イギリス発のインテリアブランド『Tom Dixon SHOP』東京・青山に登場!
2015年7月15日。青山学院大学にほど近い青山通り沿いのショップでひときわ華やかなレセプションパーティが開催された。
かのデザイナーズホテル『モンドリアン・ロンドン』の総合デザイン監修をおこなったことで世界的に注目を集めたデザイナー、トム・ディクソン氏のインテリアブランドの、日本初となるオンリーショップ『Tom Dixon SHOP』がグランドオープンするのを記念して、トム・ディクソン氏が来日。インテリア業界・ファッション業界の関係者を招き、ショップ内でフォトセッションやトークショー等がおこなわれたのだ。
代表作のひとつ『Sチェア』がMoMAの永久コレクションに選ばれるなど、いまや世界的デザイナーとして活躍するトム・ディクソン氏だが、実際にプロダクトを購入できるオンリーショップは2015年現在、氏の本拠地・ロンドンと、ここ東京・青山の2ヶ所だけだという。
『IKEA』や『ニトリ』といった廉価な“ファストファニチャー”全盛のニッポンに、敢えていま進出を果たした『Tom Dixon SHOP』。その狙いと、トム・ディクソン氏が提案する最先端のインテリアトレンドについて取材した。
元バンドマンという異色の経歴を持つデザイナー
▲来日したトム・ディクソン氏。インテリア業界では、年に一度『ミラノ・サローネ』で新作を発表し、会場の反応を見て1年後に販売をおこなうケースが多いそうだが、氏は「インテリアをファッションビジネスに近づけたい」という想いから、半年に一度『春夏』『秋冬』のシーズンごとに新作発表をおこなっているという「実は、トム・ディクソンは、ずっとデザインの勉強をしてきた人物ではありません。
若かりし頃はバンドマンとして活動をしていましたが、事故に遭って夢半ばでギタリストへの道を断念し、自分のバイクを直したりギプスを自分で作ったりしてウエルディング溶接の技術を身につけるうちに、“鉄クズから作ったイスがおもしろい”と評判を呼ぶようになったのです。
それがトム・ディクソンのデザイナーとしての第一歩でした」と解説してくれたのは、インテリアブランドの輸入・販売をおこなう林物産株式会社の西澤佳隆さん(ブランド戦略部)。
林物産とトム・ディクソン氏との出会いは、世界最大の家具見本市『ミラノ・サローネ』のサテリテ(サテライト=若手デザイナーの展示スペース)だった。
「彼の作品は“一般の家庭のインテリアに馴染む家具”ではなく、素材感の美しさや空間を生かすためのエレメントです。万人に受け入れられる売れ筋を作るのではなく、ルールにとらわれない彼の感性や独創性がそのまま作品になっています。“その存在感に惚れこんだ”のがきっかけで、弊社が日本独占販売契約を結ぶことになりました」(西澤さん談)。
飽和状態のニッポンのデザインに、Tom Dixonスタイルを投入
▲ゴールド、シルバー、カッパー、そして木。素材の質感を引き立たせるデザインが『Tom Dixon』の特徴だ。代表的なプロダクトである照明は、5万円台からと意外に(?)手の届きやすい価格帯。「もちろん、大型のものだと100万円を超えるものもありますが、決してラグジュアリーブランドではありません」と西澤さん。ディフューザーやキャンドル等の小物類は、男性へのプレゼントにも喜ばれているそうだ西澤さんによると、東京進出にあたってのトム・ディクソン氏からの要望は「“トーキョーらしく”ではなく、可能な限りロンドンと同じ雰囲気のショップしたい」というものだった。そのため、販売されているプロダクトはもちろん、店内の階段やむき出しの天井、什器のひとつひとつまでトム本人がデザイン監修をおこない、その世界観が表現されている。
「そもそも、今の東京のタワーマンションブームは『Tom Dixon』のブランドイメージにとてもマッチしているため、東京進出のタイミングとしてはとても良い時期だと考えました。
トムが最も興味を持ったのは、日本人の“デザインへの理解度の高さ”です。
他の先進各国やアジア諸国と比べてみても日本人のデザイン感度はとても高く、モノや情報も溢れているため、今の東京はすでに“デザインが飽和状態”になっています。そんな飽和状態だからこそ、例えば日本人独特のファッションでユニクロの服にルイ・ヴィトンのバッグを合わせるように、『Tom Dixon』のプロダクトを生活の中に採り入れてみたら、これまで日本人が経験したことがなかったユニークなインテリア空間が誕生するだろうと、トムもその化学反応を期待しているようです」(西澤さん談)。
ちなみに、オープン当初しばらくはロンドンと同じスタイルを貫く『Tom Dixon SHOP』だが、今後は日本の伝統工芸品とのコラボレーションも想定しており、『Tom Dixon』デザインの土鍋やかまどなどが登場する可能性もあるという。
提案するのは“一点個性主義”のコーディネート
ところで、一見素人が手を出すには難易度が高そうな個性的なプロダクトを、わたしたちの生活空間に採り入れるにはどのようにしたら良いのだろうか?インテリアコーディネートのヒントについて西澤さんに聞いた。
「これはインテリア業界に限ったことではありませんが、いまエンドユーザーの志向が『二極化』していますよね?
例えば、ファッションでもハイブランドですべて固めて買う人と、プチプライスのアイテムに価値を見出す人…特に、日本のインテリア業界では長らく“イタリア家具ブランドですべて統一するのがカッコイイ”といった風潮がありましたが、『IKEA』や『ニトリ』の人気により、近年は“イタリア家具で揃えることが本当にカッコイイの?”と疑問を感じている人も増えています。
『Tom Dixon』の場合も、すべて『Tom Dixon』オンリーでまとめるコーディネートよりも、より“プロダクトの魅力を引き立てるコーディーネート”があると思います。
“シンプルな空間に、1点だけ自分の個性を表現できるような異彩のプロダクトを採り入れる”
これがイマドキなインテリアコーディネートのトレンドだと考えています。ぜひ“難しい”と躊躇せずに、気軽に個性的なアイテムを楽しんでいただきたいですね」(西澤さん談)。
“難しさ”が、新しいインテリアトレンドを作り出す
日本初のオンリーショップのオープンから約1ヶ月。現在、『Tom Dixon SHOP』では、都内のラグジュアリーホテルのインテリア監修や新築分譲マンションとのコラボレーション企画などのオファーも受けているとのことで、今後わたしたちの暮らしの中で『Tom Dixon』のブランド名を目にする機会がぐっと増えそうだ。
「一見難しく感じるインテリアブランドですが、5年先も、10年先も、『Tom Dixon』はもっともっと難しくなっていくと思います(笑)。
ここ青山は、そういう“難しさ”をおもしろいと感じられる人たちが集まる街。これから東京のインテリアトレンドがどのように進化していくかが楽しみです」(西澤さん談)。
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斬新で強烈な存在感を放つ『新しい家具』との出会いは、これまでの生活空間を一変させ、自らのライフスタイルの変化にまで大きな影響を及ぼすこともある。
一見難解なインテリアを発信する『Tom Dixon SHOP』は、“未知なる自分の感性”を探る場所なのかもしれない。
■取材協力/林物産株式会社
http://www.bussan.hayatele.co.jp/index.html
■取材協力/Tom Dixon SHOP
http://www.tomdixon.jp/
住所/東京都渋谷区渋谷2-1-13
営業時間/11:00~19:00
定休日/水曜日
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