- 土地購入における手付金の役割
- 土地の売買契約時に支払う手付金には、契約が成立した証となる「証約手付」、契約解除の権利を確保する「解約手付」、そして債務不履行時のペナルティとなる「違約手付」という三つの重要な役割があります。
詳しくは、「土地購入における手付金」をご覧ください。 - 手付金の相場と確認すべきこと
- 手付金の相場は物件価格の数パーセントから一割程度が一般的です。売主から提示された金額が妥当であるか、また、手付金による契約解除が可能な期間を示す「手付解除期日」が極端に短く設定されていないかを契約書で確認することが重要です。
詳しくは、「手付金を支払う際に確認すべき2つのポイント」をご覧ください。 - 手付金の返還と支払いが困難な場合
- 一度支払った手付金も、住宅ローンの審査に通らなかった場合に返金される「住宅ローン特約」があります。もし手付金の支払いが難しい場合は、売主への減額交渉や金融機関のつなぎ融資などを検討できる可能性があるため、不動産会社に相談してみましょう。
詳しくは、「手付金が返金されるケース」をご覧ください。
新築で一戸建てを建てようとする場合、まずは土地探しから始めることになります。希望に合った土地を見つけたら、買主が売主へ最初に支払うお金が「手付金」です。
土地を購入する際に必要となる手付金について、相場はいくらなのか、支払うタイミングは一般的にどのようになっているのか解説します。売主が土地購入をキャンセルした場合に手付金は返ってくるのかといった点についても併せてご紹介します。
※2020年10月8日記事内容に一部誤りがあり、修正させていただきました
土地購入時の手付金とは

種類に限らず物を予約購入する際、その対象物の価格が大きい場合は、保証金として予約金を支払うことがあります。同様に、大きなお金が動く土地の購入では、手付金の支払いを設定することは一般的となっています。
この手付金の支払いは、土地だけでなくマンションや建売住宅などの物件を購入したり、一戸建て住宅を建てたりする際にも必要となります。購入する物件が中古の場合も同様です。
不動産売買契約から物件の引き渡しの間に、万が一買主の都合で手付解除期日内に契約をキャンセルする場合は、すでに支払った手付金は基本的に返金されません。土地を購入する際には、本当にこの土地でよいのかよく考えてから手付金を支払うようにしましょう。
手付金を支払うタイミング
買主が売主へ手付金を支払うタイミングは、不動産売買契約を結ぶ当日となります。売買契約書へのサインと手付金の支払いで、今回の土地売買における売主と買主の約束が成立したという証拠になるのです。
手付金の支払い方法
不動産売買での手付金は、振り込みではなく現金で支払うのが一般的です。不動産売買契約を交わす当日までに、買主は手付金を現金で用意しておき、売主へ渡します。
実はこの手付金、性質上は、物件の売買代金とは別物という位置づけになっています。実際にはほとんどの場合において、後日行われる売買代金の残金決済時に、土地の売買代金から手付金額を差し引いた残額を支払って清算します。手付金が後ほど売買代金の一部に充当されるのかどうか、売買契約書の記載事項をしっかり確認しておきましょう。
土地購入における手付金
土地を購入する際に支払う手付金を改めて3つ、具体的にご紹介します。
解約手付
手付金の役割として広く認識されているのは、「解約手付」として利用されるというものでしょう。これは、買主は手付金を放棄することで、売主は手付金の倍額を返却することで契約を解除できる権利です。
解約の申し出は買主からだけではなく、売主側からも可能です。買主が手付金として100万円を支払った場合を例に説明します。
- 買主側からのキャンセル→100万円はそのまま売主のものとなり、買主には返金されない
- 売主側からのキャンセル→買主から交付された手付金も含め「手付金100万円×2倍=200万円」が買主へ支払われる
そのため、実質的には手付金相当額=解約手付金となっています。
証約手付
上記でも説明したとおり、手付金は買主が土地を購入するという意思を表すお金、つまり「証約手付」としての性質も持っています。これは、買主側だけの意思ではなく、売主側も手付金を受け取ることで「この土地はあなたに売りますよ」という意思を表すことになります。
違約手付
下記のようなケースで契約が解除される場合に、手付金は手付解除金に姿を変えます。解約手付と同じように、違約手付は買主側・売主側の両方で発生する可能性があります。
- 買主側の債務不履行(売買代金の残金を支払わない等)→手付金は売主へ違約金としてわたってしまう
- 売主側の債務不履行(土地の引き渡しが期日までに行われない等)→売主は手付金を買主に返金し、追加で違約金として手付金と同額を買主に支払う

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土地購入時に支払う手付金の相場
不動産売買時の手付金にも相場があります。手付金額の設定については、その売買価格の5~10%となるケースが多いようです。
ただし、この割合は法的に定められているわけではなく、売主側からの提示と買主側からの合意で成立するものですので、「手付金は売買価格の5~10%」というのはあくまでも目安と考えてください。解約をできるだけ避けるために手付金を高く設定している売主もいれば、すぐにでも買手がつきそうな土地の場合は手付金額を安めに設定する売主もいます。
手付金を支払う際に確認すべき2つのポイント

手付金の意味や金額の目安について把握できたら、実際に手付金を支払う際に知っておきたい2つのポイントについてもぜひ押さえておきましょう。
金額が妥当であるか
売主から提示されている手付金の金額が、「売買価格の5~10%」という一般的な割合から大きくかけ離れていないか確認してください。また、仲介に不動産会社を挟むのではなく、不動産会社から直接土地を購入する場合は、「手付金の上限は売買金額の20%まで」と法律によって定められています。
たとえば、土地の売買価格が600万円の場合、手付金の設定目安は30万~60万円ほどとなります。不動産会社から直接購入する場合は、120万円以下となっている必要があります。
手付解除期日が妥当であるか
聞き慣れない言葉かもしれませんが、不動産の売買において「手付解除期日」はとても重要な日程です。この日までに契約を解除すれば解約手付によって解約できますが、手付解除期日以降になってしまうと違約金が発生するのです。
不動産売買契約書の文章では専門的な単語が多く使われますので、一般の人には把握しにくい場合も多いでしょう。土地の購入をやめることができると買主が思い込んでいた時期は実は違っていた、ということにならないためにも、契約書の手付解除期日を必ず確認しておきましょう。
手付解除期日は、売買契約日と引き渡し・所有権移転登記日の中間に設定されることが基本で、約1ヶ月の期間が取られます。これよりも極端に短すぎる場合は、十分に信頼のおける売主・不動産会社(仲介役)なのか、いま一度考え直してみる機会となります。

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手付金が返金されるケース
土地の売買契約で買主が手付金を取り戻すことができるのは、以下のようなケースです。
手付解除期日内の場合
あらかじめ売買契約書に明記されていた手付解除期日よりも前に、買主が契約のキャンセルを申し出た場合は、手付金を放棄することで契約を解除できます。
住宅ローンの審査に落ちた場合
「不動産は一生でも最大の買い物」といわれるように、マンションや一戸建てなど住宅を購入する際にはある程度大きな資金が必要です。そこで、多くの人が利用するのが住宅ローンです。土地のみの購入の場合には住宅ローンを利用できませんが、その土地に住宅を建てる予定がある場合は住宅ローンの利用が可能です。
不動産売買契約書にはさまざまな細かい取り決めが記載されることになりますが、そのひとつに「住宅ローンの融資利用特約」というものがあります。この特約により、もし住宅ローンの審査に落ちてしまった場合は契約の解約が可能となり、売主へ支払い済みの手付金は買主へ返金されます。
この特約は、一般的に購入価格が大きいものとなる不動産の売買において、買う意思はあるものの、「住宅ローンの審査落ち」という望まない結果となってしまった買主側の資金を守るために設定されているものです。ただし、住宅ローンの申請書類に不備があった場合など、買主の責任によるものが原因で審査に落ちたケースでは、この特約の対象とはなりませんので注意しましょう。
手付金が支払えない場合はどうすればいいの?

不動産売買契約を結ぶ際には手付金を支払うのが一般的となっていますが、その相場が売買価格の約10%であることや、現金払いという点でも支払いが難しいという場合もあるでしょう。それでもぜひ土地を購入したいという場合には、以下の2つの方法をお試しください。
売主と交渉する
不動産の売買契約では買主が売主へ手付金を支払うのが通例である、ということをここまで説明してきましたが、「手付金の支払いを必ず設定しなければならない」というわけではありません。
手付金の設定は、売買契約が滞りなく行われることを目的としたものです。なかなか売れないような条件が付いた土地であったり、買主側に何か事情があったりする場合、売主との交渉次第では手付金の額を相場よりも下げてもらえる可能性もあります。
不動産会社が仲介に入っている場合は、不動産会社を通して交渉してみましょう。
住宅ローンを利用する
住宅ローンは物件の購入代金を支払うためのものですが、売買価格の100%が融資対象となるため、手付金の分まで借入れできます。
ただし、手付金は売買契約時に支払うものなので、住宅ローンの融資実行よりも前のタイミングとなります。そのため、売買契約の時点で一時的に現金で手付金を用意しておく必要があります。
無料で住まいの窓口に相談する 土地と建築会社の選び方講座まとめ
土地を購入する際の流れでは、基本的に売買契約で手付金を売主へ支払う場合がほとんどです。その相場は土地の売買代金の10%前後であること、どんな理由であれ解除期日前であれば手付金を支払うことで解約が可能であること、解除期日後に買主が一方的にキャンセルした場合は違約解除となること、は覚えておきましょう。
手付金の支払いが難しい場合は、不動産会社などに相談してみてください。
無料で住まいの窓口に相談する 土地と建築会社の選び方講座よくある質問
Q.1:土地の購入時に聞く「手付金」とは何ですか? 必ず支払う必要がありますか?
A.1:手付金とは、売買契約を結ぶ際に買主が売主へ支払うお金のことです。「この土地を購入します」という意思表示と、契約の証として支払います。法律で支払いが義務付けられているわけではありませんが、不動産取引では一般的な慣習です。
Q.2:手付金の相場はいくらくらいですか?
A.2:売買価格の5~10%が目安ですが、売主との合意によって金額は決まります。なお、売主が不動産会社の場合、法律により売買価格の20%が上限と定められています。
Q.3:手付金はいつ、どのように支払うのですか?
A.3:売買契約を結ぶ日に、現金で支払うのが一般的です。契約書への署名・捺印と同時に支払うことで、契約が正式に成立します。
Q.4:支払った手付金は、土地の代金の一部になりますか?
A.4:はい、支払った手付金は売買代金の一部に充てられます。物件の引き渡し時に支払う残金から、手付金の額が差し引かれるのが一般的です。トラブルを防ぐため、売買契約書にその旨が記載されているか確認しましょう。
Q.5:もし自己都合で購入をやめたくなったら、手付金は返ってきますか?
A.5:自己都合でキャンセルする場合、手付金は戻ってきません。これを「手付放棄」といいます。ただし、手付金の放棄で契約解除ができるのは、契約書で定められた「手付解除期日」までです。期日を過ぎると別途違約金が発生する可能性があるため、注意が必要です。
Q.6:売主の都合で契約がキャンセルされた場合はどうなりますか?
A.6:売主側の都合で契約をキャンセルする場合、すでに支払われた手付金の返金に加えて、それと同額の金銭が売主から買主へ支払われます。結果として、買主は支払った手付金の倍の金額を受け取ることになります。これを「手付倍返し」といいます。
Q.7:契約書で特に注意して確認すべき点は何ですか?
A.7:特に以下の2点を確認しましょう。
1. 手付解除期日:この日を過ぎると、手付金を放棄するだけでは契約解除ができなくなります。契約日から引き渡しまでの期間を考慮し、不当に短い期日が設定されていないか確認が必要です。
2. 手付金の額:金額が売買価格の5~10%という相場から、大きくかけ離れていないかを確認しましょう。
Q.8:住宅ローンの審査に落ちてしまった場合、支払った手付金はどうなりますか?
A.8:売買契約書に「住宅ローン特約」が付いていれば、手付金は全額返金されます。これは、万が一住宅ローンの審査に通らなかった場合に、契約を白紙に戻せる特別な約束事です。ただし、故意に審査手続きを行わないなど、買主側の落ち度でローンが組めなかった場合は適用されないため注意しましょう。
Q.9:手付金としてまとまった現金が用意できない場合は、どうすればいいですか?
A.9:まずは売主への減額交渉が考えられます。不動産会社の担当者に相談してみましょう。交渉が難しい場合は、親族から一時的に借り入れるなどの方法も検討します。また、金融機関によっては手付金に利用できるローン商品を用意している場合もあります。
更新日: / 公開日:2020.08.31









