- 住宅ローンの返済計画を立てる
- 住宅ローンは、返済期間によって毎月の返済額や総支払額が大きく異なります。シミュレーターで具体的な金額を確認し、無理のない返済計画を立てましょう。返済期間が短いほど総支払額を抑えることができます。
詳しくは、「毎月の返済額と総支払額は? 返済シミュレーション」をご覧ください。 - 住宅ローンに必要な年収の目安
- 住宅ローンの審査では、年収倍率や返済負担率が重視されます。年収に占める年間返済額の割合である返済負担率を、無理のない範囲に収めるのが一般的です。ご自身の年収で返済可能か確認することが大切です。
詳しくは、「住宅ローン4,000万円を組むときの年収の目安と借り入れ条件」をご覧ください。 - 夫婦で協力してローンを組む
- 一人での借入が難しい場合、夫婦の収入を合わせる「収入合算」や、それぞれが契約する「ペアローン」といった方法があります。どちらの方法も借入可能額を増やせますが、注意点も異なるため特徴を理解して選びましょう。
詳しくは、「ペアローンとは? 1人で契約する場合との違い」をご覧ください。
マイホームは一生に一度とも呼べる大きな買い物であり、自己資金だけで購入費用を賄える人は多くありません。
ある程度の自己資金とともに、住宅ローンで購入費用を取得するケースが一般的です。
今回は、4,000万円の住宅ローンを組むケースを例にあげ、毎月の返済額や総支払額、必要な年収について詳しく見ていきましょう。
住宅ローンの金利の種類と返済方法

住宅ローンは金融機関から受ける融資であり、返済の際には当然金利が発生します。そのため、利用するうえでは、金利の種類や返済方法をきちんと理解しておくことが重要なのです。
ここでは、主な金利のタイプと特徴、返済方法の種類について解説します。
固定金利と変動金利

住宅ローンの金利には、大きく分けて固定金利と変動金利の2つのタイプがあります。固定金利は、ローン完済までの金利が一定であり、安定した返済計画を立てられる点がメリットです。
一方、変動金利は半年ごとに金利の見直しが行われ、それに基づいて5年ごとに支払額が変化する仕組みです。固定金利よりもスタート時の金利が低く設定されることが多く、金利の変動がなければ、総支払額を安く抑えることができます。
金利上昇のリスクがある点がデメリットであるものの、増加率は最大でも25%以下と定められているため、ある程度の見通しを立てることは可能です。どちらを選ぶのかは、家庭の状況によって異なるため、慎重な見極めが必要となります。
元利均等返済と元金均等返済

住宅ローンの返済方法には、「元利均等返済(がんりきんとうへんさい)」と「元金均等返済(がんきんきんとうへんさい)」の2つがあり、借り入れのタイミングでどちらかを選択することになります。
元利均等返済は、毎月の返済額が一定になるため、返済の計画を立てやすくなる点が特徴です。
元金均等返済は支払う元金が一定であるものの、利息分は残った元金を基に計算されるため、返済スタート時の負担額が大きくなります。そして、返済を重ねるごとに負担額が減少していくのです。
元金均等返済には総支払額が安くなるといったメリットがあるため、スタート時から安定した返済計画を立てられる元利均等返済と比較したうえで、適した方法を選ぶことが重要です。

毎月の返済額と総支払額は? 返済シミュレーション

住宅ローンの返済は長期にわたるため、具体的な支払額を算出して、綿密な返済計画を立てることが重要です。
ここでは、LIFULL HOME’Sの住宅ローンシミュレーターを使って、実際の返済計画をイメージしてみましょう。
住宅ローンシミュレーターの使い方
住宅ローンシミュレーターでは、利用者の条件や融資額などを入力して、具体的な返済計画を確認することができます。利用する際には、「物件価格」「年収」「頭金」「年齢」「返済期間」「金利」などを順に設定していきましょう。
パソコンで利用する場合、金利プランについては、種類や利率の異なる複数のプランを3つまで同時に計算できるため、ローンの種類を見比べる際にも便利です。
4,000万円の住宅ローンを組んだ際の返済シミュレーション
今回は4,000万円の住宅ローンを組み、返済期間を15年、25年、35年の3種類に分けてシミュレーションを行います。なお、今回はボーナス時支払いを利用せず、金利は「1.5%の固定金利」で設定します。
実際には、借入期間が長くなるにつれて、金利も高くなる場合があるため注意が必要です。
借入期間 | 15年 | 25年 | 35年 |
|---|---|---|---|
毎月返済額 | 24万8,297円 | 15万9,975円 | 12万2,474円 |
総支払額 | 4,469万3,497円 | 4,799万2,359円 | 5,143万8,986円 |
この結果からも明らかなように、借入期間の長さによって、毎月返済額と総支払額には大きな違いが生まれます。
15年と35年を比較すると総支払額には700万円近くの差が発生するため、無理のない返済額を設定しつつも、できるだけ期間を短縮することがポイントだといえます。
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住宅ローン4,000万円を組むときの年収の目安と借り入れ条件

住宅ローンの借入額を決めるうえで、年収はとても重要な判断材料となります。ここでは、4,000万円の住宅ローンを組むうえで、どのくらいの年収が目安となるのか見ていきましょう。
年収倍率から見る年収の目安
年収倍率とは、住宅の購入金額に対する年収の割合を示した数字であり、融資金額を決めるひとつの判断基準となります。
住宅金融支援機構が調査した2019年度のデータ(※)によると、年収倍率の全国平均は「土地付き注文住宅で7.3倍」「建売住宅で6.7倍」「マンションで7.1倍」と、いずれも7倍程度となっています。
単純にこの結果を踏まえると、頭金なしの場合に、4,000万円の住宅ローンを組む際には、少なくとも570万円程度の年収が必要だといえます。
ただ、年収倍率はあくまでも「住宅購入価格」の比率であり、「住宅ローン利用額」の比率を直接的に示しているわけではありません。実際には1~2割程度の頭金と住宅ローンを合わせて購入資金が用意されるケースが多いため、注意しておきましょう。
※住宅金融支援機構「2019年度 フラット35利用者調査」
返済負担率から見る年収の目安
年収倍率とともに重要な指標となるのが、返済負担率です。年収に対する年間返済額の割合を示した数字であり、より正確に生活の実情を反映させた比率として扱われるため、住宅ローン審査の重要項目とされています。
たとえば、「年収400万円未満の場合は30%以下」「年収400万円以上の場合は35%以下」といった基準が設けられているのが一般的です。
また、年収のうち、年間返済額を「20~25%以内」に抑えることができれば、安定した返済を続けられる可能性が高いとされています。
そこで、先ほどシミュレーションをした毎月の返済額を基に、具体的な比率を計算してみましょう。まず、毎月の返済額を12倍して年間の返済額を算出します。
返済期間15年では「24万8,297円×12ヶ月=297万9,564円」、25年では「15万9,975円×12ヶ月=191万9,700円」、35年では「12万2,474円×12ヶ月=146万9,688円」です。この数字に基づいて、年収別の返済負担率をまとめてみましょう。
| 返済期間15年 | 返済期間25年 | 返済期間35年 |
|---|---|---|---|
年収600万円 | 49.7% | 32.0% | 24.5% |
年収700万円 | 42.6% | 27.4% | 21.0% |
年収800万円 | 37.2% | 24.0% | 18.4% |
年収900万円 | 33.1% | 21.3% | 16.3% |
※1.5%の固定金利で計算
この結果からすると、4,000万円の住宅ローンを15年で返済しようとすると、年収900万円でも経済的なゆとりのない状態となります。
一方、25年返済であれば年収800万円以上、35年返済であれば年収600万円でも適正範囲だといえます。
ペアローンとは? 1人で契約する場合との違い

4,000万円の住宅ローンを単独で契約する場合は、少なくとも年収が600万円以上はなければ審査を通過するのが難しいといえます。しかし、夫婦共働き世帯では、協力して融資限度額の枠を広げることもできるのです。
ここでは、夫婦で協力して住宅ローンを組む方法と注意点を解説します。
収入合算契約とペアローン契約の仕組みと特徴
収入合算契約とは、夫婦のうち一定の収入のあるほうが主債務者として契約し、もう一方の収入を合算して取り扱う方法です。
単独で契約を結ぶよりも、年収を高く申告できるため、融資限度額の枠を広げることができるのです。収入合算契約はローンを1本にまとめつつ、利用限度額を広げられる点にメリットがあります。
一方、ペアローン契約は夫婦それぞれが主債務者としてローンを組む契約です。
ペアローンはそれぞれがローン契約を結ぶため、どちらも住宅ローン控除を受けられ、税制上のメリットが大きいのが特徴です。ただ、ローンが2本となるため、手数料や諸経費がかさんでしまうところは難点だといえます。
夫婦で住宅ローンを契約する際の注意点
どちらの契約方法を選んだとしても、単独で契約する際とは異なる注意点があります。そのうちのひとつは、贈与税に関するポイントです。
夫婦で協力してローンを組む場合、実際の返済負担割合と住居持ち分割合が異なると、一方が相手に金銭を贈与したとみなされてしまうことがあります。また、どちらかが相手の返済を肩代わりした場合も、同様に贈与として扱われてしまうケースがあるのです。
この場合、夫婦間であっても金額によって贈与税が発生する可能性があるため、事前に確認しておく必要があります。また、夫婦共同でローンを組む場合、原則として離婚をしても返済義務はなくなりません。
万が一、離婚により住まいが別々になってからも、お互いが返済を続けなければならないため、きちんとリスクに目を向けておくことが大切です。

返済をスムーズに行うためのポイント

住宅ローンの返済は長期間に及ぶため、支払いが滞らないよう計画的に行っていくことが重要です。ここでは、返済をスムーズに行ううえで気をつけるべきポイントを解説します。
繰り上げ返済で総支払額を減らす
繰り上げ返済とは、資金の余裕が生まれたタイミングで、毎月の返済とは別に任意の額を支払うことを指します。
繰り上げ返済をした金額は、利息ではなく、元金の支払いに充てられるため、総支払額をカットすることが可能です。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」
繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあり、それぞれ異なる特徴をもっています。
期間短縮型は繰り上げた分のお金を返済期間の短縮に充てる方法であり、返済額軽減型は毎月の返済額を縮小することに充てる方法です。
利息の負担を減らす効果が高いのは期間短縮型であるものの、返済額軽減型はその後の生活にゆとりが生まれるといったメリットがあります。そのため、ライフステージの変化を頭に入れながら、実情に合った方法を選択することが大切です。
また、無理な返済をしようとするのではなく、繰り上げ返済には余剰金を充てることもポイントです。緊急の出費に備えて、ある程度のお金は手元に残しておきましょう。
まとめ:住宅ローンの利用は必要な年収と返済額を明確にしておくことが大切

- 固定金利と変動金利の違いを理解しておく
- 元利均等返済と元金均等返済の違いを押さえておく
- 住宅ローンシミュレーターを利用して、総支払額と毎月支払額を算出する
- 年収倍率と返済負担率から住宅ローン利用額を検討する
- 単独でのローン契約が難しい場合は、収入合算契約やペアローン契約の検討も
よくある質問
Q1:住宅ローンの金利にはどのような種類がありますか?
A1:住宅ローンの金利には、大きく分けて「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。
固定金利は、返済完了まで金利が変わらないため、返済計画が立てやすいのが特徴です。一方、変動金利は半年ごとに金利が見直され、5年ごとに支払額が変わる仕組みですが、スタート時の金利が低いことが多いです。どちらを選ぶかは、ご自身のライフプランに合わせて慎重に検討しましょう。
Q2:住宅ローンの返済方法にはどのような種類がありますか?
A2:住宅ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。
元利均等返済は毎月の返済額が一定で、計画が立てやすいのが特徴です。元金均等返済は返済当初の負担額は大きいですが、総支払額が安くなるメリットがあります。ご自身の家計状況に合わせて、最適な方法を選びましょう。
Q3:4,000万円の住宅ローンを組んだ場合、毎月の返済額や総支払額はどのくらいになりますか?
A3:返済期間や金利によって大きく異なります。
例えば、金利1.5%の固定金利で4,000万円を借り入れた場合、返済期間が15年なら毎月約24.8万円、総支払額は約4,469万円です。25年なら毎月約16.0万円、総支払額は約4,799万円、35年なら毎月約12.2万円、総支払額は約5,143万円となります。LIFULL HOME’Sの住宅ローンシミュレーターを使って、ご自身の条件で試算してみることをおすすめします。
Q4:4,000万円の住宅ローンを組むには、年収はどのくらい必要ですか?
A4:年収の目安は、返済期間や返済負担率によって異なります。
例えば、金利1.5%の固定金利で35年返済であれば、年収600万円でも適正範囲とされています。年収に対する年間返済額の割合を示す「返済負担率」は、住宅ローンの審査で重視される項目です。無理なく返済するためには、20~25%以内に抑えるのが理想です。
Q5:夫婦で協力して住宅ローンを組む方法はありますか?
A5:はい、夫婦で協力して住宅ローンを組む方法には「収入合算契約」と「ペアローン契約」があります。
収入合算契約は、どちらか一方が主債務者となり、もう一方の収入を合算して借り入れ可能額を増やす方法です。ペアローン契約は、夫婦それぞれが主債務者となり、それぞれがローンを組む方法で、住宅ローン控除をそれぞれ受けられるメリットがあります。夫婦の働き方や今後のライフプランに合わせて検討しましょう。
Q6:夫婦で住宅ローンを組む際の注意点はありますか?
A6:贈与税と離婚時の取り扱いに注意が必要です。
実際の返済負担割合と家の持ち分割合が異なると贈与税が発生したり、どちらかが相手の返済を肩代わりした場合も贈与とみなされることがあります。また、夫婦共同でローンを組んだ場合、原則として離婚しても返済義務はなくなりません。契約前に夫婦でよく話し合い、リスクを理解しておくことが大切です。
Q7:住宅ローンの総支払額を減らす方法はありますか?
A7:はい、「繰り上げ返済」が有効な方法です。
繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に、まとまったお金を任意で返済することです。繰り上げ返済した金額は利息ではなく元金の支払いに充てられるため、総支払額を減らすことができます。繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があり、ご自身の状況に合わせて選択できます。ただし、無理な返済で手元の資金が不足しないよう、ある程度の貯蓄は残しておきましょう。
更新日: / 公開日:2021.02.09










