火災保険には、いざというときに損害を補償してくれる重要な役割があります。賃貸物件を借りる際には、ほとんどの物件で火災保険の加入を求められます。
この記事では、賃貸一戸建てを借りる際に火災保険に加入する必要性やその種類、保険料の目安などを解説します。
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火災保険の加入は任意だが加入しておく方が無難

まず火災保険の加入は、義務ではない点を押さえておく必要があります。火災保険は、あくまで契約者の任意で加入する保険です。
しかし、任意だからと火災保険に加入しないという選択は、あまりおすすめできません。火災保険には、いざというときに役立つさまざまな補償内容が備わっているからです。
仮に借主の過失によって火災を発生させてしまった場合、貸主から損害賠償を請求される可能性があります。このとき、火災保険に入っていれば、保険金で賠償できます。
参考までに、内閣府の2017年3月31日付「保険・共済による災害への備えの促進に関する検討会」報告によると、持ち家世帯の火災保険(建物のみ)への加入率は2015年度で約82%となっています。
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借主が火災保険に加入する必要性は?

賃貸借契約を締結する際に、火災保険へ加入する必要性をきちんと把握しておく必要があります。ここでは、火災保険に加入する理由を詳しく解説します。
隣家の火災被害に備えるため
日本には失火責任法という法律があり、故意か重大な過失でなければ、火災を起こした本人へ損害賠償を請求することはできません。
そのため、隣家などからのもらい火で家財を焼損したり、消火活動で家財が水にぬれて使えなくなったりしても、失火者に家財の弁償をさせることができません。
重大な過失とは、「寝たばこ」や「天ぷら油の入った鍋を火にかけたままその場を離れてしまった」などのケースが挙げられますが、相手の責任を問えるかどうかは状況によります。
自分の家財一式を守るためにも、万が一に備えて火災保険(家財保険)に入っておくことが必要だといえるでしょう。なお、補償内容にもよりますが、家財保険は自分の不始末で家財を焼損・破損した場合にも使うことができます。
貸主に対する原状回復義務のため
前述したように、故意か重大な過失でなければ、失火責任法により失火者に損害賠償責任は発生しません。
しかし、賃貸物件の場合は、賃貸借契約によって借主は貸主(建物)に対する原状回復義務を負っています。そのため、借主が火元の場合は、建物の原状回復義務を果たす必要があるのです。
つまり、入居者の失火によって建物が半焼や全焼した場合は、入居者にはそれらを修繕する義務が生じ、原状回復できない場合は損害賠償責任が発生するということです。
このような最悪の事態を避けるために、火災保険(借家人賠償責任保険)への加入は重要となります。
火災保険の主な3つの種類

火災保険には種類があるため、いざ加入しようと思っても、どれを選べばよいか迷ってしまう場合もあるでしょう。
ここでは、火災保険の種類を3つに分けて解説します。なお、3つの保険は組み合わせることが可能です。
家財保険
家財保険とは、保険の対象が家財となる火災保険をいいます。家財が火災で焼失してしまった場合、また新たに買い直す必要があります。
家財には、テレビや冷蔵庫、洋服や時計なども含むので、実際に計算をしてみると、思った以上に金額が大きくなる可能性が高いでしょう。
そのため、家財の保険金額は時価ではなく、新しく買い直すために必要な金額(再調達価額)で契約することが一般的です。
借家人賠償責任保険
借家人賠償責任保険とは、保険の対象が建物となる火災保険です。つまり、建物の持ち主である大家さんへの賠償責任を補償する保険となります。
たとえば、入居者が家の中で火災を起こしてしまったケースにおいて、大家さんからリフォーム費用を請求された際の補償に充てることができます。
入居者の過失によって高額なリフォーム費用が発生した場合、大家さんは借主から費用を回収することができるため、借家人賠償責任保険が付帯された火災保険に加入することが、賃貸借契約を結ぶ条件とされているケースが多いです。
個人賠償責任保険
個人賠償責任保険は、万が一の大きな過失ではなく、日常生活における部分での賠償責任を補償する保険です。
たとえば、洗濯機のホースが外れて部屋を水浸しにしてしまった、お風呂の排水口を詰まらせてしまったなど、日常で起こりうるトラブルや事故に対応します。
また、個人賠償責任保険の適用範囲は自宅での事故だけではなく、日常に起因する事故全般が対象となります。
自転車で通行人をはねてしまった場合や買い物中に商品を壊してしまった場合など、補償の範囲が広いのが特徴です。
なお、個人賠償責任保険は単独での契約はできず、「特約」の取扱いとなります。火災保険や自動車保険などの特約で加入するケースが多いです。
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賃貸一戸建て物件の一般的な火災保険料の目安

火災保険に加入した場合、保険料の支払いはどのくらいになるのでしょうか。一般的な保険料について見ていきましょう。
火災保険料の相場は1万~2万円
賃貸一戸建て物件における一般的な火災保険料の相場は、2年間の保険期間で1万~2万円程度です。
ただし、家族構成や世帯主の年齢、建物の構造や広さ、特約などによって適切な保険料は異なります。また、契約年数は物件の更新時期に合わせて、2年契約となることが多いようです。
賃貸物件の場合は、不動産会社が指定する火災保険を勧められるケースが多いですが、そのまま契約するのではなく、補償内容が十分であるかをきちんと確認することが大切です。
もしも指定された火災保険の補償内容が不十分だと感じたときは、その旨を伝え、適した火災保険を自分で選択しましょう。
賃貸物件で火災保険に加入するときの注意点

賃貸物件で火災保険に加入する際、気をつけておきたい点がいくつかあります。主なものを2つ紹介します。
引越しの際の重複加入に注意する
賃貸住宅から引越す際に起きてしまいがちなこととして、火災保険の重複加入が挙げられます。以前住んでいた物件の火災保険を解約しないまま、転居先で新たに火災保険に加入してしまうのです。
火災保険の契約期間は主に1~5年の間で設定されます。仮に賃貸借契約が2年間で、2年以内に引越しをした場合、以前の火災保険を解約しなければ、引越した後でも契約は継続されています。
不要な保険料を支払っていることになるため、引越しの際は、それまでの火災保険の解約を忘れずに行いましょう。
地震が原因の火災は火災保険の補償外
火災保険では、地震が原因の事故はすべて対象外となっています。地震は不可抗力として判断されるため、賠償責任がそもそも生じないというのが理由です。
そのため、地震を原因とした火災や津波などの損害に備える地震保険に加入しておくことも大切です。加入の際、地震保険は単体での加入ができないため、基本的には火災保険の特約という形でセット加入することとなります。
地震保険の補償対象となるのは、家具家電などの生活用品であり、30万円を超える貴金属や宝石、絵画や骨董品などは対象外となるので覚えておきましょう。
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記事のおさらい
火災保険への加入は義務なの?
義務ではなく任意ではありますが、賃貸借契約を結ぶ際に一緒に加入する方が無難です。不動産会社からの紹介で火災保険に入る場合は、よく補償内容を確認しましょう。
何のために火災保険に加入するの?
賃貸物件で火災保険に加入する主な理由は、隣家からの火災に対する家財の補償と、自身の失火によって発生した建物の原状回復義務に備えるためです。特に、原状回復義務で生じる損害賠償請求を保険で補償できる点にメリットがあります。
火災保険料の相場はいくら?
一般的な火災保険料の相場は、2年間の保険期間で1万~2万円程度です。ただし、世帯主の年齢や家族構成、建物の構造や広さ、特約などによって差があります。
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