2022年現在、太陽光発電設備の導入に際して利用できる「国の補助金」はない
太陽光発電設備は高額であるため、補助金の利用を検討する人は多いだろう。最近では半導体不足の影響により、太陽光発電設備の価格は数年前に比べ上昇しつつある。ただ、2022年現在、太陽光発電設備を設置する際に利用できる国の補助金はない。
太陽光発電の補助金は1994年度にスタートし、2005年度でいったん終了。2009年度に復活するも、2013年度をもって完全に打ち切られてしまった。現在に至るまで、代わりとなる補助金はない。太陽光発電設備の価格が下落したため、役割を終えたと考えられているのである。
太陽光発電設備の設置そのものに対する補助制度はないものの、太陽光発電設備の設置が受給条件の一つになっている補助金や、太陽光発電設備の周辺機器の導入に際して利用可能な補助金がある。本記事では、太陽光発電設備を設置する際などに現在活用できる補助金について紹介する。
太陽光発電設備の設置に関連した制度・補助金
ZEH補助金
住宅を新築する際、ZEH(ゼッチ)化の達成によって1棟あたり55万円の補助金を受け取ることができる。ZEHとは、断熱性能を向上させつつ、省エネルギー設備と再生可能エネルギー設備を導入し、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロの住宅のことだ。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを略してこう呼ばれる。
新築住宅の建設に際し、太陽光発電設備の設置を検討しているのであれば、国のZEH補助金の活用を検討してみるとよいだろう。より高性能の住宅を建設し、「ZEH+(ゼッチプラス)」の認定要件を満たせば補助率はさらに高くなる。
経済産業省 資源エネルギー庁
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について - 省エネ住宅
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/index03.html
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業) は、初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入するPPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)モデルやリースモデルで間接的に利用できるものだ。
リースが毎月一定額をリース会社に支払うというものに対して、PPAは太陽光発電設備で発電した電力の自家消費分の対価を設備の所有者に支払うというもの。つまり、毎月の支払額は電気の使用量によって変動する。リースまたはPPAモデルにおいてこの補助金を適用することによって、毎月の支払額が軽減される。
補助金の受給条件は発電した電力を売電せずに自家消費すること。補助額は、太陽光発電設備は定額4万円/kW、一戸建て住宅で蓄電池をセットにして導入する場合は 7 万円/kWとなっている。2021年度補正予算分の募集はすでに募集を締め切っているが、同補助金は2024年度まで実施予定だ。
【公募のお知らせ】令和3年度補正・令和4年度 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金)
https://www.eic.or.jp/eic/topics/2022/st_r03c/001/
DER補助金
太陽光発電設備とは直接関係ないが、DER補助金(分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業)についても触れておこう。DERとは「Distributed Energy Resources」、すなわち分散型エネルギー資源の略で、複数の蓄電池を同時に制御して、一つの発電所のように機能させる取り組みを意味する。国の実証試験に参加することを条件に、蓄電池やV2H(車から家への給電)機器、燃料電池(エネファーム)、HEMSなどの導入に際して補助金の給付を受けられる。
例えば、蓄電池であれば、補助率は1/3以内、補助金上限額は3.7万円/kWhとなっている。当初予定していた予算額は、募集開始後すぐに満額に達したが、予算額の追加が発表されている。2022年7月5日に申請の受け付けを開始予定だ。
令和4年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業
https://sii.or.jp/DERaggregation04/
自治体の補助金
国の補助金は終了したものの、自治体によっては太陽光発電設備の導入を希望する住民向けに補助金を用意しているところも少なからず存在する。自治体の補助金は大きく都道府県の補助金と市町村の補助金に分かれ、場合によっては同時に取得することも可能である。自治体ごとに利用条件や補助額は異なる。すでに申請受付を終了している自治体もあるため、最新の情報は自宅のある自治体ホームページを確認してほしい。
東京都の補助金(災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業)
東京都は、一定の条件で新築の一般住宅に太陽光設備の設置を義務化する制度整備に向けた準備を進めている。賛否両論があるものの、義務化を打ち出すだけのことはあり、東京都の太陽光発電関連の補助制度は非常に手厚い。
ただし、単に太陽光発電設備を取り付けるだけでは補助金を利用できない。太陽光発電の補助制度は、断熱改修(高断熱窓、高断熱ドア)や蓄電池、ヒートポンプ給湯器(エコキュート及びハイブリッド給湯器)のいずれかを設置した場合に上乗せとして活用できる。
太陽光発電の補助金額は、新築住宅であれば12万円/kW(搭載容量が3kWを超える場合は同10万円、ただし3kW超3.6kW未満の場合は一律36万円)、既存住宅は15万円/kW(搭載容量が3kWを超える場合は同12万円、ただし3kW超3.75kW未満の場合は一律45万円)となっている。蓄電池は、4kW以上の太陽光発電設備と併設する場合、上限1,000万円として、以下の①と②のうち金額の小さい方が補助額となる。
①蓄電池容量10万円/kWh
②太陽光発電設備容量20万円/kW
太陽光発電設備の容量が4kW未満で蓄電池を同時設置する、または蓄電池だけを導入するのであれば、補助額は10万円/kWh、最大80万円/戸である。
東京都の補助金における対象の種類と補助金額出典:東京都ホームページ(令和4年度)災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業
※1 V2Hは電気自動車等の普及促進事業で取り扱う
※2 太陽光発電設備は、断熱改修又は蓄電池、V2Hもしくはヒートポンプ給湯器(エコキュート及びハイブリッド給湯器)のいずれかを設置した場合の上乗せ補助
※3 既に蓄電池を設置済みの場合などの太陽光発電設備に対する補助については、現在諸条件を検討中
※4 kWに応じた助成金額が逆転しないよう、一律の助成金額とする
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/home/dannetsu-solar.html
市町村の補助金
名古屋市 住宅等の低炭素化促進補助
次に、日本でもっとも住宅に太陽光発電が導入されている市町村※5である名古屋市の例を見てみよう。名古屋市は、市内の既存住宅に太陽光発電設備や蓄電システム、HEMS(家庭内エネルギー管理システム)を同時導入する際に利用できる補助金を設けている(住宅等の低炭素化促進補助)。築10年超の一戸建て住宅には太陽光発電システム1kWあたり3万円、築10年以下の戸建住宅は同2万円を拠出する。市は480件程度の利用を想定しているという。
そのほかの自治体
蓄電池の併設を条件に太陽光発電の補助金を拠出する自治体が増える中、太陽光発電設備単体の導入で補助金を利用できる自治体もある。例えば、仙台市では、市民は太陽光発電システムの導入に際し、1件あたり4万円の補助金を使うことができる。
仙台市 家庭向けの省エネ等に関する補助金情報(2022年度)
https://www.city.sendai.jp/ondanka/kurashi/machi/kankyohozen/kurashi/hojokin/katei.html
その他、高知県安田町では、太陽光発電システム1kWあたり10万円、最大50万円の補助金を受け取ることができる。蓄電池を同時購入する必要はない。蓄電池を併設するのであれば、別途最大20万円の補助金の申請が可能である。
安田町住宅用太陽光発電システム設置費補助金交付要綱について
https://www.town.yasuda.kochi.jp/life/dtl.php?hdnKey=1452
※5
「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法 情報公表用ウェブサイト」
https://www.fit-portal.go.jp/PublicInfoSummary
の公表データから算出
補助金以外に安価に設置する方法
補助金以外の方法で、一般家庭における太陽光発電の導入を後押しする自治体もある。その手段のひとつが共同購入だ。
共同購入は、自治体が太陽光発電設備や蓄電池の導入を希望する住民を募り、資材を一括調達する取り組みである。スケールメリットを発揮し、初期導入費用の低減を図ることができる。住民は、価格低減の恩恵以外に、自治体主導のプロジェクトゆえの安心感を得ることができる。行政側にしてみれば、財源を必要とせず住民に価格低下のメリットを提供できるため、共同購入事業を始める自治体は増えつつある。例えば神奈川県は、2021年度の共同購入事業において、太陽光発電設備や蓄電池を市場価格と比較し18%~28%安くできたとしている。
まとめ
日本は、2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロの状態)の達成を目指すと宣言し、2021年に温暖化対策推進法を改正した。
政府の決定を受け、自治体においてもカーボンニュートラル達成目標の表明が広がった。都道府県や市町村は家庭に導入可能な再生可能エネルギーである太陽光発電の普及を後押しするため太陽光発電設備の導入に関する支援策を設けているが、自治体によって補助政策の内容は大きく異なるため、情報収集を忘れないようにしよう。
カーボンニュートラルを目指すなかで、国による住宅用太陽光発電設備の導入支援策が新たに設けられる可能性もゼロではない。今後の動向に注目だ。
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