マイホームの取得は人生においてとても大きな決断のひとつです。そのため、メリットだけではなく、さまざまなリスクにも目を向けて納得のいく判断をすることが大切となります。今回は「地震のリスク」とマイホームの取得に関して、事前に考えておくべきポイントを解説します。重要な選択肢だからこそ、幅広い視点で考え、家族とも意見のすり合わせを行えるようにしておきましょう。
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地震のリスクについて見ていく前に、まずは持ち家を取得することの基礎知識として、賃貸との違いを比較しておきましょう。

 

 

メリット

デメリット

賃貸

・固定資産税などの負担がない

・原則、修繕・改修の負担がない

・ライフスタイルに合わせて引越しができる

・家賃を払い続けても所有はできない

・リフォームは原則として不可

マイホーム

・ローンを完済すれば支払いがなくなる

・老後の住居費負担が軽くなる

・広さや間取りを自由に選択できる

・建替えやリフォームを自由に行える

・住宅ローン金利や各種税金の負担がある

・修繕費用の負担がある

・収入やライフスタイルの変化に対応しにくい

・資産価値が低下する可能性がある

 

賃貸と持ち家の大きな違いは、「住み心地」と「金銭的な負担」の2つにあります。賃貸と比べてマイホームは自由度が高く、建替えやリフォームなどの可変性も高い点が大きなメリットです。

 

また、住宅ローンを完済してからは資産になるため、家賃を支払い続けなければならない賃貸と比べて老後の安心感もあります。一方、固定資産税などの税負担、メンテナンスコストの費用負担があるため、資金計画は慎重に立てなければなりません。

 

まずはこうした違いを押さえたうえで、マイホームを取得すべきかどうかを慎重に判断しましょう。

マイホームのデメリットのうち、地震のリスクと大きく関係してくるのは、「修繕費用の負担がある」という点だといえます。ここでは、「家を買わない」という選択肢についても目を向けてみましょう。

地震に備えて家を買わないと考える背景には、予想される大震災への対応が挙げられます。大きな地震によって倒壊や地盤沈下などが起こるリスクを考えると、賃貸のほうが安心感はあると判断する方もいます。

 

特に、住宅ローンを組んで住宅を購入する場合は、仮に家屋が倒壊しても債務がそのまま残ってしまいます。その状態で新しい住宅を購入することとなれば二重ローンになってしまうため、金銭的には大きな負担が懸念されるのです。

こうしたリスクが想定されることから、持ち家を購入するときには、「災害対策を踏まえた家づくり・家探し」と「万が一の際の保険」の2点に目を向けることが重要となります。災害に強いマイホームの実現はもちろん、正しい保険の選択を行うことで、大きな損害を予防することが大切なのです。

 

ここからは、上記の2点について、具体的なポイントを詳しく見ていきましょう。

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災害対策を考慮するうえでは、「土地選び」と「建物選び」の両面が重要なポイントとなります。ここでは、それぞれについて具体的な判断基準となる項目をご紹介します。

地震に強い土地であるかどうかを見極めるひとつのポイントは「地形」です。低地は大雨のときなどに水が集まりやすく、地盤が軟弱になりやすい傾向を持っています。また、干拓地や埋め立て地なども、排水がしにくく地盤が弱くなりやすい傾向があります。

 

そのため、これらの特徴を持っている場合は、地盤調査を通じて正確な状態を確かめることが大切です。また、切り土や盛り土などによって造成されている土地でも、地盤の状態が軟弱である可能性もあるため注意が必要となります。

 

そのほかには、古地図やハザードマップなども有力な手がかりです。古地図は、その土地がかつてどのような状態であったかを知る手段であり、ハザードマップは現在の災害リスクを確かめるのに役立ちます。

「新耐震基準」を規定した建築基準法施行令が1981年6月に制定されており、震度6強~7程度の地震であれば、倒壊や崩壊などの危険性はないとされています。そのうえで、木造の在来工法については2000年の建築基準法改正によって、さらに基準が強化されています。

 

これに加えて、建物の地震対策として用いられているのが、「免震」「制震」「耐震」の3つの建築工法です。免震は装置で「揺れを建物に伝えない」ことで、制震は装置で「揺れを吸収する」ことで、耐震は「建物の強度を上げる」ことで地震の揺れから建物を守る仕組みとなっています。

 

それぞれ異なるメリットを持っているので、家づくり・家探しをするときには、建物の耐震構造の種類にも目を向けておくことが大切です。

 

耐震等級とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定められた耐震性能を示す指標です。前述の耐震基準がすべての住宅で順守しなければならない「義務」であるのに対し、耐震等級は「任意」となっていますが、等級をクリアしていればそれだけ耐震性が高いと判断できます。

 

具体的な指標については、耐震性の高さに応じて1~3までの等級が設けられています。住宅の強度について、現行の新耐震基準に合致していれば等級1、1.25倍の強度を持つものは等級2、1.5倍の強度を持つものは等級3とされるのです。

 

耐震等級3は、「数百年に一度」の1.5倍の地震とされる程度の大地震があったとしても、人命が損なわれるような倒壊をしないほどの基準です。該当すれば売却時の査定額なども有利になる半面、購入価格は高くなりやすいため、価格とのバランスを考慮して判断することが大切です。

持ち家を購入するときには、万が一に備えて、家屋が倒壊してしまったときの金銭的リスクに備える仕組みを理解しておくことも重要です。ここでは、保険と補償の2点から、具体的なポイントを解説します。

地震などの災害時には、「被災者生活再建支援法」による給付金が最大300万円まで支給されます。ただ、給付金額は世帯人数や住宅の被害程度などによっても異なり、最大でも300万円までなので、万が一大きな家屋被害を受けたときには給付金だけではカバーしきれないこともあります。

 

そのため、給付金単独で再建を考えるのではなく、そのほかの仕組みと併せて活用することが大切です。

地震保険は任意加入であり、単独での加入ができないため、火災保険とセットで利用することになります。地震保険の保険金支払額は火災保険の30~50%の範囲内と決められており、加入時に任意で設定します。

 

建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限となっているため、大きな範囲をカバーできる仕組みではあるものの、購入後に火災保険の更新を忘れてしまうといったケースも少なくありません。地震保険は火災保険に付随するものであるため、更新が行われているかをきちんとチェックしておきましょう。

 

大規模な災害が起きたとき、場合によっては、損害保険や共済などの補償範囲を超えた被害に遭うこともあります。自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインとは、そうした個人を救済する目的で策定された民間による自主的なルールのことです。

 

「住宅ローンの債務を抱えた被災者支援」を目的とし、「住宅金融支援機構の住宅ローン利用者を対象として支払いの猶予や期間の延長・住宅ローン控除の継続」などの制度が設けられています。ローンが免除されるわけではないものの、軽減措置として利用でき負担の軽減が期待できるため、事前に具体的な内容や要件を調べておくと安心です。

 

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地震に強い家づくりを行う際には、長期優良住宅の認定を目指すのもひとつの方法です。長期優良住宅とは、「長きにわたって安全かつ快適に居住を続けられる」住宅のことであり、認定されるとさまざまなメリットが得られるのです。

 

ここでは、長期優良住宅の仕組みと主なメリット、認定条件について見ていきましょう。

 

長期優良住宅に認定されると、税制上や住宅ローン金利などにおいてさまざまなメリットが生まれます。税金については「登録免許税や不動産取得税の優遇措置」「固定資産税の軽減期間の延長」「住宅ローン控除額の拡大」といった仕組みが設けられています。

 

また、「フラット35S」のように、認定長期優良住宅に対して金利優遇措置を設けている住宅ローンもあります。さらに、長期優良住宅の新築やリフォーム時には、一定の補助金交付を受けることも可能です。

 

長期優良住宅に認定されるためには、以下の4つの基準をすべてクリアしている必要があります。

 

・長期にわたって良好な状態で住むことができる構造・設備

・居住環境への十分な配慮

・一定面積以上の住居面積

・住宅の維持管理方法や期間等を含めた適切な維持保全計画の作成

 

また、そのための基準として、具体的に以下の9つの条件が設けられています。

 

認定条件

ポイント

耐震性

極めてまれに発生する地震に対して、損傷を軽減させるために必要な措置が行われている(耐震等級2以上または免震建築物など)

省エネルギー性

断熱性・気密性をはじめとする省エネルギー性が確保されている(省エネルギー対策等級4以上)

劣化対策

数世代にわたって居住できる構造で建てられている

バリアフリー性

将来的なバリアフリー工事に対応できる構造、スペースが確保されている

可変性

ライフスタイルに合わせて間取りなどを柔軟に変更できる

住戸面積

・75m2以上の面積が確保されている

・少なくとも1つのフロアが40m2以上である

居住環境

景観や環境の維持について自治体の審査を受けている

維持管理・更新の容易性

建物の構造に与える影響を抑えたうえでメンテナンスが行える

維持保全計画

定期的な点検・修繕計画が立てられている

 

このように、一定以上の耐震性は、長期優良住宅の認定条件のひとつでもあります。そのため、耐震性を高めるときには同時にその他の要件にも目を向け、長期優良住宅の認定を検討してみるのもいいでしょう。

・マイホームの購入に迷ったときには、持ち家と賃貸の違いを慎重に比較する

・地震リスクを考えるうえでは、「災害対策を踏まえた家づくり・家探し」と「万が一の際の保険」の2点が重要なポイントとなる

・地震に強い住まい選びには、土地と建物のどちらにも目を向けることが大切

・万が一に備えて、地震保険や給付金、被災した場合のガイドラインの仕組みを押さえておく

・耐震性の高い家づくりをする際には、長期優良住宅の認定を目指すのもひとつの手

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更新日: / 公開日:2021.09.29