一人暮らしの高齢者が増加していますが、高齢者やその家族は防犯面が心配になることも多いのではないでしょうか。さまざまな犯罪が増えている近年、防犯意識を高く持ち犯罪に巻き込まれない工夫が必要です。
今回は一人暮らしの高齢者ができる防犯対策や物件探しの際のポイントについて紹介します。
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一人暮らしの高齢者は犯罪に巻き込まれやすい

オレオレ詐欺や振り込め詐欺など、高齢者が巻き込まれる犯罪件数は年々増加しています。ニュースでも度々取り上げられているため、事件について知っている人が多いにもかかわらず、被害件数は増加傾向にあります。
ここでは、高齢者が巻き込まれやすい「特殊詐欺」「空き巣・強盗・窃盗」の主な手口や被害状況について改めて確認していきましょう。
特殊詐欺
特殊詐欺には、「オレオレ詐欺」「架空料金請求詐欺」などがあります。主な手口は、犯人が電話やハガキで親族や公共機関の職員等を名乗り、現金やキャッシュカードを騙しとるという方法です。
また、「医療費の還付金が受け取れる」と高齢者を騙し、ATMを操作させ犯人の口座に送金させるという「還付金詐欺」も多発しています。こうした特殊詐欺の被害は全国で広まっており、警視庁が発表した「特殊詐欺 発生状況」(令和5年2月時点)によると、2023年1月〜2023年12月の間の特殊詐欺の認知件数合計は約19,033件、被害総額は約440億に上ります。なかでも、特殊詐欺全体の認知件数における高齢者の割合は約80%を占めています。
空き巣・強盗・窃盗
空き巣や強盗・窃盗は、特に一人暮らしの高齢者が狙われやすい傾向にあります。「空き巣」「強盗・窃盗」それぞれの手口・被害状況を解説します。
空き巣
空き巣は侵入する前に入念に下見をして、できるだけ見つかりにくく逃げやすい家を選んでいるとされています。干してある洗濯物から家族構成を調べたり、留守にする時間帯や鍵の種類を確認したりしている空き巣もいます。
空き巣からすると体力が低下している高齢者は、「万が一見つかっても逃げられる」と思われるためターゲットにされやすいのです。空き巣が盗むものは現金や金目のものばかりではなく、通帳、キャッシュカード、クレジットカード、鍵、家電製品、日用品などさまざまです。警察庁の統計によると、空き巣に狙われる時間帯は午後4時~午後6時頃がもっとも多く、外出している時間帯を狙った犯行が多いことが分かっています。
強盗・窃盗
強盗は人のいない家だけを狙うのではなく、家主が在宅中でも侵入する場合があります。これを「居空き」と呼びますが、犯行時に出くわしてしまうと思わぬ危害を加えられる恐れがあります。また、市の職員や警察、宅配業者を装って玄関から堂々と侵入する強盗犯もいるため、いきなり玄関を開ける行為は危険です。
窃盗被害は増加傾向にあり、警察庁のデータで手口別に見ると、2019(令和1)年はひったくりが30.1%、すりが10.4%という結果になっています。近年、日本の犯罪件数は減ってきていますが、高齢者が被害者になる事件は増加しているため注意が必要です。
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一人暮らしの高齢者ができる防犯対策

高齢者でもできる防犯対策を5つ紹介します。日頃から防犯意識をしっかりと持ち、適切な防犯対策を行うことで一人暮らしの高齢者に潜むリスクを減らすことができます。
周囲とコミュニケーションを取る
防犯対策として近隣住民や地域の人と関わりを持っておくことが重要です。近隣住民と良好な関係を築いておくことで、近所に不審者がいたり、見かけない車が止まっていたりした際に情報を交換して警戒できます。また、互いに声をかけやすい環境をつくっておけば災害時や緊急時も安心でしょう。
施錠を徹底する
高齢者が特に注意すべきことは鍵の締め忘れです。たとえば、鍵を締めずにゴミ出しに出かけるなど、わずかな時間で空き巣に入られたというケースもあります。そのため、ゴミ出しやちょっとした外出でも玄関の鍵を締めるようにしましょう。在宅時でもドアチェーンをする習慣をつけておくと、より安心です。
また、玄関だけではなく窓の施錠に関しても同様の注意が必要です。特に夏場は窓を開けっ放しにしている方も多いのではないでしょうか。侵入被害は、玄関の次に窓からの被害が多いとされているため、窓の施錠も徹底しましょう。
防犯カメラを設置する
防犯対策として、防犯カメラの設置も効果的です。玄関やベランダ、屋内に設置するのも有効な方法でしょう。ただし賃貸物件の場合は、必ず管理会社や大家さんに確認してから設置しましょう。また、防犯カメラは高額で設置しにくいという方は、ダミーの防犯カメラを設置するのもおすすめです。映像を映し出すことはできませんが一定のけん制効果が期待できます。
防犯フィルムを貼る
空き巣は窓を割って侵入してくるケースがあります。風呂場やトイレにある小さな窓は防犯対策が手薄な傾向にあり、空き巣に狙われやすいため注意が必要です。こうした空き巣への対策としては、窓に防犯フィルムを貼ることをおすすめします。ただし、「賃貸物件でも使用可」と表記されているフィルムでも物件によっては禁止されている場合もあります。防犯フィルムを購入する前に、必ず管理会社や大家さんに確認しましょう。
自分一人で判断せず誰かに相談する
内閣府の「特殊詐欺に関する世論調査」では、特殊詐欺に対して「自分は被害にあわないと思う」と回答した70歳以上の割合が50.7%、「自分は被害にあうかもしれない」と回答したのはわずか3.9%だったことが分かっています。
「自分は大丈夫」「自分は騙されない」などと過信せずに、防犯意識を高く持つことが大切です。
一人暮らしの高齢者でも、周囲に相談できる場合は問題ありませんが、判断が難しい場合もあります。日頃から家族や周囲の人が高齢者と積極的にコミュニケーションを取り、習慣や防犯対策の見直しを促しましょう。
高齢者の一人暮らしにおける物件を選ぶ際のチェックポイント

ここでは、高齢者が安心して生活を送るために、防犯面から見た物件選びのポイントについて解説します。
セキュリティ設備
一人暮らしの高齢者は犯罪に巻き込まれるリスクが高いため、セキュリティ設備の充実した物件を選ぶとよいでしょう。たとえば、防犯カメラがある、オートロック設備がある、管理人が常駐している、カメラ付きインターホンがある、といった物件がおすすめです。
警察署や医療機関との距離
高齢者の一人暮らしは、病気やケガのリスクが高まります。年齢を重ねるに連れて病院への通院頻度が増える場合もあることから、あらかじめ医療機関に近い物件を選んでおくと安心です。また、交番が近い物件では、万が一トラブルに巻き込まれた際も警察官がすぐに駆けつけてくれるため、より安心して生活を送ることができます。
高齢者向けの物件を探すには
セキュリティ面に加え、高齢者が暮らす場合はバリアフリー対応や必要な設備など、チェックするべき点が他にもあります。詳しくはこちらの記事もご覧ください。

LIFULL HOME’Sには高齢者が暮らしやすい物件や、高齢者が相談しやすい不動産会社を探せるページがありますので、活用してみてください。
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まとめ

近年、一人暮らしの高齢者を狙った犯罪が多く、被害は増加傾向にあります。高齢者が安心して生活するために防犯対策は必須となるでしょう。高齢者本人が危機感を持って行動することが一番大切ですが、高齢者の家族や周囲の方がサポートしたり、本人に注意を促したりすることも重要です。高齢者の一人暮らしを快適にするためにも、物件はポイントを押さえて選びましょう。
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