「水都・大阪」のシンボル中之島
大阪・中之島エリアは、大阪市北区の堂島川と土佐堀川という2つの川に挟まれた、東西約3kmに及ぶ細長い中州のエリアを指す。「水都・大阪」のシンボルともいえるこのエリアは、大阪市役所や日本銀行大阪支店などが立ち並ぶ、まさに大阪の行政や経済の中心地である。街並みは、歴史を感じさせる趣のある建築物と、現代的な高層ビルが調和して、歩くだけで独特の風情を感じさせる。
中之島が持つ顔はビジネス街だけではない。中之島の東側には、赤レンガが美しい国の重要文化財「大阪市中央公会堂」や、水と緑に囲まれた「中之島公園」が広がり、都心のオアシスとして親しまれている。休日には芝生でくつろぐ人や川沿いを散策する人々で賑わいを見せている。
中之島の中央エリアに目を向けると、高さ200m級のツインタワー「中之島フェスティバルシティ」が圧倒的な存在感を放っている。ここにはオフィスや商業施設に加え、美術館やフェスティバルホールなどの文化施設も集積している。さらに2022年に大阪中之島美術館、2024年に未来医療国際拠点であるNakanoshima Qross(中之島クロス)が開館し、隣接する国立国際美術館とともに、大阪を代表する文化ゾーンとしての魅力も高まっている。
このように「働く」だけでなく、「楽しむ・くつろぐ」場所としての機能も兼ね備えた中之島だが、これまではあくまで仕事や遊びで「通う場所」という側面が強かった。夜になれば人の気配が減り、定住する場所というイメージは薄かったのが実情である。
しかし近年、その姿は大きく変わろうとしている。西部エリアを中心に進む大規模な再開発により、中之島は「住む街」としての新たな取り組みが始まっているのだ。
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なにわ筋線新駅と連動する中之島の大規模再開発
大阪駅周辺(梅田エリア)から中之島、御堂筋にかけての一帯は、国の「特定都市再生緊急整備地域」に指定されており、うめきた2期などのプロジェクトと連動して、街全体を大きく作り変える動きが進んでいる。その中で中之島は、エリアごとに役割を分担しながら、新しい街へと生まれ変わりつつある。
2017年に完成した中之島フェスティバルシティや美術館のあるエリアが「文化とビジネス」の顔を持つのに対し、今大きく変わろうとしているのが西側の中之島5丁目エリアだ。ここでは、これまでオフィスビルが中心だった中之島に、数千人規模の人々が暮らすタワーマンション開発が計画されている。
定住する人が増えれば、街に求められる機能も変わってくるだろう。これまで中之島エリアに少なかったスーパーやクリニックなどの生活利便施設の誘致が進めば、暮らしやすさは格段に向上するはずだ。昼間だけでなく夜も明かりが灯る、活気ある「住む街」としての一面が加わることになる。
この変化を支える重要な要素が、2031年を予定している「なにわ筋線」開業による新駅の整備だ。これまでの中之島西部エリアは、交通アクセスが便利とは言えなかったが、なにわ筋線の新駅「(仮称)中之島駅」ができれば、状況は一変する。関西国際空港や新大阪駅、梅田エリアへのアクセスが劇的に改善されるためだ。
現地ではすでに新駅建設に向けた動きが活発化しており、大型クレーンが立ち並ぶ様子が見て取れる。交通の不便さが解消され、生活機能が整うことで、中之島は名実ともに大阪を代表する街へと進化していくだろう。
中之島五丁目地区で進む国際的な拠点づくり
中之島西部のまちづくりの中心となるのが、約7.7ヘクタールという広大なエリアで進む「中之島五丁目地区土地区画整理事業」だ。このプロジェクトは、これまで十分に活用されていなかった土地を整理し、なにわ筋線新駅を中心とした新しい街をつくることを目的としている。
計画図を見ると、エリアはA・B・Cの3つに分けられていることがわかる。中でも注目なのが、新駅に最も近い場所に位置するA地区だ。
A地区の南側には、地上52階・高さ約197mの「(仮称)大阪市北区中之島5丁目計画」と、地上57階・高さ約205mの「(仮称)中之島五丁目3番地計画」という、2棟の巨大なタワーマンションが並び立つ計画となっている。これらを合わせると数千人が暮らす規模となり、都心の真ん中に、巨大な居住ゾーンが誕生することになる。一方、A地区の北側には、オフィスとホテルが入る複合ビルの建設が予定されている。詳細はまだ発表されていないが、新駅の目の前という立地を活かし、ビジネスや観光の新しい拠点になることが期待されている。
B・C地区では、既存のグランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)などのMICE機能を活用しながら、A地区と連携して街全体の機能を高めていく方針だ。
この土地区画整理事業が進むことで、中之島に住む人が増えるだけでなく、国際会議や医療・教育の現場として、国内外から多くの人々が集まるようになるだろう。A地区北側の開発詳細も含め、引き続きこの事業の動向に注目していきたい。
中之島の対岸・福島区で進むタワーマンション開発
中之島の再開発とあわせて、堂島川の対岸にある福島区でもタワーマンションの建設が続いている。
まず、川沿いの新たなランドマークとして2025年12月に完成したのが「シエリアタワー中之島」だ。マンションの概要は以下のとおりだ。
・築年月:2025年12月
・敷地面積:2,972.83m2
・総戸数:364戸
・階数:地上46階
・高さ:約154m
シエリアタワー中之島は、堂島川沿いに建てられており、中之島の美しい景色を日常的に楽しめる点が大きな魅力となっている。
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さらに、歴史ある場所でもマンション計画が進んでいる。「旧・莫大小(メリヤス)会館」の跡地では、「(仮称)福島3丁目PJ」として、地上45階・高さ約161mのタワーマンションプロジェクトが進行中だ。2030年の工事完了予定で、地域の記憶を残しながら新しい暮らしの場が生まれようとしている。
福島区北側の鷺洲エリアでも、大規模なプロジェクトが動いている。阪神百貨店野田配送センターと関西スーパー福島店の跡地に「(仮称)大阪市福島区鷺洲1丁目分譲計画」が進んでおり、地上51階・高さ約180mという規模で、こちらも2030年の完成を目指している。
福島区は中之島と梅田エリアに隣接している立地であることから、居住者は職住近接によるライフスタイルの質の向上が期待できる。都心のオフィスへ徒歩や自転車で通えるため、通勤ストレスから解放された、利便性の高いエリアとして人気を集めることだろう。
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中之島の再開発が直面する課題と展望
数々のプロジェクトが進む中之島エリアは、2030年前後を一つの節目として大きく変化していく。
2030年頃には地上52階建ての「(仮称)大阪市北区中之島5丁目計画」が竣工し、続く2032年には地上57階建てで1,000戸を超える「(仮称)中之島五丁目3番地計画」が完成する予定だ。これらを合わせると、2032年までに中之島全体で1,500戸以上もの住戸が供給されることになる。同時期には「なにわ筋線」の(仮称)中之島駅も開業を迎え、交通、住まい、ビジネス、医療、国際会議場などの機能が揃った、新しい街がいよいよ完成の時を迎える。
しかし、急速な街の発展には課題も伴う。まず懸念されるのが、マンション価格の高騰だ。利便性の向上とともに資産価値が上がる一方で、購入のハードルが高くなりすぎる恐れがある。
さらに、「水都」と呼ばれる中之島にとって、災害リスクも念頭に置いておかなければならない。特に水害対策は重要であり、防堤の整備や建物の浸水対策など、ハード面での安全確保は欠かせないだろう。また、これまで中之島はオフィス街だったため、学校や公園といった子育て環境や、スーパーなどの生活に必要なインフラが十分ではないという側面もある。定住人口が急増する中で、こうした生活基盤をいかに整備していくかが、本当に「住みやすい街」になれるかの分かれ目になるはずだ。
これらの課題を乗り越えて、中之島が世界に誇れる街になれるのか。これからのまちづくりの行方に目が離せない。















