羽田空港の国内線旅客数は、前年比177.9%

2022年の東京国際空港(羽田空港)の国内線旅客数は、4,597万874人で前年比177.9%となった。2019年は6,886万8,623人であり、コロナ禍前と比べるとまだその数は3分の2程度だが、2023年5月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類」となったこともあり、今後、外出需要の増加と併せて航空需要も復調していくものと考えられる。

特に、出張や旅行、帰省の機会が増える人にとって、住まい選びにおける空港へのアクセスは、重要な指標になるだろう。LIFULL HOME'Sでは、そのような人々に向け、羽田空港の最寄り駅である「羽田空港第1・第2ターミナル」駅に30分以内で行ける「羽田空港へのアクセスが良くて家賃が安い駅」を調査し、ランキングした。本稿では上位に入った駅と、その概要を紹介する。

羽田空港第2ターミナル羽田空港第2ターミナル

京急本線からは「エアポート急行」が羽田空港へ直通する

羽田空港へのアクセスが良くて家賃が安い駅ランキング羽田空港へのアクセスが良くて家賃が安い駅ランキング

1位:鶴見駅、京急鶴見駅(7万4,000円)

「羽田空港第1・第2ターミナル」駅に30分以内でアクセスできる駅のうち、最も家賃相場が安い駅は、横浜市鶴見区のJR「鶴見」駅と京急「京急鶴見」駅(家賃相場は7万4,000円)となった。両駅は駅前のロータリーを挟んで向かい合っており、この付近に居住した場合にはどちらの駅も利用できる。ここから電車で羽田空港に向かう場合、京急鶴見駅から京急本線の「エアポート急行」を利用できる。この電車は京急蒲田駅で方向転換し、そのまま京急空港線に直通するため、羽田空港第1・第2ターミナル駅まで乗り換えなし約19分でアクセスが可能だ。なお、出張などで羽田空港をよく使うものの、普段は東京都心方面に通勤しているという人もいるだろう。そのような人は、はJR鶴見駅から京浜東北・根岸線を利用するとよい。品川まで約16分、東京まで乗り換えなし約29分で到着することができる。(京急本線の品川方面へは、各駅に停まる「普通」のみ停車する)

⼀般的に、移動距離が⻑いほど、鉄道と⽐べて航空機の利⽤シェアが上がるとされるが、鉄道のつながっていない東京から沖縄への移動は、当然航空機での移動がほとんどを占める。したがって、東京から沖縄へよく旅⾏や帰省をするという⼈は、⽻⽥空港を使う機会も多いだろう。実は鶴⾒は、そのような沖縄好き・沖縄出⾝の⼈にうれしい街でもある。
戦前、鶴見には京浜工業地帯の工場で働くために、沖縄から移住してきた人々が多く住んだ。その影響もあり、今も鶴見には沖縄の物産店や飲食店があるほか、エイサーなどの伝統芸能の催しも行われたりする、「沖縄タウン」と呼ばれる地域があるのだ。飛行機で旅行や帰省をするには時間とお金がかかるが、鶴見に住んでいれば日常の中に沖縄を感じる機会があるかもしれない。

2位:鶴見市場駅、神奈川新町駅(7万6,000円)

2位には、家賃相場7万6,000円で「鶴見市場」駅と「神奈川新町」駅がランクインした。どちらも京急本線の駅だが、このうち神奈川新町駅は「エアポート急行」が停車するため、羽田空港第1・第2ターミナル駅まで乗り換えなし約23分でアクセスできる。また、同駅にはランキング1位の京急鶴見には停車しない、品川方面に向かう「特急」も停車する。特急を使えば、品川へ約19分、品川の先、泉岳寺から都営浅草線に直通し、東銀座まで約33分、日本橋まで約36分と、東京都心へのダイレクトアクセスも可能だ。ちなみに、反対方向へ行けば、横浜駅まで2駅、最短2分で到着する。

羽田空港へのアクセスが良くて家賃が安い駅ランキング鶴見区の仲通商店街。「沖縄タウン」と呼ばれることもある
羽田空港へのアクセスが良くて家賃が安い駅ランキング神奈川新町駅東側の、第一京浜(国道15号)に架かる歩道橋にはエレベーターが整備されている

京急大師線沿線なら、車やバスも便利

4位:鈴木町駅(7万9,500円)

4位は、家賃7万9,500円で京急大師線の「鈴木町」駅となった。京急大師線とは、京急川崎駅を起点に、初詣などで有名な川崎大師を経て沿岸部の小島新田駅に至る、路線距離わずか4.5kmの支線だ。駅出口から線路を挟み多摩川側には大規模な工場が立地するが、南側には分譲マンションなどの住宅が多く、大型のスーパーもある。
なお、川崎市の臨海部は多摩川を挟んで羽田空港と向かい合っており、車を使えば川崎の市街地を経由することなく羽田空港にアクセス可能だ。これまで、多摩川で第一京浜(国道15号)より下流に架かる橋は有料の首都高速道路を除き大師橋だけだったが、2022年3月にさらに河口寄りの「多摩川スカイブリッジ」が開通。電車で羽田空港や東京都内に向かうには、京急川崎駅・川崎駅での乗り換えが必要になるが、車で羽田空港に向かう人にとっては、鈴木町駅付近は利便性が高いエリアといえるかもしれない。

多摩川スカイブリッジの羽田空港側には、2023年1月にオープンした商業施設「羽田エアポートガーデン」がある多摩川スカイブリッジの羽田空港側には、2023年1月にオープンした商業施設「羽田エアポートガーデン」がある

5位:港町駅、六郷土手駅(8万1,000円)

5位の「港町」駅(家賃相場8万1,000円)は、4位の鈴木町駅から京急大師線で1駅川崎寄りの駅だ。川崎駅へも歩いて20分程度でアクセス可能なため、川崎駅周辺に集積する商業施設も利用できる。ちなみに、川崎競馬場の最寄り駅であることから、競馬開催時には駅周辺が非常に混雑することもある。なお、港町駅から羽田空港へは電車で約24分だが、京急川崎駅で乗り換えが必要となる。一方、40分程度かかるものの、港町駅近くの「川崎競馬場前」バス停から羽田空港行きの路線バスに乗ることができ、こちらは30分に1本程度の運行頻度だが空港まで乗り換えが不要なため、荷物が重いときなどには選択肢のひとつになるだろう。なおこのバスは、途中「六郷橋」「六郷小学校」などを経由するため、同じくランキング5位の「六郷土手」駅付近に住む場合にも、利用が可能だ。

多摩川スカイブリッジの羽田空港側には、2023年1月にオープンした商業施設「羽田エアポートガーデン」がある京急川崎駅周辺。商業施設が集積する

羽田空港アクセス線も着工。今後ますます便利に

今回のランキングは、羽田空港に30分以内で行ける駅のうち、家賃相場の安い駅をピックアップした。国内外への出張や、旅行・帰省で羽田空港をよく使うという人の、住まい探しの参考にしていただければ幸いだ。
なお、空港に行くときには重い荷物を持っていることもあるはずだ。そのため、家賃以外に、駅のエレベーター整備状況や、自宅から駅までの道がキャリーバッグなどを持っていても歩きやすいか、といった観点も忘れてはいけない。住まい探しでは、自身の行動をイメージしながら検討することが大切だろう。

今年4月には、JR羽田空港アクセス線(東山手ルート)が着工した。この路線が開業(2031年度予定)すると、東京駅と羽田空港が18分で結ばれ、さらにJR宇都宮・高崎・常磐線への直通も予定されている。さらに、羽田空港アクセス線の西山手ルート(羽田空港~新宿・池袋方面)や臨海部ルート(羽田空港~房総方面)、東急多摩川線と京急空港線を結ぶ蒲蒲線など、多数の空港アクセス鉄道が計画されている。今後、羽田空港は広域からのアクセスもますます便利になっていく。

JR羽田空港アクセス線(出所:JR東日本プレスリリース)JR羽田空港アクセス線(出所:JR東日本プレスリリース)

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