アパートやマンションといった集合住宅では、一戸当たりの広さを「専有面積」と呼びます。

インターネットで調べられる物件情報には、その部屋の専有面積が平米数で表示されるので、間取り図と合わせておおまかな広さを確認することができます。

しかし、普段の生活ではあまり平米数を使う機会はないので、数字で示されても広さがイメージできないといった人も多いのではないでしょうか。

今回は「20平米」をテーマに、「どのくらいの広さなのか」「快適に一人暮らしができるのか」などのポイントを解説します。

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部屋の広さ

 

平米とは「1m×1m」の広さを表す単位です。たとえば、20平米の部屋が正方形であれば、「縦横約4.47m」が目安となります。

 

なお、不動産公正取引協議会のルールによると、不動産広告を表示するときには「1畳=1.62平米以上」とされているので、20平米は「12」の広さと換算することもできます。

 

ただし、実際の畳のサイズは地域によっても異なり、江戸間や京間といった畳の種類によって、多少広さが異なる点には注意が必要です。

一人暮らし

 

20平米は実際に生活してみると、どのくらいの広さに感じられるのでしょうか。ここでは、一人暮らしをするのに必要とされる広さと比べながら見ていきましょう。

 

国土交通省の「住生活基本計画における居住面積水準」によると、一人暮らしに最低限必要な広さは25平米とされています。そのため、20平米だと基準と比べるとやや狭いです。

 

ただ、住宅が密集しやすい都心部などでは、さらに狭い一人暮らし向けの物件も数多くあります。

 

なお、原則として専有面積にロフトは含まれないため、一口に専有面積20平米といっても、通常より広く使える物件を見つけることは可能です。

 

また、同じ20平米であったとしても、ワンルームと1Kでは部屋のつくりにちょっとした違いがあるので注意が必要です。

 

ワンルームとは、玄関から廊下、キッチン、居室までが一つの空間にまとめられたつくりで、1Kはキッチンと居室の間にドアなどの仕切りがある間取りタイプです。

 

1Kはキッチンのニオイや水回りの音が居室まで届きにくいのがメリットであり、生活スペースの独立性を保てる間取りです。

 

一方、ワンルームは部屋に余計な仕切りがない分、実際の面積よりも広く見えるのが特徴です。そのため、20平米の部屋を少しでも広く使いたいのであれば、開放感のあるワンルームの方が適しているといえます。

 

1Kの物件 広めのワンルーム物件

一人暮らし

 

20平米はビジネスホテルのシングルルームよりは少し広いイメージです。広さが控えめな分、家賃は安く抑えられるのに加えて、掃除が楽だったり、冷暖房の効率がよかったりとメリットも多いといえます。

 

一方、より広い部屋と比べると収納力が低く、大きめの家具を置くと圧迫感が生まれてしまいます。そのため、20平米に向いているのは以下のようなタイプの人といえるでしょう。

20平米の物件に向いている人

  • 家賃を抑えたい人
  • 広さより立地条件を優先したい人
  • 部屋で過ごす時間が短い人
  • 大きな家具や家電を使用する予定がない人
  • あまり荷物が多くない人

家賃相場を比較する

 

おおまかにまとめると、物件に必要な面積の目安としては「一人暮らしに最低限必要な広さがほしい人は25平米」「より家賃を抑えたい人は20平米」と分けることができます。

 

そこで、今回はLIFULL HOME’Sの「家賃相場」を使って、実際に両者の家賃相場を比較してみましょう。

 

なお、今回は東京23区内にある物件を対象に、「15~20平米」「20~25平米」の家賃相場をリサーチしました。結果は次のとおりです。

エリア

15~20平米

20~25 平米

都心

千代田区

8.36万円

10.57万円

中央区

7.99万円

10.01万円

港区

8.91万円

11.19万円

新宿区

7.60万円

9.40万円

渋谷区

7.76万円

10.01万円

文京区

7.32万円

8.91万円

区東

足立区

5.73万円

6.58万円

江戸川区

5.72万円

6.57万円

江東区

7.65万円

8.97万円

荒川区

6.16万円

7.31万円

葛飾区

5.81万円

6.58万円

台東区

7.83万円

9.32万円

墨田区

7.28万円

8.53万円

区南

品川区

6.88万円

8.45万円

目黒区

7.80万円

9.46万円

大田区

6.36万円

7.60万円

世田谷区

6.85万円

8.18万円

区西

中野区

6.43万円

7.68万円

杉並区

6.19万円

7.35万円

練馬区

5.81万円

6.80万円

区北部

豊島区

6.80万円

8.17万円

北区

6.28万円

7.43万円

板橋区

6.03万円

7.05万円

※ 2022年9月時点、LIFULL HOME’S「家賃相場」で駅徒歩10分以内にある物件の平均賃料を軸に算出

 

地域や間取りによっても異なるものの、多くのエリアで20平米以下の物件は、25平米以下のものと比べて1万円近く安くなることが分かります。

 

特に、もともとの家賃相場が高い都心部では、両者の間に2万円以上の差が生まれるケースもあります。

 

この結果からも明らかなように、広さは家賃を大きく左右する要素のひとつなので、家賃を抑えたい人は20平米以下の物件を中心に探してみるといいでしょう。

 

家賃・賃料6万円以下の快適物件 一人暮らしにぴったりな物件

20平米で快適に暮らすためのレイアウトや工夫

 

20平米は確かに基準より狭いですが、工夫次第では十分快適に暮らせる広さではあります。

 

ここでは、20平米の広さを持つ実際の間取り例とともに、レイアウトや家具セレクトのコツを紹介します。

 

20平米の間取りについて、ここでは4つのパターンを見ていきましょう。

間取り図

一般的な賃貸物件に多い、ワンルームの間取りタイプです。バスとトイレが一体型になっており、水回りや廊下の面積をできるだけ削減することで、居室スペースは約8畳と比較的広く確保できています。

 

ただし、上図の間取りのように、収納スペースが洗濯機置き場と一緒になっているなど、それほど大きな収納力はないため、荷物が多い人は別途で収納用家具を用意する必要があるでしょう。

間取り図

20平米の物件には1Kタイプの間取りも多いです。キッチンと居室がはっきりと分かれているので、自炊をする人に適した間取りといえます。

 

また、この物件では居室の広さを約6畳に抑えている代わりに、バスとトイレが別で確保されている点や、広めのクローゼットが設置されている点が魅力です。

間取り図

同じ20平米でも、こちらは部屋の形状が縦に細く伸びているのが特徴です。ワンルームながら、キッチンにはカウンターが付属しており、調理空間と居住空間がやんわりと分けられているのが特徴です。

 

ただ、縦長の物件は、幅広のベッドを置くと動線が遮られてしまう可能性があるので、部屋の広さと置きたい家具の採寸を、内見時にしっかりと行いましょう。

間取り図

先ほども少し触れましたが、ロフトは専有面積に含まれないため、同じ20平米の物件でも実際に使える面積が広くなるのが特徴です。

 

この物件の場合、約2畳のキッチンと約6畳の洋室、収納に加えて約5畳分の広さを持ったロフトが付いているので、実際には広く室内を活用できます。

 

ただし、ロフトの高さは1.4m以内と決められているので、通常の居室のように立って歩くことはできません。そのため、日常生活で使うというよりは、収納スペースや就寝スペースとして活用されるケースが多いです。

 

また、ロフトの使い勝手はハシゴの上りやすさにも左右されるので、内見のタイミングでは実際に上り下りしてみて、使いやすさをチェックしましょう。

 

20平米の部屋を快適に使うためには、以下のようなポイントを押さえておくといいでしょう。

ポイント

  • 大きめのサイズの家具・家電は避ける
  • 収納付きの家具を活用する
  • 家具・家電は壁に寄せ、部屋の中心は空けておく
  • 背の低い家具でそろえて開放感を持たせる
  • 家具やカーテンを明るい色に統一する

狭い部屋ではあまり大きな家具・家電を置かず、最低限必要なものだけでまとめるのが基本的な考え方です。

 

また、家具やカーテンのカラーリングはなるべく統一感を持たせ、白やパステルカラーなどの明るい色合いを意識すると部屋が広く見えるようになります。

一人暮らし

 

  • 20平米は約12畳
  • 一人暮らしに最低限必要な面積水準(25平米)と比べるとやや狭い
  • 都心部などでは20平米以下の物件も多く、決して快適に暮らせない広さではない
  • 20平米と25平米では家賃に数万円程度の差が出ることもある
  • 20平米の物件を借りるなら、狭い部屋を上手に使うコツを押さえておこう

 

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更新日: / 公開日:2020.05.13