住宅を購入するときには物件の購入代金以外にもさまざまな諸費用（諸経費）が生じます。諸費用は原則として現金での支払いが求められるため、あらかじめ準備しておくことが大切です。

そこで今回は、諸費用の内訳や目安などを住宅種別ごとにまとめました。住宅購入にかかる諸経費を把握し、無理のない資金計画を立てていきましょう。

住宅購入に必要な諸費用（諸経費）とは？

住宅購入時にかかる諸費用とは、物件購入代金とは別にかかる費用のことです。詳細は後述しますが、費用目安は注文住宅や新築マンションの場合で物件価格の3〜6％前後、中古住宅や新築一戸建て（建売住宅）の場合で6〜9％前後といわれています。仮に3,000万円の住宅を購入した場合、90〜270万円程度の諸経費がかかるということです。

また、諸費用は主に税金や手数料となるためローン借入額に含まれないことが多く、現金払いが原則です。つまり、住宅を購入した時点で数百万円の現金が必要になるということ。これも諸費用を軽視できない理由のひとつです。

家を買うときの相談先は？ 費用や注意点について紹介！ マイホーム購入の疑問を解決

住宅購入の相談、どこに行けばいい？ハウスメーカー、銀行、FP、無料相談窓口など、主要な相談先5つの特…記事を読む

諸費用には何があるの？

諸費用について順番に確認していきましょう

住宅購入にかかる諸費用は大きく分けて、「物件にかかる諸費用」と「住宅ローンにかかる諸費用」に分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

物件にかかる諸費用

購入した物件の価格や住宅ローンを借りた額に応じて異なりますので、目安としてご覧ください。

印紙税

売主と取り交わす「売買契約書」に貼る印紙代です。

不動産取得税

不動産を取得した際に発生する地方税です。不動産取得税は「固定資産税評価額×標準税率」で算出されます。不動産の標準税率は原則4％ですが、2021年3月31日までに取得した不動産の場合は特例措置により3％に設定されています。また、一定の条件を満たす不動産であれば税額軽減措置によりゼロになるケースが多いです。

登録免許税

不動産を取得すると、不動産が自分の所有物であることを登記簿という公の帳簿に記録する必要があります。この登記にかかる国税が登録免許税。登記の種類には所有権保存登記、所有権移転登記、抵当権設定登記などがあり、それぞれ一定の税率が定められています。2021年3月31日までに取得した不動産には税額軽減措置が適用されます。

司法書士への報酬

上記の登記をする際は、司法書士に手続き代行を依頼することが多いです。報酬額は登記の種類によって差が出ます。

固定資産税清算金（および都市計画税清算金）

固定資産税や都市計画税は、1月1日（あるいは4月1日）時点で不動産を所有している人が同年1年分の税金を納めるのがルールです。そのため、年の途中に不動産の引き渡しがあった場合は売主が払う税金を買主が負担するのが通例で、これを固定資産税（および都市計画税）の清算金といいます。清算金は売買価格に加算されるため、売主が法人の場合は消費税がかることもポイント。こちらも一定の条件を満たす不動産であれば税額軽減措置が適用されます。

※200m2までの部分の場合

※都市計画税は、0.3％が課税率上限となります

補足：固定資産税の清算金に加え、中古マンションの場合は管理費・修繕積立金の清算金が、借地権付き一戸建ての場合は地代などの清算金が必要になります。

修繕積立基金

修繕積立基金は、新築マンションの引き渡し時にかかる費用です。修繕積立準備金、修繕積立一時金ともいわれます。修繕積立基金としてまとまった額のお金を徴収することで、将来の大規模修繕に備えたり、毎月徴収する修繕積立金の額を抑えたりすることができます。

仲介手数料

不動産会社などが売買を仲介する物件を購入したときにかかる費用です。800万円を超える物件の仲介手数料の上限は「物件価格×3％＋6万円（税別）」となります。

住宅ローンにかかる諸費用

印紙税

住宅ローンの契約時に取り交わす「金銭消費貸借契約書」に貼る印紙代です。

登録免許税

登録免許税はローン借入時にも発生します。これは金融機関が土地や建物に抵当権を設定する際に登記が必要となるため。こちらも2021年3月31日までに取得した不動産の場合は税額軽減措置が適用されます。

司法書士への報酬

物件にかかる諸費用と同様、上記の登記の際には司法書士に手続きを依頼することが多くなります。

融資事務手数料

住宅ローン契約時に金融機関に支払う手数料です。

ローン保証料

住宅ローンの返済が滞った場合の備えとして、返済を保証する保証会社に支払うお金です（フラット35を利用する際には不要）。毎月の金利に0.2%程度上乗せして支払うケースもあります。

物件調査手数料

融資を受けるには融資基準に適合する住宅である必要があります。物件調査手数料は、その適合検査にかかる手数料。主にフラット35を利用して住宅購入する際にかかります。

火災保険料（および地震保険料）

住宅ローン借入時には火災保険への加入を必須としている金融機関がほとんどです。契約期間は1年から最長10年となり、契約期間が長いほど保険料は割安になります。地震に備えたい場合は別途、地震保険料（最長5年契約）が必要です。

家を買うときの相談先は？ 費用や注意点について紹介！ マイホーム購入の疑問を解決

住宅購入の相談、どこに行けばいい？ハウスメーカー、銀行、FP、無料相談窓口など、主要な相談先5つの特…記事を読む

新築・中古、一戸建て・マンションで諸費用は変わる？

上記で紹介した諸費用は、住宅種別によってかかる場合とかからない場合があります。住宅購入時の諸費用を、新築一戸建て（注文住宅・建売住宅）、中古一戸建て、新築マンション、中古マンションごとにまとめました。

住宅種別ごとの諸費用一覧

（◎：かかる　○：かからない場合もある）

※状況や条件によって異なります。

税金は基本的にどの物件でも発生しますが、不動産取得税は軽減措置により非課税となることがあります。また、融資手数料やローン保証料は住宅ローンを借り入れる場合は必ず必要です。

一方、修繕積立金基金は新築マンションのみ、仲介手数料は仲介が入る物件のみです。仲介物件は主に中古住宅ですが、新築でも建売一戸建ては仲介会社が販売するケースがあります。

諸費用の目安

 では実際、諸費用はどのくらいになるのでしょうか。住宅種別ごとに説明します。

※状況や条件によって異なります。

注文住宅と新築マンションが物件価格の3〜6％、新築一戸建てと中古一戸建て、中古マンションが6〜9％前後となり、3％の違いがあるのが分かります。物件に応じて諸費用が異なる理由のひとつは、住まいの見つけ方による違いです。不動産会社が物件選びを支援してくれる対価として支払う仲介手数料などが、影響していると考えられます。

諸費用はあくまで費用対効果で判断することが大切です。必要なサービスにはきちんとお金を払い、トラブルのないマイホーム購入を実現させましょう。

諸費用を踏まえた資金計画を立てよう

諸費用について学び満足いく住宅購入を

住宅購入にかかる諸費用について解説しました。諸費用にはさまざまな種類があり、一つひとつは小額でも総計すると軽視できない金額になります。住宅購入時には、あらかじめ諸費用をふまえた資金計画を立てることが極めて重要といえるでしょう。

家を買うときの相談先は？ 費用や注意点について紹介！ マイホーム購入の疑問を解決

住宅購入の相談、どこに行けばいい？ハウスメーカー、銀行、FP、無料相談窓口など、主要な相談先5つの特…記事を読む

よくある質問

Q1：住宅購入時にかかる諸費用は、物件価格以外にどのくらい必要ですか？

A1：住宅購入時にかかる諸費用は、物件価格とは別に必要で、原則として現金で支払います。費用の目安は、注文住宅や新築マンションの場合は物件価格の3〜6%前後、中古住宅や新築一戸建て（建売住宅）の場合は6〜9%前後とされています。例えば、3,000万円の住宅を購入する場合、90万〜270万円程度の諸費用がかかることになります。

Q2：住宅購入にかかる諸費用にはどのようなものがありますか？

A2：住宅購入にかかる諸費用は、大きく「物件にかかる諸費用」と「住宅ローンにかかる諸費用」に分けられます。 物件にかかる費用：印紙税、不動産取得税、登録免許税、司法書士への報酬、固定資産税精算金、修繕積立基金（新築マンション）、仲介手数料など 住宅ローンにかかる費用：印紙税、登録免許税、司法書士への報酬、融資事務手数料、ローン保証料、物件調査手数料、火災保険料（および地震保険料）など

Q3：新築と中古、マンションと一戸建てで諸費用は変わりますか？

A3：はい、住宅種別によって諸費用は異なります。例えば、新築マンションには修繕積立基金がかかる場合があります。また、中古物件や一部の新築建売一戸建てには仲介手数料がかかることがあります。不動産取得税も軽減措置により非課税となるケースがあります。ご自身の購入予定の住宅種別ごとに諸費用を確認することが大切です。

Q4：住宅購入の諸費用を抑える方法はありますか？

A4：不動産取得税や登録免許税には軽減措置が適用される場合があります。また、火災保険料は契約期間が長いほど割安になることがあります。ローン保証料が不要な「フラット35」の利用も一つの方法です。必要なサービスには適切にお金を払いながらも、利用できる税額軽減措置などを確認し、資金計画を立てることが重要です。

Q5：住宅購入の資金計画を立てる際、諸費用以外に考慮すべき点はありますか？

A5：諸費用は物件購入代金とは別にかかる費用で、原則として現金での支払いが求められます。そのため、物件価格だけでなく、諸費用分も現金で準備できるかを確認し、無理のない資金計画を立てることが非常に重要です。まずは、ご自身の購入予定の住宅種別に応じた諸費用の目安を把握することから始めましょう。