【二人暮らし×テレワーク編】住みやすさのわりに家賃が安い駅ランキング2023 ～「立川」駅が1位に

LIFULL HOME'Sが実施した「コロナ禍で住みたい街ランキング」では、神奈川県厚木市の「本厚木」駅が1位に。厚木市内には温泉郷もある

日本国内で最初に新型コロナウイルス感染症の感染が確認されてから丸3年が経過した。コロナ禍で私たちの生活は様変わりしたが、その象徴的な例にテレワークの普及が挙げられる。東京都産業労働局が発表した「テレワーク実施率調査」（※1）によれば、都内企業で2022年11月にテレワークを実施した社員のうち17.9%の人が週5日のテレワークだった。緊急事態宣言下だった2021年5月の24.6%からは減少しているものの、オフィスに出社しない働き方は一定程度定着しているものと考えられ、コロナ禍以降、夫婦やカップルが二人ともテレワーク中心の就業スタイルになったという人も多いだろう。

また、昨今は世界的なサプライチェーンの逼迫や円安傾向によって物価は上昇傾向にあり、実質賃金指数が2022年4月以降7ヶ月連続で前年同月比マイナス（※2）となるなど、苦しい家計状況が続く。そんななか、通勤回数が減り、都心アクセスの優先度が下がったテレワーカーは、この経済状況への対策として、郊外に移り住んで住居費を抑えるという選択も比較的しやすいといえる。

とはいえ、これまであった通勤利便性という制約条件がなくなり、街の選択の幅が大きく広がったとき、いったいどこに住むのがいいのか見当がつかないという夫婦・カップルは少なくないのではないか。今回、そのようなテレワーク中心の二人を想定し、「【二人暮らし×テレワーク編】住みやすさのわりに家賃が安い駅ランキング2023」と題して首都圏1都3県で、「住みやすく・かつ家賃も抑えられる街」の可視化を試みた。

以下、ランキングを詳しく見ていこう。


※1：東京都産業労働局「テレワーク実施率調査」
※2：厚生労働省「毎月勤労統計調査」

駅周辺充実度と平均家賃より理論家賃を算出。理論家賃に比べ安い駅をランキング化（Excel® にて算出）

日常的にテレワークをする人でも、出社や打ち合わせのために都内へ出向く機会もあるだろう。今回のランキングではそのような夫婦・カップルのライフスタイルを想定し、対象駅は全国ではなく1都3県（東京・神奈川・千葉・埼玉）の全駅とした。
また、「駅周辺の施設充実度（※3）が高い」ことを「住みやすい」と定義し、不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME'Sの独自データをもとに、各駅から徒歩15分圏内の二人世帯用物件の平均家賃とその駅周辺の施設充実度から「理論家賃（駅周辺の住みやすさに見合う妥当な家賃）」を算出。その理論家賃と比べて実際の平均家賃が安い駅をランキングにした。 これはテレワークのライフスタイルを想定した際に、「住環境が優れているわりに、家賃を抑えて二人暮らし用の物件を借りられる駅」を表している。


※3：駅周辺の施設充実度は、LIFULL HOME'S住まいインデックスで用いられるWalkability Index（ウォーカビリティインデックス）の総合スコアを参照。
Walkability Indexとは、駅から徒歩15分以内でアクセス可能な施設（スーパー、コンビニ、公園、飲食店、カフェ、文化施設、子育て・教育施設、医療施設など）を、分類ごとの周辺立地数をもとに、その充実度を100点満点でスコア化したもの。東京大学・株式会社日建設計総合研究所が共同で研究・開発を進めている、不動産の立地環境を暮らしやすさの観点から指標化した日本初のデータ。

ランキングの1位は立川駅（JR中央線、青梅線、南武線・東京都立川市）、2位は葭川公園（よしかわこうえん）駅（千葉都市モノレール1号線・千葉県千葉市）、3位は栄町駅（千葉都市モノレール1号線・千葉県千葉市）となり、一人暮らし×テレワーク編では8位だった立川が1位となったほか、2位と3位には千葉市の中心市街地から程近い千葉都市モノレールの2駅が入った。

1位の立川駅は、新宿駅から西に約25km離れた多摩地区の交通の要衝で、駅から徒歩15分以内にある施設の充実度をスコア化した「駅周辺充実度」は100点満点のうち92ポイントとなっている。この数値は渋谷駅（92ポイント）や大手町駅（92ポイント）といった都心のターミナル駅に匹敵するスコアで、立川駅周辺のにぎわいがうかがえる。また、駅周辺の施設充実度から算出した理論家賃は17.81万円となり、実際の平均家賃11.23万円との差額（－6.58万円）は対象駅のなかで最大となった。これは住環境から見た妥当な家賃よりも、6.58万円低い家賃相場で借りられることを意味している。

中央線沿線では、より都心寄りの国分寺駅（駅周辺充実度85、家賃相場11.45万円）や三鷹駅（駅周辺充実度88、家賃相場14.18万円）など、立川駅よりも駅周辺充実度のスコアが低いものの家賃相場が高い駅も多く、都心へのアクセスをそこまで重要視しなければ立川駅はよりコストパフォーマンスの高い駅といえそうだ。

立川駅の駅周辺充実度を項目別に見ると、「スーパー」「コンビニ」「ドラッグストア」「飲食店」「弁当・惣菜」といった商業や飲食関連のスコアが上位10駅のなかでも高く、日々の買い物や食事の選択肢が非常に多いことがわかる。また、駅北側には米軍の立川飛行場跡地に造られた総面積180ヘクタールにも及ぶ国営昭和記念公園をはじめ、公園の充実度はランキング上位駅のなかでも屈指だ。さらに、都心から離れる分、高尾や甲府方面にも近くなるため、都心とは一味違う休日の過ごし方ができるのではないだろうか。

LIFULL HOME'S住まいインデックス「立川駅の住まいと暮らしやすさ」
https://lifullhomes-index.jp/info/areas/tokyo-pref/00243-st/
〈立川駅の二人暮らし向け賃貸物件〉
https://lifullhomes-index.jp/info/areas/tokyo-pref/00243-st/

立川駅には、駅ビルのほか、駅からペデストリアンデッキで直結したデパートなどが多く立地する

2位の葭川公園駅は、駅周辺充実度が88ポイントで理論家賃は15.76万円、実際の平均家賃9.20万円との差額は－6.56万円となった。葭川公園駅からは、千葉駅前大通りを約700m進むと千葉駅東口に着くように、千葉駅へは徒歩圏内だ。千葉駅周辺の繁華街が近く、「飲食店」のスコアは1位の立川と同じ90となるなど、自宅周辺ではさまざまな外食を楽しめそう。京成電鉄の「千葉中央」駅も近い。

続く3位の栄町駅は、駅周辺充実度（85ポイント）から算出した理論家賃が14.73万円で、実際の平均家賃8.34万円との差額は－6.39万円となった。こちらも葭川公園駅と同様に千葉駅の徒歩圏内で、歓楽街が近い。千葉駅までは約450mの距離にある。

葭川公園駅や栄町駅の周辺に住んで東京のオフィスに通勤する場合、千葉駅まで歩いて、そこからJR総武線を利用することが想定されるが、リモートワーク中心の生活スタイルであればそれも毎日のことではないので、負担に感じにくいのではないだろうか。これら2駅は千葉駅周辺の利便性を享受しながらも、家賃は千葉駅が最寄り駅の物件よりも1万～2万円低い水準で借りることができる。

LIFULL HOME'S住まいインデックス「葭川公園駅の住まいと暮らしやすさ」
https://lifullhomes-index.jp/info/areas/chiba-pref/09264-st/
〈葭川公園駅の二人暮らし向け賃貸物件〉
https://www.homes.co.jp/chintai/theme/15101/chiba/yoshikawakoen_09264-st/list/

LIFULL HOME'S住まいインデックス「栄町駅の住まいと暮らしやすさ」
https://lifullhomes-index.jp/info/areas/chiba-pref/09263-st/
〈栄町駅の二人暮らし向け賃貸物件〉
https://www.homes.co.jp/chintai/theme/15101/chiba/sakaecho_09263-st/list/

京成千葉駅と直結する百貨店の脇を走行する千葉都市モノレール。葭川公園駅や栄町駅からは、再開発も行われている千葉駅周辺へ徒歩でアクセスが可能

上位30位以内には、全体として、首都圏外縁を環状に結ぶ国道16号線に近い郊外の拠点駅や、そこから至近の駅を中心にランクインした。郊外では、駅周辺だけでなくロードサイド店舗やアウトレットモールなど駅から離れたエリアでも施設の集積が見られるため、これらの地域で住まい探しをする際には、電車だけでなく車利用を想定した暮らしを検討してみてもよいかもしれない。

【二人暮らし×テレワーク編】住みやすさのわりに家賃が安い駅ランキング2023の、1～30位の各駅

賃貸住宅に住む夫婦やカップルのなかには、将来的に不動産の購入を見据えている人も少なくないだろう。LIFULL HOME'S住まいインデックスによれば、東京都の標準的な中古マンションの価格は直近の3年間で17.33%程度上昇している。また、2022年末には日本銀行の黒田総裁が、これまで10年近くにわたって継続してきた大規模金融緩和策を一部修正する方針を発表し、それを受けた大手銀行5行は2023年1月より住宅ローンの固定金利を引き上げた。今後の住宅購入にかかる費用の行方は不透明だが、物件価格の上昇局面が続くなか、今は都心に住んでいて、郊外での購入を検討しているという人もいるはずだ。テレワーク中心の二人にとっては、平日も休日も、そのほとんどの時間を過ごす街となる。購入の前に、まずは賃貸で住んでみて、自分たちに合う街かどうか試してみるという方法もひとつだろう。

4位の「平塚」駅から海までは徒歩約20分。住む街によって、余暇の過ごし方も変わるだろう

■ランキング調査概要
・対象駅：1都3県（東京・神奈川・千葉・埼玉）に所在する全駅のうち、掲載物件200件以上の駅
・対象物件：築40年以内、駅徒歩15分以内、1LDK・2K・2DK・2LDK・3K・3DK・3LDK、30m2以上80m2未満の賃貸マンション、
・対象期間：家賃・掲載物件は2021年10月～2022年9月、駅周辺充実度は2022年10月時点
・算出方法：駅ごとの対象物件の平均家賃と駅周辺の施設充実度から「理論家賃（駅周辺の住みやすさに見合う妥当な家賃）」を算出、その理論家賃と比べて実際の平均家賃が安い駅をランキング化
・集計分析：LIFULL HOME'S事業本部 リサーチグループ