賃貸借契約の際に「住民票を提出してください」といわれることがあります。

初めて賃貸借契約を結ぶ場合、目的や取得方法が分からないという人も多いのではないでしょうか。特に、本籍地の記載をどうすればいいのか、戸惑うことが少なくありません。

そこでこの記事では、住民票が求められる理由や取得方法、提出に関する注意点などについて詳しく解説します。

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賃貸借契約で住民票(正しくは住民票の写し)の提出を求められるのは、契約者の身元確認を行うためです。

 

住民票は市区町村が発行する公式書類であるため、以下のような特徴があります。

  • 契約者の居住状況や身元を正確に確認できる
  • 公式書類として信頼性が高い
  • 虚偽記載のリスクが低い

賃貸借契約は、長期間にわたり賃料を支払う義務を伴う契約です。そのため、大家さんは契約者が信頼できる人物であるかを確認する必要があります。

 

特に、保証人や緊急連絡先を求める場合には、住民票の情報が正確であることが契約の安心材料となります。

 

住民票の提出は、大家さんと契約者の間に信頼関係を築き、スムーズに契約を進めるために重要な手続きです。

 

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次に、住民票発行時に選択可能な記載内容について見ていきましょう。

 

住民票に本籍地を記載する必要があるかは、契約する物件や大家さんの要件によって異なります

 

本籍地情報は、家族で入居する場合に求められることが多く、契約者や同居人の身元や家族構成を詳しく確認するのが目的です。

 

一方で、単身者の契約では本籍地の記載が不要とされるケースもよくあります。そのため、住民票を発行する前に、大家さんや管理会社に必要な記載内容を確認しておくことが大切です。

 

住民票にマイナンバーを記載する必要はありません。むしろ、個人情報保護の観点から記載を避けるべきです。

 

マイナンバーは、賃貸借契約の審査や契約には一切関与しません。記載されていると個人情報が不要に公開されるリスクが高まり、契約書類として不適切とされる場合もあります。

 

住民票を発行する際には、必ずマイナンバーを省略する設定で手続きを進めましょう。

 

住民票の住所が現住所と異なる場合でも、賃貸借契約を進められるケースがあります。

 

たとえば、学生のなかには「実家に住民票を残したまま」という方も多いかもしれません。卒業したら実家に戻る、定期的に帰省しているなどの理由があれば、現在の住居は一時的な住まいと判断され、住民票を異動させなくてもよいとされています。

 

このような場合は、現住所と住民票の住所が一致しない旨を事前に不動産会社に伝えることで、問題なく契約手続きを進められることがあります。ただし、この場合も住民票の提出は必要です。

 

実家が遠方にある場合は、親に代理で住民票を取得してもらい郵送で受け取る住民票のある市区町村に郵送で請求するなどの方法を検討しましょう。ただし、郵送による発行には長くて2週間程度かかるケースがあるため、早めに手配することが大事です。

 

なお、賃貸借契約に記載する住所は原則として「現在の住所」であるため、住民票の住所ではなく現住所を記載するのが一般的です。

 

住民票は、さまざまな方法で取得できます。平日に役所へ行けない方や、自宅で好きな時間に手続きを進めたい方は、自分に合った方法を選ぶといいでしょう。

 

ここからは、住民票の取得方法の種類とその特徴について詳しく解説します。

 

市区役所では、住民票を発行する際に本人確認を直接行います。運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類を持参すれば、手続きをスムーズに進められます。

 

また、本籍地の記載や世帯全員分の住民票が必要な場合など、個別の要望にも柔軟に対応してもらえるのが特徴です。

 

分からないことがあっても窓口で相談ができるため、賃貸借契約に必要な項目がしっかりと記載された住民票を発行してもらえる安心感があります。

 

このように市区役所では、確実性が高く幅広い対応が可能であるため、初めて住民票を取得する方におすすめの取得方法といえます。

 

なお、住民票の取得には交付手数料がかかります。市区役所で住民票を取得する際にかかる手数料は自治体によって異なりますが、300~400円程度が目安です。

 

平日に時間が取れない方は、コンビニでの住民票取得が便利です。コンビニ交付サービスに対応したマルチコピー機を利用すれば、簡単に住民票を発行できます。

 

利用時間も午前6時30分から午後11時までと長いため、忙しい方も利用しやすいでしょう。

 

取得方法の流れは、以下のとおりです。

  1. マイナンバーカードを持参する
  2. コンビニのマルチコピー機に必要な情報を入力する
  3. 数分で住民票が発行される

費用は1通200~250円と、市区役所で取得するよりも安く済むため、コスト面でも優れています。

 

ただし、マイナンバーカードが必須であることや、対応しているコンビニは地域によって異なるなど、利用に制限がある点は押さえておきましょう。

 

専用アプリ(マイナポータル)を利用すれば、スマートフォンやパソコンから簡単に住民票を申請でき、自宅で受け取ることが可能です。役所やコンビニに出向く時間がない方にとって、非常に便利な方法といえるでしょう。

 

取得方法の流れは、以下のとおりです。

  1. マイナンバーカードを用意する
  2. マイナポータルをインストールし、画面の指示に沿って手続きを進める
  3. 受け取り方法を選ぶ(郵送での送付 or 電子データのダウンロード)

オンライン申請では、スマートフォンを使用した本人確認が必要であるため、マイナンバーカードが必須です。

 

また、スマートフォン操作に不慣れな方には少し難しい場合もあります。スムーズに進めるために、事前にアプリの使い方を確認しておきましょう。

 

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賃貸借契約の際に提出する住民票には、注意すべきポイントがいくつかあります。ここからは、住民票提出時の注意点について詳しく解説します。

 

賃貸借契約時に提出する住民票は、一般的に発行から3ヶ月以内のものを用意する必要があります。有効期限を過ぎた住民票は無効とされるため、注意が必要です。

 

住民票は契約者の最新の住所や状況を証明するための重要な書類です。期限切れのものでは正確な住所が反映されていない可能性があり、契約に必要な確実性が担保されません。

 

そのため、すでに取得した住民票を提出する場合は、発行日から3ヶ月以上経過していないか必ず確認しましょう。

 

賃貸借契約が成立する前に、転出届を提出することは避けましょう。転出届を先に出してしまうと、住民票の情報が「転出予定」となり、現住所が記載された住民票を発行できなくなります。

 

この状態では、賃貸借契約に必要な現住所の証明ができず、契約手続きが滞る可能性があります。

 

賃貸借契約では、原則として現住所が記載された住民票が必須です。住民票と現住所が一致しない場合、不動産会社や大家さんが居住実態を確認できず、賃貸借契約を進められないケースもあります。

 

そのため、転出届の手続きは、入居審査を通過し、賃貸借契約が正式に成立した後に行うようにしましょう。

 

住民票の提出にあたり、自分でコピーしたものは無効とされるため、市区町村の窓口やコンビニ交付サービスなどで発行された正式なものを提出しましょう。

 

住民票には、コピー防止のため特殊な印刷が施されており、コピーすると透かしで「複写」などの文字が浮かび上がります。この仕組みによりコピーであることが明らかになり、契約書類として受理されません。

 

必ず正式に発行されたものを用意し、スムーズに契約手続きを進めましょう。

 

住民票は、契約者の身元確認や現住所の証明に不可欠な書類です。特に発行日や記載内容に注意して準備する必要があります。

 

この記事で紹介した方法を参考にし、適切な手続きを進めればスムーズな賃貸借契約が実現します。不安がある場合は、事前に管理会社に確認することで、より安心して手続きを進められるでしょう。

 

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