賃貸借契約の壁:外国人を拒む日本の現実

定期建物賃貸借契約での「言語の壁」を解消する新サービス。外国人に伝わらない賃貸借契約の課題とは(画像はイメージ)定期建物賃貸借契約での「言語の壁」を解消する新サービス。外国人に伝わらない賃貸借契約の課題とは(画像はイメージ)

gooddaysホールディングス株式会社の2026年1月10日付プレスリリース(PR TIMES掲載)によれば、同社は外国人向け賃貸契約における言語の壁をITの力で解消する新サービスを発表した。日本における賃貸契約、特に定期建物賃貸借契約は、借地借家法第38条に基づき「契約の書面交付と口頭での重要事項説明」が契約成立の要件とされているが、この口頭での説明を、賃借人によるWeb画面の操作で行えるようしたものだ。

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定期建物賃貸借契約での「言語の壁」を解消(gooddaysホールディングス株式会社)

このニュースからは、日本の現行法と外国人の住居確保との間にある制度的ギャップが改めて浮き彫りとなる。
定期建物賃貸借契約において「口頭での重要事項説明」が契約成立の要件とされているのは、本来、賃借人を保護するためのものだが、説明が日本語でしか認められていないため外国人にとって重大な障害となっている。日本語が十分に理解できない外国人にとっては、契約内容を正確に把握できないまま署名を求められることが多く、実質的な理解が伴わない「形だけの契約」となるリスクがあるからだ。

契約書や重要事項説明書も基本的に日本語のみで作成され、専門用語や法律表現が多いため、仮に翻訳がついたとしても誤訳や意味の取り違えによってトラブルに発展するケースもある。さらに、現行法はこうした言語対応の不備を是正する制度的枠組みを持たないため、外国人の賃貸契約における権利保護が著しく脆弱な状態に置かれている。事業者側に多言語対応が求められているものの、それは努力義務にとどまり、対応の質や有無は各社によってまちまちである。

このような制度的課題を解決するためには、まず借地借家法をはじめとする関連法令の見直しが必要である。たとえば、現行の「口頭説明」の義務を緩和し、録音済みの多言語解説や通訳を介した説明も法的に有効と認める柔軟な解釈の導入が求められる。また、契約書類についても、行政主導で多言語対応の標準フォーマットを整備し、不動産会社に一定の使用義務を課す制度改正が望ましい。これにより、外国人も日本人と同等に契約内容を理解し、納得した上で契約を結べる環境が整うだろう。

さらに、外国人が安心して賃貸住宅を探せるよう、不動産事業者に対して多言語対応スタッフの配置や通訳サービスの整備を促すインセンティブ制度を設けることも有効である。国として法的・制度的に後押しすることで、日本における居住の安定と外国人との共生社会の実現が現実的なものになるといえる。

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不動産会社向けコンサルティング会社、株式会社南総合研究所の代表 南智仁氏が、賃貸業界に関わる方なら知っておくべきという観点でニュースを厳選し、豊富な経験に基づくコメントとともに伝えるコーナー。業界関係者はもちろん、賃貸住宅を探す人にとっても、重要な動きを理解できるほか、新たな視点を得ることができるはずだ。

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