災害時に一時避難所や救援物資の中継地点といった機能を担う「防災空地」
1995年の阪神・淡路大震災では、市街地火災の延焼防止や避難の場として空地や公園が役立つことが再確認された。さらに東日本大震災が発生や政府が南海トラフでマグニチュード8~9の大地震が起きる可能性が30年以内に70%程度と発表したことなどから、最近になって防災空地を設ける自治体が増えている。
防災空地とは、平常時は周辺住民の憩いの場などとして活用され、災害時は一時避難所や救援物資の中継地点といった機能を担う公園などのことだ。国や各自治体は、この防災空地の整備に対し、補助金の交付を行っている。
では、実際にどのようなものなのか一例を紹介しよう。
都心に設けられた周辺住民が管理する防災公園
堀切二丁目防災公園(東京都葛飾区)
用地は葛飾区が取得。施設の内容に関しては周辺の町会、PTAなどが中心となって住民主導で決定し、1999年開園。町会選出の委員が設備の保守点検、利用促進のためのPR活動などを行っている。
面積:1028m2
おもな防災設備
・ 防火用貯水槽(40トン)
・ 雨水貯留槽(20トン)
・ 雨水貯留槽手押しポンプ
・ マンホールトイレ(公園内の4つのマンホールの上に仮設トイレが設置できる仕組み)
・ かまど兼用ベンチ
・ 防災倉庫(釜、鍋、消防ポンプ、発電機、チェーンソーなどを収納)
ヘリポートや風力・太陽光発電装置まで完備する防災公園
大洲防災公園(千葉県市川市)
木造住宅や工場が多い地域で、以前から安全で快適な街づくりが課題となっていた。そこで2000年の大手食品会社の工場移転に伴い、防災公園街区整備事業が立ち上がり、2004年に開園。災害時には、江戸川の緊急用船着場や隣接する急病診療所と一体となって一時避難場所や被災の前線における救援拠点、輸送の中継拠点として機能するように作られた。
面積:2万8000m2
おもな防災設備
・ ヘリポート(平常時は多目的広場として少年野球などに利用)
・ 耐震性飲料用貯水槽(100トン。1万人の避難者に対して3日間分の飲料水が提供できる予定)
・ 非常用便槽
・ マンホールトイレ
・ かまど兼用ベンチ
・ 風力・太陽光発電装置付照明灯(5基)
住宅密集地の老朽建築物の除去費用を市が満額補助
まちなか防災空地第1号(兵庫県神戸市垂水区)
神戸市が密集市街地において、老朽化した建物の跡地や低未利用地などを固定資産税の非課税化の代わりに無償で借り受ける「まちなか防災空地整備事業」を実施。必要に応じて老朽建築物の除去費も満額補助する。その最初の試みが同市垂水区の「まちなか防災空地」だ。火災で焼失したアパートの跡地を整備し、2013年より利用開始。周囲に張っていたフェンスを撤去し、隣地からの避難経路を確保。平常時は一部菜園として活用している。
面積:約230m2
おもな防災設備
・ 毎分17リットルの水が出る消火装置
空き家問題の解決にもつながる防災空地
住宅が密集する都市部では、建物が入り組んで立っている上に道路幅が狭く、災害時の避難経路に問題があるケースが多い。また、避難場所となる公園などの施設も不足している状態だ。
一方でこのような住宅密集地では、高齢化や人口減などの理由から空き家の増加が問題となっている。総務省が2008年に行った調査では、全国の空き家は757万件で1998年からの10年間で3割増えている。長期間住む人がなく傷みの激しい空き家は、放火や不法侵入などの犯罪の温床となるほか地震や火災などの災害時に倒壊し、避難経路をふさぐ可能性がある。できれば取り壊して、その土地を有効利用すべきなのだ。
しかし、取り壊すには費用がかかるし、更地になると固定資産税が高くなるといった理由で、所有者が放置することが多い。神戸市の試みはこうした背景に対応したものだ。今後はこのような試みが全国に広がり、防災対策が整った地域が増えていくことに期待したい。
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