「家賃が上がる」という通知が届いたとき、どんな気持ちになりましたか?

近年、都市部を中心に賃料の値上げが相次いでいます。特に2024年以降、建築費の高騰や人件費の上昇を背景に、新築・築浅物件を中心に賃料が軒並み押し上げられ、既存物件の入居者にも更新時の値上げ交渉が増えています。

そんな状況で注目なのが、「連休を使った部屋探し」です。まとまった時間が取れる連休は内見のチャンス。焦らず、納得できる物件に出合うため、連休に向けて動き出す人が増えています。

この記事では、家賃上昇の背景から、賢い部屋探しの具体的な戦略まで、順を追って丁寧にお伝えします。「損をしない引越し」を実現するためのヒントが、きっと見つかるはずです。
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「物価は上がっているのに、なぜ家賃まで?」と感じる方も多いかもしれません。賃料の値上がりには、複数の要因が重なっています。

国土交通省の建設工事費デフレーターによると、2020年を基準(100)とした建築コストは、2024年時点で129を超える水準にまで上昇しています(国土交通省「建設工事費デフレーター」)。職人の高齢化による人材不足、鋼材・木材など建築資材の価格高騰が主な原因です。

 

新築アパート・マンションの建築コストが上がれば、オーナーはその分を賃料に上乗せせざるを得ません。新築物件の賃料が上がると、比較対象となる近隣の既存物件の賃料相場も引っ張られるように上昇していきます。

総務省の消費者物価指数によると、2024年の生鮮食品を除く総合指数は前年比で2〜3%の上昇が続いており(総務省統計局「消費者物価指数」)、管理会社の人件費・光熱費・保険料なども同様に上昇しています。こうしたコスト増が「管理費の値上げ」として入居者に転嫁されるケースが増えています。

地方から都市部への人口流入は、コロナ禍での一時的な反転を経て再び加速しています。特に東京・大阪・名古屋などの大都市圏では、単身世帯向け物件の需要が高い一方で、空室が少なく供給が追いついていない状態です。需要と供給のバランスが崩れているエリアでは、賃料の下落が起きにくい構造になっています。

<データで見る賃料の動向>

LIFULL HOME’Sマーケットレポート 2025年総括版によると、2025年12月の賃貸物件の掲載賃料は、首都圏シングル向きで8万8,294円(前年同月比+24.8%)、ファミリー向きで14万8,682円(同+14.0%)、近畿圏シングル向きで6万2,167円(同+7.5%)、ファミリー向きで8万6,230円(同+6.3%)となり、いずれも2020年の計測開始以降の最高値を更新し上昇傾向が続いています。

多くの賃貸契約では、更新の3〜6ヶ月前に大家さんや管理会社から通知が届きます。近年はこのタイミングで「次の更新から月3,000円値上げします」といった連絡を受けるケースが増加しています。

 

その際、多くの人が次のいずれかの行動を選びます。

  • 値上げを受け入れてそのまま更新する
  • 値上げ幅を交渉して折り合いをつける
  • 引越しを決断して新しい物件を探す

これまではそのまま更新を選ぶ人も多数でしたが、昨今の物価高も相まって、生活防衛のために3つ目の「引越し」を選択する人が増えているのが、現在の賃貸市場の大きな特徴です。

家賃・賃料10万円以下の物件

毎年、GW(ゴールデンウィーク)やシルバーウィークになると、不動産ポータルサイトのアクセス数が急増します。連休を使った部屋探しが増えるのには、明確な理由があります。

家賃相場全体が上がっている中で、「今の家賃より安く、かつ条件のいい物件」を見つけるのは簡単ではありません。複数の不動産ポータルサイトを見比べ、初期費用を細かく計算し、複数エリアを比較検討するには、どうしても時間と労力がかかります。

 

そのため、週末の1〜2日だけでは判断しきれず、GWやシルバーウィークなどの「まとまった時間が取れる連休」を使って、集中的に情報収集と内見を行おうとする人が増えるのです。

不動産業界には引越しシーズンである「繁忙期」と、動きが落ち着く「閑散期」があります。一般的には2〜4月の繁忙期に、多くの人が引越しを済ませます。その後の4月下旬〜5月は一時的に物件の供給が増え、相対的に選択肢が豊富な時期です。しかし5月の連休明けから夏にかけて、人気物件から順に埋まっていき物件の選択肢が少なくなる時期が訪れます。

 

前述のとおり、まとまった時間が取れる連休中は、他の引越し検討者も一斉に動くタイミングです。「連休中に気になっていた物件が、連休明けに問合せたらすでに埋まっていた」というのは、この時期に非常に起こりやすいケースです。

 

好条件の物件を逃さないためにも、「後回しにせず、連休中に内見から申込みまで進めよう」と考える人が多いことも、連休中に部屋探しをする人が増える理由の一つです。

家賃が上がり続ける中で「引っ越すべきか、このまま更新すべきか」という判断は、想像以上に複雑です。単純に賃料だけを比べてしまうと、見落としが生じます。

引越しを決める前に、まず「引越しにかかるトータルコスト」を把握しましょう。引越しの際には、賃料だけでなく、以下のコストがかかります。

 

費用項目

目安金額(単身・首都圏の場合)

備考

敷金

家賃1〜2ヶ月分

退去時に一部返還される場合あり

礼金

家賃0〜1ヶ月分

近年は0ヶ月が増加傾向

仲介手数料

家賃0.5〜1ヶ月分

法律上の上限は1ヶ月分+消費税

引越し費用

3〜10万円

繁忙期(3〜4月)は高くなる

前家賃・日割り家賃

家賃1〜2ヶ月分

入居月と翌月分の前払い

火災保険料

1.5〜2万円(2年)

指定保険でなければ自分で選べる

 

たとえば月8万円の物件に引っ越す場合、初期費用の合計は30〜50万円になることも珍しくありません。この金額を「家賃の値上げ分で何ヶ月かかって回収できるか」と逆算することが大切です。

【損益分岐点の計算式】

引越しトータルコスト ÷ 月々の家賃差額 = 回収にかかる月数

 

例:引越しコスト40万円、現在の賃料との差額が月1万円安い場合 → 40ヶ月(約3年4ヶ月)で回収。3年以上住む予定なら引越しがお得になる計算です。

月3,000〜5,000円の値上げであれば、引越しコストを考えると「そのまま更新する」あるいは「値上げ幅を交渉して更新する」ほうが合理的なケースもあります。一方で、月1万円以上の値上げや、「今の物件への不満」も重なっている場合は、引越しを前向きに検討する価値があります。

 

また、今後も追加値上げの可能性がある物件よりも、新しい物件でフレッシュなスタートを切るほうが精神的にも安定するという側面もあります。金銭面だけでなく、自分の生活満足度も含めて判断することをおすすめします。

家賃・賃料8万円以下の物件 インターネットが無料で使い放題の物件

ではいざ引越しを決めた場合、具体的にどのような戦略で部屋探しを進めればよいのでしょうか。実践的な5つのポイントをお伝えします。

都心から2〜3駅離れたエリアや、再開発が一段落したエリアは、需要の波が落ち着いており賃料が安定している傾向があります。「駅徒歩15分圏内で探す」「隣の路線を検討する」だけで月1〜3万円の差になることも。エリアの選択肢を少し広げるだけで、コストパフォーマンスが大幅に改善します。

礼金は「払って終わり」の完全なコストです。近年は礼金ゼロの物件も増えており、LIFULL HOME’Sの調査によると、首都圏の家賃10万円未満の物件では約45%(半数弱)が「礼金なし(ゼロ)」に設定されています(LIFULL HOME’S「『敷金・礼金』の動向調査」より)。さらにフリーレント(入居後1〜2ヶ月の家賃が無料)の物件も増えています。礼金ゼロやフリーレント物件を優先的に検討することで、初期費用を大きく抑えられます。

 

>敷金礼金0(ゼロ・なし)物件

連休中の内見は件数を多くこなせますが、準備せずに行くと判断がブレやすくなります。前日までに「譲れない条件(Must)」と「あればうれしい条件(Want)」を書き出しておきましょう。内見当日は整理した条件に加え、日当たり・騒音・収納量・水回りの状態・共用部の5点を必ず確認することで、後悔のない選択ができます。

賃料そのものの値下げ交渉は、築年数が古い・空室期間が長い・入居を急いでいない、などの条件が重なるときでないと難しいものです。一方で仲介手数料の値下げや、エアコン設置・クリーニングのサービスなどの交渉は比較的通りやすい傾向があります。不動産会社の担当者に「何か融通できることはありますか?」と聞くだけで、条件が改善されるケースもあります。

引越し会社の費用は、繁忙期(3〜4月)に最大で通常の2〜3倍になることがあります。6〜8月や11〜1月は引越し費用が比較的安く、引越し会社の空き枠も多い閑散期です。連休中に物件を決め、入居を5〜6月以降にずらすことで、引越しコスト自体を大幅に抑えられる可能性があります(国土交通省「引越し需要の動向」)。

 

>引越し料金の見積もりをする

戦略を立てたら、あとは実行するだけです。連休の内見を最大限に活かすための、前日と当日の動き方をまとめます。

・希望エリアの地図確認:最寄り駅から物件まで、Googleマップなどで徒歩ルートを確認。スーパー・コンビニ・病院の位置もチェックしておく

 

・希望条件の整理:Must条件(例:2駅以内・6畳以上・ペット可)を3〜5項目に絞る。欲張りすぎると選択肢がなくなる

 

・必要書類の準備:収入証明書・印鑑・身分証などは「気に入ったらその場で申し込む」ために持参。連休中は管理会社が休みになることも多く、書類がそろっている人が優先される場合がある

・日当たり・採光:写真より実際は暗いことが多い。午前中の内見が理想。南向きでも隣のビルで日差しが遮られるケースも確認する

 

・騒音・振動:窓を開けて外の音を聞く。線路・幹線道路・飲食店の近くは要注意。夜と昼で環境が変わることも念頭に

 

・収納スペース:図面上の広さより「実際に使える収納かどうか」を優先。クローゼットの奥行き・天袋・廊下収納の有無を確認

 

・水回りの状態:排水の流れ・カビの有無・給湯設備(追い焚き機能の有無)は必ず確認。後から発覚するとトラブルになりやすい

 

・共用部分・セキュリティ:エントランス・ゴミ置き場・廊下の清潔度は管理体制のバロメーター。宅配ボックスの有無も重要

 

>セキュリティ・防犯対策が充実した物件

「いい物件は連休明けにはなくなっている」ことは、残念ながらよくある現実です。気に入った物件があればその場で申し込みをするのが理想ですが、いくつか注意点があります。

 

・申し込みは物件を押さえるための「仮予約」。契約ではないため、キャンセルは可能(ただし審査後のキャンセルはマナー上好ましくない)

 

・連休中は管理会社が審査を進められないケースも。「いつから入居できるか」を事前に確認しておく

 

・複数の物件を同時に申し込むことは原則NG。優先順位を決めて申し込む

・家賃上昇は建築コスト高騰・インフレ・需要集中という構造的な要因による

・連休中の部屋探しは「まとまった時間の確保」と「良い物件が埋まる前に動く」動機が重なっている

・引越しの判断は「トータルコスト」で行い、損益分岐点を計算してから決める

・礼金ゼロ・フリーレント・閑散期引越しの組み合わせで初期費用を大幅削減できる

・内見は「日当たり・騒音・収納・水回り・共用部」の5点を必ず確認する

Q家賃の値上げ通知が来た場合、拒否することはできますか?

A法律上、賃料の値上げには「借地借家法」に基づいた手続きが必要です。入居者が値上げに同意しない場合、貸主はすぐに契約を打ち切ることはできません。話し合いで折り合いがつかない場合は、現行賃料で契約が継続されるのが原則です(借地借家法第32条)。ただし「正当な理由がある値上げ」と認められた場合は、調停や裁判に進む可能性もあります。まずは管理会社や大家さんと誠実に交渉することをおすすめします。

 

Q連休中に内見して申し込んだ場合、契約はいつになりますか?

A申し込み後、通常1〜3営業日で審査が行われます。連休中は管理会社・保証会社が休業している場合が多く、審査が連休明けになるケースがほとんどです。審査通過後に重要事項説明を受け、契約手続きに進みます。「連休中に申し込み → 連休明けに審査 → 5月中旬〜下旬に契約・入居」という流れが一般的です。入居までのスケジュールを担当者と事前に確認しておくとスムーズです。

 

Q賃料交渉はどのタイミングで、どう切り出すのが効果的ですか?

A最も交渉しやすいのは「申し込み前〜審査中」のタイミングです。申し込み書を出した後に「もし可能であれば賃料や条件の面で相談できますか?」と担当者に確認するのが自然な流れです。強く値下げを要求するよりも、「長期的に住む意思があること」「すぐに入居できること」をアピールしながら交渉するほうが、貸主側の心理的な受け入れやすさが高まります。値下げが難しい場合も、フリーレントや設備のサービスなどで対応してもらえることがあります。

 

Qひとりで部屋探しするのが不安です。どうすれば安心できますか?

A初めての部屋探しや久しぶりの引越しは、わからないことだらけで当然です。まず「複数の不動産会社に相談する」ことをおすすめします。1社だけに絞らず、2〜3社の担当者に話を聞くことで、情報の偏りをなくせます。また、国土交通省が無料で提供する「賃貸住宅標準契約書」を参照すると、契約内容のチェックポイントを事前に把握できます。疑問点はその場で必ず確認し、納得いくまで質問することが大切です。

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