転勤の内示や辞令が出たら、1ヶ月または数週間程度で引越しをしなくてはなりません。短期間にスムーズに引越しを行うためには、どんな準備が必要でしょうか。
今回は、転勤時の引越しにおける段取りのポイントや費用について、わかりやすく解説していきます。
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転勤が決まったら、単身赴任か家族で引越すか
転勤の辞令が下りて最初に選択を迫られるのは、「単身赴任するか」それとも「家族で引越すか」ということです。
単身赴任の場合、家族が離れて暮らす精神的な不安に加え、生活費が二重になるため経済的負担が増えることが考えられます。単身赴任手当、帰省手当、家賃手当など、単身赴任に伴う手当があるかどうか、会社によく確認することが大事です。
家族で引越しをする場合は、子どもの転校が必要になったり、共働き夫婦の場合はパートナーの仕事にも影響を与えたりと、家族にも大きな変化が生じます。引越し先の新生活に馴染むまでに家族全員がストレスを抱える可能性もあるでしょう。
どちらも一長一短です。時間がない中での選択は難しさがありますが、家族でしっかり話し合い、その家族ごとによりよい結論を導き出しましょう。
転勤の引越し準備でやるべきこと

引越しを伴う転勤は、短期間でやるべきことがたくさんあります。ここでは、転勤が決まった後に最低限やるべきことをまとめました。できることからどんどん着手していきましょう。
新居と引越し方法を決めよう
部屋探し
単身赴任でも家族帯同でも、まず行いたいのは部屋探しです。不動産情報ポータルサイトで希望の条件を設定し、物件を絞っていきましょう。
部屋探しの時間がとれない場合は、インターネットで現地の不動産会社を調べ、希望を伝えて探してもらう方法もあります。
希望の部屋が見つかったら内見日を予約し、内見後はできるだけ早く賃貸借契約を結び、部屋を確保しましょう。
新居決定から引越しまで
新居が決まったら、次は荷物の運び方を決めます。これは単身赴任と家族帯同とでやり方が異なりますが、いずれの場合も引越し2週間前までに決めておくとスムーズです。
まず単身赴任の場合、家具家電や寝具などを現地で調達できるのであれば自宅から運ぶものはそれほど多くないので、荷物は宅配便で送るか、自家用車で運ぶのがおすすめです。現地調達が難しい場合は、必要なものをあらかじめ購入し、引越し会社を利用するのが便利でしょう。
家族帯同の場合は、荷物はそれなりの量になるため、引越し会社を利用するのがベターです。同時に不用品や粗大ゴミの処分方法も決めておきましょう。
引越し日まで2週間を切ったら、引越しの荷造りを始めます。あわせて、新居の水道、電気、ガスの契約、必要に応じてインターネット回線の契約も行います。
どんな手続きが必要?
単身赴任の場合は、物件に関すること以外で必要になる手続きはほとんどありません。
住民票についても、1年以内の短期の赴任や、生活の本拠地があくまで家族が住む家にある場合は、住民票は異動させなくてもよいことになっています。新居で受け取りたい郵便物があれば、転送手続きをとっておきましょう。
一方、家族帯同の場合は、以下のような手続きが必要になります。
- 住民票の異動
- 運転免許証、印鑑登録、国民健康保険、国民年金保険の住所変更
- 児童手当の住所変更
- 子どもの転校手続き
- 生命保険などの各種保険の住所変更
- 固定電話の移転・新設
- パートナーが退職する場合は退職手続き
家族で引越す場合は住民票の異動が必要となるため、基本的に住所を登録しているものは変更手続きが求められます。
旧住所と新住所のそれぞれの役所で手続きが必要なものもあり、短期間ですべてを行うのが難しいケースもあるでしょう。その場合は、転勤となった本人だけ先に引越し、家族は準備が整ってから引越すという手もあります。
持ち家の場合はどうする?
家族帯同で持ち家がある場合、住んでいた家をどうするかという問題もあります。この場合の選択肢は、空き家にする、貸す、売るという3つが考えられます。
家は人が住まないと老朽化が進みやすいもの。空き家にする場合は、1ヶ月に一度程度は帰り、換気をして湿気を逃し、害虫・害獣などの被害がないかをチェックします。また、不法侵入など防犯面が気になる場合は、空き家専用のホームセキュリティを検討するとよいでしょう。
家を貸す場合は、まず入居者を募集して契約を結ぶ不動産会社(仲介会社)と、家賃の集金代行や建物の清掃などを行う管理会社を決めることからスタート。家を貸して収入を得ることはひとつの事業です。家賃収入と、仲介手数料や管理委託料、修繕費用などのバランスを見極めながら進めましょう。
売却する場合は、一般的に売却査定、不動産会社との媒介契約、売買契約という手順を踏みます。売却までは半年程度かかることが多いため、腰を据えて取り組むことが大切。プロの売却査定に頼るだけではなく、自身でも近隣の相場を調べることがポイントです。
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転勤の新居探し、引越し、生活準備のポイント
引越しをスムーズに行い、新居での暮らしをより快適にするためには、いくつか注意したいポイントがあります。
単身赴任は「仕事帰りに寄れる店」「最小限の荷物」がポイント
単身赴任における新居探しのポイントは、職場に近いこと、仕事帰りに寄れるスーパーやテイクアウトのお店があること、遅くまで営業しているクリーニング店があることなどが挙げられます。
また、引越し時の荷物は最小限にし、新天地で購入する家具家電も必要最低限にするのがコツです。転勤前後は何かと慌ただしいもの。荷物が多いと引越し準備に手間がかかり、引越し後も荷ほどきなどの作業が増えて大変です。
また、新しく購入した家具家電などは、単身赴任が終われば処分することになります。荷物や家具家電は最小限にすることを意識しましょう。
ちなみに赴任期間が短い場合は、家具家電付きの物件やマンスリーマンション、近年増えたシェアハウスなども候補のひとつです。単身赴任の準備の手間と費用を大幅に抑えられます。
DINKSやファミリーは「利便性と治安」「不用品処分」がポイント
家族で住む場合の新居探しでは、家族の生活スタイルも考慮します。
例えば、子どもがいる場合は学校や保育園との距離や治安も重要なポイント。パートナーが働く予定であれば、あらかじめ交通の便が良い場所を選んでおくと、働く先の選択肢が広がるでしょう。また、食料品の買い物が便利であることも大切です。
引越し時には思い切って捨てましょう。荷物が多いと引越し費用が高くなることはもちろん、単純に引越しが重労働になります。また、今後別の地域に転勤する可能性があるのであれば、最初にできるだけ荷物を少なくしておくのが賢いやり方です。
転勤の物件初期費用と、引越し費用はどれくらい?

転勤の場合、物件の初期費用や引越し費用は、会社が全額あるいは何割かを補助してくれるケースが多いです。
補助額については各企業の就業規則で決められているため、あらかじめ確認しておきましょう。
なお、新居で必要となる家具家電などは全額自己負担になることが多いです。必要最低限なものをリスト化しておくことをおすすめします。
以下に、単身赴任、家族で引越す場合それぞれの初期費用と引越し費用をまとめました。会社全額負担でない場合の参考にしてみてください。
単身赴任の費用目安は50万円程度
一人暮らしで多く選ばれる間取りは1R、1K、1DKで、地域差もありますが、家賃平均は7万円前後(LIFULL HOME’S調べ)です。物件の初期費用は一般的に家賃の6〜7ヶ月分かかるため、家賃が7万円なら42〜49万円程度が必要となります。
ここに引越し代が加わりますが、単身の遠距離引越し(移動距離500km以上)の場合の平均費用は約9万円(LIFULL HOME’S調べ)。物件の初期費用と引越し費用で、合計51〜58万円かかると想定できます。
DINKSやファミリーの場合、80万円程度が必要に
DINKSやファミリーの場合は、家族で過ごす時間を大切にするために1LDKや2LDKなど、LDKのある物件が好まれる傾向にあります。
平均家賃は、2人暮らしの場合で10万円前後(LIFULL HOME’S調べ)となるため、初期費用に60〜70万円はかかると考えられます。3人家族以上の場合は、それ以上になる可能性がありますね。
なお、2人家族の遠距離引越しの平均費用は約17万円、4人家族で約21万円(LIFULL HOME’S調べ)となっているため、合計して80万円程度は必要になると考えられます。
ただし、これらの金額はあくまで目安です。敷金・礼金が安価の物件を選べば、数十万円コストカットすることが可能です。会社負担額とのバランスを見ながら決めていきましょう。
参照:「一人暮らしと二人暮らしで部屋選びはどう変わる? 間取り・広さ・家賃を比較!」
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転勤の準備は家族のコミュニケーションが大事
転勤が決まったら、可能な限り早い段階で単身赴任か家族帯同かを決め、それに合った準備を短期間で行い、かつ費用も捻出しなければなりません。そのためには、家族の理解を得ること、協力態勢を築くことが非常に重要になってきます。
また、単身赴任、家族帯同にかかわらず、転勤後は環境が変化するもの。環境が変わっても家族の絆を損なうことがないよう、転勤の準備期間は普段以上に家族間のコミュニケーションを意識し、お互いの気持ちをすり合わせていく努力が必要になるでしょう。
まとめ
- 単身赴任は経済的負担が増え、家族帯同は家族全員が環境の変化にストレスを感じる可能性がある
- 転勤が決まったら、まず新居と引越し方法を決める
- 家族帯同の場合は必要な手続きがたくさんある
- 新居の周辺環境と荷物の量に注意する
- 物件の初期費用と引越し費用の目安は、単身赴任で50万円、家族帯同で80万円程度
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更新日: / 公開日:2019.05.15










