廃棄パネルの扱い

基本的に太陽光パネルは産業廃棄物として扱われる基本的に太陽光パネルは産業廃棄物として扱われる

自宅の屋根上に太陽光パネルを設置している場合や、個人投資家として太陽光発電所を保有している場合は、売却したり譲渡したりしない限り、いずれは設備を処分しなければならない。突然やってくるかもしれないそのときのために、太陽光パネルの処理方法についてあらかじめしっかり理解しておきたいところだ。

太陽光パネルは原則として産業廃棄物として扱われる。したがって、廃棄する際には法律にのっとり、廃棄物処理会社に依頼しなければならない。ただし、解体工事などを必要としない場合、太陽光パネルは一般廃棄物に該当する。可搬型の太陽光パネルを捨てる際などには、各市町村に問合せてみよう。

環境省では、使用済み太陽光パネルの廃棄方法についての周知を図るべく、「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」を2016年に作成。本記事執筆時点(2022年8月)では第2版が公開されている。太陽光パネルの廃棄に関する詳細な情報が載っているので、確認しておくとよいだろう。

資源エネルギー庁 廃棄等費用積立ガイドライン2022 年4月改定
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/legal/haiki_hiyou.pdf

そもそもどんなときに廃棄する必要があるのか?

住宅用であれ産業用であれ、太陽光発電設備の所有者は一般的に、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)を活用して売電を行っている。FITの売電期間が終わったら廃棄しなければならないと誤解されがちだが、そんなことはない。売電期間満了後も、正常な発電機能を維持していれば、そのまま使用し続けることができる。 では、どんなときに廃棄を検討するべきなのか。大きく分けて以下の3つが考えられる。

・太陽光パネルが故障して発電しなくなったとき
・太陽光パネルが割れたり、水に浸かったりしたとき
・家を取り壊すなどして撤去する必要が生じたとき


太陽光パネルが故障して発電しなくなったとき

1つ目が、故障による交換だ。太陽光パネルは一度壊れてしまうと基本的に修理は難しく、廃棄するしかない。ただし、太陽光発電設備は無音で稼働するため、いつごろから、どの部分が壊れているか分かりにくい。また、すぐに異常に気づいた場合も、太陽光パネルの故障なのか、周辺機器の不具合なのかを判別するには、専用の器具と知識がなければ難しい。それゆえ、発電量の低下に気付いたら、保守・点検の専門会社に一度見てもらうようにしよう。

太陽光パネルの寿命は一概には言えないものの、およそ20年前後と言われている。設置からそれくらい年数がたっていたら、寿命がきた可能性を覚悟しよう。とはいえ、日本で初めて売電が認められた住宅用太陽光発電設備の中には、1992年に稼働し、現在も発電を続けているものもある。

太陽光パネルの故障の有無は判断が難しいため注意しよう太陽光パネルの故障の有無は判断が難しいため注意しよう
太陽光パネルの故障の有無は判断が難しいため注意しよう割れてしまった太陽光パネル。このまま放置するのは危険である

太陽光パネルが割れたり、水に浸かったりしたとき

飛来物によって表面のガラスが割れたり、洪水によって水に浸かったりした太陽光パネルも廃棄の対象だ。こうした太陽光パネルをそのまま放っておくと、火災につながる恐れがあるため、早めに処分すべきである。

家を取り壊すなどして撤去する必要が生じたとき

太陽光パネルが順調に稼働していたとしても、それを設置している家屋自体を取り壊さねばならないときは、先に太陽光パネルを撤去しておく必要がある。しかし、正常に稼働する太陽光パネルを捨ててしまうのはもったいない。このときは売却も選択肢に入れておこう。中古の太陽光パネルを買い取る会社は珍しくなく、売却することで処理にかかる費用が浮くかもしれない。

太陽光パネルの故障の有無は判断が難しいため注意しよう解体工事に伴い、太陽光パネルを取り外さなければならないときもある

専門会社に依頼しよう

太陽光パネルを廃棄する際は、専門会社に依頼しよう太陽光パネルを廃棄する際は、専門会社に依頼しよう

一般住宅に設置された太陽光パネルであれば、屋根に上って取り外し、原状回復までしなければならない。太陽光パネルは重たい上、感電のリスクもあり、屋根上での作業は非常に危険だ。決して自力で取り外そうとはしないように。

それでは、太陽光パネルを撤去したい場合、どこに依頼すればよいのか。まずは太陽光パネルを取り付けてくれた施工会社や、設備を購入した販売会社に連絡してみよう。新築時から太陽光発電を導入していたのであればハウスメーカーに相談するのも手だ。ただ、これらの会社が倒産や廃業をしている可能性も考えられる。また、「廃棄の依頼は受け付けていない」とにべもない対応をされるかもしれない。

相談先の選択肢は他にもある。まず、太陽光パネルメーカーだ。一部メーカーは自社製の太陽光パネルの回収を手がけている。回収を自社で引き受けていない場合にも、自宅近くで廃棄を相談できる会社を紹介してくれるはずだ。太陽光パネルの撤去と同時に家を取り壊すのであれば、解体を依頼する会社に話をしてみるのもよいだろう。

費用の目安

太陽光パネルの廃棄に際して、どの程度の費用がかかるのか。設置場所の状況や依頼先によって解体・撤去にかかる費用は大きく変わってくるため一概には言えないものの、先述の環境省によるガイドラインには、専門会社に実施した撤去費用に関するアンケート調査結果が載っている。

この調査結果によれば、建物解体会社が住宅用太陽光発電設備の解体・撤去の依頼を受けた際に依頼者から受け取った金額の平均は8万9,000円、太陽光発電設備の施工会社に同内容のアンケートを実施したときの平均価格は18万9,000円だ(ただし屋根を元通りにする費用などは入っていないと考えられ、あくまで参考程度としよう)。

設置場所の状況や依頼先によって、解体・撤去にかかる費用は大きく変わってくる設置場所の状況や依頼先によって、解体・撤去にかかる費用は大きく変わってくる

「2032年問題」とは

太陽光パネルを廃棄する際、環境負荷軽減の観点からも、まだ使用可能な太陽光パネルはリユースされるべきだ。再利用が難しい太陽光パネルは、廃棄物処理会社の手で回収され、アルミフレームやガラスなど、リサイクル可能なものは再利用され、その他は埋め立てられる。この循環処理体制の整備が、今後の日本の課題だ。

足元では、廃棄される太陽光パネルの量はそれほど多くない。だが、2032年以降、廃棄量は急激に増大すると考えられている。というのも、2012年に始まったFITの制度枠組みにおいて、出力10㎾以上の太陽光発電の売電期間が20年間と定められており、さらに太陽光パネル自体の寿命がおよそ20年前後であるからだ。環境省は、2032年から数年間のうちに、年間80万t以上の太陽光パネルが廃棄されると推測している。

問題は、20年の間に持ち主が不明になって、取り壊すに壊せない太陽光発電所が現れたり、不法投棄の増加によって有害物質が流出したりすることだ。太陽光パネルの将来的な老朽化に伴うこうした一連の懸念は、「2032年問題」と呼ばれている。 こうした事態の発生を未然に防ぐため、国も対策に乗り出している。その一つが、「廃棄等費用積立制度」だ。

2032年以降大量の廃棄パネルが出てくると言われている2032年以降大量の廃棄パネルが出てくると言われている

始まった「廃棄等費用積立制度」

廃棄等費用積立制度は、稼働から10年が経過した出力10㎾以上の太陽光発電設備を対象に、発電量に応じて廃棄のための費用を自動的に徴収する制度である。例えば、2012年度にFITの認定を受けた太陽光発電設備の積立基準額は、1kWhあたり1.62円となっている。

注目したいのは、出力が10㎾以上であれば地上設置型だけでなく住宅用太陽光発電設備も対象になるという点だ。もちろん、この費用は他の誰でもない発電事業者自身のための積立金となる。長期的に見ればお金が返ってくるものの、制度を知らないでいると売電収入が突然減ったように見えてしまうかもしれない。ただし、審査を通過した発電事業者であれば、内部積立が可能である。積立費用の管理は電力広域的運営推進機関が行う。詳細は資源エネルギー庁が策定する「廃棄等費用積立ガイドライン」に記載されている。

廃棄等費用の想定額<br>
出典:資源エネルギー庁 廃棄等費用積立ガイドライン2022 年4月改定<br>
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/legal/haiki_hiyou.pdf廃棄等費用の想定額
出典:資源エネルギー庁 廃棄等費用積立ガイドライン2022 年4月改定
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/legal/haiki_hiyou.pdf

カーボンニュートラルの社会を目指す上で、太陽光発電のさらなる普及は不可欠だが、そのためには将来的な撤去増加を見据えた官民の準備が欠かせない。太陽光パネルの循環処理体制を確立してはじめて、太陽光発電が本当の意味で持続可能なエネルギーと呼ばれるようになるだろう。

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