賃貸物件を選ぶときには、さまざまな条件を設定する必要があるため、何から決めればいいか迷ってしまう場面も少なくありません。しかし、条件を順にひとつずつ明確にしていけば、スムーズに物件候補を見つけられます。
今回は物件探しで陥りがちな失敗例を踏まえながら、条件設定のコツを見ていきましょう。
賃貸物件を探す
物件探しで陥りがちな失敗例

まずは物件探しにおいて陥りがちな失敗例を「家賃・費用」「立地選び」「間取り・設備」の3点から紹介します。
うまくいかない例と原因を基に、部屋選びで押さえるべき注意点を確認しましょう。
家賃・費用に関するポイント
家賃や費用に関する失敗例には以下のようなケースがあります。
失敗例
- 条件にこだわるあまり、家賃負担が大きくなってしまった
- 貯金する余裕がなく、急な出費に対応できない
- 後から安い物件に移りたくても引越し資金をつくるのが難しい
- 月々の家賃には注目していたが、初期費用が思いのほか高くついてしまった
最初に細かな条件を決めてしまうと、後から緩めるのは難しいため、どうしても家賃が高くなりがちです。
家賃は毎月発生するものなので、生活にゆとりがなくなり、病気や事故、冠婚葬祭などの急な出費に対応できないなどのトラブルにつながることもあります。
そのため、部屋探しにおいては、まず現実的に無理なく捻出できる家賃の範囲から決めることが大切です。
また、賃貸物件に入居するためには「家賃の4~6ヶ月分」程度の初期費用が必要となるので、忘れずにどのくらいかかるのか把握しておくようにしましょう。
立地選びに関するポイント
立地選びに関する失敗例としては、以下のようなものが挙げられます。
失敗例
- 駅からの距離を妥協したために通勤・通学の負担が思っていたよりも大きかった
- 最寄り駅までの距離は遠くないものの、途中に急な坂道や踏切があった
- 最寄り駅の始発や終電の時間を見落としていた
- 近隣に商業施設がなく、買い物に不便だった
- 利便性の高い立地を選んだところ、車通りが多く騒音が気になった
物件の立地については、まず最寄り駅との関係性を細かくチェックすることが大切です。
駅からの距離はもちろん、実際のルートにも目を向けておかなければ、途中の踏切や信号などで予想外に時間がかかってしまうケースもあります。また、最寄り駅自体の利便性や周辺環境の充実度も重要です。
間取り・設備に関するポイント
間取りや設備については、特に初めて一人暮らしをする場合に失敗してしまうケースが多いようです。
失敗例
- ワンルームで自炊をすると料理のニオイが部屋にこもってしまう
- 部屋の広さに気をとられて、収納スペースの少なさを見落としていた
- ロフトにこだわったが、住んでみるとあまり活用できなかった
- 水回りの設備は妥協せずに検討すべきだった
間取りについては、実際に生活したときのイメージを持つのが難しく、入居してから不便だと感じられてしまうケースも少なくありません。
また、収納スペースの数や広さは見落としがちなポイントなので、あらかじめ必要な広さを決めておくことが大切です。
設備に関しては「必要以上にこだわっていた」ケースと「もっとこだわるべきだった」というケースのどちらも見られます。
慣れないうちは難しいかもしれませんが、自分の生活パターンをよく考えながら、条件の優先順位を明確にすることが大切です。
ポイント1:適切な家賃設定を行おう

失敗例のところでも紹介したように、部屋探しにおいてはまず、無理なく支払っていける家賃の上限を明確にすることが大切です。
ここでは、家賃設定を行うときのコツや注意点について見ていきましょう。
家賃設定を行うときの目安
一般的に、無理のない家賃設定は「手取りの3分の1以下」が目安とされています。手取りとは給与から社会保険料や税金などを差し引いたお金のことであり、額面収入のおよそ「75~85%」程度にあたります。
しかし、実際には手取りの額によって、3分の1では家計が苦しくなってしまうケースもあります。反対に、都心部などの家賃相場が高いエリアでは、3分の1以下に設定してしまうと、物件の候補が極端に少なくなってしまうこともあります。
そのため、あくまでも目安の基準としてとらえ、手取りと毎月の固定費・生活費とのバランスを考慮することが大切です。
家賃を考えるときのコツと注意点
賃貸物件の家賃の目安は、住みたいエリアによって大きく異なります。そのため、LIFULL HOME’Sの「家賃相場」で住みたいエリアを検索して、具体的な相場を調べてチェックしておくといいでしょう。

また、「家賃相場」では、駅からの距離や部屋の広さ、築年数といった各種の条件を設定することで、より詳細なデータを検索することもできます。住みたい地域の家賃基準を知りたい場合には、ぜひ活用してみてください。
なお、家賃を考えるときには「管理費・共益費」「駐車場代(車を所有している場合)」なども含めて計算に入れることが大切です。
これらの費用も毎月発生するコストなので、あらかじめ家賃に上乗せしておいたほうが現実的な数字を計算しやすくなります。
賃貸物件を探すポイント2:立地は周辺環境も意識しながら選ぼう

立地選びについては、いくつか目を向けるべき項目があるので、ひとつずつポイントを押さえておきましょう。ここでは、立地と周辺環境の2点から具体的な項目を紹介します。
立地選びで意識すべきポイント
立地選びで意識すべきポイントには、主に以下のような項目が挙げられます。
ポイント
- 駅からの距離(徒歩所要時間)
- 最寄り駅の利便性(乗り入れ路線、急行・快速などの停車の有無)
- 駅からの帰宅ルート、街灯の数
- 治安
- 人通り、車通り
駅からの距離については徒歩所要時間で示されます。一般的に駅から近ければ近いほど家賃も高くなるので、希望の条件を明確にするとともに、何分までなら許容できるのかなどの条件を設定しておきましょう。
また、最寄り駅自体が便利かどうか、勤務先や学校までのルートを含めて検討することも重要になります。電車での所要時間や混雑具合などにも目を向けておきましょう。
交通利便性以外のポイントとしては、駅からの帰宅ルートや街灯の数、治安などが挙げられます。特に女性の一人暮らしの場合は、夜の時間帯の様子も事前に確かめておけると安心です。
周辺環境について意識すべきポイント
周辺環境については、以下のようなポイントを意識しておくといいでしょう。
ポイント
- 商業施設までの距離
- 公共機関、金融機関、病院までの距離
- 騒音、排気ガスの影響
買い物といった生活に関する利便性をチェックするとともに、騒音などの問題にも目を向けておくことが大切です。
特に、線路沿いや幹線道路沿いは便利な立地も多い半面、振動や騒音が気になってしまうこともあるので、地図を見たり、内見時に細かくチェックしたりするようにしましょう。
ポイント3:間取りは居住人数と使い勝手から選ぼう

間取りについては、広さと間取りタイプの2点から考えることが大切です。
居住人数に適した広さを把握する
同じ間取りタイプであっても、つくりによって広さは異なるため、まずは居住人数に合った専有面積から選んでみましょう。
国土交通省「住生活基本計画における居住面積水準」では、一人暮らしに最低限必要な広さは「25平米」、ゆとりのある生活を送るのに必要な広さは都市部で「40平米」、郊外で「55平米」とされています。
ただ、単身者用の物件には25平米以下のものも数多くあり、「荷物の量が少ない」「広さよりも家賃の安さを優先したい」といった場合には有力な候補にもなります。
ライフスタイルに合わせて、どのくらいの広さが必要なのか、実際の生活をイメージしながら検討しましょう。
一人暮らしに適した間取りタイプ
一人暮らしに適した間取りタイプとしては、一般的に「ワンルーム」「1K」の2種類が挙げられます。
両者の違いは「キッチンと部屋が仕切られているかどうか」であり、同じ専有面積であれば、キッチンが仕切られている1Kのほうが家賃は高くなる傾向があります。
また、それより広い間取りタイプとしては、キッチンにダイニングがついた「1DK」、リビングダイニングがついた「1LDK」があります。
1LDKになると家賃は高くなるものの、専有面積が40平米を超えるものも多いため「友人や仲間を招く機会が多い」「広い部屋でゆったり生活したい」といった人におすすめです。
賃貸物件を探すポイント4:こだわり条件は優先順位を決めておこう

こだわり条件にはさまざまな種類があり、すべての理想を叶えようとすると、家賃内ではなかなか見つからないこともあります。
そのため、どのような条件があるのかを把握したうえで、自分なりに優先順位を決めるのが部屋探しを成功させるポイントです。
LIFULL HOME’S「条件・設備ランキング2020」
まずはどのようなこだわり条件があるのか、LIFULL HOME’Sに2020年に掲載された賃貸物件(賃貸アパート・賃貸マンション)のうち、さまざまな検索条件から算出した“実際に探されている条件”のランキング結果を通して確認しましょう。
順位 | 条件 |
|---|---|
1 | バス・トイレ別 |
2 | 2階以上 |
3 | 駐車場あり |
4 | エアコン |
5 | ペット相談可 |
6 | 室内洗濯機置き場 |
7 | 礼金なし |
8 | 洗面所独立 |
9 | 敷金なし |
10 | 二人入居可 |
11 | オートロック |
12 | デザイナーズ |
13 | コンロ二口以上 |
14 | 都市ガス |
15 | TVモニター付インターホン |
16 | 温水洗浄便座 |
17 | 追い焚き機能 |
18 | インターネット使用料無料 |
19 | タワーマンション |
20 | 家具・家電付き |
21 | 南向き |
22 | 浴室乾燥機 |
23 | 駐輪場あり |
24 | 角部屋 |
25 | リフォーム・リノベーション済 |
26 | 宅配ボックス |
27 | 保証人不要 |
28 | フローリング |
29 | メゾネット |
30 | エレベーター |
ランクインした条件のなかで、何を優先すべきかは個人のライフスタイルによって大きく差が生まれる部分です。人気条件を参考にしながら、自分なりの優先順位を組み立てていきましょう。
条件を設定するときのコツ
まずは、物件の条件をリストアップしたうえで、優先したい度合いに応じて「絶対に必要」「あれば便利」「なくても構わない」といった3段階に分けてメモをとっておくのがコツです。そこから、条件のランク付けを行い、取捨選択をしましょう。
また、条件によっては「一定の範囲内で妥協点を設ける」ことも大切です。
たとえば、駐車場ありにこだわりたい場合、「近隣の駐車場を利用できないか」「駐車場まで徒歩何分の距離なら許容できるか」といった選択肢に目を向けておくのもひとつの方法といえます。
このようにある程度の幅を持たせておくと、実際に物件を探すときに融通が利きやすく、スムーズに部屋を絞り込むことが可能です。
まとめ

- 物件選びの失敗例を知っておくと、条件を決めるときに参考にしやすい
- 家賃は実際の生活費や固定費を基に決めることが大切
- 立地は交通利便性だけでなく周辺環境にも目を向けておく
- 間取りは居住人数に合った広さをチェックしたうえで、ライフスタイルに応じて最適なタイプを選ぶ
- こだわり条件は各項目の優先度を書き出してからランク付けしていくとスムーズ
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