団信(団体信用生命保険)とは住宅ローンに特化した保険

ローンを組んで住宅を購入するためには団体信用生命保険を契約することが基本的に必要だローンを組んで住宅を購入するためには団体信用生命保険を契約することが基本的に必要だ

団信(団体信用生命保険)とは、住宅ローンの返済期間中に契約者が死亡または高度障害状態になった場合、保険金がローンに充当され、住宅ローンの返済が以後不要になる生命保険を意味する。本記事では団信と通常の生命保険の違いや、団信加入のメリットとデメリット、加入が難しい場合の対処法などについて解説する。

団体信用生命保険と生命保険との違い

●保険金の受取人

団信と通常の生命保険の最も大きな違いは保険金の「受取人」だ。一般的な生命保険の場合、受取人は保険の契約者が指定した配偶者や子どもなどが多くなるが、団信の保険金の受取人は、住宅ローンを融資している金融機関となる。

●団信の保険料は基本的に住宅ローンの金利に含まれる

一般的な生命保険とは異なり、団信の保険料は基本的に住宅ローンの金利に含まれる。団信の内容に伴い金利に上乗せされるのが一般的だ。

●年齢・性別による保険料の差

一般的な生命保険の場合、年齢や性別によって保険料が変わるが、団信の場合は年齢性別による保険料の変化はない。

●保険期間

一般的な生命保険の場合、保障される保険期間は契約者があらかじめ選択した期間となる。一方、団信の保険期間は住宅ローンの返済期間と連動しており、住宅ローンの融資開始とともに始まり、ローン完済によって終了する。住宅金融支援機構は3大疾病付機構団信の保証終了を満75歳の誕生日の属する月の末日としており、金融機関により保障終了期間を設けているところもある。

ローンを組んで住宅を購入するためには団体信用生命保険を契約することが基本的に必要だ団信は被保険者がローン契約者、保険金の受取人が銀行などの金融機関の保険商品だ

団信で住宅ローンが完済される仕組み

団信は被保険者であるローン契約者が死亡もしくは高度障害状態になった場合、保険会社から銀行に保険金が支払われる仕組みだ。銀行は支払われた保険金をローンの返済に充当し、結果として住宅ローンの残高が0円となる。

保障範囲は団信によって異なる

団体信用生命保険は多くの種類の中から自分のニーズに合ったものを選ぶことが必要だ団体信用生命保険は多くの種類の中から自分のニーズに合ったものを選ぶことが必要だ

生命保険にさまざまな種類があるように、団信にもいくつかのバリエーションがある。自分のニーズに合った団信を選ぶためのポイントを解説する。

通常の団体信用生命保険

団信の基本的な機能は、被保険者であるローン契約者が死亡または高度障害状態になったときに保険金が支払われ、ローン残金を精算できるというものだ。高度障害状態の定義は、各保険会社によって若干異なる。住宅支援機構の場合、一以下のような状態が該当する。

●両眼の視力を全く永久に失ったもの
●言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの(注1)
●中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの(注2)
●胸腹部臓器に著しい傷害を残し、終身常に介護を要するもの(注2)
●両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
●両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
●1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
●1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
(注1)「そしゃくの機能を全く永久に失ったもの」とは、流動食以外のものは摂取できない状態で、その回復の見込みのない場合をいいます。
(注2)「常に介護を要するもの」とは、食物の摂取、排便・排尿・その後始末、及び衣服着脱・起居・歩行・入浴のいずれもが自分ではできず、常に他人の介護を要する状態をいいます。

出典:住宅金融支援機構
加入者が高度障害状態になった場合はどうすればいいですか?
https://www1.fastcloud.jp/jhffaq/jhf/web/knowledge168.html

三大疾病特約付き団体信用生命保険

三大疾病特約付き団信は、通常の団信の機能に加え、被保険者であるローン契約者ががん、脳卒中、急性心筋梗塞のいずれかを発症し、所定の状態になったときに保険金が支払われ、ローン残金を精算できる仕組みとなっている。

八大疾病特約付き団体信用生命保険

八大疾病特約付き団信は、三大疾病に加え、高血圧症、糖尿病、肝硬変、慢性腎不全、慢性膵炎といった8つの疾病のいずれかを発症し、所定の状態、または所定の就業不能状態になって住宅ローンの返済が困難な状態が一定期間続いた場合に保険金が支払われ、ローン残金を精算できる仕組みだ。

団信に加入するメリット

団信に加入しておけば、住宅ローンの返済期間中に契約者に万が一のことがあった場合、住宅ローンを返済する必要がなくなる。衣食住を含めた生活費の中で特にお金がかかる「住」の心配がなくなることは、家族にとって、非常に大きなメリットとなる。

団体信用生命保険の最大のメリットは、ローン契約者に万が一のことがあったとき、以後の住宅ローン返済が不要となる点だ団体信用生命保険の最大のメリットは、ローン契約者に万が一のことがあったとき、以後の住宅ローン返済が不要となる点だ

団信に加入するデメリット・注意点

所得税での所得控除が受けられない

団信は通常の生命保険と異なり、年末調整や確定申告時の生命保険料控除に含まれない。生命保険料控除の対象となるのは、「保険金受取人が自己又は配偶者その他親族とする生命保険契約など」 と定められている。団信は保険金の受取人が銀行などの金融機関なので、控除の対象外となる。

一般的な生命保険より保険料が高くなる場合がある

団信の保険料はローンの金利に含まれることがあり、通常の保険料として算出すると、一般的な生命保険に比べ割高になる場合がある。

一般的な生命保険に比べ保障内容が薄い場合がある

一般的な団信の保障は死亡と高度障害状態のみだ。三大疾病や八大疾病の特約をつけられる場合もあるが、入院費用特約など細かい保障をプラスすることはできず、一般的な生命保険に比べ、保障内容は薄くなる場合がある。

健康状態によっては加入できないこともある

団信も生命保険の一種だから、病気の既往症や持病の状態によっては加入できない場合もある。一般的な生命保険に比べるとやや審査は緩やかだが、これまでに大きな病気やケガをしたことのある場合は注意が必要となる。

大きなメリットのある団体信用生命保険だがデメリットや注意点もある大きなメリットのある団体信用生命保険だがデメリットや注意点もある

団信に加入するときの注意点

●免責事項をよく確認すること

団信には通常、免責事項が定められている。免責事項に該当する場合は保険金が支払われないため注意が必要だ。

【免責事項の例】

● 被保険者が契約後短期間(2年以内など)に自殺した場合
● 告知内容に誤り、虚偽などがあった場合
● 被保険者の故意で高度障害状態になった場合

●団信の契約内容は加入後には変更不可

通常の生命保険とは異なり、団信の場合、一旦加入すると後から特約の付加や解除ができないのが一般的なので、契約時には契約の内容を慎重に検討する必要がある。

●借換時には新たに団信への加入が必要になる

住宅ローンを借り換えた場合、それまで加入していた団信は契約が終了するため、新たな団信に加入することになる。ただし、大きな病気が見つかった場合など、契約者の健康状態に変化があると、新たな団信への加入ができない可能性があることに注意が必要だ。

●一度解約すると再加入はできない

また、原則として団信は一度解約してしまうと再加入ができないことにも注意する必要がある。

団信に加入しないで住宅ローンを組むことは可能?

団体信用生命保険に加入せずに住宅ローンを組むことは可能だが、別途生命保険に加入するなど対策が必要団体信用生命保険に加入せずに住宅ローンを組むことは可能だが、別途生命保険に加入するなど対策が必要

団信への加入を任意としているフラット35を利用すれば、団信に加入しなくても住宅ローンを組むことは可能だ。フラット35とは住宅金融支援機構の証券化支援事業を活用した住宅ローンで、借入期間は最長35年、全期間固定金利、保証料が不要といった特徴がある。

ただし、団信に加入していない場合、ローン契約者が亡くなったり働けなくなったりといった場合でも、ローンの支払いは継続する。万が一ローン契約者が亡くなった場合、働き手を失った後の住宅ローンの支払いは遺族にとって大きな負担となるため、別途、生命保険に加入するなど対策が重要だ。

団信に加入できない場合はどうする?

住宅ローンを組むときの団信の告知事項について

団信に加入する際は、一般的な生命保険と同じく、これまでや現在の健康状態を保険会社に報告する「告知」をする義務がある。各保険会社によって異なる部分もあるが、おおむね以下のような告知内容となっている。

<告知事項>

1.最近3ヶ月以内に医師の治療・投薬を受けたことがあるか
2.過去3年以内に以下の病気(心臓病など重度の疾患が羅列されていることが多い)で、手術を受けたことまたは医師の治療・投薬を受けたことがあるか
3.手・足の欠損または機能に障害があるか。または脊柱・視力・聴力・言語・そしゃく能力などに障害があるか

●告知義務違反は契約解除のリスクあり

保険会社は保険契約を結ぶかどうかを契約者からの告知によって判断する。告知すべき病気やケガに関する告知をしなかったり、虚偽の内容を告知したりといった場合、契約を解除されるケースもある。契約を解除されると万が一の場合でも保険金がおりず、住宅ローンがそのまま残ってしまう危険があるため、告知義務違反は厳禁だ。

●告知事項があっても加入可能な場合はある

告知事項があっても団信に加入可能な場合はある。例えば高血圧症で医師からの投薬を受けている場合であっても、薬の種類を告知したり、診断書を提出したりすれば加入できる可能性がある。

団信に加入できない可能性がある病気

以下は、かかったことがあると団信に加入できない可能性がある病気の一例だ。住宅ローンの契約を検討している場合、該当の金融機関にあらかじめ確認しておきたい。

・心臓・血圧

狭心症・心筋こうそく・心臓弁膜症・先天性心臓病・心筋症・高血圧症・不整脈

・脳・精神・神経

脳卒中(脳出血・脳こうそく・くも膜下出血)・脳動脈硬化症・精神病・神経症・てんかん・自律神経失調症・アルコール依存症・うつ病・知的障害・認知症

・肺・気管支

ぜんそく、慢性気管支炎、肺結核、肺気腫、気管支拡張症

・胃・腸

胃かいよう、十二指腸かいよう、潰瘍性大腸炎、クローン病

・肝臓・すい臓

肝炎(肝炎ウイルス感染を含む)・肝硬変・肝機能障害・すい炎

・腎臓

腎炎、ネフローゼ、腎不全

・目

緑内障、網膜の病気、角膜の病気

・新生物

がん、肉腫、白血病、しゅよう、ポリープ

右記にかかげる病気 糖尿病、リウマチ、こうげん病、貧血症、紫斑病

出典:住宅金融支援機構 新機構団体信用生命保険制度 ご加入にあたって
https://www.flat35.com/files/400353762.pdf

団体信用生命保険に加入できない場合、銀行などの一般的な金融機関で住宅ローンを組むことは難しくなる団体信用生命保険に加入できない場合、銀行などの一般的な金融機関で住宅ローンを組むことは難しくなる

団信の加入年齢の上限は?

団信に加入できる上限は保険会社、保険商品によって異なるが、通常は70歳前後となっている。

団信に加入できない場合の7つの対処法

●ワイド団信への加入を検討する

ワイド団信とは一般の団信よりも審査基準が緩やかになっている団信だ。万が一の場合に保険金が支払われ、ローンの返済義務がなくなるという仕組みは同じだが、一般の団信に比べ保険料が高くなること(実際には金利が上乗せされるケースがある)、加入年齢の上限が低く設定されていること(上限が50歳前後であることが一般的)には注意が必要となる。

●フラット35でローンを組む

先ほども述べたとおり、フラット35を利用すれば団信に加入しなくても住宅ローンを組むことができる。ワイド団信に加入できない場合には、フラット35の利用を検討する価値が高まるといえる。

●フラット35と無選択型の生命保険を組み合わせる

フラット35でローンを組むことができたとしても、心配なのは万が一の場合の保障だ。そんなときは、保険の加入条件が緩い「引受基準緩和型」や、告知の必要がない「無選択型」の生命保険に加入する選択肢も有効となる。一般的な生命保険に比べると保険料は高くなるので、家族の安心のため、どの程度のコストなら許容できるかを慎重に検討することが重要だ。

●配偶者名義で住宅ローンを組む

配偶者に住宅ローンの審査が通る程度の一定の収入があり、病歴などがなくて団信の加入条件を満たしている場合、配偶者の名義で住宅ローンを組むという方法が考えられる。
ただし、配偶者の名義で住宅ローンを組み、実際の返済を名義人でない配偶者が行った場合は贈与とみなされ、贈与税が課税される場合があるため注意が必要だ。

●告知対象期間が経過するのを待つ

団信の告知対象となるのは一般的に直近3ヶ月や過去3年以内の病歴だ。病気が治る見込みがある場合、告知対象期間が経過するのを待つのも一つの方法となる。

●審査が通りやすい団信を選ぶ

保険会社によって告知内容に違いがあるため、ある保険会社で告知対象となっている病気がほかの保険会社では対象外となっている場合もある。審査で落ちた場合は、別の団信を選んで再び審査を受けるというのも一つの方法だ。

団信に加入したら現在加入中の生命保険を見直す

住宅ローンを組む前に生命保険に加入していた場合、残された家族の衣食住を保障できるだけの保険金額を設定している場合がある。そのうえで住宅ローンを組んで団信に加入すると、「住」の保障についてはそれまでの生命保険と重なるため、保険料が無駄になる。団信に加入したら、それまで加入していた生命保険を見直すことが大切だ。

団体信用生命保険と現在加入中の生命保険の重複部分を見直し、保険料の削減を図る団体信用生命保険と現在加入中の生命保険の重複部分を見直し、保険料の削減を図る

まとめ

団信は病歴の告知義務があるため、やっかいな印象を抱かれがちだ。ただ、万が一のときに住宅ローンの返済が免除される保障機能には、契約者自身やその家族が抱く将来への不安を軽減する大きな意義がある。
住宅ローンを組む際は、金融機関や金利の比較だけではなく、ここで紹介したポイントを頭に入れたうえで、現在の状況に最も適した団信を選んでほしい。

団体信用生命保険と現在加入中の生命保険の重複部分を見直し、保険料の削減を図る団体信用生命保険に加入することによって将来への不安を軽減することができる