年収500万円だと手取りはどのくらいになる？

年収500万円といっても、もちろんそのまま500万円を年間で使えるというわけではありません。生活費や住宅ローン借入額などを考えるうえでは、まず手取り額がどのくらいになるのかを把握しておくことが重要です。

年収500万円なら手取りは375万～425万円が目安

手取りとは額面収入から所得税や住民税、社会保険料などを差し引いた金額のことであり、具体的な割合は家族構成などによって異なるものの、年収の75～85％ほどとなるのが一般的です。

年収500万円の場合、手取りは「375万～425万円」程度が目安です。月額に換算すると、ボーナス支給額を考慮しなければ、「約31万～35万円」となります。

【世帯構成別】年収500万円の平均的な生活費

続いて、総務省統計局「家計調査報告（家計収支編）」（2020年平均結果）のデータを基に、年収500万円世帯の平均的な生活費を見ていきましょう。なお、データには実家住まいや持ち家などの世帯も含まれていることを考慮し、住居費は除いて計算します。

単身世帯の場合

家計調査で年収400万～500万円の単身世帯における平均的な生活費を調べると、住居費を除いて1ヶ月当たり「14万8,457円」となりました。生活費の細かな内訳は以下のとおりです。

2人以上世帯の場合

年収450万～500万円の2人以上世帯における平均的な生活費は、住居費を除いて1ヶ月当たり「23万1,463円」となりました。単身世帯と比べたとき、単純に倍額とはならない費用項目も数多くあるので、1人当たりで計算すれば単身世帯よりも安くなります。

細かな内訳は以下のとおりです。

年収500万円世帯の適正家賃・住宅ローン借入額

続いて、適正家賃と住宅ローン借入額についても詳しく見ていきましょう。

年収500万円世帯の適正家賃

一般的に、無理のない家賃の目安は「手取りの3分の1以下」とされています。前述したように、年収500万円世帯の手取りは月額31万～35万円と想定できるため、計算上は「家賃約10万3,000～11万7,000円」までが適正範囲と考えられます。

しかし、「趣味にお金を使いたい」「貯蓄に多くのお金を回したい」など、個別のライフスタイルによっても適正範囲が異なる点には注意が必要です。そのため、手取りから生活費などの固定費を引いて、具体的な金額を計算することも大切です。

先ほど紹介した平均生活費のデータを参照すると、単身世帯では「約16万～20万円」が手元に残るので、家賃は手取りの3分の1より少し高く設定することも可能といえます。反対に、家賃を適正範囲内に収めておけば、貯蓄などに回せるゆとりが生まれやすくなります。

一方、2人以上世帯では、手元に「約8万～12万円」が残る計算となるので、場合によっては適正範囲より少し下げなければならないケースもあります。

年収500万円世帯の適正住宅ローン借入額

住宅ローンの適正借入額については、「返済負担率」から計算するのが近道です。返済負担率とは「年収に対する年間返済額の割合」のことで、毎月の返済額と年収のバランスを確かめるうえで重要な指標となります。

たとえば、年収500万円で毎月10万円の返済を続ける場合、返済負担率は「10万円×12ヶ月÷500万円＝24％」となります。一般的に、無理のない返済負担率は「25％以内」とされているので、まずはこの数値を基準にして借入額を考えてみるといいでしょう。

LIFULL HOME’S「住宅ローンシミュレーター」を使い、以下の条件で借入可能額を試算してみます。

上記の条件で計算すると、借入可能額は以下のとおりになりました。返済期間を一般的な住宅ローンの最長期間である35年に設定すれば、3,000万円を超える融資も無理なく返済できる計算となります。

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【一戸建ての場合】年収500万円でどんな家が買える？

先ほど試算したシミュレーション結果では、返済期間を35年に設定した場合、無理なく借りられる住宅ローン融資額は「3,397万円」となりました。この金額は、建売住宅の全国平均購入額である3,495万円（2020年度 フラット35利用者調査参照）に近い価格帯といえます。

そのため、全国的に見れば平均的な広さや特徴を持った一戸建てを購入できる金額と判断できるでしょう。一方、地価の高い東京都では、一戸建ての平均購入費用も高くなっているため、東京都で家を購入する場合は別口で考える必要がありそうです。

ここでは、東京都と一般的な地方都市の2つに分けて、購入できる一戸建ての具体例を見ていきましょう。

東京都の場合

LIFULL HOME’Sの「価格相場」で新築一戸建ての価格相場をリサーチすると、23区内の多くのエリアは3,397万円を上回る結果となりました。23区で一戸建てを購入するなら、足立区や江戸川区、墨田区などの東部エリアが有力な候補となりそうです。

また、23区外であれば、多くの地域で平均的な相場に該当する価格帯なので、幅広い選択肢から住宅を探すことができるでしょう。以下の表に新築一戸建ての事例をまとめたので、参考にしてみてください。

続いて、LIFULL HOME’Sの「価格相場」で中古一戸建ての価格相場（建物面積100平米の場合）をリサーチすると、新築と同じく23区エリアのほとんどは3,397万円を上回る結果となりました。しかし、東京都の東部や練馬区などの一部エリアであれば、23区内でも十分に物件探しが可能な範囲ではあります。

以下に中古一戸建ての事例をまとめたので、参考にしてみてください。

地方都市の場合

地方都市の場合は、東京都と比べて購入できる物件やエリアの選択肢が大きく広がります。ここでは、地方都市の例として栃木県宇都宮市の物件を例に見ていきましょう。

中古一戸建てであれば、さらに高性能な設備・仕様を備えた物件の購入も視野に入る価格帯といえます。

【マンションの場合】年収500万円でどんな家が買える？

次に、年収500万円で無理なく購入できるマンションの特徴も見ていきましょう。なお、「2020年度 フラット35利用者調査」によれば、新築マンションの平均購入価格は全国平均で「4,545万円」となっており、年収500万円で借りられる住宅ローン融資額「3,397万円」を大きく上回っています。

ただ、この結果は、東京都を含む首都圏の平均マンション新築購入資金が「4,993万円」と群を抜いて高いことが影響しており、東京都以外であれば十分に新築マンションを見つけられる価格帯ではあります。

東京都の場合

新築マンションの価格は、どのエリアで購入するかによって特に大きく特徴が異なるので、いくつかのパターンを比較する必要があります。たとえば、東京23区内で新築マンションの購入を考えているのであれば、以下のような条件となるのが一般的です。

ただ、一戸建てと同じように、23区の東部など一部エリアや23区外の地域では、ファミリー向けの間取りを持つマンションを見つけることもできます。

一方、中古マンションになると、新築よりも選択肢の幅が広がります。

地方都市の場合

続いて、地方都市でマンションを購入する場合について見ていきましょう。一戸建てのときと同じように、今回も栃木県宇都宮市の例を紹介します。

一戸建てと比べて駅に近い物件も多く見つかるので、交通利便性のいいマンションを見つけるのはそう難しくありません。また、中古マンションになると、新築以上に設備や立地に優れた物件が見つかります。

これまで紹介したように、年収500万円は東京都の都心部や23区内の一部を除けば、新築・中古、一戸建て・マンションを問わず、どのタイプの物件でも現実的に探すことのできるラインといえます。多様な選択肢があるからこそ、住まい選びにはじっくりと時間をかけて、納得のいく物件を見つけることが大切です。

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まとめ

• 年収500万円だと手取りは375万～425万円が目安、月額に換算すると約31万～35万円
• 生活費の平均（住居費除く）は単身世帯で「14万8,457円」、二人以上世帯で「23万1,463円」
• 家賃の目安は10万3,000～11万7,000円
• 住宅ローンは35年返済なら3,400万円程度まで無理なく借りられる
• 東京都心部などの一部エリアを除けば、ある程度自由に住宅を購入できる年収といえる