札幌駅周辺で一大プロジェクトが進行中
現在札幌市では、JR札幌駅や大通公園の周辺で数々の再開発プロジェクトが進行している。エスタ跡地にJRの駅ビルとなる高層ビル、札幌西武跡地にヨドバシカメラなどが入る高層ビル、4丁目プラザ(4プラ)やピヴォ、ススキノラフィラの跡地にも商業施設が展開される予定だ。
プロジェクトが次々に進むなか、2023年7月20日には狸小路で複合施設「モユクサッポロ」がオープンした。狸小路、地下街、駅前通りの3つと直結する好アクセスな施設である。モユクサッポロ内の都市型水族館「AOAO SAPPORO」ではペンギンや魚を眺めながら、ゆったりと過ごせると札幌市民の間でも話題になっている。
2023年11月30日にはススキノラフィラ跡地に「COCONO SUSUKINO(ココノススキノ)」が開業予定だ。ココノススキノには東急ホテルズ&リゾーツ株式会社による「SAPPORO STREAM HOTEL」、TOHOシネマズ株式会社によるシネマコンプレックス、株式会社GENDA GiGO Entertainmentによるアミューズメント施設など、すすきのの最大の魅力である遊び心を忘れていない。
従来のビルは老朽化が進み、現行の耐震基準を満たしていないビルもあった。再開発によって安全性の高いビルが建設されるのはもちろん、札幌市民や観光客にとって新たなにぎわいと憩いの場が増えるのはうれしいことだ。
今回は札幌駅周辺の再開発プロジェクトのなかでも、2023年8月31日に閉店したエスタ跡地の工事内容に焦点を当てていきたい。
世界へつながる"さっぽろ"の新たな顔づくり
札幌駅南口の商業施設「エスタ」は再開発に伴い2023年8月31日に、札幌市民に惜しまれつつも閉館した。エスタ跡地(北5西2)と札幌駅東側にある青空駐車場(北5西1)に、商業施設やホテル、オフィス、開業予定の北海道新幹線駅舎への入り口などを含んだ複合施設が建設される予定だ。
再開発に向け「札幌駅交流拠点北5西1・西2地区市街地再開発組合」が設立。「世界へつながるさっぽろの新たな顔づくり」を開発コンセプトに掲げている。
札幌駅周辺の公共交通機関の乗換利便性向上や札幌の玄関口にふさわしいデザインにより、国内外からの来街者や市民が交流する交通結節点を形成することを目指す。そのため、道路上空を活用し、2街区を一体に開発。パブリックスペースや歩行者ネットワークの整備などを計画している。
北5西1・西2地区に建設される新ビルは、高さ173mのJRタワーを大きく上回る地上43階建て(高さ約245m)で、道内一の高さとなる。当初は2023年度に着工し、2028年度の竣工をめざしていたが、北海道建設新聞社によると現在は2026年度の着工に向けて調整しているという。
新ビルの内部フロアの魅力
北5西1・西2地区の再開発ビルにはホテルやオフィス、商業施設のほか、バスターミナルも入るほか、2つの街区を貫きメインストリートとなる2階貫通通路、シンボル性を高める展望施設やスカイガーデンも設置される。
また、新幹線駅直結施設としての立地特性を生かし、札幌の魅力を発信する3つの交流拠点「新幹線アトリウム(仮称)」「駅前広場アトリウム(仮称)」「バスターミナル待合アトリウム(仮称)」も設ける予定だ。アトリウムはガラス張りで採光が確保され、重層的かつバリアフリーな歩行者ネットワークになっている。公共交通の利便性向上を念頭にした街づくりを行い、歩行者にやさしい持続可能な社会の実現に貢献するとしている。
なお商業施設は、来街者に北海道の魅力を発信するため地域資源や食文化の発信、時間滞在型やコスト消費型の機能導入、また、インバウンド対応などの機能を備える計画だ。
2030年冬季五輪招致を断念。再開発計画も見直しに
札幌駅周辺の再開発は、2030年の冬季五輪・パラ五輪の招致と北海道新幹線の札幌延伸、施設の老朽化などを見据えて計画が進められていた。しかし、再開発が加速する1つの要因であった2030年冬季五輪・パラ五輪招致は、2023年10月11日に正式に招致の断念が発表され、今後は2034年以降の開催の可能性を探っていくと語られた。
これにより、建設工事の遅れがかねてより指摘されていた新幹線延伸についても、2030年度末までの開業を急ぐ必要はなくなったといえ、開業が延期される方向だという報道もされている。
札幌市中心部にあるビルは1972年の札幌五輪前後に建設されたものが多く、築年数は50年ほど経っているため建て替えの時期としては適切である。しかし、2030年の完成を見越して話が進められてきた再開発は、これらの理由により、腰を据えて計画を見直す動きも出ている。北5西1・西2地区についても、当初計画より建設費に数百億円の上振れが生じているため、施設規模と工期の見直しに入ったという。工期にゆとりを持たせてコストを抑える話もあり、完成時期は現在調整中のようだ。
道内一を誇るはずだった地上43階建ての高さも縮小する案が浮上しているとみられる。閉館したエスタの解体スケジュールも見直しが検討され、2024年を予定していた作業の開始は、2025年に延びる可能性がある。
札幌駅の新しい玄関口に期待
冬季五輪招致を断念したものの、中長期的な経済見通しを考えると、再開発プロジェクトと新幹線開業の相乗効果により得られる北海道経済の安定と成長は大きいだろう。
いずれにせよ、北5西1・西2地区の再開発ビルの着工が先送りとなれば、新たな選択肢を考える時間が与えられることになる。規模縮小が決定された場合でも、札幌駅前のシンボルとして国内外からの来街者や市民が交流する新しい玄関口となることを期待したい。
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