LIFULL HOME’Sの「買って住みたい街&借りて住みたい街ランキング」は、毎回実施している年間問合せ数によるランキングに加え、今回はアンケート調査(首都圏有効回答者数7万人)を実施しました。実際に検索され反響が集まっている駅&エリアとアンケートによるイメージ調査の結果はどのように変化するのでしょうか。それぞれ上位(概ね30位くらいまで)にランクされた駅&エリアを中心に比較検証します。
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買って住みたい「データで見た」1位の目黒は「みんなに聞いた」だと意外にも32位
問合せ数で首都圏トップ5を比較すると、買って住みたい1位の「目黒」はアンケート調査(「みんなに聞いた」)では32位となり、トップ20に入りませんでした。同様に問合せ数で2位の「八王子」はアンケートでは48位、4位だった「広尾」は98位、5位の「大井町」も83位と大きく順位を下げています。唯一、3位の「恵比寿」はアンケート調査でも健闘して13位にランクインしました。
| 駅名 | 「データ」の順位 | 「みんなに聞いた」の順位 |
|---|---|---|
| 目黒 | 1位 | 32位 |
| 八王子 | 2位 | 48位 |
| 恵比寿 | 3位 | 13位 |
| 広尾 | 4位 | 98位 |
| 大井町 | 5位 | 83位 |
この順位の変化はなぜ起こったのか

「データで見た」と「みんなに聞いた」はなぜこんなに違う?
このような順位の変化はなぜ起こるのでしょうか。
もちろん調査方法が異なるというのは大前提としても、物件問合せ数は、実際に住むことをある程度の確度で想定した上で具体的に行なった結果の積み上げです。そのため住みたいところの好みはあっても、例えば通勤・通学の利便性、実家や親しい友人の住まいとの距離感、子どもを通わせたい学校があるエリア、治安の良し悪しや地域の安全性などから絞り込んでいくことになります。したがって、「より現実的に住みたい&住むべきエリア」となると、イメージや規模などでとっさに思いつく駅や街ではなく、実際に地図や路線図を確認しながら利便性や価格との見合いで選択されます。
これに対してアンケート調査は、「住みたい街」と聞かれて名前が浮かんだ駅やエリアを直感で回答することもあり、またこれまでアンケート調査の結果が継続的に公表されてきたこともあって「吉祥寺」や「横浜」、最近では発展著しい「武蔵小杉」など“人気の駅&エリアの常連”が毎回上位にランクされる傾向があります。
つまり、大きく分けると、住むことへの具体性がより高いのがデータで見た問合せ数、イメージ重視で人気の有無を確認するのがアンケート調査ということになります。どちらも「住みたい」という意識を調査したものですが、現実感を強く伴うものなのかどうかというのが最大の違いです。
「データで見た」で人気の街、「みんなに聞いた」で人気の街とは
では、データ=問合せ数で抽出したランキングとアンケート調査したランキングを詳しく見ていきましょう。
トップ5の結果は上記の通りですが、同様に6位以下を比較しても、ある3つのパターンが共通項として見えてきます。
1.「データ」ではランキング上位なのに「アンケート」では下位に沈んでしまう駅
2.「データ」では上位に登場しないのに「アンケート」では躍進している駅
3.「データ」と「アンケート」ともに上位に登場する駅
(ここでの上位とは概ね30位くらいまでを指しています)。
1.「データ」ではランキング上位なのに「アンケート」では下位に沈んでしまう駅

目黒駅前
上記の通り「目黒」はデータ1位ですが、アンケートでは32位です。このような傾向を示す駅は、「八王子」「広尾」「大井町」だけでなく、「北浦和」(データ7位/アンケート115位)、「流山おおたかの森」(8位/50位)、「月島」(9位/202位)、「品川シーサイド」(10位/256位)、「戸塚」(11位/51位)、「人形町」(12位/270位)などデータ上位の駅に多いパターンです。
これらの駅&エリアに共通するのは、具体的にエリアや沿線名で絞り込みながら検索することはできても、住みたいかどうかを問われてとっさに名前が出てきにくいところという点です。誰でもご存じの駅&エリアという訳ではなく、イメージを問うアンケート調査では名前が上がりにくいという可能性があります。
「八王子」も「北浦和」も「人形町」も調査期間中に新築マンションがコンスタントに分譲されたエリアで、住宅購入を検討しているユーザーの問合せでは関心が高まっていますが、一般に住みたいと聞かれてすぐにイメージできる駅&エリアではないということになります。
2.「データ」では上位に登場しないのに「アンケート」では躍進している駅

吉祥寺駅前
反対にアンケート上位駅では、「吉祥寺」(データ55位/アンケート2位)を筆頭に、「鎌倉」(398位/5位)、「武蔵小杉」(64位/6位)、「新宿」(847位/9位)、「品川」(93位/同点10位)、「立川」(102位/同点10位)、「船橋」(74位/12位)、「川崎」(64位/14位)、「自由が丘」(134位/15位)などが問合せ数では大きく順位を下げています。
これらの駅&エリアはいずれも全国的にもよく名前を聞くところで、マスコミでも街歩き番組やグルメ情報の特集記事などで度々取り上げられる“遊びに行くのに楽しい街”ばかりです。知名度は高いのですが、実際に住むことを想定すると、交通利便性や価格などの点で条件が合わないということもあるため、問合せ数は知名度ほど多くないという結果になりました。
3.「データ」と「アンケート」ともに上位に登場する駅

浦和駅前
データとアンケートともに上位に登場する駅は、「浦和」(データ6位/アンケート4位)のほか、「恵比寿」(3位/13位)、「横浜」(22位/1位)、「大宮」(26位/3位)、「三鷹」(30位/8位)、「二子玉川」(33位/7位)、「藤沢」(19位/25位)、「町田」(20位/同点19位)、「川口」(25位/30位)などです。いずれも首都圏ではよく知られている駅&エリアで知名度が相応に高く、ターミナル駅も多くて交通利便性や駅勢圏での買物ほか生活利便性も確保されているところばかりです。人気と実力を兼ね備えた駅&エリアとして、本当に住みたい街といえる住環境と利便性をそなえたところ、といえるでしょう。
借りて住みたいランキングの上位は「データで見た」「みんなに聞いた」で顔ぶれに大きな違いなし

賃貸は短期間の居住を前提とし、イメージや利便性優先で探す傾向に
買って住みたいランキングとは対照的に、借りて住みたいランキングは、結果的にデータでもアンケート調査でも上位に登場する駅&エリアに大きな違いは認められませんでした。
借りて住みたい街ランキングのデータで見たトップ5では、1位の「池袋」はアンケートでも5位、2位の「川崎」もアンケート17位、3位の「中野」はアンケート9位、4位「高円寺」はアンケート33位でした。データ5位の「葛西」のみアンケート結果では133位と大きく順位を下げています。
ただし「葛西」はむしろ例外です。データで見た6位以下も「荻窪」(データ6位/アンケート28位)、「大宮(7位/4位)、「吉祥寺」(8位/2位)、「三軒茶屋」(9位/36位)、「北千住」(12位/13位)、「三鷹」(13位/24位)など順位の違いはあっても、問合せ数でもイメージでも共に上位に登場する駅&エリアが多数を占めました。
借りて住みたいランキングは、もともと短期間の居住を前提として実際に探したりイメージしたりすることが多いため、交通利便性を最重視して駅&エリアが選択される傾向にあります。したがって、実際に検索するところと、“借りるならこの辺りがいい&適当”と考えるイメージが合致するケースが多いと考えられます。イメージを重視して駅&エリア検索してみた結果、案外条件に合う物件が見つかるということも賃貸物件の特徴です。
これは憧れや居住性・資産性から検討してもなかなか予算が合わないケースが多い「購入」と、イメージや利便性優先で探しても条件にかなう物件が出てくる「賃貸」のマーケットの違いとも言えるでしょう。
買って住みたい街と借りて住みたい街をそれぞれデータとアンケート結果で比較すると、それぞれ傾向に大きな違いがあり、それは基本的に購入と賃貸に関する意識の違いによるものであるということが浮き彫りになりました。
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更新日: / 公開日:2019.02.21










