高齢者の一人暮らしが増えていますが、自分の親が一人暮らしをしていると、「生活に不自由していないか」「病気やケガをしていないか」などと心配になる方もいるのではないでしょうか。また、自身が一人暮らしをすることに不安を感じる高齢者も多いかもしれません。

高齢者の一人暮らしにはさまざまなリスクがあります。今は心配ないとしても、将来に備えて知識をつけておくことが大切です。この記事では、高齢者が一人暮らしで感じる「不安」に焦点を当て、不安を解消するための対策について解説します。

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高齢者の一人暮らしは男女ともに年々増加しています。内閣府のデータによると、1980(昭和55)年には男性が約19万人、女性は約69万人だった高齢者の一人暮らしですが、2020(令和2)年時点では男性が約230万人、女性は約441万人まで増加しています。

 

高齢者の一人暮らしが増えている理由として、平均寿命の延伸、経済的な余裕などが挙げられます。また、近年はライフスタイルの変化や高齢者の価値観の変化から、「老後は子どもに迷惑をかけたくない」と自立を望む高齢者も増えています。

 

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一人暮らしの高齢者のなかには、気楽で自由な暮らしを満喫している方もいるかもしれません。しかし、日常生活や健康面について不安を抱えている高齢者も少なくありません。一人暮らしの高齢者は日々どのようなことに不安を感じているのでしょうか。ここからは、内閣府が行った「一人暮らし高齢者に関する意識」のデータを基に、不安や幸福感についての問いに対する回答を見ていきましょう。

近年日本では、地震や大雨による土砂崩れ、洪水などの自然災害が多発しています。内閣府「高齢社会白書」(2015年)の調査によると、自然災害に不安を感じると答えた高齢者は全体の29.1%でした。

 

高齢者の一人暮らしでは、災害時に必要な情報が入手できずに逃げ遅れたり、自力で避難できず取り残されたりするリスクがあります。このように、いざというときの不安を抱えている高齢者は多く、災害時の対策についてあらかじめ考えておく必要があります。 

同じ内閣府高齢社会白書の調査では、「介護が必要になることへ不安を感じる」と答えたのは42.6%でした。高齢者が要介護にならずに自立して生活するためには、日頃から健康を意識して生活する必要があります。そのためには、栄養バランスの整った食事を取る、適度な運動をする、ストレスをためないことなどが必要です。高齢者本人が実践できることもありますが、家族や周囲の協力が必要になる場合もあるでしょう。

高齢者の不安でもっとも多いのが、「健康や病気・ケガ」についてです。先ほどの調査の結果では、健康や病気について不安を感じると答えた人は58.9%に上ります。一人暮らしの場合、インスタント食品や外食が増えたり、同じものを食べ続けることで栄養バランスが乱れやすくなります。また、自分の体調の変化にも気づきにくくなるため、熱中症になったり、認知症が進行したりするケースも少なくありません。

こうした高齢者の一人暮らしの不安要素に対して、今からできる対策や準備にはどのようなことがあるでしょうか。ここからは、それぞれの不安要素に対する対策についてお伝えします。

高齢化社会の背景には、「寿命の延伸」が挙げられますが、高齢者が要介護にならずに自立して生活するためには「健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)の延伸」が大切です。

 

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」によると、適度な運動(毎日40分以上の身体活動)を心がけている高齢者とほとんど運動を行わない高齢者を比較すると、適度に運動している高齢者の方が心血管疾患死亡のリスクが約30%低下することが示されています。このように、健康寿命を伸ばすためには、日頃から健康管理を心がけ、適度な運動や生活習慣の改善が必要です。健康寿命を延ばすためにできることの例は以下のとおりです。

  • 過度な飲酒を避ける
  • 喫煙を控える
  • バランスのよい食生活をする
  • 身体を動かす
  • 睡眠を十分に取る
  • 地域活動に参加する
  • 定期的な健診を受ける
  • 趣味を持つ

生活のなかで少し意識を変えることで健康寿命の延伸につながり、高齢者の不安要因を軽減できます。また、高齢になって身体能力が低下すると家に引きこもりやすいため、家族や周囲の人が積極的に外出などを促すようにしましょう。

内閣府の「高齢社会白書」(2019年)が行った調査では「安心して住み続けるためには、どのようなことが必要か」という問いに対して、男女を問わず60歳以上の50%以上が「近所の人との支え合い」と答えています。高齢者が一人で生活していると、社会との関わりが薄れてしまい孤立してしまうことがあります。高齢者の孤立や孤独を防ぐためにも、社会活動や人と関わり合い、支え合う機会が必要です。

 

社会活動とは、働くことだけではなく、ボランティア活動や趣味、地域行事も含まれます。社会活動に参加することで交友関係が広がり、生活も充実するでしょう。また、地域や人とつながりがあることで健康維持や身だしなみにも留意するようになり、心身ともに前向きな変化が期待できます。

 

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高齢者が一人暮らしをする場合、住む場所や物件選びにも気をつけなければなりません。まずは住みたいエリアに生活環境が整っているかどうかを確認しましょう。また、高齢者が賃貸住宅を借りる場合、さまざまなリスクが考えられることから賃貸借契約が難しいケースもあります。

 

ここでは、高齢者が賃貸物件を借りる場合の選び方について解説します。

高齢者の場合、事故や孤独死、認知症によるトラブル、経済力の低さ、保証人がいないなどの理由から一般的に入居条件が厳しくなります。

 

しかし、賃貸住宅のなかには、高齢者専用や高齢者向けの物件も増えつつあります。こうした物件の特徴は、一般的な賃貸住宅より高齢者が契約しやすいことです。また、介護が必要となっても併設の介護事業者や外部サービスを利用して住み続けることができる物件もあります。ほかにも、緊急時に駆けつけてくれたり健康相談ができたりするなど、物件によってさまざまなサービスが備わっています。

 

高齢者向けの賃貸物件には、契約更新による更新料や礼金などの費用がかからない場合がありますが、さまざまなサービスが付帯し月額利用料が高額になりやすい傾向があるため、注意が必要です。

高齢者が日常生活を送る環境としておすすめなのがバリアフリー物件です。バリアフリー物件とは、室内の段差が少ない、廊下や階段に手すりが付いている、エレベーターが備わっているなど、高齢者や障がい者に配慮した住宅のことです。日本では、2003年に「改正ハートビル法」が制定され、マンションや共同住宅においてバリアフリー対応の物件が増えてきました。

 

ハートビル法とは、高齢者を含む誰もが利用しやすい、特定建築物の建築の促進に関する法律です。また、「ユニバーサルデザイン」という、年齢、性別、障害の有無、体格、国籍などに関係なくできるだけ多くの人が利用できることを目的とした物件もあります。

高齢者に限ったことではありませんが、近所に病院やスーパーがある物件であれば、外出のハードルが下がります。一人暮らしを始める時点では元気でも、年齢を重ねて身体能力や身体機能の低下が起こるかもしれません。あらかじめ病院や銀行、スーパーなどへのアクセスが良い物件を選ぶことをおすすめします。

今回は、高齢者が一人暮らしで感じる不安についてお伝えしました。高齢者の多くは、病気やケガ、要介護になるなど、体調面について不安を感じていることが分かりました。高齢者が安心して生活するためには、日頃から社会活動に積極的に参加する、健康管理を心がけるといったことが大切です。しかし、「周囲に頼れる人がいない」「社会活動の情報が得られない」などの理由で、家に引きこもってしまうというケースも多々あります。高齢者がこれから一人暮らしをするという場合は、エリアや建物の特徴を調べ、少しでも安心して暮らせるような物件を選ぶことに加えて、不安を取り除くために家族や周囲の人の協力も必要となるでしょう。

 

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