2014年は景気回復傾向が続く

景気回復が進み、不動産市場の活況も続く?景気回復が進み、不動産市場の活況も続く?

日本経済にとって大きな転機となった2013年が過ぎ、新たな年がスタートした。これまでの数年間とは少し違う気分でお正月を迎えた人も多いのではないだろうか。しかし、景気回復が順調に進めば不動産価格は値上がりし、住宅ローン金利も上昇する。これから住宅取得を考える人にとっては、タイミングを見極めることの難しさが増すだろう。年頭にあたり、2014年の不動産市場がどうなるのかを考えてみたい。

まず、不動産市場にも関連する大きな動きは、2014年4月に実施される消費税率の引上げだ。消費者の心理面でマイナス要因となり、住宅の売行きも鈍るだろうが、その影響はあまり長く続かないとみられる。夏場あるいは早ければゴールデンウィークの頃には徐々に活気が戻っていくだろう。秋には国内景気の回復傾向が強まるとの見方が有力であり、2015年10月に予定される次の消費税率引上げに向けて、住宅市場がさらに活況を呈することも予測される。

景気回復傾向が続く大きな要因は株価の上昇だ。2013年12月30日が大納会だった東京株式市場の日経平均株価終値は1万6291円31銭で、前年末から56.7%上昇した。大納会終値としては7年ぶりの高水準、1年間の上昇率としては41年ぶりの大きさを示している。2014年はこの上昇傾向がスピードダウンしたり、一時的に下落したりすることは十分に考えられるものの、消費税率引上げの影響を吸収できるだけの体力は備わったとみるべきだろう。上場企業の中には株式時価総額を1年で2倍以上に増やしたところも多いようだ。さらに、いよいよ今月からスタートした「NISA(ニーサ)=少額投資非課税制度」によって個人マネーの流入も始まり、株式市場を下支えしていくだろう。

また、東京外国為替市場における2013年12月30日の円相場は午後5時時点で1ドル=105円36~37銭だった。2013年のうちに22.1%下落し、年間の下落幅は34年ぶりの大きさ、年末の円相場としては6年ぶりの円安水準だ。2014年はさらに円安が進むとの見方が強く、海外投資家が日本の不動産市場へ投資しやすい環境も続くようだ。

2014年の新築住宅市場はあまり伸びない? 注文住宅はしばらく低迷も

不動産経済研究所が発表した首都圏における2014年の新築マンション供給戸数の予測は、ほぼ前年並みとされている。これは消費税率の引上げに合わせて実施される住宅ローン控除制度の拡充や、すまい給付金による負担緩和措置が早々に決められたことで、駆け込み需要が抑制されたことも功を奏しているようだ。しかし、首都圏以外で相対的に住宅価格が低い地域では住宅ローン控除拡充の効果は薄く、消費税率の特例措置が適用される2013年9月末までに相応の駆け込み需要が生じたケースもある。このような地域では反動によって2014年の売行きが鈍り、供給戸数を大きく減らす場合もあるだろう。

建売住宅は3月末までに完成し入居できれば5%の消費税率が適用されるため、3月までにいったん盛り上がった後、4月にやや落込むことも考えられる。しかし、それなりの高額物件であれば4月以降は住宅ローン控除拡充の効果もあるため、全体的に見れば堅調に推移するものと予測される。ただし、2013年に駆け込み需要が生じた地域では、新築マンションと同様に反動減へ転じやすいことを考えなければならない。

難しい局面にあるのは注文住宅だ。土地を所有している人にとっては、大きな家を建てないかぎり住宅ローン控除拡充のメリットは少なく、資金を借りなければ住宅ローン控除自体が関係ない。2013年中にかなりの駆け込み需要が生じたため、その反動でしばらくの間は着工件数が伸び悩むだろう。しかし、2014年秋頃になれば翌年に控えた消費税率の再引上げを見越した需要が生じてくると考えられる。

2014年は中古住宅市場が徐々に拡大していく

首都圏の中古マンション成約件数は、2013年11月まで15ケ月連続で前年同月比増を示している(公益財団法人東日本不動産流通機構調べ)。国による中古住宅市場の活性化策が進められているのと同時に、若い世代を中心に住宅への意識が変わりつつあることも大きな要因だ。負担感がいっそう強まる消費税だが、個人が売主となる中古住宅に消費税はかからないため、2014年はさらに注目が高まるだろう。

国土交通省では、住宅市場に占める中古住宅の割合を現在の約14%から、2020年には25%に引上げる目標を掲げて流通市場の整備を進めている。2014年度には耐震改修、省エネ改修、バリアフリー改修などをした住宅に対する最大200万円の補助制度が導入される予定だ。また、これまでは住宅ローン控除の対象外だった「古い住宅を購入した後の耐震改修工事」にも適用範囲が広げられるほか、リノベーション物件に対する税制優遇措置も設けられる見込みとなっている。

景気回復に伴う住宅需要の増加分に対して、中古住宅が占める割合はこれまで以上に大きくなっていくはずだ。その一方で、大都市圏を中心に中古住宅価格の上昇も次第に目立つようになるだろう。もし価格の上昇スピードが早いと売り惜しみが生じることもある。それを大きく左右するのは地価の動向だ。

地価の上昇につれて住宅価格も上昇傾向へ

大都市圏や地方の中心都市では、2013年に地価が上昇傾向へ転じた。2014年はさらにその傾向が強まるだろう。東京都心部では2020年五輪へ向けた整備が進められるとともに、リニア中央新幹線の工事も2014年秋には始まる見込みだ。かつての地価上昇期のような年率30%、40%といった値上がりはないとしても、10%を超える上昇率を示す場所がいくつか表れてくるものと考えられる。

地価上昇とともに、建築資材の価格アップや人手不足による人件費の高騰もあり、新築住宅価格の値上がりは避けられないだろう。それに合わせて中古住宅も上昇することで、買換え層にとっては動きやすい環境も整っていく。また、住宅価格の先高感が強まることで不動産市場は活況を呈していくだろう。

しかし、価格が上がり過ぎれば市場心理を冷やすことになる。さらに、地価上昇によって新築マンションや建売住宅の用地を仕入れることが困難になったり、人手不足によって着工の遅れが生じたりすることで、供給数が絞られていく可能性も考えなければならない。2014年の住宅市場は、売行きが好調を維持しても、販売数が大きく増えることは考えにくい状況だ。

住宅ローン金利は小幅に上昇していく?

2014年1月の住宅ローン金利は、みずほ銀行を除く大手行で10年固定型を中心に0.05%の引上げとなった。しかし、依然として低金利水準であることに変わりはなく、しばらくは小刻みに上がったり下がったりを繰り返すだろう。すぐに大きく上昇することは考えにくい。

2015年10月に予定される次の消費税率引上げを見据え、景気回復を確かなものとするために金融緩和が続けられる見通しだ。景気が好転して物価上昇率が2%程度の水準になるまで、日銀によるゼロ金利政策も維持される予定だが、その水準に達するまでにはまだ当分かかる。変動金利は短期プライムレートに連動するが、2014年中は横ばい状態が続く可能性が高いだろう。

その一方で、株価の上昇が想定以上に早く進めば資金が国債から離れ、長期金利の指標となる「新発10年物国債」の利回りが上昇することもあるだろう。住宅ローンの固定金利が徐々に上昇していく局面も想定される。また、超低金利競争からの脱却を図る金融機関の動きも2013年から見られ始めている。住宅ローンの店頭金利はそのままだとしても、優遇幅の縮小や審査の厳格化による実質的な適用金利の引上げが、思いのほか早く進む可能性も考えておきたい。

2014年4月には消費税率の引上げで一時的に景気が悪化し、住宅ローン金利も低下傾向を見せるだろう。しかし、景気回復が進みインフレ経済が定着すれば金利も上がる。景気の動向次第では、2014年のうちにその変化の兆候が表われることもあるだろう。

2014年 01月01日 11時20分