池袋駅周辺の再開発マップ
下図は、豊島区が公式ホームページ上で公表している市街地再開発事業等のエリアを示したものである。図面で示されているように池袋駅東口や東池袋駅周辺では、複数の市街地再開発事業や駅前広場等の公共施設の再整備に向けた検討が進められている。今回紹介する「南池袋二丁目C地区」の市街地再開発事業についても、同様にこの地図に事業地として記載されている。
なぜ、池袋駅周辺では活発な再開発が進められているのか
池袋駅周辺において市街地再開発が積極的に進められるようになった背景には、2015年7月、国から指定を受けた「特定都市再生緊急整備地域(根拠法:都市再生特別措置法)」の存在がある。ただし、池袋駅東口においては、この特定地域の指定以前からも、1978年に竣工したサンシャイン60ビルをはじめ、その周辺では市街地再開発は進められてきたが、より積極的な姿勢に転換したのは同地域の指定によるところが大きいといえる。
当該特定地域の目的の一つは、都市の国際競争力の強化にある。「池袋駅周辺地域」は、全国に15ある特定地域の一つである。都内における特定地域は、「池袋駅周辺地域」のほかに、「東京都心・臨海地域」、「品川駅・田町駅周辺地域」、「新宿駅周辺地域」および「渋谷駅周辺地域」である。
特定地域では、都市計画決定手続きの円滑化(国主導)や容積率制限の緩和等の法制上の支援措置などに加え、財政支援や金融支援、税制支援を受けることが可能となっており、積極的な市街地更新を進めるための下地が整っている。実際、今回紹介している市街地再開発事業においても、公共空地の確保、ならびに高度利用を図るため、容積率(容積率=延べ面積/敷地面積、延べ面積は容積率対象の延べ面積であり全体の延べ面積ではない)の最高限度が300%および約800%に緩和されている。
また、東京都が作成する東京都市計画(特別区が該当)内の都市計画の方針(東京都市計画区域マスタープラン)において、池袋駅周辺は新宿や渋谷などと並ぶ中核的な拠点に位置づけられている。併せて、駅周辺の公共施設の再整備や商業・業務機能、国際的な芸術・文化(国際アート・カルチャー)機能などを集積させ、集客力の高い中核的な拠点の形成を図ることが掲げられている。さらに、豊島区が作成する「豊島区都市づくりビジョン」では、池袋駅および東池袋駅周辺を、相互に連携して池袋副都心を形成する「核」と位置づけている。
首都機能の一翼を担う、商業や業務、芸術、文化、娯楽などの多様な都市機能の集積により、国内外の人々から選ばれる国際性の高い拠点を形成する方針だ。特に本再開発エリアでは、「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」に基づく街並み再生地区にも指定されており、地域的な拠点形成が求められている。 このように池袋駅周辺では、官民が連携して市街地の更新を図りながら、国際競争力の高い都市づくりを進める取り組みが行われている。
南池袋二丁目C地区の再開発概要
今回紹介している「南池袋二丁目C地区第一種市街地再開発事業」も同様に、東京都や豊島区が作成する都市計画の方針に基づき、国際性の高い拠点形成の一翼を担う都市再生プロジェクトとして進められる。
計画地は、池袋駅から東南に約750mのエリアに位置し、東京メトロ有楽町線東池袋駅に隣接している。また、東京メトロ副都心線雑司が谷駅および都電荒川線都電雑司ヶ谷停留場にも近接している。JR線や東武鉄道をはじめとした多数の路線が乗り入れる池袋駅から徒歩圏内であることや、東池袋駅に直結する計画であることから、交通利便性が極めて高いエリアでの事業となる。
【これまでの経緯と事業前の課題】
2016年3月に再開発準備組合が設立、2018年6月には再開発に必要な都市計画が決定された。2020年3月には再開発組合が東京都より認可を受け、2022年10月には北街区で着工した(南街区については2023年5月に着工)。
事業着手前の地区現況としては、住宅系用途が約85%を占めていたが、その中には小規模な敷地や築30年以上経過した老朽化建物が約60%存在しており、防災・防犯面での課題を抱えていた。また、地区内の道路幅員が狭く、歩道や広場といったインフラが未整備であったため、これらを解消し、防災機能を強化することが事業の大きな目的の一つとなっている。
【全体概要】
本再開発の最大の特徴は、豊島区最大級となる総戸数約1,500戸に及ぶ超高層ツインタワーに加え、地下部分では東池袋駅に連絡するとともに、公共施設(豊島区保健所)や店舗、事務所などが整備される点にある。また、保健所のメインエントランスは将来的には豊島区本庁舎方面の歩道橋と接続される計画となっている。
本再開発では、約1.7ヘクタールの施行地区を南北2つの街区に分けて事業が進められる。北街区には、主に住宅、公共公益施設、事務所、店舗等で構成される高さ約190m(地上52階)の超高層建築物が建築される。南街区も同様に、主に住宅、文化・交流施設、店舗、子育て支援施設等で構成され、高さ約182m(地上47階)の超高層建築物が建築される。両棟は歩行者デッキ等で結ばれ、回遊性の高い空間が形成される予定となっている。
【住宅戸数】
住宅戸数は、総戸数が1,498戸(区分所有)となる。住宅面積と戸数等の内訳は次のとおり。
・30m2/戸以上55m2/戸未満:約271戸
・55m2/戸以上75m2/戸未満:約663戸
・75m2/戸以上 :約564戸
合計:約1,498戸、戸当たり床面積:平均68.1m2
(注)住戸数等は事業計画書記載内容に基づく。
【竣工予定】
豊島区によると施設建築物の竣工は、北街区が2026年3月、南街区が2027年5月を予定している。
計画建築物の概要(北街区)
北街区の建築概要は次のとおり。
・敷地面積:約8,761m2
・建築面積:約5,397m2
・延べ面積:約112,130m2(容積率計算対象延べ面積:約69,940m2)
・容積率 :約798.0%
・構造規模:鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、地下2階・地上52階建て
・高さ :約190m
・建物用途:住宅、公共公益施設、事務所、店舗、子育て支援施設等
・駐車台数:348台(タワーパーキング含む)
・駐輪台数:1,331台
・設計者 :INA・清水・前田設計共同企業体
・施工者 :清水・前田建設共同企業体
※出典:豊島区公式サイト、事業計画書(2025年10月)、東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例第5条第1項の規定により現地に設置された標識板
【住宅部分の概要】
・物件名称:グランドシティタワー池袋
・総戸数 :878戸(非分譲住戸105戸含む)
・専有面積:45.44m2〜104.03m2
・入居(引渡予定日):2027年1月下旬
・分譲後の権利形態:建物(専有部分)は、区分所有権、建物(共用部分)は権利変換計画に基づく持分割合による所有権の共有、土地は権利変換計画に基づく持分割合による所有権の共有
※出典:https://www.sumitomo-rd-mansion.jp/shuto/gctikebukuro/(最終閲覧:2025年12月22日)
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計画建築物の概要(南街区)
南街区の建築概要は次のとおり。
・敷地面積:約6,305m2
・建築面積:約3,111m2
・延べ面積:約75,210m2(容積率計算対象延べ面積:約50,440m2)
・容積率 :約799.8%
・構造規模:鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、地下2階・地上47階建て
・高さ :約182m
・建物用途:住宅、文化・交流施設、子育て支援施設、店舗等
・駐車台数:198台(タワーパーキング含む)
・駐輪台数:1,010台
・設計者 :INA・清水・前田設計共同企業体
・施工者 :清水・前田建設共同企業体
※出典:豊島区公式サイト、事業計画書(2025年10月)、東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例第5条第1項の規定により現地に設置された標識板
【住宅部分の概要】
・物件名称:プラウドタワー池袋
・総戸数 :620戸(非分譲住戸82戸含む)
・専有面積:31.24m2〜143.76m2
・入居(引渡予定日):2027年6月下旬
・分譲後の権利形態:敷地および建物共用部分は、権利変換計画に基づく持分割合による所有権の共有、建物専有部分は、区分所有権 ※出典:公式サイト等に基づく
※出典:https://www.proud-web.jp/mansion/a115930/(最終閲覧:2025年12月22日)
【LIFULL HOME'S】プラウドタワー池袋 の物件情報(価格・間取り等)
再開発による都市機能の更新と街並みの変化
本事業の完了により、南池袋エリアの都市機能と景観は物理的に更新される。まず、スカイラインの刷新である。再開発概要で述べたことと一部で重複するが、北街区には地上52階、南街区には地上47階の超高層ツインタワーが建設され、隣接するサンシャイン60ビルやアウルタワー(東池袋四丁目第2地区第一種市街地再開発事業)と連続する高層ビル群が形成される。
これにより、かつての老朽建物が占め一部で木造密集であった地域は、高度利用された都市空間へと転換される。機能面においては、都市計画上の目標の一つである「シビックコア」の形成が具現化する。施設建築物の低層部(1〜3階付近)には、商業機能に加え、豊島区の保健所機能や子育て支援施設などの公共公益施設が整備される。これにより、隣接するとしまエコミューゼタウンと連携した行政サービスの集約拠点が誕生する。
加えて、動線計画における最大の変化は、地下ネットワークの拡張である。現在、東池袋駅から区役所まで供用されている地下通路が、本地区まで延伸・接続される。これにより、同駅・区役所・保健所・居住棟が天候に左右されないバリアフリー動線で結ばれる。さらに、地下2階には約450m2の「地下広場」が整備される。
また、地上レベルでは敷地外周の区画道路が幅員9mに拡幅整備されるとともに、電線共同溝の設置による無電柱化が実施されることで、防災機能と歩行環境が向上する。
さらに、敷地内には有効空地率約42.9%(敷地面積に対するもので、「屋上緑化を除く有効空地/敷地面積」により算出)に及ぶオープンスペースが確保され地域の緑の拠点となることが考えられる。加えて、北側の「おもてなしの広場(地区広場1:約530m2)」には区の花であるツツジやハナミズキが、中央の「暮らしの広場(地区広場2:約300m2)」にはソメイヨシノ等の高木が植樹される。これらは近接する雑司ヶ谷霊園の緑と連続する「グリーンネットワーク」を構築し、開放的で歩きやすい街並みを生み出すことになる。




















