住宅ローンの審査項目にはさまざまなものがあります。今回はその中のひとつ、「勤続年数」について、重要視される理由や審査で見られるポイントを解説していきます。
また、転職や独立などで勤続年数が短い場合、どのように住宅ローン審査に対応すべきなのか、具体的な方法についても見ていきましょう。
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住宅ローンの審査ではどんな項目が重視される?

住宅ローンは長期にわたって返済していく高額な融資であるため、審査対象となる項目は多岐にわたります。
ここではまず、国土交通省の2019年度、住宅ローンに関する調査報告書(※)をもとに、審査で重視されている項目を見ていきましょう。
審査で重視されやすい項目
調査では、住宅ローンの融資を行っている民間の金融機関を対象に、審査の方法や項目に関するデータ収集が行われています。
そのうち、9割近くの金融機関で審査項目とされているのは「担保評価」「返済負担率」「年収」「完済時年齢」「借入時年齢」「健康状態」などに加えて「勤続年数」です。
担保評価とは、住宅ローンの対象となる土地・建物の価値を示す数字であり、返済滞納時などのリスクに備える重要な指標でもあります。
また、返済負担率は年収に対する返済額の割合を示す数字であり、安定した支払いができるかどうかを判断する指標です。
勤続年数は、これらの項目と並んで重要視されるポイントとなっているのです。
9割を超える金融機関が勤続年数を重視
報告書によれば、調査対象となった金融機関の95.6%が勤続年数を審査項目に加えていると回答しています。これは、申込者の勤務実態に関する項目のなかで、特に高い数字だといえます。
たとえば、同じ調査で「雇用形態」については76.6%、「業種」は27.1%、「雇用先の規模」は17.9%とされており、これらの項目と比べると、住宅ローン審査における勤続年数の重要性は明らかだといえます。
また、この調査で勤続年数と回答した金融機関のうち、6割以上は審査基準の目安を「1年以上」としているものの、「3年以上」としているところも2割程度あります。
そのため、金融機関によっては、転職経験が審査通過のネックになってしまうケースが少なくありません。
(※)国土交通省「令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」
住宅ローン審査で勤続年数が重要視される理由

審査において、勤続年数が重要項目とされているのには、どのような理由があるのでしょうか。ここでは、勤続年数が短いことが不利に働いてしまう理由を解説します。
勤続年数から判断されるポイント
勤続年数から判断されるのは、主に「継続的かつ安定的な収入」と「収入が向上する見込み」の2点です。一般的には、勤続年数が長いほうが継続的かつ安定的な収入を見込めるため、長期の返済が可能だと判断されます。
また、勤続年数が長ければ昇給などによる収入の向上も見込みやすいため、審査で有利になります。いずれにしても、申込者の職務経歴を通して、収入の今後の動向が判断されているということです。
そのため、公務員や大企業の給与所得者と比べ、特に独立や中小企業への転職では不利になってしまう可能性があるといえます。
物件を探す 注文住宅カタログを探す 住まいの窓口に資金計画を相談する勤続年数にかかわらず審査に通過しやすいケース

勤続年数は、あくまでも収入の動きを判断する項目であるため、場合によっては審査に影響を与えないこともあります。
ここでは、勤続年数が短くても審査に通過しやすいケースについて、具体的に見ていきましょう。
同業種かつ年収アップのための転職
住宅ローン審査においては、申込者の勤続年数だけでなく、その内容についても確認されます。そのため、スキルアップなどによる収入向上のための転職は、単に仕事が続かなかった場合とは区別されるケースが多いです。
特に、同業種への転職のように、勤務経歴に一貫性がある場合には年収向上が期待されます。こうしたケースでは、勤続年数が審査結果に影響を与えないことも少なくありません。
関連会社への転職
関連会社やグループ企業への異動は、金融機関によっては転職とみなされず、以前働いていた職場の勤続年数が合算されることもあります。
そのため、関連企業に転職して間もないタイミングで住宅ローン審査を受ける際には、金融機関に事情を話してみましょう。
ただ、子会社への転職など、事業規模が大きく変化するようなケースでは、収入低下の可能性があると判断されることもあるため注意が必要です。
士業への転職
弁護士や税理士といった“士業”への転職は、申込者の状況によって、通常の場合と区別されることもあります。たとえば、弁護士や税理士として事務所に勤務しているなど、正社員としての在籍が認められれば、審査で有利に働くのです。
ただ、独立をした場合には、収入の安定性を証明することが難しくなってしまうため注意が必要となります。たとえば、代表として事務所を立ち上げている場合には、事業年数や実績などの基準を満たすことも条件に加わります。
信頼性が高い企業への転職
転職先の財務内容が高く評価されており、社会的な信頼性も高いケースでは、勤続年数にかかわらず審査に通過する可能性があります。
そのため、転職先の状況が有利な判断材料となる場合には、金融機関の担当者へ積極的にアピールすることも大切です。
転職者やフリーランスはどうするべき? 勤続年数が短い場合の対処法

勤続年数は、収入の安定性を証明するひとつのキーポイントとなるため、住宅ローン審査に与える影響は大きいといえます。しかし、転職者やフリーランスであっても、決して住宅ローンを利用できないわけではありません。
ここでは、勤続年数が短い場合の対処法について見ていきましょう。
勤続年数の合算を交渉する
勤続年数によって審査に落ちてしまう場合には、前職の勤続年数との合算を交渉してみるのもひとつの方法です。
たとえば、人によっては以前の勤め先で長年にわたって勤務を続け、転職先で収入が向上しているなど、年数だけでは判断できない事情もあります。
そうしたケースでは、金融機関の審査担当者に相談することで、勤続年数を合算してもらえる可能性があるのです。
フラット35の利用を検討する
フラット35とは、独立行政法人の住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供を行う長期固定金利の住宅ローンです。
民間の金融機関とは異なり、勤続年数に関する審査は行われないため、安定した収入があれば転職者やフリーランスでも利用できるのが特徴です。
たとえば、独立をした場合、一般的な金融機関では3期分の所得が黒字であることが条件となります。しかし、フラット35は自営業者も前年度の所得をもとに審査が行われるため、独立後、間もない場合でも利用が可能です。
物件を探す 注文住宅カタログを探す 住まいの窓口に資金計画を相談するフラット35の利用において押さえておくべき注意点

フラット35は固定金利であり、返済の計画を立てやすいなどのメリットがあるため、職種や勤務形態にかかわらず多くの人が利用している住宅ローンでもあります。
しかし、利用する際には注意しておきたいポイントもいくつかあるのです。ここでは、フラット35の注意点を見ていきましょう。
フラット35の注意点
固定金利であるフラット35は、変動金利の住宅ローンと比べると、金利が高めに設定されています。
さらに、融資率が高い(住宅の購入価格に対する借入額の割合が90%を超える)と、さらに金利が高くなってしまう点には注意しましょう。
また、一般的な住宅ローンとは、審査で重要視される基準が大きく異なります。フラット35の場合は、物件そのものに対する審査がより重視され、適合する住宅でなければ落ちてしまうこともあるのです。
そのため、フラット35の利用を検討する場合には、購入する住宅についてもきちんと目を向けておく必要があります。
住宅ローン審査と勤続年数の関係性を理解しておこう
- 審査項目の中でも勤続年数を重視する金融機関は多い
- 収入の安定性や向上を見極める重要な判断基準とされている
- 同業種かつ年収アップのための転職などでは、勤続年数が審査に影響を与えないケースもある
- 勤続年数が短い場合には、以前の職歴との合算やフラット35の利用を検討してみる
- フラット35はフリーランスも利用できるのが魅力であるものの、金利や物件審査などの注意点もある
更新日: / 公開日:2021.03.11










