連載第1回は資産価値とはそもそも何なのか、不動産の資産価値の専門家である中山さんから学びました。連載の第2回では、駅からの距離や徒歩分数について、住まい探し初心者のHさんが中山さんに聞いてみました。
第1回「買ったときよりも高く売れるのが資産価値の高い家ですよね?」
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Hさん:中山さん、駅から徒歩10分以内じゃないと資産価値がないって話を聞いたんです。これって本当ですか? 資産価値要素の高い物件を買うなら、駅近じゃないとだめなんですかね。
中山さん:またどこからそんな知識を仕入れてきたんだか……。
それは間違いですよ。駅近は何かと便利なことも多いですから資産価値にもよい影響を与えることもありますが、だからといって駅に近ければいいというわけではありません。10分という基準に振り回されるのもよくないですね。では今回は駅近と資産価値について学んでいきましょう。

駅近=資産価値ではない
質問の答えですが、駅徒歩10分以内でないと資産価値がないというのは間違いです。だって考えてみてください。駅の周辺環境は地域によってまったく違います。
まず、駅から近いと本当に便利なのかについても考えていきましょう。
例1:駅徒歩10分以内でも生活に必要な施設がない
例を挙げると駅の近くに生活に必要な施設が一切ないけど駅徒歩10分と、近くにスーパー、コンビニ、飲食店、病院など、生活に必要な施設が豊富にある駅徒歩15分の家だと、どちらが便利だと思いますか?
例2:電車本数が少ない
ほかにも交通利便性について考えてみましょう。駅から出る電車の本数が少ない、これもまた交通利便性が高いとはいえない。その駅が他のエリアに行きにくいと、それも不便ですよね。単純に駅徒歩10分以内は資産価値が高いとはいえないのです。
例3:駅間が短い
都内の例についても考えていきましょう。駅間が短いエリアが多いので10分も歩けば隣の駅に着いてしまいます。駅徒歩10分以内だと有利かというと、そんなことはないですよね。
一般的に、駅に近いこと=便利なことといえるような地域にお住まいの方は、駅近は資産価値につながる可能性が高い傾向にあります。
ですが、駅徒歩10分以内、20分すぎたらだめなどと思い込まないほうがいい。もっと柔軟に考えることをおすすめします。


実は狙い目? 徒歩10分超えの物件
実は私が講演でこっそり話していることなんですが、徒歩10分にこだわる人が多いことを逆手にとって徒歩11~12分くらいが狙い目だと説明しているんです。
たった1、2分で、販売価格に差が生まれることもあるんですよ。
分譲価格が少し安ければ、新築のときと比べて相対的に流通価格も下がりにくいので、むしろ資産価値が高くなるかもしれませんね。
2,000万円以内の中古マンションを探す一律で駅徒歩10分以内と捉えるのはナンセンス
不動産広告では「80m=1分」という表記ルールで徒歩分数を記載する決まりがあります。でも実際には、大きな幹線道路を越えないといけなかったり、踏切で待たされたり、駅から急な上り坂・下り坂があるなどさまざまですよね。実際に歩いてみると予想以上に時間がかかることもあります。
一律、徒歩10分以内と捉えてしまうのはナンセンス。「駅に近いほうが便利かな」くらいに思っていればいいでしょう。
それに駅徒歩15分、20分でも人気のエリアがあります。都内だと元麻布、名古屋の東山や兵庫の芦屋も、落ち着いた住宅街で憧れる人が多いエリアです。いずれも最寄り駅からはやや離れていて繁華性がないのが共通点ですから、資産価値と人気は違いがあることを押さえておかないといけません。
そもそも、徒歩分数はその物件の“スペックの一部”です。他にも日当たりや騒音、教育環境や借景=窓から見える景色など、気になる要素はたくさんありますし、人それぞれ優先順位も異なりますよね。
駅に近い物件は便利であることは確かですが、だからといって駅徒歩10分以上かかる物件に資産価値がないというのは、行き過ぎた考え方です。

Hさん:確かに、駅徒歩10分以内じゃないといけないと一律で考えないほうがいいのは、よく分かりました。でもバスだと不便じゃないかなあという気がするんですが…。
中山さん:そうとも言い切れませんよ。では次回はバス便物件について、掘り下げていきましょうか。
第3回〈間違いだらけの資産価値特集〉第3回「バスが移動手段の家だと、資産価値はないんですよね?」
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更新日: / 公開日:2022.02.28










