アイランドシティ誕生の背景
日本で最もアジア諸国に近く、陸・海・空のネットワークが優れている福岡市。九州とアジア・世界をつなぐ海の玄関口「博多港」は、取り扱うコンテナ貨物の増加や船舶が大型化しており、それに対応するため、5~6万トン級の大型コンテナ船が同時に接岸できる、最大水深15m、岸壁総延長約1,000mの高規格コンテナターミナルを段階的に整備している。その大水深の航路整備で生じる“しゅんせつ土砂”などを活用して誕生した都市空間が「アイランドシティ」だ。博多港の港湾機能強化などを目的に、「みなとづくり」「まちづくり」を行い、福岡市の将来をリードする先進的モデルとして都市づくりを進めている。
災害に弱い?その懸念にさよならを!
アイランドシティの整備事業は、1994年に着手。現在、全体面積401.3haのおよそ90%(約360.7ha)の埋め立てが竣功している。
新しくできた都市空間として、期待とともに「埋め立て地は地震に弱い」というネガティブなイメージもあった。しかしアイランドシティは、液状化しにくいと言われる粘性土を主とした埋め立て工事、倒壊や断線の恐れが少ない電線類の地中化といったライフラインの強化策、耐震性に優れた橋の整備など、地震や大雨・台風などの自然災害に強い街づくりを推進。では、実際にどうだったのか。
2005年に発生した福岡県西方沖地震時には、整備未了の道路予定地において一部噴砂現象が確認されたが、整備完了した土地では液状化はなかったとのこと。 “整備未了”と“整備完了”の違いで異なる結果から、「液状化が発生しにくい」ことがわかる。
既に埋め立て工事が竣功し、地盤改良が完了していた住宅等、分譲地での液状化現象は起きなかったそうなので、住まいを検討している方の安心材料となりそうだ。
いま、どれくらいの人が暮らしている?
アイランドシティは、中央を縦断する道を境に、西側が「みなとづくり」エリア、東側が「まちづくりエリア」に分かれている。「まちづくりエリア」では、2005年に住宅への入居が始まり、2007年に福岡市の公立では初となる施設一体型の小中連携教育校が開校。その後、マンションが相次いで建設され、街づくりが加速化した。まちびらきから9年、現在では約1,900世帯・人口約5,800人が暮らしている(2014年11月現在)。住民が増え、要望が増えてきたのが、交通機関、商業施設(小規模スーパー等)、医療機関(病院等)の充実。さらなる進化に向けて、どのような展望を持ち、どう歩んでいくのだろうか。期待が膨らむ。
「健康・医療・福祉」のキーワードに沿った開発
快適な都市空間の形成、新しい産業の集積拠点の形成、東部地域の交通体系の整備など、質の高い都市空間づくりを目指す「まちづくりエリア」。その事業目的の中で、今回注目したいのが「新しい産業の集積拠点の形成」だ。
アイランドシティでは、「生活」と「産業」の両面から、生涯を通じて誰もが健康で生きいきと暮らすことができる「健康・医療・福祉のまちづくり」を目的に、2003年6月に「ふくおか健康未来都市構想」を策定し、成長性の高い「健康・医療・福祉」を中心に、産業集積の具体化を図っている。
これまでに、病院、特別養護老人ホームなどが集積しているのに加え、2014年11月に開院した新こども病院(中央区唐人町から移転)に続き、福岡みらい病院と医療モールの照葉メディカルセンター(仮称)が2015年6月開設予定、全天候高度リハビリトレーニングセンターが2016年度に開設する予定。また、2018年には新たな市民スポーツの拠点となる福岡市総合体育館(仮称)の開館が予定されており、まさに「健康・医療・福祉」というキーワード通りの施設が揃うことになる。
商業施設も相次いで建設される予定。敷地面積1万3,650m2、地上4階建ての九州最大級となる温浴施設、照葉スパリゾートは、2015年8月開業を目指している。レジャーを楽しめる施設がオープンすることで、広域からの集客が増え、街がさらに活気づくだろう。また、産地直送の生鮮食品を販売する産直マーケットをメインテナントとし、ドラッグストア、カフェなどの施設が入る複合商業施設も2015年10月完成予定。いずれの施設も「健康」をテーマにしているのが特徴。新たな街の顔として、アイランドシティのブランド力をあげる施設になりそうだ。
福岡の未来を先導する街へ
「博多・天神」へ車で約15分と福岡の2大都心に近く、開発が進むアイランドシティは県内外問わず注目されており、その将来性を期待してアイランドシティに進出を決める企業が増加している。今後も福岡市の未来を先導する拠点として、更なる港湾機能の強化や新しい産業の集積、良好な住環境の整備が進むことにより、新たな雇用や税収を生み出すことも期待されている。今後、高層タワーマンションの建設も続く予定で、福岡市港湾局 アイランドシティ事業推進部長 黒岩 尚昭氏によると、「温浴施設などができるセンター地区は、広域的な集客とまちづくりを促進する中核拠点として位置付けており、商業・業務・教育・科学・文化・芸術機能など様々な都市機能の導入を図っています。そして10年後には、住宅ゾーン含め『まちづくりエリア』全体が概成する計画です」とのこと。急速に発展する街の景観は、浦島太郎状態になるくらい変わるかもしれない。大いに楽しみだ。
【取材協力】
福岡市アイランドシティホームページ:http://island-city.city.fukuoka.lg.jp/






