最優秀賞のアイデアを実際のバンに。バンライフのアイデアコンテストを実施

車で移動しながら、旅をするように暮らす。車を中心とした新しいライフスタイルとして注目されているバンライフ。そんな中、「VANLIFE DESIGN CONTEST2022(バンライフデザインコンテスト)」というアイデアコンテストが開催された。
このコンテストは、東海地方を中心に展開しているSUV専門店の株式会社グッドスピードと、タイニーハウスなど新しい暮らし方を提案しているYADOKARI株式会社の2社での合同主催である。

アイデアコンテストの応募要項にはこう書かれている。
「『VANLIFE DESIGN CONTEST2022』では、作品の応募を通じてこれからの暮らしや生き方を考えることを目的に、好奇心に従った、固定観念や慣習に囚われないVANLIFEのアイディアを募集いたします」
この文面から、参加者が自らの好奇心を追求しながら、自由な発想でアイデアを出してほしいという主催者側の期待がうかがえる。

最優秀賞には5万円の賞金に加えて、応募作品の車両を実際に製作、その車両が1年間無償貸与されるという。気になる結果は2023年3月31日に発表され、「ママの部屋」がコンセプトの「ママの居場shop」というアイデアが、最優秀賞となった。詳細はぜひページ下部のリンクから見てほしい。今回はコンテストの目的と昨今のバンライフ事情について、コンテストをプロデュースしているYADOKARIの川口直人さんにお話を伺ってみた。

実現の可能性よりも大事なのは暮らし方への熱意

コンテストを主催するグッドスピードは、愛知県名古屋市を拠点に、中古車販売事業を展開している会社である。キャッチコピーは「SUV といえばグッドスピード」。

2020年9月から、トヨタ・ハイエースをベースとしたオリジナルキャピングカーの販売も始めている。2021年1月にはハイエースのカスタムおよびオリジナルキャンピングカー専門店の「GOODSPPED VANLIFE 春日井店」(愛知県春日井市)もオープン。キャンピングや車中泊の楽しさを多くの人に届けたいと、同店の新しいショールームのオープンに合わせ「VANLIFE DESIGN CONTEST2022」を開催することになったのだ。

木のぬくもりと開放感を感じられるGOODSPPED VANLIFE 春日井店の新しいショールーム木のぬくもりと開放感を感じられるGOODSPPED VANLIFE 春日井店の新しいショールーム
GOODSPPED VANLIFE 春日井店の新しいショールーム外観GOODSPPED VANLIFE 春日井店の新しいショールーム外観

このコンテストを企画し、共同主催するのがYADOKARIである。
YADOKARIは、タイニーハウスや公共空間の活用、100均物件マッチングサイト「空き家ゲートウェイ」の運営などをしているソーシャルデザインカンパニーだ。

かねてから同社の活動に注目していた筆者は、YADOKARIが企画するコンテストなら通常のコンテストとは違ったものが生まれるのでは、とわくわくしながらインタビューをさせてもらった。
果たしてこのコンテストを実施することで期待していることはなんだろうか。

「バンライフという言葉の認知は広がってきているが、実践するにはハードルが高い。まずは少しでもバンライフとのタッチポイントを作り、マーケットをにぎやかすことができたらいいなと思っている」とYADOKARIの川口さんは言う。
「みんなでバンライフのことを妄想しながら、これからの暮らしとか、生き方を考えるきっかけを作ることがこのコンテストの目的の一つです」(川口さん)

アイデアコンテストは、「遊び」「憧れの暮らし」「自然」「未来」の4つの募集テーマがあり、子どもから大人まで、誰でも参加可能である。前述したように応募要項には「固定観念や慣習に囚われない」という文言もある。最優秀賞のアイデアの車を製作するとあるが、実現可能性を考慮したアイデアの方がいいのだろうか?
そんな疑問を川口さんに聞いてみると、「実現できそうな提案がほしいわけではないんですよ。にぎわいをつくっていくことを大事にしているので、お子さんとかおじいちゃん、おばあちゃんとか世代、性別を問わず応募できるような、そんなコンテストにしたいねってグッドスピードさんとも話していました」と答えが返ってきた。

「アイデアが面白かったり、暮らしへの熱意が強かったり、自分の好奇心に従って応募してくれるような、そしてその熱意に対して評価できるコンテストにしたいと思っています」
宇宙船みたいな作品がきてもいいですよね、と川口さんは笑う。

昨今のバンライフ市場の盛り上がり

注目が高まっているバンライフ市場。「バンライフ」という言葉自体はここ数年でよく聞くようになったが、実際の盛り上がりはどうなのか川口さんに伺った。

「キャンピングカーの市場は今すごく伸びていますが、『バンライフ』となると現状の利用者はそこまで多くないと思います。ただ、キャンピングカーを取り扱っている企業も参入してきているので、キャンピングカーに代わる選択肢として『バン』も伸びてくるのかなと思っています。YADOKARIでもバンをカスタマイズしてレンタルするサービスをやっていましたが、まだまだニッチだなと感じました」(川口さん)

キャンピングカーとバンライフの違いは何かを聞いたところ、「キャンピングカーは名前通り、アウトドアに近い領域にいつつ、『家』を車にして移動させるみたいなイメージでしょうか。キャンピングカーは運転も金銭的にも大変だけど、バンライフはもっとハードルを下げて、みんなが運転できる形で移動する暮らしを叶えてくれる。『暮らす』というには、頭に『旅するように』という言葉がつくと思いますが。でも、不自由さもある分、ちょっと冒険チックなところもあると思っています」と川口さん。

川口さんの話を伺って、キャンピングカーは「不動産」ではなく「可動産」。動く「家」の延長線上として捉えたが、バンライフは生き方や暮らし方といった、物質ではない「あり方」という印象を受けた。

旅するように暮らすバンライフ旅するように暮らすバンライフ

応募者からの反応には、熱いメッセージも

取材時点で応募件数はおよそ400件。中には海外国籍の人からの応募もあったという。年代でいうと20代〜30代が約4割を占めているが、下は10代から上は60代までおり、募集時に希望していたような幅広い年齢層の人が応募しているようだ。
応募と一緒にメッセージも募ったが、添えられているメッセージが非常に熱い、バンライフへのパッションがすごかった、と川口さん。

参考までに応募者からのメッセージをいくつか紹介したい。

「少年の頃の夢をもう一度」
「子どもたちに夢を運びたい」
「見た人が笑顔になれるような作品を制作します」
「自分が理想とする暮らしを詰め込んだバンを妄想してみたいと思います!」
「自然と都市を行き来し、子どもたちにアートや自然体験を届ける、夢のアトリエを形にしたVANLIFEを形にしたいです」
「今年9歳になる愛犬と少しでも多くの楽しい思い出を作りにいけるvanにしたい」
「自信は全くありません。 が、今自分が思っている心の叫びみたいな感情を表現してみたいと思います」
「車が好きで、普段いろんな改造を妄想しています。このコンテストを知ってとてもワクワクしています。また将来車を使ってやりたいことがあり、その欲張りな妄想を実現するためにどういう車が一番合うだろうかと考えたりしているので、そのお試しができたらいいなと思います」

メッセージはほんの一部だが、筆者はこのメッセージを読んだだけで、アイデアコンテストの盛り上がりが想像できた。

バンライフビルダーの鈴木大地氏のバスバンライフビルダーの鈴木大地氏のバス

さて気になる審査だが、グッドスピードから武藤崇弘氏、YADOKARIからさわだいっせい氏、上杉勢太氏に加え、バンライフビルダーの鈴木大地氏、アウトドアクリエイターのYURIE氏が多角的な視点から審査を行い、最優秀賞1点、審査員特別賞4点、奨励賞1点を選出する。
最優秀賞のアイデアは、グッドスピードが実際にバンを製作し、応募者はその車を1年間無償で貸与される。
もちろん、車検対応のためにプランが変更になる可能性もあるが、できる限り元のアイデアをベースにした車両を製作してくれるようだ。

バンライフビルダーの鈴木大地氏のバスアウトドアクリエイターのYURIE氏のバン

バンライフのアイデアから見えるこれからの暮らし方

都市部での物価高やストレスから逃れ、自分だけの空間をつくり、その空間とともに行きたい場所に行けることがバンライフの魅力の一つだと思っていた。
しかし今回のコンテストによって、筆者の想像を軽々と超えたぶっ飛んだアイデアやわくわくする暮らし方が出てくるような気がしている。新しい暮らし方に興味を持ち模索している人たちならではの視点で「したい暮らし」を知ることができるのではないだろうか。バンライフに関心を持つ人々からの個性的で斬新なアイデアが今からとても楽しみだ。

最後に、なぜ人々はバンライフに興味を持つのか、川口さんに聞いてみた。
「タイニーハウスもそうなんだけど、動いた時どうなるんだろうっていう、ちょっとしたワクワク感みたいなのがあるような気がしています。自分だけの空間が動く。どこだって行けて、自由にそれが味わえるところが惹かれるポイントなのかなと。ロマンがありますよね」と川口さん。

コンテストのきっかけとなったGOODSPPED VANLIFE 春日井店(愛知県春日井市)でも、2022年10月に新たにショールームをオープン。軽自動車をベースにしたキャンピングカー、ハイエースなどをラインナップし、潜在層の掘り起こしをねらう。バンを利用して暮らすニーズが高まる中、コンテストによってより多くの人がバンライフという新しい生活様式にロマンを感じ、取り入れる人が増えることが期待される。

VANLIFE DESIGN CONTEST
https://vanlife-design-contest.jp/

GOODSPPED VANLIFE 春日井店 
https://www.gs-vanlife.com/vanlife/

公開日:

ホームズ君

LIFULL HOME'Sで
住まいの情報を探す

賃貸物件を探す
マンションを探す
一戸建てを探す