賃貸物件を探す際には、多くの方が不動産会社を利用します。しかし、不動産会社の種類についてまで把握している方はそう多くないかもしれません。
生活するうえで欠かすことのできない住まい探しを安心して行うためには、まず不動産会社についてよく理解することをおすすめします。
そこで今回は、不動産の取引態様(とりひきたいよう)について紹介するとともに、不動産会社の種類や業務について解説していきます。
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不動産の取引態様とは?
“不動産の表示に関する公正競争規約(※1)”によると、不動産取引に関する広告を行うためには、その取引態様を明示しなければいけないと定められています。
取引態様には「売主、貸主、代理、仲介」の4つがあり、それぞれがまったく異なるものです。この取引態様は賃貸借契約などの際に法律的な部分で借主にも影響するため、しっかりと違いについて把握しておきましょう。
不動産取引の態様を知っておくと、余計なトラブルを避けることができ、仲介手数料などの節約にも繋がります。本記事では、賃貸物件を探している方に向けて、「貸主」、「代理」、「仲介」という3つの態様に絞って解説します。
※1 出典:「不動産の表示に関する公正競争規約及び施行規則」(全国公正取引協議会連合会)
貸主
貸主は物件の所有者が直接賃貸する取引態様です。不動産会社が所有する物件を借りる場合は不動産会社が貸主になりますし、大家さんから直接借りる場合は大家さんが貸主となります。
貸主から直接契約する場合、仲介手数料は不要ですが、宅地建物取引業法の適用外となることが多く、重要事項の説明が義務付けられていません。そのため、家賃の内訳や光熱費、契約期間、更新料の有無、原状回復費用など、契約内容を細かく確認する必要があります。これを怠ると、後でトラブルになることや予期せぬ費用が発生する可能性があります。
代理
代理とは、貸主の代わりに物件の募集や契約手続きを行う態様です。代理を行う場合、仲介手数料が発生し、通常は貸主がこれを負担します。代理は宅地建物取引業法に基づいて行われ、宅地建物取引士が契約内容について重要事項の説明を行う義務があります。これにより、契約を進める際に内容を確認しやすくなります。
仲介(宅建業法上は“媒介”)
仲介は、宅地建物取引業者が貸主と借主の間に入って、入居者の募集から契約締結までをサポートする態様です。代理とは異なり、仲介の場合は双方の間に立って調整役を果たします。この場合も仲介手数料が発生し、一般には借主が負担します。
仲介は直接的な法律行為ではありませんが、その方法や内容は宅地建物取引業法によって厳しく規制されており、報酬の上限も定められています。
代理と仲介では報酬の受け取り方が異なりますが、どちらも住宅の借賃1ヶ月分+消費税を上限にしています。仲介も代理と同様に宅地建物取引業法に基づいて行われるため、重要事項の説明が義務付けられています。
不動産会社の種類について

不動産の取引態様について説明してきましたが、不動産会社にも種類があることはご存じでしょうか。
不動産会社は大きく分けて4種類あります。
ポイント
- 不動産開発会社(デベロッパー)
- 不動産販売代理会社
- 不動産仲介会社
- 不動産管理会社
自分の目的にあった不動産会社を探すためにもまずは、それぞれの違いについて把握しておきましょう。
不動産開発会社(デベロッパー)
不動産開発会社は主に“街づくり”を行う不動産会社です。一般的にデベロッパーとも呼ばれ、事業用地の取得から街の企画・開発を行います。不動産開発会社は街づくりに適した土地を探すことから始まり、適した土地を見つけたあとに当該土地所有者と交渉を行います。
不動産販売代理会社
不動産販売代理会社はその名のとおり、不動産の売買を代理で行う不動産会社であり、物件を売るための広告宣伝や契約まで行います。
売主から依頼を受けて広告宣伝や契約を代理するケースもあれば、デベロッパーが販売代理会社を兼ねて自社で建築した物件を販売するケースもあります。代理を依頼したのは売主であるため、手数料は売主が代理会社に支払うことになっており、買主に仲介手数料が請求されることはありません。もし、賃貸ではなく物件の購入を検討している方がいれば、不動産販売代理会社に依頼しましょう。
不動産仲介会社
不動産仲介会社は不動産会社の中で最も多く、普段生活をしているとよく見かける不動産会社です。物件を所有する大家さんと当該物件の入居希望者とを仲介し、契約の締結までその業務を遂行する会社です。
貸主や売主から依頼を受け、入居者の募集や契約などを行う会社であるため、入居後のことには関与しません。賃貸物件に住む方は、不動産仲介会社を通して賃貸借契約を交わします。稀に大家さんと入居希望者が直接契約をすることもありますが、近隣に大家さんがいなければ仲介会社を通すのが一般的です。
不動産管理会社
不動産管理会社は貸主に代わって物件の管理を行います。管理会社の主な業務は建物の維持管理や集金管理、入居者トラブル対応などです。物件によっては管理会社を入れていないこともあるため、そういった際には貸主がそれらの業務を行います。
賃貸物件を探す取引態様を確認し、目的に合った不動産会社選びを

それぞれの種類によって複雑な内容も多くありますが、取引態様や不動産会社の種類を把握しておくと不動産選びがスムーズに行えます。今回紹介した内容をもとに、取引態様に注意し、目的に合った不動産会社を選びましょう。
その際、後々発生するかもしれないトラブルへの対策も念頭に置き、費用のみ考えて選ぶことは避けるようにしましょう。
賃貸物件を探す更新日: / 公開日:2019.09.11










