AQ Group(旧 アキュラホーム)と日本女子大学が共同で住空間の機能についての調査を実施
住宅は建てて終わり、ではない。ライフステージやライフスタイルの変化によって、暮らし方や住まい方は変わってくるものだ。株式会社AQ Group(旧:株式会社アキュラホーム)の社内研究所である住生活研究所と、住居学・生活学の視点で研究を行う日本女子大学 家政学部住居学科の定行研究室は、入居後の住まい方についての共同研究を実施した。
研究の目的としては、ライフステージによる住みこなし実態を把握し、変化するライフステージに柔軟に対応できる住宅の要素を抽出すること。また、コロナウイルス感染拡大による住宅の使われ方及び生活の変化、変化に対する住環境整備の実態について明らかにすること。まず、子どもの成長と居場所に関してみていこう。(社名表記は2022年8月時点のもの)
【調査概要】
調査方法:〈アンケート調査〉入居者宅に訪問し、QRコード付き調査依頼文書を配布。QRコードよりWEBアンケートに回答。高齢者などWEBアンケートが不可の場合は、紙面でのアンケートを実施。〈聞き取り調査〉Zoomを使用し、インタビュー形式で調査を実施 / 内容:住空間の使い方、コロナ禍の影響、ライフステージの変化による住空間の使い方の変化等 / 対象:2011年・2016年にアキュラホームで建築した2525世帯(聞き取り調査は内145世帯) / 実施時期:2021年9月17日~12月9日 / 回答数:有効回答数1716件
LDKは小学生までは見守り、一緒に過ごす場
最近の間取りでは、LDKがひとつの空間としてプランニングされるケースも多く、明るく開放的なスペースづくりが主流となっている。そんなLDKでは、どのような過ごし方をしているのだろうか。
調査によると、LDKの過ごし方として、末子が小学生(4-6年)までの世帯は「おもちゃ等で遊ぶ」、「絵本、本を読む」、「勉強をする」などが多くみられる。また、親(妻)が在宅勤務の場合、仕事をするのは「ダイニングテーブル」「ダイニングやリビングの一角」とする割合が高いことから、LDKは子どもの見守りや共に過ごす場としての用途で用いられているようだ。
一方、中高生になると、LDKは「スマートフォン等の操作」「新聞、雑誌を読む」「昼寝をする」などくつろぎの場として用いられており、勉強する割合は低くなっている。
中学生になると子ども部屋は、集中して作業する場
間取りを検討する際に、どのような子ども部屋を設けるべきか、そもそも子ども部屋が必要なのか、あれこれ悩む方も多いだろう。子どもの年齢や性別、教育方針、もちろん間取りの制約などによっても異なるが、調査によると、子どもがいる世帯では、子どもが未就学児でも約7割の世帯が子ども部屋を設けているという結果。小学校入学から高校卒業までの世帯では約9割が設置していると回答している。
子ども部屋を「集中して作業する場」として、いわゆるプライベート空間として活用するようになるのは中高生以降のようだ。小学生(4-6年生)では、子ども部屋は「就寝する、昼寝する」の割合が低く、「おもちゃやゲーム等で遊ぶ」割合が高くなっている。幼いうちは親と一緒に就寝することが多く、子ども部屋はプレイルームとなっていることが多いのだろう。
しかし、中高生以降では子ども部屋はプライベートルームとしての役割がメインとなり、「仕事・勉強をする」、「スマートフォン等の操作」、「授業を受ける・会議に参加する」など集中して行う作業などで使用されていることが読み取れる。
成長に合わせ部屋を分割する計画実施は2割以下
間取りを考える際に、家族構成やライフスタイルの変化に合わせられるように、可変性のあるプランとしておくケースもある。特に子ども部屋は設計時に広い空間を確保し、子どもの人数や性別を考慮し、入学など成長に合わせて分割できるようにしておくという方も多いだろう。
調査によると「将来的に一部屋を複数の部屋に分けられるようにした」方は24%。その中で、実際に壁を造作するなどして部屋を分割した方は2割以下だという。分割を予定していたが、子どもが巣立った後の使い方を考慮し、壁ではなく家具などで仕切る場合も。予算的な問題やリフォーム工事のタイミングを逸してしまったというケースもあるだろう。また、計画はしたものの部屋数の変更をしていない方も多く、将来を予測することの難しさが読み取れる。
分割を実施した時期をみてみると、中学入学前後、中学生以降で行うケースが多くみられる。前述のように「集中して作業する場」としての個室が必要となる時期に実施されているようだ。
日本女子大学 定行研究室は、「戸建住宅を建築する半数は親が3,40代、子どもは小学生以下の子育て期となり、子どもの成長による住まい方変化への対応は直近の課題となり計画に反映しやすいといえますが、子どもが巣立った後の生活や、身体機能の低下への対応も視野に入れ、長期居住を可能にする住まいが今、求められています」と話す。
また、アキュラホーム住生活研究所は、「当社が積極的に提案しているスケルトンインフィルについては、子どもの成長に合わせて部屋を仕切るという計画を新築当初に22%の家庭が採用しており、それを実施した人が内2割以下であることから、予算、難易度、時間などがお客様にとっては不透明で、ハードルが高いこともわかりました。今回は、入居後5年、10年での調査結果ですが、今後も引き続き調査を続け、利用状況の経年的変化を把握し、使い勝手も向上させていきたいと考えます」という。
ウィズコロナ時代には、屋外空間のつくりも重要に
調査からは、在宅勤務を経験する人が増えたことで、より質の高い在宅勤務環境を確保するために、さまざまな取り組みを行っていることがわかるという。
最も多かったのは「集中するために一人だけの空間を確保する」こと。子どもが幼い場合は、「ダイニングテーブル」や「ダイニングやリビングの一角」など、LDKで見守りながら仕事をするというケースもみられたが、WEB会議などが日常的になると、一人だけの空間を確保するニーズが高くなってくる。同時に「快適に作業ができるように温度や湿度、風通しを調整する」「生活音が聞こえないようにドアや窓を閉める」など、空間の快適さを求める声も聞かれる。
また、屋外空間のニーズも高まっているようだ。調査からは、庇の有無にかかわらず、仕事のために利用する人の割合が増加しているという。ベランダやデッキなどにパソコンを持ち出し仕事したり、気分転換などに用いていることも考えられるだろう。「コロナ禍による在宅時間の増加を受け、音の問題から屋外空間の有効活用がなされているのではないか」と、アキュラホーム住生活研究所は分析する。
日本女子大学 定行研究室は、「本調査では、戸建住宅ならではの半屋外空間や、屋外空間の活用が明らかとなりました。屋内外ともに、住宅の使い方を固定せず、余白を残し、社会情勢や家族関係の変化に合わせ、居住者が自由に活用できる空間を持ち合わせる住宅が、今後、求められるのではないでしょうか」と話す。
ウィズコロナも含め、ライフスタイルの多様化が進んでいる中、くつろぎの場としてはもちろん、仕事中の気分転換のスペースとして、屋外空間や室内と屋外の中間的な空間が注目されている。ベランダ・バルコニー、ウッドデッキや縁側、テラスやサンルーム、土間スペースなど、さまざまなプランが考えられる。どのようなプランを取り入れるとしても、敷地全体、住まい全体で検討することはもちろん、家族構成やライフスタイル、ライフステージを考慮して検討することが大切だろう。
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![LDK空間では家族が集まる[アキュラホーム 成増展示場]](http://lifull-homes-press.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/press/2023/03/bc2733b5a37a1005201bf63201fbe776-600x450.jpg)




