中古マンションを選ぶ際、築年数は価格や耐震性、将来の修繕負担を考えるうえで重要な手がかりです。ただし、築浅であれば必ず安心、築古であれば必ず避けるべきとは限りません。
建物の寿命や住みやすさは、立地、構造、修繕履歴、管理組合の運営状況などによって大きく変わります。この記事では、首都圏の最新データを基に中古マンションの平均築年数を確認し、築20年頃が買い時とされる理由や、購入前に確認したいポイントを解説します。
首都圏で成約した中古マンションの平均築年数は26.58年

公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」によると、2025年に首都圏で成約した中古マンションの平均築年数は26.58年でした。2024年の24.53年から2年以上延びています。
一方、2025年に新規登録された物件の平均築年数は30.08年であり、市場に出ている物件全体の経年化も進んでいます。2015年から2025年までの推移は、次のとおりです。
成約物件の平均築年数は2015年の20.13年から2025年の26.58年へと延びており、築年数が経過したマンションも広く取引されていることが分かります。
年 | 成約物件の平均築年数 | 新規登録物件の平均築年数 |
2015年 | 20.13年 | 22.05年 |
2016年 | 20.26年 | 22.32年 |
2017年 | 20.70年 | 23.13年 |
2018年 | 21.00年 | 24.58年 |
2019年 | 21.64年 | 25.84年 |
2020年 | 21.99年 | 26.83年 |
2021年 | 22.67年 | 27.23年 |
2022年 | 23.33年 | 28.16年 |
2023年 | 23.83年 | 29.41年 |
2024年 | 24.53年 | 30.22年 |
2025年 | 26.58年 | 30.08年 |
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」
築年帯別に見ると、2025年は築20年超の成約物件が全体の60.3%を占めています。特に築41年以上の構成比は23.5%で、築年数が経過したマンションも一定数成約しています。
ただし、平均築年数は「購入すべき築年数」を示す数字ではありません。価格、耐震性、修繕状況、立地、将来の維持費を総合的に比べることが大切です。
なお、2025年の成約件数については、成約登録の適正化を目的としたシステム改修が影響している可能性があると注記されています。
監修者より
築年数は物件を比較する一つの目安ですが、「築浅だから安心」「築古だから避ける」とは一概に言えません。同じ築年数でも、修繕履歴や管理状況、耐震性、配管・設備の更新状況によって建物の状態は異なります。築年数と管理の中身をセットで確認しましょう。
築20年前後の中古マンションを検討する際のポイント

中古マンションでは、築20年頃の物件が価格と建物状態のバランスを取りやすいといわれます。主な理由を3つに分けて見ていきましょう。
1.築浅物件より価格を抑えた物件を探しやすい
中古マンションの価格は、新築時から築年数の経過に伴って下落する傾向があります。特に築浅の時期は新築プレミアムが薄れる影響もあり、価格の下がり方が比較的大きくなりやすいと言えるでしょう。
築20年前後の物件は、新築や築浅より購入価格を抑えた物件を探しやすい点が特徴です。ただし、実際の価格は立地、専有面積、階数、管理状態などにも左右されるため、築年数だけで割安かどうかを判断しないことが大切です。
2.新耐震基準に適合する物件を選びやすい
耐震基準は1981年に大きく改正され、同年6月1日以降に建築確認を受けた建物には、原則として新耐震基準が適用されています。築20年程度のマンションであれば新耐震基準で建てられているため、より古い物件と比べて耐震性を判断しやすいと言えるでしょう。
一方、旧耐震基準の建物でも、耐震診断や耐震補強が適切に実施されている場合があります。築年数だけで判断せず、建築確認日、耐震診断の結果、補強工事の履歴を確認することが重要です。
3.利便性の高い立地で選択肢が見つかりやすい
駅前や生活利便性の高いエリアでは、早い時期に開発されたマンションが多く、築20年以上の物件が豊富にあります。マンションは区分所有者間の合意形成が必要になるため、一戸建てより建て替えや取り壊しのハードルが高く、好立地の建物が長く残りやすい傾向があります。
通勤・通学のしやすさや周辺施設を重視すると、築年数が経過した物件が有力な候補になることもあるのです。将来の売却を考える場合も、築年数だけでなく立地の希少性や需要を確認することが大切です。
マンションの寿命はどのくらい?

中古マンションを購入するときは、「あと何年住めるのか」が気になるところです。マンションの寿命は築年数だけでは決まらず、建物の構造や維持管理、設備更新の状況によって異なります。
建物本体は適切な維持管理で長く使用できる
マンションの主要構造に用いられる鉄筋コンクリートは、適切な点検と修繕を続ければ長期間使用できる材料です。国土交通省が紹介した研究では、鉄筋コンクリート造建物の物理的寿命を117年、鉄筋コンクリート系住宅の平均寿命を68年とする推計もあります。
これらはすべてのマンションが同じ年数まで使用できることを保証するものではありませんが、築20年を超えた時点で直ちに寿命を迎えるわけではないことを示しています。外壁、防水、給排水管、エレベーターなどを計画的に修繕・更新できているかが、実際の使用可能期間を左右すると言えるでしょう。
築年数が経過すると建て替えが検討される場合もある
築年数が経過したマンションでは、建て替えが検討される場合もあります。耐震性への対応、配管や電気設備の老朽化、バリアフリー性能の不足などをまとめて改善するには、多額の改修費が必要になることがあるためです。
ただし、一定の築年数になれば自動的に建て替えるものではありません。建物の状態や修繕費用、区分所有者の合意形成などを踏まえ、修繕・改修を続けるか、建て替えなどを検討するかを判断します。
管理状態の良い中古マンションを探す
築年数だけでは判断できない|中古マンション購入前のチェックポイント

中古マンションの状態を見極めるうえでは、築年数だけでなく、管理状態を確認することも重要です。同じ築30年の物件でも、計画的に修繕されているマンションと、必要な工事が先送りされているマンションでは、安心感や将来の負担が大きく異なります。
長期修繕計画と修繕積立金を確認する
まず、大規模修繕工事の実施履歴と長期修繕計画を確認します。国土交通省のガイドラインでは、長期修繕計画の期間は30年以上とし、その期間に大規模修繕工事を2回以上含める考え方が示されている点を押さえておきましょう。
また、工事費や物価の変動に対応するため、5年程度ごとの見直しが推奨されています。計画が存在するだけでなく、予定どおり工事が行われてきたか、直近の見直し時期はいつかを確認しましょう。
修繕積立金については、毎月の金額だけでなく、現在の残高、滞納額、借入金、今後の値上げ予定、一時金徴収の可能性まで見る必要があると言えるでしょう。積立方式には、毎月の負担を原則一定にする均等積立方式と、将来段階的に増額する段階増額積立方式があります。
監修者より
修繕積立金には、毎月の負担を原則一定にする均等積立方式と、将来段階的に増額する方式があります。国土交通省は安定的に積み立てる観点から均等積立方式を推奨しています。段階増額方式の場合は、現在額だけでなく将来の値上げ時期と金額まで確認しましょう。
段階増額積立方式では、購入後に負担が大きくなる可能性があるため、将来の引上げ計画を確認しておくことが重要です。
管理運営、耐震性、配管・設備を確認する
管理組合が健全に機能しているかは、総会議事録や収支資料から判断できます。総会が定期的に開かれているか、管理費・修繕積立金の滞納が多くないか、重要な工事が先送りされていないかを確認しましょう。
空室が多いマンションでは、管理費などの収入や合意形成に影響が出る可能性もあります。自治体の管理計画認定を受けているかどうかも、管理状態を確認する一つの材料です。
あわせて、新耐震基準への適合、耐震診断・補強工事の有無、給排水管の構造と更新履歴、漏水履歴を確認します。古いマンションでは配管がコンクリート内に埋設されていたり、下階の天井裏を通っていたりして、交換や間取り変更に制約が生じる場合があるのです。
リノベーションを予定している場合は、管理規約と工事細則も事前に確認しましょう。
仲介会社・管理会社に確認したい主な資料
仲介会社や管理会社に確認しておきたい主な資料として、以下のものが挙げられます。
- 長期修繕計画と直近の見直し資料
- 大規模修繕工事・設備更新の履歴
- 重要事項調査報告書
- 管理組合の総会議事録、収支決算書、貸借対照表
- 管理費・修繕積立金の滞納状況と今後の改定予定
- 耐震診断・耐震補強、給排水管、漏水に関する資料
- 管理規約、使用細則、リフォーム・リノベーション工事細則
よくある質問
最後に、中古マンションの築年数に関するよくある質問を確認しておきましょう。
Q1:中古マンションは築何年までなら購入できますか?
A:購入できる築年数に一律の上限はありません。築年数が古くても、耐震性が確保され、修繕計画と資金が整っていれば購入候補になります。反対に、築浅でも管理状態が悪い物件には注意が必要です。
Q2:中古マンションの狙い目は築何年ですか?
A:一般的には築20年頃が狙い目とされる場合があります。価格の下落が緩やかになる時期に近く、新耐震基準の物件であるためです。ただし、立地や管理状態もあわせて判断してください。
Q3:築20年の中古マンションはあと何年住めますか?
A:適切に維持管理されていれば、その後も数十年住み続けられる可能性があります。残りの年数を単純計算するのではなく、修繕履歴、長期修繕計画、配管や設備の更新予定を確認しましょう。
Q4:築30年・築40年のマンションは買っても大丈夫ですか?
A:管理状態と将来の資金計画に問題がなければ、購入を検討できます。大規模修繕の実績、修繕積立金の残高、耐震性、配管更新、建て替え議論の有無を特に確認することが大切です。
Q5:旧耐震基準の中古マンションは避けるべきですか?
A:旧耐震基準であることだけで直ちに除外する必要はありませんが、慎重な確認が必要です。耐震診断の結果、補強工事の内容、住宅ローンや保険への影響を確認したうえで判断しましょう。
Q6:築年数が古いと住宅ローンは組みにくくなりますか?
A:築年数だけで融資が不可能になるとは限りません。ただし、金融機関によっては担保評価、耐震性、建物の残存期間などを踏まえて、借入額や返済期間が制限される場合があります。事前審査で確認しましょう。
Q7:修繕積立金はどの資料で確認できますか?
A:重要事項調査報告書、管理組合の収支決算書・貸借対照表、長期修繕計画などで確認できます。現在の残高だけでなく、滞納額、借入金、値上げや一時金徴収の予定も仲介会社を通じて確認してください。
Q8:管理状態の良い中古マンションを見分けるポイントは何ですか?
A:長期修繕計画に沿って工事が行われ、必要な修繕積立金が確保されていることが基本です。総会の開催状況、議事録の内容、共用部の清掃状態、管理費等の滞納、管理計画認定の有無も参考になります。
更新日: / 公開日:2023.04.17









