名古屋市におけるマンション投資戦略
マンション投資における収益源は大きく二つに分かれる。ひとつは賃料収入(インカムゲイン)、もうひとつは売却益(キャピタルゲイン)である。投資家にとって、このバランスをどう設計するかが中長期戦略を考えるうえで最も重要な論点となる。
近年の日本主要都市の不動産市場は「低利回り化」が顕著になっており、単なるインカム投資では物足りない状況が広がっている。その一方で、都市再開発やインフラ整備を契機としたキャピタルゲインの可能性は広がっており、国内外の投資資金が大都市の中心部に集まりやすい傾向も強まっている。
本稿では、名古屋市を軸に、中長期的なマンション投資戦略をどのように考えるべきかを検討していく。
各都市の利回り比較──名古屋はまだ「高利回り市場」
以下のグラフは区分オーナーチェンジマンション(賃貸中中古区分)の平均利回り推移を示している。
直近の半期をみると
大阪市:4.5%
福岡市:5.5%
東京23区:3.7%
名古屋市:6.6%
名古屋市は主要都市の中でも頭一つ抜けて高い利回り水準を維持している。東京都や大阪市がすでに富裕層・海外投資家の投資対象となり、利回りが低下しているのに対し、名古屋はまだ「投資妙味」が残された市場といえる。
インカム収益性の高さは、金融機関からの融資を活用する投資家にとって大きな魅力である。借入比率を高めてもキャッシュフローがプラスで回りやすく、長期保有にも耐えられる構造といえる。
キャピタルゲインの芽はどこにあるのか
最も重要なのは「将来の価格上昇がどこまで見込めるか」である。インカムだけであれば、他の高利回り地方都市でも代替可能だ。しかし、資産性の裏付けがあってこそ長期的な投資リターンが成立する。
名古屋市において直近で明確に価格上昇を示しているのは、中区・中村区・東区の3エリアである。これは東京23区における都心3区(千代田・中央・港)、あるいは大阪市における北区や中央区のように、「都市の核」となるエリアに投資資金が集まり、価格を押し上げている構図と酷似している。
背景にあるのは大規模開発である。東京では六本木ヒルズや虎ノ門・麻布台プロジェクト、大阪ではうめきた2期、福岡では天神ビッグバンといった再開発が進行中である。これらはいずれも「国内外の富裕層マネーを呼び込む装置」となり、周辺不動産の価格を数割押し上げてきた。
名古屋でも同様のトリガーとなる開発が進んでいる。
■リニア中央新幹線
東京〜名古屋を最短40分で結ぶ超高速交通網。開業時期は後ろ倒しが懸念されつつも、中長期で都市圏の価値を根本から変えるインパクトがある。
■名駅・栄エリアの再開発
超高層複合ビル群の建設が進み、都市景観そのものが刷新されつつある。東京の丸の内再開発や大阪のうめきたと同様、オフィス・商業・住宅のトリプル複合が進むことで、資産価値の底上げが期待される。
■文化・スポーツ施設の整備
IGアリーナ、パロマ瑞穂スタジアムなど国際水準の施設整備が進み、アジア大会などの国際イベント誘致の舞台ともなる。都市ブランド向上の起爆剤となり得る。
■三の丸地区の再整備
官庁・行政機能の再集約により、都市計画としての一体性が高まり、安定したビジネス需要を支えるエリアへ進化する。
これらは単発ではなく、多角的に都市の魅力を押し上げる要素であり、名古屋を「キャピタルゲインが狙える唯一の地方中枢都市」へ押し上げる可能性がある。
富裕層・海外投資家の投資行動パターン
ただし、名古屋市はまだ東京や大阪、福岡と比較すると、富裕層や海外投資家の本格的な投資対象にはなっていない。ここで注目すべきは彼らの投資行動パターンである。
資産性 + 快適性を重視
単なる収益物件ではなく、実需として住めるクオリティを備えたマンションに投資する傾向がある。専有面積の広い、ハイクラス仕様のマンションは特に高騰しやすく、流通量が少ないため希少性プレミアムが付きやすい。
知名度のあるエリアに集中
海外投資家は「知っている街」以外には基本的に投資をしない。東京の港区・新宿区、大阪の梅田・難波、福岡の天神などが典型例である。この認知度は訪日外国人の宿泊者数ランキングと相関する傾向があり、名古屋はまだ「世界的に認知された投資対象都市」ではない点が課題である。
中長期の値上がりを見込める再開発エリアを狙う
単発のイベントや一時的な観光ブームではなく、持続的に都市の魅力が高まるかを基準に判断する。
名古屋市においては、まだ「知名度」で東京・大阪・福岡に劣るのが実情だ。
しかし近年、訪日外国人宿泊者数で愛知県は前年比94%増と大幅な伸びを示しており、名古屋の国際的な認知は確実に高まっている。
投資家への示唆──どう戦略を描くべきか
名古屋市のマンション投資を検討する際、投資家は次の三つの視点を押さえる必要がある。
短期ではインカム狙いが成立
6%台後半という利回り水準は、借入を用いた場合でもキャッシュフローが安定しやすく、ミドルリスク・ミドルリターンの典型例である。
中期ではキャピタルの芽を仕込む
中区・中村区・東区を中心とした「再開発直近エリア」での取得は、中期的に価格上昇を享受できる可能性がある。
長期では海外投資家の流入を待つ
リニア開業や国際大会開催により、名古屋の国際的プレゼンスが高まれば、東京・大阪に次ぐ投資対象都市として外国資本が入ってくる余地は十分にある。その時、広めの間取り・ハイクラス仕様の物件は大きな値上がりを期待できる。
名古屋不動産市況のまとめ
東京・大阪・福岡がすでに富裕層・海外マネーに席巻され、利回りが低下している中で、名古屋はまだ「高利回りかつキャピタルの芽を秘めた市場」として残されている。特に中区・中村区・東区は再開発による資産価値上昇が期待でき、中長期的にはハイリターン戦略の起点となり得る。
ミドルリスク・ミドルリターンを享受しつつ、大規模開発や国際イベントを契機とした都市価値向上を取り込む──。それこそが、これからのマンション投資家に求められる「名古屋戦略」である。
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