地震をはじめとした大きな災害に見舞われた際、食料などの生活必需品がすぐ手に入らなくなることがあります。備蓄の大切さは理解していても、一人暮らしの場合は収納スペースに余裕がないこともあり、備蓄をしている人は少ないかもしれません。
しかし、自分の身は自分で守らなければならない一人暮らしだからこそ、備蓄品の準備は大切です。今回は、災害発生時に必要となる備蓄品や備蓄方法について解説します。
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一人暮らしでも備蓄は必要?

「災害時に備えて食品などを備蓄しておきましょう」と言われても、一人暮らしの場合は、部屋のスペースが限られているため備蓄品を置きたくない、もしくは置けないと考えている人も多いかもしれません。
しかし、物流機能が停止するような大きな災害が発生した場合、普段利用しているスーパーやコンビニなどで、食料品などの生活必需品を手に入れるのは困難になります。さらに、水道・電気・ガスといったライフラインが停止すれば、日常とはまったく違う状況下で生活することになり、自宅待機が求められれば第三者の支援も受けにくくなってしまいます。
一人暮らしでは、いざというときに自分しかいません。そのため、しっかりと自分の身や生活を守るために、普段から災害時に備えておく必要があるのです。
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一人暮らしで備蓄しておくべきものには何がある?

一人暮らしの場合、いざというときに持ち出す「非常用持ち出し袋」に入れておくものと、自宅待機の際に必要なものをそれぞれ準備しておくと安心です。ここでは、一般的に備蓄しておくべきものを具体的に見ていきます。
非常用持ち出し袋に入れて備えておくもの
非常用持ち出し袋は、避難する場合に必要な食料や生活用品をまとめた袋・バッグのことです。入れておくものの量としては、最低でも1日分、できれば3日分が目安となります。
備えておくもの | ポイント |
|---|---|
リュック | 非常用持ち出し袋としては、両手の空くリュックが望ましいです。 |
水・食料 | 水は、持ち出すことを考えて、500mlのサイズを2〜3本備えておきましょう。食料はかさばらず調理不要な乾パンやパンの缶、レトルトご飯などを、最低でも1日分用意するのがおすすめです。 |
タオル | タオルは体を拭くだけではなく、包帯代わりに使うことも可能です。さらに、大判のものなら寝具や避難所での目隠しに使うこともできるので、サイズの違うものを2枚以上用意しましょう。 |
ティッシュ・ウェットティッシュ・マスク | ポケットティッシュやウェットティッシュは体を拭く場合などに使えます。さらに、避難先でのウイルス感染防止のために、アルコール入りの除菌ティッシュやマスクもあると安心です。 |
洋服(着替え・下着) | 長袖と半袖、長ズボンに加え、ルームシューズも用意して圧縮袋に入れましょう。下着や靴下は乾きやすい素材のものが望ましいです。また、季節にもよりますが、コンパクトに畳める防寒用のアウターも用意しましょう。 |
衛生用品 | 歯ブラシ・歯磨き粉などに加え、女性の場合は災害時に手に入りにくくなる生理用品も忘れずに用意しておきましょう。 |
非常用トイレ | 片手で使えるもの、便器に取りつけて使用するものなどさまざまな種類が販売されています。防臭性が高いものや凝固速度が速いものを選び、事前に使い方を確認しておきましょう。 |
ラップ・紙皿 | 水が使えず食器が洗えない場合、紙皿にラップを敷けば何度でも使えます。さらに、パンやおにぎりなどをラップで巻けば、食べ物に直接触れずに食べられて衛生的です。 |
ポリ袋 | ポリ袋は手袋やお皿、非常時のトイレ、雨や粉塵よけのレインコート代わりなど幅広く使えます。大きいサイズと小さいサイズの両方を用意しておきましょう。 |
万能ナイフ | 万能ナイフはハサミ代わりになります。レトルトの袋や缶詰を開ける際に役立つため、1本あると便利です。 |
手袋(軍手) | 手袋・軍手は、土砂崩れやガラスが散乱したときの怪我防止に役立つうえ、防寒対策としても有効です。 |
懐中電灯 | 停電時や、夜に避難所へ向かう際に重要なのが懐中電灯。誰かに自分の位置を知らせるのにも効果的です。LEDや乾電池式、充電式などをはじめ、避難時に両手があけられるヘッドライトタイプがあるので、使い勝手のよいものを選びましょう。 |
スマホの充電器 | 家族や友人に連絡をするためにも欠かせないスマートフォン。充電が切れたときのために、乾電池があれば何度でも使用できる電池式の充電器を用意しておくと安心です。 |
電池 | 電池は災害時に不足しがちなアイテムです。懐中電灯やスマホの充電器などで使うサイズを確認して用意しておきましょう。 |
ホイッスル | ホイッスルは、万が一災害に巻き込まれた際に自身の存在や位置を周りに知らせる場合に役立ちます。すぐに取り出せる場所に入れておきましょう。 |
常備薬 | 風邪薬や整腸薬、解熱鎮痛剤などがあると安心です。持病がある人は3日分を目安に用意するほか、処方されている薬の種類が分かるお薬手帳も用意しておきましょう。 |
身分証明書のコピー | 自分の身元証明に必要です。また、大規模な災害が発生した際に預金を下ろしたい場合、通帳やキャッシュカード、印鑑がなくても、運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きの身分証明書があれば、スムーズに手続きを行えます。 |
自宅待機の場合に備えておくもの
災害が起きると水道、電気、ガスといったライフラインが停止する可能性があります。加えて、スーパーなどでは品薄状態が続き、購入するのに列に並ぶといったケースも想定されます。そのため、自宅待機の場合の備えは、3日~1週間を乗り切れる程度の量が必要となります。
備えておくもの | ポイント |
|---|---|
水・食料 | 水は一般的な飲料水でもよいですが、長期保存に適している備蓄水があると安心です。一人暮らしの場合、3リットル×3日分は準備しておきたいところです。
食料は長期保存がきく缶詰や、水だけで調理できるアルファ米やフリーズドライ、栄養補助食品などが適しています。食料についても、3日分以上、できれば1週間分を用意しましょう。
さらに、断水が続くことを考えて、ポリタンクを用意しておくと、給水車が来た時に便利です。 |
トイレットペーパー・ティッシュ・ウェットティッシュ・衛生用品 | これらは生活するうえで不可欠なアイテムです。そのため、日ごろから使い切ってから購入するよりも、ストックが残っているうちに買い足すようにしましょう。 |
非常用トイレ | 地震などの災害時には断水することも多いので、非常用トイレを用意しておいた方がいいでしょう。 |
ドライシャンプー、マウスウォッシュ | 断水が続き、シャンプーや歯磨きができない場合にあると便利です。 |
ラップ | 断水すると食器洗いや手洗いができなくなります。ラップがあれば、お皿を汚さずに食事をしたり、食べ物に直接触れずに食べたりすることができます。 |
ポリ袋 | ゴミを保管するだけでなく、簡易バケツや簡易トイレにもなるポリ袋は、多めに用意しておきましょう。 |
懐中電灯 | 災害発生時は停電が起きる可能性が高いため、準備しておきましょう。液体の入ったペットボトルと組み合わせると、簡易ランタンにもなります。 |
スマホの充電器 | 家族との連絡をとる以外にも被害情報なども知ることができるスマホは必需品。停電時に充電が切れたときのためにも、充電器は欠かせません。できれば、電池を換えれば何度も充電できる電池式のものを用意しましょう。 |
電池 | 日ごろから各種サイズの電池をまとめて購入し、なかでも単三、単四など使う頻度の高いものは必ず備蓄しておきましょう。 |
カセットコンロ | ガスや電気が止まっていても、カセットコンロがあれば温かい食事を用意できるので、あると大変便利です。 |
また、農林水産省のHPでは「災害時に備えた食品ストックガイド」が公開されています。同ガイドでは、備蓄に適した食品の選び方や災害時に簡単にできるレシピなど、実践できるアイデアがまとめられています。一人暮らしで備蓄品を用意する際の参考にしてみてください。
一人暮らしには「ローリングストック」がおすすめ!

一人暮らしの備蓄には「ローリングストック」がおすすめです。ローリングストックとは、普段の食品や日用品を少し多めに買い置きし、賞味期限の早いものから消費して、その分を買い足すことで、常に一定の食料・日用品を備蓄している状態を保つ方法のことをいいます。
日常的に利用しているものを買い置きしておくだけでいいので、特別な意識なく備えられるのがメリットです。たとえば、普段からよく購入している飲料水やチョコレートといった菓子類なども「持ち歩き用品」として備えておくことができます。
ローリングストックであれば、「備えなくてはいけない」というストレスを感じることや、むやみにスペースを占領されることがありません。そのため、一人暮らしの人にとって負担が少ない備蓄方法といえます。
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一人暮らしで防災を意識して部屋を探す際に確認すべきことは?

万が一災害が起きても安心できる部屋に住むためには、どのような点を意識して部屋を選ぶべきなのでしょうか。最後に、部屋探しのポイントを具体的に見ていきましょう。
ハザードマップを確認する
災害に強い部屋を探す場合、国土交通省などで公表しているハザードマップ(被害予想地図)を確認しましょう。ハザードマップは、河川の洪水や土砂災害、津波などの自然災害による被害範囲の想定を示すものです。市区町村や国土交通省が運営している「ハザードマップポータルサイト」では、災害の発生しやすさや発生したときの危険度も確認できるので、部屋探しの際は必ずチェックしましょう。
建物の耐震性を確認する
「耐震基準」とは、建築基準法で定められている建築物の耐震能力基準のことです。建築基準法は時代や建築技術の変化によって改正されており、現行の「新耐震基準」と1981年の改定以前の「旧耐震基準」に分かれます。築年数が古い場合は建物の耐震性が低い可能性があるので、その物件が新耐震基準で建てられたものかどうかや、耐震補強が行われているかといった点は部屋探しの際に確認すべきポイントです。
避難所の場所を確認する
入居物件から避難所までの距離や道のりをチェックしておきましょう。近い距離にあっても、そこまでの道に障害物が生じないか、狭くて混雑することが予想されるか、などの事前確認が必要です。たとえ道が広かったとしても、マンションが林立するような場所では混み合うことも想定されます。実際に物件から避難所まで歩いてみるなどして確認しておきましょう。
高層階は特に注意する
マンションなど高層の建造物の場合、長周期地震動により階数が高いほど長時間大きく揺れることがあります。家具や家電の転倒リスクも高くなる傾向にあるので特に注意しましょう。また、避難する際はエレベーターが使用できない可能性が高く、階段を使うことになります。上層階の部屋であれば、それだけ時間と労力がかかることを考慮しなければなりません。
記事のおさらい
一人暮らしでも地震や台風に備えて備蓄をしておくべき?
物流機能やライフラインが停止するような大きな災害が発生した場合、日常とはまったく違う環境での生活を強いられるので、一人暮らしでも備蓄は必要です。詳しくは「一人暮らしでも備蓄は必要? 」をご覧ください。
一人暮らしの場合、どんなものをどのくらい用意しておくべき?
ライフラインが停止するような大きな災害の場合、持ち出し用と自宅待機の場合の備蓄を用意しておく必要があります。詳しくは「一人暮らしで備蓄しておくべきものには何がある?」をご覧ください。
一人暮らしでおすすめの備蓄方法は?
日常的に使う食料品や日用品を少し多めに買い置きしておき、消費した分を買い足す「ローリングストック」という方法がおすすめです。詳しくは「一人暮らしには「ローリングストック」がおすすめ!」をご覧ください。
災害に強い部屋を探す際に確認したいことは?
ハザードマップで立地のリスクを確認するとともに、物件の耐震基準や避難経路・避難場所なども忘れず確認しましょう。詳しくは「一人暮らしで防災を意識して部屋を探す際に確認すべきことは?」をご覧ください。
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