一人暮らしの物件探しにおいて、セキュリティに関する条件は特に意識して選びたいポイントのひとつです。
防犯性については、オートロックなどの設備とともに、部屋の階数が重要な条件として考えられることも少なくありません。安心して生活するために、できれば1階は避けたいという人もいます。
今回は賃貸物件の「2階」に焦点を当てて、実際の防犯性やメリット・デメリットについて紹介していきます。
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一人暮らしをするなら2階は安全?

賃貸物件においては、1階に住むよりも2階のほうが安全だと考えられるのが一般的です。ここではまず、2階の防犯性について具体的に見ていきましょう。
2階でも油断は禁物
2階は1階よりも侵入が難しく、防犯性が高いといったイメージがあります。しかし、はしごや脚立、ロープなどを使えば決して侵入不可能な高さではありません。
特に、足場になるような物置や塀、樹木があったり、手足をかけてよじ登れたりするようなマンションやアパートは注意が必要となります。
室外機や換気扇のフード、配管などを足場にすることで比較的簡単に侵入できてしまうため、2階だからといって安心していいわけではないのです。
建物別に見る侵入窃盗のデータ
警視庁は2019年に東京都内で発生した侵入窃盗の状況について、場所別に具体的な割合を公表しています。
それによれば、住宅への侵入窃盗の割合は57.8%となっており、そのうち一戸建ての住宅は34.5%、3階建て以下の住宅で15.5%、4階建て以上の住宅で7.8%といったデータが出ています。
また、侵入されてしまった原因についてもデータが公表されており、どの建物の区分においても、無施錠が9割近くを占めているのです。この結果から分かることは、「マンションなどの共同住宅でも侵入リスクがある」という点と、「戸締まりの油断が主な原因」という事実です。
つまり、建物の階数だけではなく、日頃のちょっとした心がけが犯罪を未然に防ぐ重要なポイントだと考えられます。
2階に住むことのメリット

アパートなどの集合住宅は2階建てのところも多く、空き部屋が複数ある場合は1階と2階のうちどちらかから選択することとなります。
ここでは、2階に住むメリットについて見ていきましょう。
防犯性
必ずしも安全とは言い切れないものの、1階に比べるとやはり防犯性は高くなります。そのもっとも大きな理由は、侵入するまでに時間がかかるためです。
空き巣などの侵入者は、周りから発見されてしまうことを恐れるため、1階と比べて時間がかかる2階の部屋は避けやすいといえます。
快適さ
2階に住むもうひとつのメリットは、より快適な環境に恵まれやすいといった点にあります。立地にもよるものの、1階と比べて風通しや日当たりが良く、換気や洗濯がしやすいのです。
また、不快な害虫の侵入リスクが軽減される点も、1階と比較して大きなメリットだといえます。
2階以上の物件 セキュリティ・防犯対策が充実した物件 一人暮らしにぴったりな物件2階に住むときに気をつけたいデメリット

騒音の問題
2階に住むうえで気をつけたいのは、階下の入居者との騒音トラブルです。気をつけているつもりでも、足音やものを引きずる音が階下に響いてしまう可能性があるため、下の階に対する配慮が必要だといえます。
具体的な方法としては、フローリングの上にカーペットを敷く、椅子の脚にカバーをつけるといったものがあげられます。
家賃の問題
2階は1階よりも人気が集まりやすいため、同じ物件であっても家賃が高い傾向にあります。そのため、2階以上にこだわり過ぎると、その他の条件に適した物件を見つけられない可能性もあるのです。
移動や搬入の問題
家具や大きなものの搬入においては、1階よりも不便だと感じられる面があります。
特に、エレベーターがない場合は、大量の買い物をしたり重い荷物を運び出したりする際に苦労をしてしまうこともあるのです。
一人暮らしで意識しておきたい物件選び

防犯性について考えるうえでは、建物の階数だけではなく、物件のつくりや立地にも目を向けておくことが重要です。
一人暮らしの物件選びにおいて、特に意識すべきポイントを紹介します。
セキュリティ設備に目を向ける
オートロックやカメラ付きインターホンは、建物の防犯性を高める主要な設備です。ただ、セキュリティ設備の整った物件は、それだけ家賃も高額になりやすいため、ほかの防犯対策を考えておくことも大切となります。
また、セキュリティ設備はあくまでも防犯性を高めるひとつの方法にすぎず、安易に過信していいものではありません。
オートロックであっても、不審者がほかの入居者や宅配便の配達員と一緒に建物に侵入してしまうリスクはあるため、部屋自体の戸締まりを怠らないことが基本です。
立地や建物のつくりを意識する
一人暮らしをするのであれば、物件の立地を意識しておくことも大切です。駅から部屋までの距離が遠い、街灯や人通りの少ない道を通らなければならないなど、立地の段階で防犯上のリスクが高まってしまう面もあります。
そのため、内見の段階で、部屋の内部だけでなく周辺環境にも目を向けておくことが肝心です。可能であれば、物件付近の夜の状態も調べ、街灯や見通しの良さ、人通りの多い環境であるかどうかなど確かめておきましょう。
また、建物自体のつくりにも、防犯性に関わるポイントがいくつかあります。たとえば、入り口付近に死角があったり、窓に面した道路の人通りが極端に少なかったりする場合には注意が必要です。
2階以上の物件 セキュリティ・防犯対策が充実した物件 一人暮らしにぴったりな物件防犯性を高めるためのコツ

安心できる生活環境を整えるためには、物件選びとともに、日頃の防犯に対する心がけも重要となります。日常生活で気をつけておくべきポイントを押さえておきましょう。
日常生活でできる防犯対策
基本的な防犯対策としては、訪問者の対応に関するポイントがあげられます。
相手を確かめるまでドアを開けないことを心がけ、インターホンやドア越し、ドアチェーンをかけた状態で対応するなど、慎重な振る舞いを意識することが大切です。
また、特に女性の一人暮らしの場合は、洗濯物を室内に干すことも重要なポイントとなります。外から見たときに、女性の一人暮らしであることがすぐに分かってしまうと、狙われるリスクも高まるのです。
やむを得ず外に干す場合は、女性の一人暮らしだと知られないように、男性用の下着も一緒に干すといったカムフラージュを行いましょう。
さらに、空き巣などに侵入されるリスクを軽減させるためには、留守中であることを悟られないような工夫も大切です。新聞受けに新聞やチラシをためたり、何日も電気がつかない状態を続けたりすれば、狙われる確率も高まってしまうのです。
設備に関する防犯対策
警視庁のホームページでは、空き巣への対策として、さまざまな防犯設備が紹介されています。
賃貸物件の場合は、それほど大がかりなものは取り入れられないものの、「ドアに補助錠をつける」「窓に窓用補助錠やアラーム、防犯フィルムをつける」といった方法は手軽であり、効果的です。
費用に余裕のある方は、取り付け工事不要のセンサーライトを設置したり、防犯カメラで犯罪抑止力を高め、証拠映像を残したりするのもいいでしょう。
身近な防犯対策としては、窓の外から部屋の様子を確認されることを阻止するために、カーテンをつけて中が見えないようにするのもおすすめです。
賃貸物件の2階は安心感が比較的強いものの防犯対策は重要
- 2階だから安全というわけではなく、基本的な戸締まりが重要
- 1階と比べれば2階のほうが防犯上の安心感が強く、住まいの快適性も期待できる
- 1階以上に騒音への配慮が必要、家賃が高いといったデメリットもある
- 建物自体のセキュリティ設備や立地、つくりにも目を向けておく
- 来訪者への対応や洗濯物の干し方など、日常生活でできる防犯対策も意識する
更新日: / 公開日:2020.11.27










