賃貸物件を探すときに大切なのは、納得するまでじっくりと時間をかけて複数の物件を比較・検討することです。
特にアパートやマンションから賃貸一戸建てに引越すときは、一戸建てならでの特徴を知っておくと、住んでから後悔することが少ないでしょう。
この記事では、賃貸一戸建ての失敗例や物件選びのコツ、物件探しのポイントを解説します。
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立地に関する失敗
希望のエリアにある物件を選んでも、実際に暮らしてみると住みにくいと感じることもあります。まずは、立地に関する失敗例を見ていきましょう。
駅からの時間が想定以上にかかった
物件情報に書かれていた「駅からの徒歩所要時間」よりも時間がかかった、という例です。特に、駅からの近さが決め手だった場合は、大きな不満につながるかもしれません。
不動産情報の表記ルールでは、徒歩でかかる時間は「80メートル/分(小数点以下切り上げ)」で計算することとされています。
しかし、この時間には「信号や踏切で足止めされる時間」「坂や階段の上り下りにかかる時間」「駅の出入り口からホームまで歩く時間」などは含まれていません。
そのため、仮に駅から徒歩10分と書かれていても、実際にはそれ以上の時間がかかることが少なくありません。候補の物件が見つかったら、利用する駅まで実際に歩いてみることが大切です。
生活利便性が思ったよりも低かった
生活に必要な施設や店舗が少なかったり、アクセスが悪かったりすることで不便に感じることがあります。
距離は近くても、道路の交通量が多くて行きづらい、人通りが少なく防犯面で心配、ほかの施設と離れていて効率が悪いといったケースも見られます。
スーパーやコンビニまでの距離をはじめ、ペットを飼育している場合は動物病院までの距離、子育て世帯であれば公園や学校までの距離など、さまざまな観点から検討していく必要があります。
物件を探すときには、生活に必要な施設をピックアップして、その施設との距離やアクセスの条件も明確にしておくと失敗が少ないです。
騒音に悩まされる
線路沿いや幹線道路沿いにある物件、繁華街から近い物件の場合は、騒音が気になってしまうことがあります。
そういったエリアの場合、窓を「二重窓」にするなどの騒音対策がなされている物件もありますが、そうではない場合は日常的に騒音に悩まされてしまうケースもあります。
また、一戸建てが多い住宅街では各戸に駐車スペースがあることが多く、自動車やバイクの空ふかし音、外飼いのペットの鳴き声などに悩まされることもあるでしょう。
周辺環境の様子や交通量、物件の防音対策などを事前にチェックしておくことが大切です。
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間取りに関しての失敗

次に、間取りの面での失敗例を見ていきましょう。内見を行う際のチェックポイントとして意識してみてください。
冷暖房の効率が悪い
物件の間取りによっては冷暖房の効率が悪く、これが原因で電気代が高額になってしまうことがあります。
たとえば、リビング階段や吹き抜け、広くて大きな窓があるLDKなど開放感のある間取りは、どうしても暖気・冷気が逃げやすいもの。そもそも賃貸一戸建ては独立した建物であることから、外気の影響を受けやすいつくりです。
また、専有面積が広かったりフロアが1階・2階と分かれていたりする物件も多いため、アパート・マンションに比べて冷暖房効率は低くなりがちな点は押さえておきましょう。
物件を決める際には、不動産会社に住宅の断熱性能について確認しておくといいでしょう。入居後に自分でできる対策としては、断熱効果のあるカーテンを取り付けるなどの方法があります。
日当たりが思っていたよりも悪い
窓の位置や数によって、室内に自然光が十分に入らないケースがあります。
特に、隣戸との距離が近かったり塀や垣根が高かったりする一戸建ての場合、1階部分は暗くじめじめとした空間になりがちです。
アパートやマンションの2階や3階以上の部屋から引越した人は、特に気になるかもしれません。
昼間は仕事に出ているため、あまり日当たりを重視しないという人もいるでしょう。しかし、日当たりが悪いと洗濯物が乾きにくかったり、湿気がこもることでカビが発生する原因につながったりすることがあります。
内見の際には、電気をつけずにどのくらい明るさが保たれるか、人目を気にせず窓を開けられるか、といった点もチェックしましょう。
収納が少なくて不便
賃貸一戸建てのなかには、専有面積のわりに収納が少ない物件も見られます。内見時には、必要な収納スペースが必要な部屋にきちんと配置されているかも確認しましょう。
また、扉の開く方向や間口の広さなども収納の使い勝手を左右します。収納するもののサイズや出し入れの頻度などもイメージしながらチェックしましょう。
家賃に関する失敗

立地や築年数にもよりますが、賃貸一戸建ては物件数の少なさや専有面積の広さなどから、アパートやマンションより家賃は高くなる傾向にあります。家賃に関する失敗例を見ていきましょう。
家賃が負担になってしまった
家賃より先に、ほかの細かい条件を決めた場合によく起こる失敗です。
賃貸一戸建てはアパート・マンションより物件ごとの差が大きいため、いくつか物件を見ていくうちに、家賃の上限が上がってしまうこともあるでしょう。
しかし、賃貸物件を探すときは、先に無理なく支払える家賃を決めてから譲れない条件を決めていくことをおすすめします。入居後の家計が安定するのはもちろん、物件の取捨選択もしやすくなります。
一般的に適正な家賃の目安は、「手取りの3分の1以内」といわれています。まずはこの値を目安にして、家賃の上限額を決めましょう。
初期費用が高額になってしまった
初期費用が思ったよりもかかり、入居後の家計が苦しくなってしまうこともあります。賃貸物件を契約する際には、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用がかかります。
初期費用の目安は家賃の4~6ヶ月分で、多くの項目は家賃を基に計算されます。そのため、家賃の高い物件を選ぶと初期費用も高くなることが一般的です。
アパートやマンションから賃貸一戸建てに引越した場合、居室や窓の数が多くなったりすることから、用意しなければならない家具やカーテンなどのインテリアが増えることも考えられます。
これらにかかる費用も考慮し、家賃とともに初期費用がどのくらいになるのか計算しながら物件を選ぶのがポイントです。
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災害や防犯面に関しての失敗

快適な住まいを考えるときには、平時だけでなく非常時のことも考えておく必要があります。ここでは、災害や防犯面に対しての失敗を見ておきましょう。
1階部分が浸水した
災害によって住宅がダメージを受けることもあります。特に大雨が降ったとき、アパートやマンションであれば1階以外に住んでいればダメージは少ないですが、一戸建ての場合はどうしても被害を受けやすい傾向にあります。
1階が浸水してしまった場合、家具や家電が使えなくなってしまうことが想定されます。ハザードマップでリスクの程度を調べたり、高台にある物件を選んだりするなどして災害に備えることが重要です。
ちなみに、浸水によって家財を失った場合の補償は、入居者が契約している火災保険(家財保険)が適用されます。
雨漏りが起こった
台風や暴風雨が起こった際、屋根瓦が飛んだり、雨どいが破損したりして雨漏りが発生するケースもあります。
この場合における建物の修繕費用は、大家さんが加入している火災保険で対応するのが一般的です。とはいえ、災害時に室内がぬれるのを防ぐための応急処置は入居者自身が行わなければならず、災害のリスクはあります。
家財の損害については、入居者の火災保険(家財保険)でカバーできる可能性があります。いざというときに慌てないよう、加入している保険の内容を十分に理解しておきましょう。
防犯面で集合住宅との差に気づかず不安を感じた
マンションやアパートといった集合住宅は、防犯カメラやオートロックなどの防犯設備が充実している傾向にありますが、賃貸一戸建てでこうしたセキュリティ設備が備わっている物件は多くありません。
そのため、マンションから一戸建てに引越した際、防犯面に不安を感じることがあります。
入居後に自分で防犯設備を取り付けることは可能ですが、退去時の「原状回復義務」を考えると、希望の設備を設置できるとは限りません。事前に管理会社や大家さんに相談し、許可を得てから実施しましょう。
賃貸一戸建てで失敗しないためのポイント

ここまで紹介したような失敗しやすい点を押さえたうえで、賃貸一戸建ての物件を選ぶときのポイントを解説します。
複数の物件を内見し自分に合うかを考える
賃貸一戸建ての物件を賢く選ぶポイントは、複数の物件を内見することです。間取り図だけではなく、自分の目でしっかりと確認し、比較することで、自分に合う物件の特徴が少しずつ分かってくるはずです。
内見に行った際は、物件だけでなく周辺環境の確認も併せて行うことが大切です。駅や施設までの距離や道のり、騒音や治安など注意したい項目は複数あります。
また、地域や自治体のルールについても事前に確認できると、ご近所付き合いに関する認識のずれを回避しやすくなります。不動産会社に尋ねるなどして情報収集をしましょう。
実際に住んだときのことを考えながら判断する
LDKが広かったり設備が新しかったりする物件はいい印象を受けやすいものです。
しかし、実際に住んだときに快適に過ごせるかは、人それぞれ異なります。入居後の快適性を考えながら慎重に物件を選ぶことが大切です。
間取りの使い勝手はいいか、冷暖房効率は悪くないか、窓や階段の位置はライフスタイルに合っているかなど、自分たちの暮らしをイメージしながらチェックしてみてください。
また、防犯設備の有無もきちんと確認しておくと、マンションやアパートから引越してきたとしても不安を減らせるでしょう。
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記事のおさらい
物件を選ぶ際、立地での失敗は?
物件情報の「駅からの徒歩所要時間」よりも時間がかかり、後悔するケースがあります。不動産情報の表記ルールでは、信号待ちや階段を上り下りしたりする時間は考慮しません。こうした失敗を防ぐためには、実際に駅まで歩いてみることが大切です。
間取りに関しての失敗はどんなもの?
開放感がある間取りでは、冷暖房効率が悪く光熱費が高くなったという失敗例が見られます。また、窓の位置や隣戸との距離によって、日当たりや風通しが悪い物件もあります。内見時には、こうした部分も忘れずにチェックすることが重要です。
賃貸一戸建てを選ぶ際のポイントは?
内見の際、自分たちが実際に住んだときのことを想像しながら判断することがポイントです。また、1件だけでなく複数の物件を比較検討して選ぶことが大切です。
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