浜松町駅周辺で進む再開発の概要と対象範囲

東京都内において最も市街地再開発事業件数の多い港区では、現在同区内において多くの再開発が進められている。その内、JR東日本が中心となり駅とまちの一体開発として事業を推進しているのが「JR浜松町駅」周辺の再開発事業である。

2月19日にもJR東日本が「広域品川圏の共創まちづくり 2026年3月28日 本格始動!」として、浜松町駅から大井町駅のエリアにおいて、Suicaを都市生活における「イノベーション・デジタル基盤」として位置付け、「先進性・エリア価値向上に資する都市生活のイノベーションを先駆的に起こす取り組み」を行うことを発表した。2026年春以降、Suica等を活用した様々な取り組みが段階的に進められる。

この広域品川圏において浜松町駅は北端に位置することから、当該圏域の重要な拠点の一つとして今後もJRにより積極的なまちづくりが行われることが想定される。

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広域品川圏(Greater Shinagawa)のイメージ ※出典:東日本旅客鉄道株式会社(2026年2月19日)「Greater Shinagawa 広域品川圏の共創まちづくり 2026年3月28日 本格始動!〜広域品川圏を都市生活のイノベーションが生まれる先進エリアへ〜」広域品川圏(Greater Shinagawa)のイメージ ※出典:東日本旅客鉄道株式会社(2026年2月19日)「Greater Shinagawa 広域品川圏の共創まちづくり 2026年3月28日 本格始動!〜広域品川圏を都市生活のイノベーションが生まれる先進エリアへ〜」

再開発が進行しているエリアは、港区浜松町二丁目の一部地域(下図参照)であり、施行者は、「浜松町二丁目地区市街地再開発組合」となっている。また、参加組合員として、株式会社世界貿易センタービルディング、鹿島建設株式会社、東京モノレール株式会社および東日本旅客鉄道株式会社が参画している。なお、この市街地再開発事業は、浜松町駅西口開発計画の一部(C地区)であり、再開発事業以外にも世界貿易センタービルディングの建替えやモノレール浜松町駅舎の建替え・改良工事も進められている。

広域品川圏(Greater Shinagawa)のイメージ ※出典:東日本旅客鉄道株式会社(2026年2月19日)「Greater Shinagawa 広域品川圏の共創まちづくり 2026年3月28日 本格始動!〜広域品川圏を都市生活のイノベーションが生まれる先進エリアへ〜」浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業の位置 ※出典:株式会社世界貿易センタービルディング(2024年7月)『浜松町が日本と世界をつなぐ“一歩目“に。世界貿易センタービルディング建替えプロジェクト2027年より順次開業へ 〜浜松町の地に宿るおもてなしの精神を継承し、世界とつないでいく〜』
広域品川圏(Greater Shinagawa)のイメージ ※出典:東日本旅客鉄道株式会社(2026年2月19日)「Greater Shinagawa 広域品川圏の共創まちづくり 2026年3月28日 本格始動!〜広域品川圏を都市生活のイノベーションが生まれる先進エリアへ〜」

再開発の背景と手続きの経緯

「浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業」が行われるに至った背景には、東京の都市政策と大きく関連している。浜松町は東京都が策定する都市計画区域マスタープラン(東京23区で構成される都市計画区域内の基本の方針)において、「活力とにぎわいの拠点」として位置付けられ、東京モノレール浜松町駅の改良をはじめとした交通の要所としての機能向上の役割を担っている。また、港区の都市計画マスタープラン(港区内の都市計画の基本的な方針)においても、「多様な商業・業務機能の集積による活力とにぎわいのあるまちづくりの推進」や「様々な人々が住み続けられる多様な住宅との共存」などの方針が掲げられており、都内の重要な都市拠点の一つとして積極的なまちづくりが求められていた。
このため、今回の再開発エリアを含む西口では、2013年には、利便性の高い国際的な拠点となる複合市街地形成などを目指す地区計画(都市計画ツールの一つ。きめ細やかなまちづくりのルールが定められる)が港区により指定されている。

その実現策の一つとして、細分化された敷地の再編と駅前拠点の再編手法として、市街地再開発事業や、都市再生特別地区(都市計画ツールの一つ。容積率制限の大幅な緩和など国による積極的なサポートを受けられる)などを活用した都市計画が段階的に実施されてきた。そして、その一翼を担う、「浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業」のエリアでは、2012年には再開発準備組合が設立され、その後、2017年には都市計画決定、翌年となる2018年には東京都から再開発組合の設立認可を受けている。また、2021年3月には、建築工事に着工し、第一期となる共同住宅・事務所等(ワールドタワーレジデンス)については、2025年3月から入居が開始された。

ワールドタワーレジデンス ※2026年2月下旬撮影ワールドタワーレジデンス ※2026年2月下旬撮影

<浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業のこれまでの主な経緯>
・2012年11月:浜松町二丁目C地区再開発準備組合設立
・2017年1月:浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業の都市計画決定
・2018年11月:浜松町二丁目地区市街地再開発組合の設立認可
・2021年3月:建築着工
・2024年11月:第一期工事竣工(共同住宅・事務所等)
・2025年3月:「WORLD TOWER RESIDENCE(ワールドタワーレジデンス)」 入居開始

建築計画の概要:住宅・事務所・文化施設・店舗の導入内容

「浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業」では、高層部である分譲マンションについては2024年11月に竣工し、2025年3月に入居が開始されている。これに加えて、市街地再開発事業では、低層部の主要となる公共公益(文化芸術ホール)や店舗機能が整備される。なお、文化芸術ホールについては、港区から「港区立みなと芸術センター m~m(むーむ)」として、2027年11月に開館することが正式リリースされている。当該芸術センターは、約600席の劇場(演劇、ミュージカル、音楽コンサート等)をはじめ、スタジオやコモンスペース等で構成される。

事業計画に記載される総事業費は約629億円、建築工事期間としては、2027年5月に竣工が予定されている。

建築中の低層部(文化芸術ホール等) ※2026年2月下旬撮影建築中の低層部(文化芸術ホール等) ※2026年2月下旬撮影

<建物全体の概要>
・敷地面積:約5,890m2
・建築面積:約4,520m2
・延べ面積:約74,860m2(容積率算定対象の延べ面積:約52,920m2)
・建蔽率:約77%
・容積率:約899%
・用途:住宅、事務所、文化芸術ホール、地下鉄施設、店舗等
・住宅戸数:389戸
・構造規模:鉄骨造、鉄筋コンクリート造、地下2階地上46階建て、高さ約185m
・設計者:鹿島建設株式会社一級建築士事務所
・施工者:鹿島建設株式会社東京建築支店
・建築着工:2021年3月
・竣工予定日:2027年5月
※出典:浜松町二丁目地区市街地再開発組合「浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業 事業計画書」、現地設置の建築計画標識(東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例第5条第1項の規定による標識の現地確認は2026年2月下旬)

<WORLD TOWER RESIDENCE(ワールドタワーレジデンス)の概要>
・住戸専有面積:40.15 〜148.21m2
・間取り:1LDK〜3LDK
 ※事業計画上の間取り別戸数:2LDK〜3LDK333戸、1LDK56戸
・総戸数:389戸

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隣接するA街区の建築計画:WORLD TRADE CENTER BUILDING建替えとターミナル機能の更新

今回、市街地再開発事業エリアに隣接している「A街区」の概要は次のとおり。
<A棟>
・敷地面積:約15,726m2
・建築面積:約14,425m2
・延べ面積:約300,722m2
・用途:事務所、ホテル、店舗、駐車場、地域冷房等
・構造:鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造
・規模:地下3階・地上46階建て、高さ約234m
・設計者:鹿島建設株式会社一級建築士事務所
・施工者:鹿島建設株式会社東京建築支店
・建築着工:2017年9月
・竣工予定日:2027年3月
※現地設置の建築計画標識(東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例第5条第1項の規定による標識の現地確認は2026年2月下旬)

<TM(ターミナル)棟>
・敷地面積:約5,280m2
・建築面積:約3,444m2
・延べ面積:約10,359m2
・用途:駅舎、店舗、駐車場
・構造規模:鉄骨造・鉄筋コンクリート造、地上5階建て、高さ約32m
・設計者:株式会社JR東日本建築設計
・施工者:鹿島建設株式会社東京建築支店
・建築着工:2025年1月
・竣工予定日:2029年12月
※現地設置の建築計画標識(東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例第5条第1項の規定による標識の現地確認は2026年2月下旬)

A街区(北側) ※2026年2月下旬撮影A街区(北側) ※2026年2月下旬撮影
A街区(北側) ※2026年2月下旬撮影A街区(南側)・TM棟 ※2026年2月下旬撮影

再開発事業のスケジュール

改めて、今回の市街地再開発事業については、高層部は2024年11月竣工、低層部を含めた全体竣工は2027年度が予定されている。また、一体的な再開発が行われている隣接するA街区については、本館棟については2027年3月、ターミナル棟については2029年12月が予定されている。さらに、東京モノレール浜松町駅舎についても2029年度の全体開業が予定されている。このため、全体としては2029年度頃まで段階的に整備が進む見込みだ。

また、市街地再開発事業のうち公益施設の中核となる「文化芸術ホール」については、愛称が「m~m(むーむ)」に決定されており、開業も2027年11月であることが決定されている。

文化芸術ホール、シアター部(音楽コンサート利用時)のイメージ ※出典:港区立みなと芸術センターm~m(むーむ)公式サイト(https://www.minatoartscenter.jp/about/#overview)文化芸術ホール、シアター部(音楽コンサート利用時)のイメージ ※出典:港区立みなと芸術センターm~m(むーむ)公式サイト(https://www.minatoartscenter.jp/about/#overview)

防災・居住環境と留意点:高潮・津波想定と交通利便

再開発が行われている場所は沿岸部であるため、特に高潮浸水には注意が必要となる。高潮とは、台風や発達した低気圧の接近に伴い、気圧低下による海面の吸い上げと強風により海面が上昇する現象をいい、東京では過去に何度も被害を受けている。このため港区が策定している「高潮浸水ハザードマップ」では、再開発エリアについても浸水恐れがあるとしている。

また、同様に「津波ハザードマップ」や「(河川洪水)浸水ハザードマップ」でも一部浸水することが想定されている。居住・就業にあたっては、想定浸水深や避難先、施設の浸水対策の考え方を確認しておきたい。

津波ハザードマップ(抜粋) ※出典:港区(2024年3月)「港区津波ハザードマップ」津波ハザードマップ(抜粋) ※出典:港区(2024年3月)「港区津波ハザードマップ」

一方で環境面では、都心3区の一等地にありながらも、周辺には「芝公園」や「旧芝離宮恩賜庭園」、「浜離宮恩賜庭園」が位置しており、緑地環境面でも充実している。加えて、沿岸部は東京港に面しているのも特徴であり、水緑両面に恵まれている。

さらに、公共交通としては、JR山手線、JR京浜東北線、都営大江戸線、都営浅草線、東京モノレールの合計5路線を利用できる。このため、東西南北いずれにもアクセス性に優れているエリアである。

まとめ

今回は、港区浜松町二丁目で建築工事が進められている「浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業」を紹介した。当該地では、浜松町駅西口地区で行われている再開発の一つとして、分譲マンションや公共施設(文化芸術ホール)、店舗等が整備され、このうち、住宅については2025年3月に入居が開始されている。残りの公共施設や店舗は2027年度の完了が予定されている。

また、隣接する街区(浜松町駅よりのA街区)でも一体的な再開発として事業が進められており、世界貿易センタービルディングや東京モノレール駅舎の建替え等が段階的に進められている。全体の竣工は2029年度頃まで段階的に進む見込みだが、先行して今回の市街地再開発事業と世界貿易センタービルディングの主要部分は2027年の完了が予定されている。JR浜松町駅周辺の動線や街並みは、2027年度にかけて変化が表面化していくだろう。

東京モノレール浜松町駅完成イメージ ※出典:東京モノレール株式会社東京モノレール浜松町駅完成イメージ ※出典:東京モノレール株式会社