賃貸住宅と持ち家では、最終的にどちらがお得になるのか。その結論は、細かな条件によって大きく異なります。

今回は、実際にいくつかのパターンを挙げて、ケース別にシミュレーションをしてみましょう。

ご紹介する結果はあくまで一例ですが、参考にすることで、自身の状況に合わせたリアルなシミュレーションを行いやすくなるでしょう。

物件を探す

 

今回はシミュレーションの共通条件として、以下の項目を設定したうえで計算を行います。

シミュレーションの共通条件

  • 居住期間は50年
  • 家賃は50年間変わらない
  • 修繕費などはインフレを考慮しない

■持ち家

・住宅ローン金利は年1.9%の全期間固定金利

・住宅ローンは35年で返済

・頭金はなし

・購入時の諸費用総額は物件価格の6%と想定

・火災保険は5年に一度更新(15万円/5年間)

・固定資産税・都市計画税は毎年平均15万円と想定

・修繕費は一戸建てで700万円、マンションは200万円(修繕積立金とは別)と想定

 

■賃貸

・初期費用は家賃5ヶ月分

・火災保険は2年に一度更新(2万円/2年間)

・2年に一度更新料(家賃1ヶ月分)が発生

持ち家の固定資産税については、個別に計算するとシミュレーションが複雑になってしまうため、今回は平均15万円かかると想定します。購入するエリアや物件によって大きく異なる場合があるのでご注意ください。

 

また、修繕費については、一戸建てでは外壁・屋根、設備の入れ替え、マンションでは室内の設備の入れ替えにかかる一般的な費用を想定しています。

 

なお、住宅ローンの計算には、LIFULL HOME’Sの「住宅ローンシミュレーター」を用います。

 

無料で住まいの窓口に相談する

 

まずは、夫婦と子ども2人の世帯で、東京23区内の3LDK一戸建てに住む場合を想定してシミュレーションしてみましょう。

 

今回は条件をそろえるために、LIFULL HOME’Sで比較的条件の近い3LDKの物件を探し、持ち家と賃貸の比較を行います。

 

LIFULL HOME’Sで検索したところ、次のような物件が見つかりました。

  • 所在地:東京都杉並区
  • 最寄り駅から徒歩15分
  • 間取り:3LDK
  • 土地面積/建物面積:70平米/105平米
  • 駐車場付き
  • 価格:7,980万円

この物件を購入するために、物件価格の全額を住宅ローンで調達すると、35年間の返済総額は「1億931万3,730円」となりました。

 

また、諸費用を6%と仮定すると、購入時には追加で「478万8,000円」がかかります。

 

そして、この物件が住宅ローン控除を利用できる条件を満たしていると想定すると、計算上は最大で約450万円が減税されることとなります。

 

ただし、実際の減税額は、所得や家族構成によってこれより少額になることもあるので注意してください。

 

上記の条件を基に、50年間住んだ場合の生涯コストをまとめると、次のようになります。

・住宅ローン返済総額:1億931万3,730円

・諸費用:478万8,000円

・火災保険料総額:150万円

・固定資産税・都市計画税:750万円

・修繕費:700万円

・住宅ローン控除:-450万円

 

トータルコスト:1億2,560万1,730円

 

続いて、賃貸についても持ち家と類似したケースでシミュレーションしてみましょう。LIFULL HOME’Sで検索したところ、次のような物件が見つかりました。

  • 所在地:東京都杉並区
  • 最寄り駅から徒歩17分
  • 間取り:3LDK
  • 築年数:新築
  • 専有面積:81平米
  • 駐車場付き
  • 家賃:31万円

この物件に50年住むとなると、生涯コストは次のようになります。

・賃料総額(管理費込み):1億8,600万円

・初期費用:155万円

・更新料総額:775万円

・火災保険料総額:50万円

 

トータルコスト:1億9,580万円

上記の条件では、賃貸の方が大幅にコスト高になることが分かりました。

 

ただし、持ち家の方は「住宅ローン控除がほぼ満額適用されている」「固定資産税・都市計画税はさらに高くなる可能性がある」などの留意点もあるので注意が必要です。

 

また、賃貸では築年数が経過すれば、家賃が変化する可能性もあるので、実際のトータルコストはこの数字から上下すると考えられます。

 

持ち家とは異なり、途中で気軽に住み替えが行えるのは賃貸の大きなメリットです。そこで、次は上記の条件に加えて、子どもが家を独立してからの生活も踏まえて計算してみましょう。

 

今回は、20年後に夫婦2人のみの生活に切り替わり、同じエリアで1LDKの賃貸一戸建てに引越すケースも想定してシミュレーションしてみましょう。

 

LIFULL HOME’Sで同一エリアの1LDKの物件を検索したところ、次のような物件が見つかりました。

  • 所在地:東京都杉並区
  • 最寄り駅から徒歩22分
  • 間取り:1LDK
  • 築年数:新築
  • 専有面積:81平米
  • 駐車場付き
  • 家賃:15万円
  • 管理費:3,000円

この物件に20年後に住み替えるとなると、トータルコストは次のように変化します。

■1件目

・賃料総額(管理費込み):7,440万円

・初期費用:155万円

・更新料総額:310万円

・火災保険料総額:20万円

 

トータルコスト:7,925万円

 

■2件目

・賃料総額(管理費込み):5,508万円

・初期費用:75万円

・更新料総額:225万円

・火災保険料総額:30万円

 

トータルコスト:5,838万円

 

50年間のトータルコスト:1億3,763万円

このように、住み替えのプランなどによってもトータルコストには大きな違いが生まれるため、個別の条件をていねいに反映させたうえで比較することが重要です。

 

ファミリー向け物件 賃貸一戸建てを探す 3LDKの新築一戸建てを探す

 

次は、ファミリー世帯ではなく単身世帯の場合、そして東京23区内ではなく多摩地域に住む場合、住居費がどのくらいになるのかをシミュレーションしてみましょう。

 

LIFULL HOME’Sで検索したところ、次のような物件が見つかりました。

  • 所在地:東京都立川市
  • 最寄り駅から徒歩5分
  • 間取り:1LDK
  • 築年数:新築
  • 専有面積:46平米
  • 価格:5,880万円
  • 管理費・修繕積立金:1万4,000円/月

この物件を購入すると、35年間の返済総額は「8,054万6,959円」となりました。また、諸費用を6%と仮定すると、購入時には追加で「352万8,000円」がかかります。

 

そして、この物件が住宅ローン控除を利用できる条件を満たしていると想定すると、計算上は最大で約400万円が減税されることとなります。

 

上記の条件を基に、50年間住んだ場合の生涯コストをまとめると、次のようになります。

・住宅ローン返済総額:8,054万6,959円

・諸費用:352万8,000円

・火災保険料総額:150万円

・固定資産税・都市計画税:750万円

・修繕費:200万円

・管理費・修繕積立金:840万円

・住宅ローン控除:-400万円

 

トータルコスト:9,947万4,959円

 

続いて、賃貸についても持ち家と類似したケースでシミュレーションしてみましょう。LIFULL HOME’Sで検索したところ、次のような物件が見つかりました。

  • 所在地:東京都立川市
  • 最寄り駅から徒歩15分
  • 間取り:1LDK築年数:新築
  • 専有面積:44平米
  • 家賃:13万8,000円
  • 管理費:9,000円

この物件に50年住むとなると、生涯コストは次のようになります。

・賃料総額(管理費込み):8,820万円

・初期費用:69万円

・更新料総額:345万円

・火災保険料総額:50万円

 

トータルコスト:9,284万円

上記の条件では、持ち家の方が若干トータルコストは安くなることが分かりました。

 

ただし、今回は賃貸物件の方がやや駅から遠く、設備などのグレードも分譲マンションの方が優れている傾向が見られました。

 

住み心地などを踏まえると、このケースでは購入の方が満足度は高いと感じられやすいのではないでしょうか。

 

1LDKの物件 1LDKの中古マンションを探す 1LDKの新築マンションを探す

公開日: