プロジェクトはどんなメンバーで行われている?

こうした地域再生のプロジェクトは、やはり「人」の情熱が不可欠なもの。どんな方たちがこのプロジェクトを進めているのでしょうか。

「中宇治yorinリノベーションプロジェクト」のコアメンバーとなるのは、今回オーナーとなる「宇治観光まちづくり株式会社」。京都を中心に活躍する不動産プランナー 岸本千佳氏。そして中宇治yorinの改修を担当する一級建築士事務所「エキスポ」の皆さんです。

地域の活性化につとめる「宇治観光まちづくり株式会社」が空き家再生を思い立ち、プランナーである岸本氏に相談したことがこのプロジェクトの始まり。京都を中心に古民家再生を数多く手がける「エキスポ」の力を得て、着々とプロジェクトが進んでいます。

それぞれの立場からの中宇治yorinリノベーションプロジェクトへの思いと、今後の展開をうかがいました。

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「中宇治yorinプロジェクト」のコアメンバーのみなさん 右から不動産プランナーの岸本千佳氏、一級建築士事務所エキスポの山根健太郎氏・山田央彦氏・武田憲人氏

観光・地域住民の拠り所となる「核」を生み出す-「宇治観光まちづくり株式会社」

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中宇治エリアにある、宇治の茶商

そもそものプロジェクトの発端となったのは空き家の再生。これを思いついた宇治観光まちづくり株式会社では、宇治の街に少なからず危機感を覚えていたからだといいます。

「宇治には世界遺産の平等院などがあり、一見、観光で街が潤っているかのようにみえます。しかし、宿泊施設やお店はまだまだ少なく、観光客が大勢この地を訪れるものの、滞在時間も短くすぐに宇治を離れてしまいます」と話すのは、宇治観光まちづくり株式会社。

「特に中宇治のエリアは平安の頃から続くお茶屋さんなどが残る古い街なので、地元の目線で見ても、夜ゆっくりと食事を楽しめるような場所も少ない。このエリアで観光客も地元の人も楽しめる核となる施設を作りたいと考えたのです」

そこで、同社が考えたのが、使われなくなった空き家(古民家)を活用して地域の核となる複合施設を作ることでした。

「高齢化に伴い、地域には、あちらこちらと空き家が出ています。中には古民家といえる次世代に残していきたい建物も多くあります。ですが、なかなか活用が進みません。空き家になっていても、“どんな人が住むのか分からない”などの不安があり、流通がしにくいという問題もありました」(宇治観光まちづくり株式会社)

そのため、いったん地元企業である同社が空き家を買い取り、リノベーションをした上で県内外を問わず、地域を活性化するようなお店を誘致しようという試みが生まれました。

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平等院参道には、お店も多いが「お茶屋」が多く、バラエティーとしては少ない

小商いの可能性を秘めた宇治の魅力-「不動産プランナー 岸本千佳氏」

このプロジェクトを進めるにあたり、宇治観光まちづくり株式会社がまっさきに声をかけたのが、東京から京都へUターンで戻り、フリーランスの不動産プランナーとして活躍していた岸本千佳氏でした。東京での経験があり、地域住民とは異なる冷静な視点をこのプロジェクトに吹き込んでくれる、そんな期待からだったといいます。

「中宇治yorinリノベーションプロジェクト」での商い誘致に際し、規模の大きな店舗ではなく、小商いに的を絞ったのは岸本氏の発案でした。

「宇治の街というのは、京都に負けない歴史が息づく街です。宇治川の流れに澄んだ空気、魅力的な景観があり、雰囲気としては京都よりも落ち着いています。そこで新たな店舗を誘致するのであれば、あまり大きな店舗ではなく、地域に根ざした商いを長期的に行ってくれる方を募集すべきだと思いました」(岸本氏)

「京都に移住してお店を開きたい」という移住希望者が多くいる中で、岸本さんは「もう少し外にも目を向けてほしい」といいます。

「京都市内ではお店ができるような物件は家賃相場も高騰しています。しかも数多くのショップがひしめき合う京都は、お店を開いたとしても競合の多い激戦区です。一方、宇治に目を向けると家賃も手頃。市場がまだ出来上がっていないものの、開拓の余地が存分にあるのが魅力です。それをきちんとアピールできるプロジェクトとして今回の仕組みを組立ました」(岸本氏)

見知らぬ土地でお店をつくるとなると、建物の設計や内装など、どの業者にお願いすればよいのか見極めることも難しいもの。今回のプロジェクトであれば、建物全体の設計をしている「エキスポ」に内装を相談することもできます。建物全体の特徴を分かっているので、トータルな視点でのプランニングも可能になります。

「私自身が不動産業を行っているので、移住の際には住まい用の物件もご紹介できます。そんなトータルサポートを行えるのが、今回のプロジェクトの魅力ではないでしょうか」(岸本氏)

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宇治川の流れをみていると、風が運ぶ澄んだ空気の匂いまで感じられそうだ
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宇治にはゆるやかな時間が流れる

趣とトレンドの視点で、バランスの良い古民家再生を-「一級建築士事務所エキスポ」

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現地視察の様子

そして実際に「中宇治yorin」の設計を行うのが一級建築士事務所「エキスポ」の皆さんです。「きんせ旅館」や「かもがわカフェ」といった京都市内の人気店舗を手がけるなど、古民家のリノベーションには定評があります。

まだまだ宇治では珍しい古民家再生のため、エキスポの皆さんも地域が誇れる事例にしようと気合いは十分です。古い歴史のある宇治に馴染むリノベーションを行いたいとしています。

「『中宇治yorin』の建物は、町家建築ですが、奥には建具工場として使われていたため、場当たり的な改築が重ねられています。現状は、この場当たり的な改築の化粧を外し元の町家の良さ、古民家の良さを引き出すような改修を行っています」
(一級建築士事務所エキスポ 山根健太郎氏)

ただし、町家をそのまま再現するのではなく、その中には新しい観点を加えて過ごしやすい空間を作る工夫をしているとのこと。

「町家建築というのは、奥行が広く途中の空間というのは暗い空間になります。yorinでは、トップライトなどを利用して、中間地点でも抜け感のある空間にしたいと思っています。普通の建物でもなく、元の古民家の再現そのままでもなく、バランスの良い改修になればと思っています」(一級建築士事務所エキスポ 武田憲人氏)

同社が考えているのは、どんなレベルの建物でもその魅力を引き出すことだといいます。

「古民家などは、途中の改修状況や保存状況により状態はさまざまです。良い状態の古民家を良いものにするのは当たり前です。yorinなどもそうですが、途中の改修が多く行われたような物件でも、私たちは歴史を感じさせる風合いを残しながら良いものへと生まれ変わらせたい。そうしたチャレンジが、宇治の地域にも多く残っている空き家(古民家)の活用につながっていくと考えています」(一級建築士事務所エキスポ 武田憲人氏)

求めるのは、商い経験よりもチャレンジ精神!

また、「中宇治yorinリノベーションプロジェクト」は、単に1軒の古民家再生・商い誘致で終わるものではないといいます。

「今回のyorinは、中宇治の地域に風穴をあける中核計画です。あくまでもスタートであり、まずは核となる支点づくりを目指すもの。今後は、この支点を中心に、宇治の地域で点在しはじめた店舗とも連携し、宿泊施設なども視野においた展開を行っていきたいと考えています」(宇治観光まちづくり株式会社 代表取締役の宮城氏)

「そのためにも、今回yorinに入っていただく小商い希望の方には、オピニオンリーダーとしての面白みを感じていただければと思います。市場が形成されていない分、逆にさまざまなアイデアを試みることができます。私たちもその声に耳を傾け、協力する体制を整えています。商いの経験がなかったとしても、チャレンジ精神をもった方にぜひ手を挙げていただきたいと考えています」(岸本氏)

「中宇治yorinリノベーションプロジェクト」では、このほかにも同じ小商いを営むメンバーなどさまざまなネットワークが形成されています。ひとりではできないことも、こうしたサポート体制の中でひとつずつ作り上げていく楽しみ。商いそのものだけでなく、人と人がつながる魅力。新天地でのチャレンジを考えている方にとっては、魅力的なプロジェクトにほかなりません。

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