私たちの住んでいる日本は他国と比べ、国土面積に占める可住地の割合が27.3%と小さいことをご存じでしょうか?

そのため海沿いや山あいをはじめ、平地においても河川沿いを住居とする地域が多く存在します。ここ数年においては、台風やゲリラ豪雨による浸水被害や崖崩れなどで建物だけでなく、人命に関わる被害も増えてきました。

災害に備えて、普段から水や食料、避難グッズを自宅に用意しているという人も多いでしょう。しかし、住んでいる地域、またこれから住もうとしている地域で、どのような災害が起きやすいかを事前に「ハザードマップ」で確認している人は意外と少ないのではないでしょうか?

今回は、ハザードマップがどのようなものなのか、住まい探しにどう生かすべきなのか、不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME’Sの便利な検索機能と共に解説します。

ハザードマップとは

ハザードマップ(被害予想地図)とは、自然災害による被害を想定し、被害範囲を地図に示したものです。

 

日本の自然災害には広範囲で起こり得る「河川の洪水浸水」のほかに「土砂災害」「津波浸水」「地震災害」「火山災害」などがあります。

 

一方、避難経路や避難場所および防災機関などを示したものは、防災マップと呼ばれています。

 

国土交通省のポータルサイトでは「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」という2種類のハザードマップが公開されています。

 

重ねるハザードマップとは

調べたい住所を入力することにより、洪水や土砂災害、津波、道路防災情報を同じ地図上で重ねて表示することができます。

わが街ハザードマップとは

調べたい住所を入力すると、その地域(区市町村)の行政が作成したハザードマップを閲覧することができます。

使い方としては、はじめに「わがまちハザードマップ」をチェックし、ハザードマップが作成されてない地域の場合は「重ねるハザードマップ」をチェックするといいでしょう。

ゲリラ豪雨

 

水害とは、台風やゲリラ豪雨などによる洪水、海からの高潮、水を含んで発生する土砂崩れなどのことをいいます。

 

都心部では、ゲリラ豪雨などの際に内水と呼ばれる大量の雨水がマンホールや側溝から地上にあふれる都市型水害も見られます。

 

関東・東北地方を中心に、2019年は台風19号による記録的豪雨で計140ヶ所の堤防が決壊し、河川の氾濫が起こり、国が管理している河川によるものだけでも約2万5,000ha以上が浸水しました。

 

また2020年7月には、線状降水帯による集中豪雨により、熊本県の球磨川(くまがわ)において60kmの範囲で氾濫し、家が流されたり床上浸水が起きたり、多くの被害がでました。

 

住宅において床下・床上浸水の被害に遭った場合、濡れた家電・家具類や壁材の撤去から床下の水や汚泥の除去、洗浄、乾燥、消毒など多くの対応が必要になります。

水害リスクを重要事項説明の一つとして説明することを不動産会社に義務付け

 

こうした状況を受け、国土交通省は2020年8月28日から住宅・土地購入や賃貸などの契約前に、水害リスクを重要事項説明の一つとして説明することを不動産会社に義務付けました。

 

これは、住む前にその地域のリスクや避難場所を把握してもらうことが狙いです。実は今までは、土砂災害や津波のリスクは重要事項説明に盛り込まれていましたが、水害リスクは対象外でした。

 

これから知らない土地へ引越しをする場合、土地や住宅の購入を検討している場合は水害リスクについて不動産会社から重要事項説明がされます。

 

ですが、そのタイミングで初めてリスクを知るのではなく、住まい探しの段階でハザードマップを確認し、被害予想を理解したうえで選択することが大切だといえます。

洪水ハザードマップの見方

 

とはいえ、物件を探しながらハザードマップを毎回確認するのは手間であり、だからといって気に入った物件を見つけた後にチェックしようと思っていると、つい忘れてしまう可能性も。

 

そういった場合は、LIFULL HOME’Sの「地図から探す」機能を活用してみてはいかがでしょうか。

 

LIFULL HOME’Sの「地図から探す」機能

「LIFULL HOME’S 地図から探す」

「地図から探す」機能では、全国の賃貸や売買(一戸建て・マンション・土地)物件を地図上で探しながら、同時に国土交通省のデータを基にした洪水ハザードマップ(浸水想定区域図)を重ねて表示できます。(※)

 

浸水想定区域図とは、想定降雨量で河川がはん濫した場合において、浸水が想定される区域をシミュレーションしたものです。

 

(※)洪水リスクの表示は2020年8月時点、PCブラウザ・スマホブラウザのみ可能です。LIFULL HOME’Sアプリは未対応となっておりますのでご了承ください

 

では、どのように「LIFULL HOME’S 地図から探す」で洪水ハザードマップを表示させるのか説明します。

 

◇スマートフォンの場合

 

スマートフォン画面

スマートフォン画面

まず「LIFULL HOME’S 地図から探す」ページを開きます。

 

画面の右上にある「条件設定」をタップします。次に「防災情報を表示する」を選び、「洪水リスク」にチェックを入れて「設定する」を押すと、洪水ハザードマップが表示されます。

 

◇パソコンの場合

 

パソコン画面

パソコン画面

こちらも同じく「LIFULL HOME’S 地図から探す」を開き、画面の右上にある「洪水リスク」をONにすれば、洪水ハザードマップが表示されます。

リスクの見方

 

地図上のエリアごとに色が付いていますが、これは「想定最大浸水深」を表します。聞き慣れない言葉かもしれませんが、簡単に言うと、河川が氾濫した際に浸水が想定される最大水深のことです。

 

想定最大浸水深

想定最大浸水深

想定最大浸水深は0.5m未満~5m以上まで5段階に分かれており、色によってリスクが見えるようになっています。

 

段階ごとの注意点について「水害ハザードマップ作成の手引き」(※)を基に説明します。

 

浸水深0.5m未満の区域

 

大人の膝までつかる程度の浸水が予想され、避難が遅れた場合は、自宅の上層階で待避が必要となります。浸水が長時間継続した場合や孤立した場合の問題点について、事前に認識しておくことが大切です。

 

浸水深0.5m~3.0mの区域

 

氾濫水の流れが緩やかであっても、0.5m以上の水深があると大人でも歩行が困難となります。

 

平屋または集合住宅の1階の場合は、床上浸水になり、避難が遅れると危険な状況に陥るため、避難情報のみならず、出水時の水位情報などにも注意し、必ず避難所などの安全な場所に避難してください。

 

2階以上に住んでいる場合は、浸水が始まってからの避難は非常に危険なため、避難が遅れた場合は無理をせず、自宅2階などに待避します。浸水が長時間継続した場合や孤立した場合の問題点について、事前に認識しておくことが大切です。

 

浸水深3.0m以上の区域

 

2階の床面まで浸水が予想されます。2階建て住宅では避難が遅れると危険な状況に陥るため、住民は避難情報だけでなく、出水時の水位情報などにも注意し、必ず避難所などの安全な場所に避難してください。

 

高い建物に住んでいる場合でも、浸水深が深く、水が引くのに時間を要することも想定されるため、事前に避難所などの安全な場所への避難が必要です。

 

無着色の区域

 

無着色の区域だからといって浸水被害に遭わないとは限りません。

 

浸水想定区域図は、対象河川以外の河川からの氾濫、前提とするシミュレーションを超える規模の降雨による氾濫、高潮および内水による氾濫、土石流や流木が川をふさぎ、水の流れをせき止めたことによる氾濫などを考慮していません。

 

そのため、浸水想定区域図で無着色の区域においても浸水が発生する場合や、表示している水深が実際の浸水深と異なる場合があるので注意が必要です。

 

(※)国土交通省「水害ハザードマップ作成の手引き

 

「LIFULL HOME’S 地図から探す」は、住みたいエリアの物件と駅などの周辺施設の位置を地図上で確認しながら検索できる機能です。

 

広さや間取り、価格などの絞り込みはもちろん、検索ボックスに駅や地名、ランドマーク、郵便番号を入力すると、その周辺の物件を探すこともできます。

 

また、スマートフォンの場合は、現在地から探すことも可能です。自宅近くや内見などで現地に行った先でも、周辺の物件と洪水リスクを合わせて確認することができます。

 

今後はさらに、地図上に避難所や土砂災害など、他の自然災害リスクに関する情報なども追加され、ますます便利になる予定なので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

何に気をつけて暮らすべき

 

日本は地震国であり、台風の影響も受けやすい島国です。海に囲まれているため、常に水害をはじめとした自然災害と向き合う姿勢が大切となります。

 

また、災害が起きた際に避難場所を把握していても避難が困難なケースもあり、最近は「在宅避難」への関心も高まっています。

 

たとえば震災時、自宅内の一部屋だけ強固につくっておき、その部屋に逃げ込めば万が一、家が倒壊しても命は助かるという考え方の「耐震シェルターリフォーム」などです。

 

洪水などが起きた場合は、屋外への避難は危険なため、2階やバルコニー、屋根で救助待機をするという「上階避難」という方法も災害対策としてクローズアップされています。

 

一方で、津波のリスクがある地域に住む場合は、必ず防災訓練に参加し、避難ルートを実際に歩き、どのくらいの時間がかかるのか把握しておくことが重要です。

 

避難所までの経路とおおよその所要時間が分かれば、津波到着予想時刻から何分前には避難が必要なのか分かるようになります。

 

予想がまったくできないのは土砂災害です。大雨が続き、行政や専門家から「地盤のゆるみ」といった警告や警報が発令された場合は、その時点で異常を感じていなくても、すぐに避難場所に移動し、待機したほうがいいでしょう。

 

もし、不幸にも災害に遭ってしまってから避難する場合は、長期間に渡り家を空けなければならない可能性があります。空き巣の被害に遭うケースがあるので、貴重品は身に付けて避難するか、家の分かりづらいところに金庫を設置しておくことも考えましょう。

 

「備えあれば憂いなし」を意識していれば、災害時も落ち着いて行動ができるようになります。

ハザードマップを活用しよう

 

ハザードマップは、お住まいの地域がどのような災害に弱いのかを知ることができるマップです。また、住んだことがない地域で土地や住宅購入を考えている場合にも役立ちます。

 

水害のリスクのある地域は、近くの河川より低い地盤だったり、水はけの悪い軟弱地盤だったりします。家を建てる際は、想定される浸水深を考慮した高さで基礎を建築したり、地盤改良や地中に杭を打ち込む工事を行ったりして建物の沈下を防ぐようにしましょう。

 

マンション住まいの場合は、上階であれば水害と無縁に考えがちですが、ライフラインが絶たれた場合、陸の孤島となる可能性があります。「駅から近いから」といって安心はできません。

 

一人暮らしや子どもと家族住まい、高齢者夫婦暮らしなど、住まいにはさまざまな形がありますが、災害時に無理・危険のない行動ができるようにハザードマップをうまく使いこなしましょう。

 
 
記事監修:やすらぎ介護福祉設計・代表 斉藤 進一

公開日: / 更新日: