2022年2月オープン。赤ちゃん~小学生の子どもと保護者のための施設
2022年2月、愛知県春日井市に子育て世帯から注目を集めるスポットが誕生した。
春日井市が開設した春日井市子ども屋内遊び場で、愛称は「ぐりんぐりん」。
市の中北部に位置する景観の美しい総合公園「落合公園」の一角にある施設「グリーンパレス春日井」の2階フロアほとんどを占める、大型の屋内遊び場だ。
利用対象となるのは、赤ちゃんから小学生までの子どもたちとその保護者。
天気や季節に左右されない全天候型の同施設は、1,200m2という東海エリアでも珍しい広さを誇り、公募で決まった「ぐりんぐりん」の愛称も親しみやすく、早くも市内外のファミリー層にその魅力が広まっていると聞く。
実生サボテン生産日本一で「サボテンのまち」としても知られる春日井市。施設内には、サボテンのイラストが描かれている。書家・小野道風(春日井が出生地)をモチーフにした市のマスコットキャラクター「道風くん」の姿も市から指定管理の委託を受けているのは、公募で選ばれた株式会社日本デイケアセンター。
保育に関する業務を展開している同社は、ベビーシッターや家庭教師の派遣をはじめ、認可保育園や院内保育所、神戸市「こべっこあそびひろば・六甲アイランド」の運営、放課後児童クラブの委託を受けるなどしている。
その実績を生かした、子育てニーズに合う施設づくりや管理も支持を得ているようだ。
1,200m2の屋内遊び場。大小さまざまな遊具や知育玩具なども多彩に用意
「ぐりんぐりん」は、広いフロアを5つのエリアにゾーニング。
子どもの月齢や年代に適した遊びができるように、エントランスエリアの先は「ロールプレイエリア」「ベビーエリア」「アクティブエリア」「チャレンジエリア」に分けられ、加えて、「交流・休憩エリア」が設けられている。
各エリアには大小さまざまな遊具や玩具が多彩に用意されており、中にはボルダリングウォールやアスレチックなど、広い屋内だからこそ叶う大型遊具もある。
発達段階に合わせた知育に役立つ遊具も豊富に揃えられており、保育先進国であるヨーロッパ諸国などから280品目ほどの遊具を取り寄せているという。
乳幼児のエリアは木のフローリングがやわらかな雰囲気で、小学生用のエリアは屋内ながら外の公園で遊んでいるような人工芝が広がっているのも印象的だ。
これらは、遊具や遊び場に関する事業を展開している株式会社ボーネルンドの協力で整備が行われたそうで、この場にいるだけで楽しい気分にさせてくれるのも専門業者ならではの遊び場づくりだと感じた。
ワクワクするような雰囲気の中で、子ども達が好みや成長に合わせてさまざまな遊びを経験でき、のびのびと楽しい時間を過ごせるとあって好評なのだ。
子どもたちが遊ぶ様子を保護者たちが見守り、加えて、エリアごとに必ずスタッフがつき目を配っている。
そのスタッフ陣は、市内や近隣に住む主婦が中心で、保育や教員免許を持つ面々も。同じ保護者目線での見守りができていることも安心感の高さにつながっているだろう。
利用料金は3歳以上~小学生が100円で、引率者や3歳未満児は無料。
充実の子育て施設をリーズナブルに楽しめるとあり、「ぐりんぐりん」はオープン以来大人気だ。
当初は9時~18時の利用時間で子ども200名を入場定員としていたが、コロナ禍の感染症対策も加味して入場時間を2.5時間ずつの3クールに分け、各回90組ほどに入場制限を行うことに。インターネット予約制で、事前に会員登録をした後、利用希望日の1ヶ月前の1日から先着順の受付としていた。
ところが、行けそうな日を多めに押さえる利用者もあって枠がすぐ埋まってしまったり、夏休み期間の予約が集中してサーバーがダウンしたことも。
そこで、一人でも多く利用してもらうために、この9月からは全日抽選方式に転換した。
状況に合わせた柔軟な対応も功を奏して、会員登録数は順調に増加。お盆明けには2万4,500人になったそう。
「春日井市民でなくても利用できるのか?」との質問を受けることも多いそうだが、誰でも利用できる施設だ。会員は春日井市民がほとんどかと思いきや、市外の利用者の方が多いそうで居住地は全国にわたっている。
春日井市民向けの子育て施設、ではないことも特徴
今回は指定管理者である株式会社日本デイケアセンター名古屋営業所の服部善彦所長にお話を伺ったのだが、あまりにも人気で予約が取りにくいこともあったため、市内利用者からは「春日井市民を優先してほしい」旨の要望もあったそう。
確かに、市の子育て施設となると市民向けのものかとも思われるが、同施設については「一人でも多くの方に利用してほしい」という考えだそうで、春日井市の魅力を高めるスポットとしてシティプロモーションも兼ねているよう。
電車でも車でもアクセス良好な、名古屋のベッドタウンである春日井市は、2017年に『子はかすがい、子育ては春日井』宣言を行い、「子育て支援のさらなる充実」と「ママ自身の活動やリフレッシュを応援する体制づくり」を進めている。
そんな春日井市の「子育てしやすい街」としてのイメージをさらに高める拠点として存在しているのが、「ぐりんぐりん」なのだ。
連日人気の子育てスポットは「市政80周年」を迎える春日井市の自慢に
順調に会員登録者数を伸ばし、リピーターも多い同施設だが、今後はもっと「利用者数を上げていきたい」と服部所長。
現在の利用者内訳をみると、3歳未満児が50%・未就学児が30%・小学生が20%だとか。小学生の利用者が少なめなこともあり、例えば、遊び方のレクチャーや各種教室など、小学生の利用が増えるような仕掛けも進めたいと話す。
コロナ禍のオープンでイベント開催を自粛せざるを得なかったため、今後は季節に合わせた催しを積極的に開催したいそうで、2023年2月の1周年に向けてイベントも思案中のようだ。
「広大な落合公園には、『ぐりんぐりん』のある『グリーンパレス春日井』をはじめ、体育館やテニスコート、グラウンドや池や大芝生広場など、遊べる場所・憩える場所がたくさんあります。ご家族で来て、子どもの屋内遊び場とそれらを併用しながら楽しんでほしいです」(服部所長)
遊具・玩具がこれほどまでに充実し、公共施設ならではのリーズナブルな料金も魅力的な同施設。
市外から「わざわざ来る」ことにも価値があると思われる春日井市の新・子育てスポットの誕生により、交流人口も増え、地域のにぎわいや、ひいては移住・定住者の増加にもつながるかもしれない。
ともあれ、目を輝かせて遊ぶ子どもたちを見て、「子育てしやすいまち・春日井市」のシティプロモーションに大きく貢献する施設に感じた。
■春日井市子ども屋内遊び場「ぐりんぐりん」 https://kasugai-guringurin.rsvsys.jp/
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