これまでは高齢者の資金が足りなくなる問題を解決するための「リバースモーゲージ」という仕組みや、実例についてご説明してきました。他にも押さえておきたいのが、高齢者を支える家族の介護負担。そこで今回は、「リバースモーゲージ」が、介護費用などの経済面をサポートする可能性についてお話しします。
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介護離職で、巻き込まれる家族
介護は、本人の問題だけではありません。同居している家族の仕事にも影響を与えます。介護を原因とする離職がどのくらいかご存じでしょうか?
年間約10万人で、そのうち女性が8割を占めます(総務省の調査:平成23年10月~24年9月・介護・看護のために離職した人は10.1万人)。時間的、精神的、体力的な原因で退職する人だけでなく、介護で職場に迷惑をかけることに申し訳なさを感じて退職してしまうケースも多いようです。仕事を失えば経済的、精神的な基盤を失うことになります。
さらには、「介護・看病疲れ」を背景に、介護殺人にまで発展するケースもあります。厚生労働省の調査によると、「65才以上の被介護者が、過去10年で親族により250人が殺された(調査期間:2006~2015年)」という衝撃的なデータがあるようです。

介護の現場はどのようになっているのでしょうか
病院には入院しにくい仕組みとなっている
厚生労働省は、団塊の世代が75才以上になる2025年を目途に、「住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体に提供される地域包括ケアシステムの構築」を目指しています。
つまり、高齢者は住み慣れた自宅で最後まで生活を継続させることを推進しています。この方針に従い、病院のベッド数は減っています。病院の治療が終われば、入院させないで、自宅で療養させる方向なのです。
では介護の現場はどうなっているのでしょうか。
通常、誰かが介護が必要となる場合、その家族が最初に相談するのは市区町村です。
そして「介護認定」(介護度の低い順位に、「支援1、2、介護1、2、3、4、5のいずれか)の手続きをしてもらいます。
この介護度に応じて介護保険の利用限度額が決まります。介護度が高ければ高いほど、高額な介護サービスが利用できます。

病院のベッド数は減少傾向にあります
マンションを探す 一戸建てを探す 注文住宅を探す在宅介護に必要な費用は?
病院には容易に入院しにくい仕組みとなっている国の方針などもあり、なるべく在宅で介護をする必要があります。そこで家族の介護力を補助するのが「在宅介護サービス」です。
在宅介護サービスの月額利用限度額は、右のようになっています。
介護度別にどの介護度でも本人の自己負担額は1割です。

在宅介護サービスの月額利用限度額
「施設を利用した介護」を検討してみましょう
しかし、「在宅介護」ですべて解決するのでしょうか? 答えはNOです。
在宅介護の場合、家族の労力の負担が非常に大きくなるため、上述の通り、介護離職などの問題があります。
そこで、家族内部ではなく、外部の「施設の利用」を検討するということになります(表1)。外部の施設によれば、家族の負担は軽減できるでしょう。
ですから、経済的に許されるならば、施設による介護の可能性も検討すべきかと思います。もちろん、介護施設の選択は慎重に行うことが重要です。

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在宅介護と施設介護の費用を比較してみましょう
在宅介護費用の場合の居宅介護サービスの利用料は、平均7万円です。
内訳は、居宅介護サービスの利用が3.7万円(自己負担1割を含む)、それ以外で3.2万円。
ただし、水光熱費、食費がこの他にかかります。
それでは、施設による介護の費用はどうでしょうか?
少しまとめてみました(表2)。
高齢者施設は、公的なものとして「特別養護老人ホーム(「トクヨウ」と呼ばれます)」、「介護老人保健施設(「ロウケン」と呼ばれます)」、などがあります。利用料が安いため、空きがなく入居待ちとなっている状況です。
一方、民間では、有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者住宅などがあります。
利用料などは下表のとおりで、月額10~35万円となっています。

どのような流れで進めたらいいの?
親族による介護の負担を考慮すれば、安い高齢者施設つまり「トクヨウ」や「ロウケン」を利用することが一番のようです。
しかし、空きがないために、「自宅で療養しながら空くのを待つ」ということになります。民間の介護施設も視野に入れて、評判のよい施設の空きがあれば選択するというのが、次善策になりそうです。
介護費用を捻出するための解決策
そのような費用をどこから用意したらいいの、と諦めるのはまだ早いです。
介護費用を捻出する方法として、リバースモーゲージの検討をおすすめします。
介護の費用のために利用するポイントとしては、
【1】自宅を担保に、介護費用を目的とした融資を受ける
【2】死亡したら自宅を売却してローンを返済する
という2点です。
まず、【1】の融資についてですが、自宅の土地の価格の半額程度が融資されます。
おおむね、土地の時価が1000万円以上あれば可能となります。
【2】についてですが、懸念されるのは、死亡時に、介護者が同居していれば、住む場所を失うという問題です。
ですから、介護者は別の自宅があるなど、経済的に自立している必要があります。
この点はローン取組みの審査の際にチェックされる項目です。

リバースモゲージのご検討はいかがでしょうか
我が家もリバースモーゲージを使えるのかチェックしてみよう!
総務省の公表(平成26年全国消費実態調査)によると、70才以上の1世帯当たりの資産状況は、平均値4759万円(うち宅地などが2380万円、貯金現預金などが2059万円)となっています。債務はほとんどゼロ。つまり高齢であるため、住ローンなどの借金もほとんどないようです。
リバースモーゲージを使うには、自宅の土地の値段がおよそ1000万円あれば可能です。また、都心であれば、マンションも利用可能な場合があります。
ですから、平均的な高齢者であればリバースモーゲージを利用できる可能性は十分にある、ということになります。
リバースモーゲージの利用例
例えば、自宅の土地の時価が2000万円の場合の、「リバースモーゲージ」活用を説明します。
資金の目的は、介護施設を利用する資金です。入居金でも毎月の費用でもよいです。土地の値段の半額1000万円を借入できるので、100万円を10回にわけて借りてもよいですし、全額1000万円借りるのでもかまいません。
金利は3%程度です。満額1000万借りた場合は、毎月2.5万円支払えばよいのです。
お亡くなりになった場合には半年以内に自宅を売却して、リバースモーゲージの借入分を全額返済することになります。
なお、自宅から介護施設に住み替えることによって、自宅が空き家になるという問題があります。この場合は、空き家を賃貸して家賃収入を
得ることも可能です。さらに、タイミングを見て、死亡する前でも、売却してリバースモーゲージを返済してしまうことも基本的には問題ありません。

上手な活用で将来の選択肢が増えるかもしれません
深刻な問題となる前に・・・
介護費用に関するお金の問題は、全ての家族に起こりうる、現代家族にとって典型的な問題です。特に、お金と不動産や相続などが絡む問題でもあり、これらを解決してくれる専門家はなかなか見当たりません。
家族の負担が、殺人や失業を引き起こしてしまわないように、早めの対策や、情報を知っておくことが重要です。
・介護が過度な負担になってしまうことや、介護を理由として離職するケースがある
・病院には容易に入院しにくい仕組みとなっているため、家族の負担軽減のためには、居宅介護サービスや施設介護が考えられる
・介護費用を捻出するために「リバースモーゲージ」を使える可能性がある
・「リバースモゲージ」の利用例について
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更新日: / 公開日:2017.12.12










