不安もありますが、もっと恐いことはテロ集団などの拠点になる可能性です。民泊の解禁には解決すべき問題がまだ残っています。規制を緩くするだけではなく、人々が安心・安全に生活できるように配慮した法律となることが期待されます。

 

民泊の問題点とは?

民泊の問題点とは?

もちろん悪い面ばかりではなく、民泊の良さもあります。海外では、民泊は人との出会いやホテルではできない民家に泊まる経験など付加価値として人気が高いです。訪日外国人が増加するだけではなく、文化交流も活発に行われることで日本を好きになる人が増えることにも期待できます。

 

今後、民泊が普及することは間違いないでしょう。民泊が素晴らしいものとして社会に認められるためには法律の問題やモラルの問題もまだまだ議論が必要です。

 

人や文化との出会いが広がる民泊

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更新日: / 公開日:2016.08.19