東京都大田区にあるJR大森駅は、乗り換え路線がない京浜東北線の単独駅で、東口には駅と一体になったアトレがあり、西口には昭和の面影を残す商店街が広がっています。
大森は、古くは「大杜」とも記され、江戸時代には東海道の港町として早くもにぎわいました。大正後期に入ると山王地区に多くの文士や芸術家が集まり、馬込文士村が形成されていきます。

今回は、大森エリア在住4年、地元のご縁で音楽ホール・山王オーディアムでライブの演出をしたこともある私が、おすすめ散歩コースをご紹介します。
ベンチでぼーっとするもよし、コーヒー片手に仕事するもよし、のんびり過ごせるスポットや文化施設が多めの内容となっております。ぜひ最後までご覧ください。大森駅の物件を探す

※掲載情報は執筆時点のものです。営業時間などが変更になる場合があるため、お出かけ前に公式サイトなどで最新情報をご確認ください。

 

大森駅の東側は、現在は埋め立てられていますが、かつては少し歩けばすぐに海が広がっていました。

 

海苔の養殖が盛んだったこの地域では、その歴史を学べる「大森 海苔のふるさと館」や、かつての大森海岸を再現した「大森 ふるさとの浜辺公園」など、子どもと一緒に楽しめるスポットが点在しています。

 

一方、西側は台地となっており、大正から昭和初期にかけて宅地開発が進みました。

 

自然に恵まれたこの環境に惹かれて、多くの文化人が集まったエリアが「山王」と呼ばれる地域です。今回はこの西側エリアを中心に、歴史や文化を感じられるスポットを、1から10まで回りやすい順に紹介していきます。

大森貝塚遺跡庭園

 

大森駅西口を出て、池上通りを5分ほど歩くと、大森貝塚遺跡庭園に到着します。

 

1985年に開園したこの公園では、「大森貝塚碑」「モース博士の胸像」「貝層の剥離標本」などがあり、貝塚について学べます。

 

貝塚関連の記念碑はほかにも、大森駅のホーム「日本考古学発祥の地」、京浜東北線の線路脇「大森貝墟の碑」があります。

 

歴史に興味がある方は全部回ってみても面白いでしょう。ちなみに、モース博士は走る汽車の中から目視で貝塚を発見したそうですよ。

名称:大森貝塚遺跡庭園

所在地:東京都品川区大井6-21-6

営業時間:7月・8月/9:00~18:00、11月~2月 /9:00~16:00、その他期間/9:00~17:00

BOOKCAFE本の庭

 

2023年オープンのブックカフェで、大森貝塚遺跡庭園からは徒歩8分ほど。

 

個人経営のため、営業が木・金・土・日の4日間なのですが、一軒家の1階を開放しているイメージで、季節ごとの変化を感じられる心地よい空間です。

 

テラス席はペット可で、Free Wi-Fiがあるのも、散歩の途中に寄るにはうれしいところ。自家製スイーツは期間限定のものもあるので、公式SNSをチェックしてから行くのがおすすめです。

 

BOOKCAFE本の庭(店内)

 

置いてある本はフランス文学・現代美術・人類学などが多く、店内で自由に読むことができます。

 

オーナーさんの親戚の方が経営されているという出版社の本や芸術大学出身の陶芸作家が作っているマグカップも販売しているそうです。

名称:BOOKCAFE 《 本の庭 》

所在地:東京都大田区山王 1-22-16

営業時間:12:00~18:00(※土曜と第2第4日曜は11:00~)

定休日:月曜日、火曜日、水曜日

八景天祖神社

 

体力に自信のある方にぜひ訪れていただきたいのが、大森駅西口のすぐ目の前にある「八景天祖神社」です。石段を上ると、樹齢約400年といわれる椎のご神木が迎えてくれます。

 

また、歌川広重の「名所江戸百景」に登場する『八景坂鎧掛松(はっけいざか・よろいかけまつ)』 は、この神社の境内にあたる場所が描かれたものともいわれているそうです。

 

境内の脇には、馬込文士村の人々の日常を描いたレリーフが並ぶ階段があります。帰りはそちらを通ってみてはいかがでしょうか。

 

ダンスを楽しんだり、麻雀をしたりと、当時の暮らしぶりがいきいきと表現されていて、とても興味深いですよ。

名称:八景天祖神社

所在地:東京都大田区山王2-8-2

営業時間:10:00~16:00

マミフラワーデザインスクール・ショップ

 

八景天祖神社から徒歩4分ほど進むと見えてくるのが、マミ会館。マミ川崎によって開設されたフラワーデザイン学校です。

 

1階に併設されたマミフラワーデザインスクール・ショップは、お教室の生徒さんでなくても自由に入れます。お教室にお花が好きな方は、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

 

店内には花器や雑貨がいろいろそろっていて、センスの光るラインナップが魅力的。お花のプロフェッショナルとお話ししながら買い物できるのも、このお店ならではです。

名称:マミフラワーデザインスクール・ショップ

所在地:東京都大田区山王2-11-6 マミ会館(1階)

営業時間:9:00~17:00

定休日:日曜日

大森銀座商店街ミルパ

 

大森銀座商店街ミルパは、アーケードのある古きよき商店街です。約120の店舗が軒を連ね、昭和レトロな雰囲気で写真映えもしますよ。

 

駅の東口から行くと、徒歩2分で西側ゲートの入り口に。あるいは、八景天祖神社から池上通りを下ってきて、高架下をくぐっても6分ほどで到着です。

 

おなかがすいたら、和食・洋食・中華にイタリアン、ファストフードまで、いろいろとそろっています。歩き疲れたときには、マッサージ店でひと休みするのもいいですよ。

名称:大森銀座商店街ミルパ

所在地:東京都大田区大森北1丁目

旧高橋診療所

 

池上通り沿いにある旧高橋診療所は、1931年に住宅兼診療所として建てられました。屋根や窓に特徴のあるスパニッシュ風の外観で国の登録有形文化財に指定されています。

 

現在はスタジオ・クラシックとしてスタジオ・サロン・ギャラリーとして使われているため、内部の見学はできません。

 

ただ、この建物を眺めていると、「大正から昭和初期にハイカラな人たちが集まり、洋風建築が数多く造られたのかな」と当時の風景が思い浮かんでくるようです。

名称:旧高橋診療所(現スタジオ・クラシック)

所在地:東京都大田区山王3-30-5

大田区立山王会館

 

池上通りから路地を入っていくと、坂の上にあるのが大田区立山王会館です。

 

一見するとマンションのようですが、大田区の所有する宿泊施設で、ここの1階に馬込文士村資料展示室があります。

 

尾崎士郎や宇野千代を中心に、直筆原稿や手紙などが置かれた展示室と、靴を脱いで上がれる休憩用の和室があるのがここの特徴。

 

もっとも部屋が2つの小さな展示室なので、ここを見て少し物足りなく感じた方は、浅草線馬込駅のそばにある大田区立郷土博物館3階にある馬込文士村コーナーも併せて行かれるといいでしょう。

名称:馬込文士村資料展示室

所在地:東京都大田区山王三丁目37-11(大田区立山王会館内)

開室時間:9:00~16:30(入室は16:00まで)

定休日:年末年始

馬込文士村の地図

 

文学好き・歴史好きの方におすすめなのが、大森駅から都営浅草線馬込駅にかけての地域に暮らした小説家や芸術家の旧居跡巡りです。

 

「馬込文士村 散策のみち」という形でルートが整備されていて、大森駅の西口をはじめ山王会館の入り口や大田区立郷土博物館など、要所要所に地図が置かれています。

 

ほんの一部ですが、馬込文士村の住人たちを挙げると、

・川端康成(小説家)

・山本有三(小説家)

・尾崎士郎(小説家):記念館あり

・宇野千代(小説家、随筆家)

・北原白秋(歌人)

・萩原朔太郎(詩人)

・室生犀星(詩人、小説家)

・徳富蘇峰(ジャーナリスト、思想家):記念館あり

・村岡花子(翻訳家)

・吉田甲子太郎(翻訳家、児童文学者)

・和辻哲郎(哲学者)

など、そうそうたる人々が暮らしていたことが分かります。

 

山本周五郎の解説版

 

時代小説で知られる山本周五郎の解説版もあります。仲間の文士たちから「曲軒(きょくけん)」とあだ名が付けられていたというのも、興味深い内容でした。

 

馬込文士村のルート表示

 

ルートの途中では、こんな案内板が見つかることも。数が少ないので、見つけた方は何かいいことがあるかもしれません!

龍子記念館

 

こちらは、日本画の巨匠・川端龍子の美術館です。画家が生前に私費を投じてつくった美術館で(現在は大田区に譲渡)、自宅の向かい側の土地を買い取って建設したそうです。

 

「絵は、一部の金持ちが自宅に飾るのではなく、広い会場に飾って大衆に見てもらってこそのものだ」という信条を持つ画家だけあって、館内に入ると4mを超す大作がずらりと並んでいます。

名称:龍子記念館

所在地:東京都大田区中央4-2-1

開館時間:9:00~16:30(入館は16:00まで)

定休日:月曜日、年末年始

龍子の旧宅

 

旧宅とアトリエは、「龍子公園」として公開されていて、1日に3回、記念館の職員の案内で見て回ることができます。

 

画家の美意識が随所に表れた美しい家とお庭で、アトリエの方には大画面の絵を床に置いて制作できるよう広い空間が確保されています。どこを切り取っても絵になるので、写真を撮るのが楽しい場所です。

名称:龍子公園

案内時刻:10:00、11:00、14:00

定休日:龍子記念館の休館日

熊谷恒子記念館

 

現代女流かな書道家の熊谷恒子の旧宅を改修して、季節ごとに作品展が行われています。

 

通常の展示スペース以外に、書斎の床の間に本人の書が飾られているなど、熊谷恒子の暮らしぶりと作品がうまくリンクするような、そんな鑑賞体験ができます。

 

書道と聞くと高尚なイメージを持つ方もいるかもしれませんが、流麗な“かな文字”は見ているだけで美しく、癒やされます。昭和の文化人の暮らしをのぞく気分で訪れてみてはいかがでしょうか。

名称:熊谷恒子記念館

所在地:東京都大田区南馬込四丁目5-15

開館時間:9:00~16:30(入館は16:00まで)

定休日:月曜日(祝日は開館)、年末年始

 

大森の山王地区を中心にご紹介しました。駅の西側はアップダウンがあるので、足元はスニーカーがおすすめです。

 

小説家や芸術家の似顔絵つきの解説版をスタンプラリーのように楽しむのもいいですし、山王は高級住宅街も広がるエリアなので、ただ散歩するだけでもいろいろな建築スタイルやお庭が見られて面白いです。

 

また高い建物が少なく、空が広いのもこの地域の魅力。ぜひ、のんびりと散歩を楽しんでみてくださいね。

 

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更新日: / 公開日:2026.02.27