高齢の親が一人暮らしをしているときには、何かと心配になる部分があるでしょう。また、自分自身が賃貸物件で暮らしている場合、この先いつまで部屋を借り続けられるのか不安になることも。
一方で、少子高齢社会に対応して、高齢者向けに部屋を貸し出している物件は多くあります。この記事では、高齢者が賃貸物件で一人暮らしを続けるためのポイントを詳しく解説します。
シニア・高齢者歓迎の物件
一人暮らしの高齢者の割合

内閣府公表の「令和3年版高齢社会白書」によれば、2020年10月時点、日本の総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は28.8%となっています。そして、65歳以上の単独世帯は769万世帯であり、実に高齢者の約4人に1人が一人暮らしをしている現状です。
一方で、国土交通省が取りまとめている「新たな住宅セーフティネット制度における居住支援について 令和3年3月」によれば、賃貸物件の大家さんの約8割が「高齢者の入居について拒否感がある」というデータが示されています。
高齢者の入居制限を行う主な理由として、家賃の支払いが滞る不安などの経済的な問題や、他の入居者との協調性の問題などが挙げられています。また、居室内で亡くなってしまうリスクなどから、特に70歳以上の高齢者は審査が厳しくなる傾向があるといえるでしょう。
そのため、高齢者が賃貸物件へスムーズに入居できるように、各自治体では関係機関と連携して入居支援を行っています。住まいに関する相談窓口を設置したり、入居前の手続きなどをサポートしたりする取組みを実施しているのです。
高齢者が一人暮らしで抱える問題

高齢者の一人暮らしは、中高年よりもさまざまな部分で不安を抱えがちです。どのような点で不安を抱えやすいのかを見ていきましょう。
健康や病気への不安
加齢とともに病気になったり、ケガをしやすくなったりするのは、誰にでも起こることです。
家族と同居していない一人暮らしの高齢者の場合、病気やケガなど突発的な状況にうまく対応できない場合もあるため、日々の暮らしのなかで不安を感じながら生活をしているケースが多いといえます。
介護に関する不安
健康に問題がない時期と比べて、体が思うように動かなくなれば介護の心配も生じてきます。認知症など、本人ではどうすることもできない状況であれば、周囲のサポートは不可欠になるでしょう。
しかし、長い間一人暮らしをして自立した生活を過ごしてきた高齢者にとって、他者からのサポートを受けることに心理的な抵抗を感じる部分があります。また、介護費用の負担など経済的な部分での心配もあるといえます。
心身の健康に不安がある状態になれば、人と交流をする機会が減ってしまい、自宅に引きこもりがちになる場合もあります。生きがいを持ちづらくなるため、ますます不安が募ってしまう恐れもあるでしょう。
災害や犯罪への不安
日本は自然災害が多い国であるため、災害時に一人で対応できるのか不安に思う高齢者は多いでしょう。地域の住民や行政とのつながりを普段からどの程度築けているかが大事でもあります。
また、振り込め詐欺などの特殊詐欺や高齢者を狙った悪徳商法など、高齢化の進展に伴って年々犯罪が増加傾向にあります。警察庁が公表している「令和3年版警察白書」を見ると、特殊詐欺の被害者の約8割が65歳以上の高齢者であることが分かります。
経済的な不安
頼れる家族が身近なところにいない場合、年金だけで生活をしていくことに不安を感じる高齢者も多いでしょう。病気や介護が必要になれば、その分の負担も考えなければならないため、経済的な不安から満足のいく暮らしを送れていない高齢者の方もいます。
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賃貸物件はいつまで借りられる?

高齢者が一人暮らしをする理由は人によってさまざまですが、家族構成の変化によって一人暮らしとなるケースが多いといえます。子どもが独立して、広すぎる自宅を売却して賃貸物件に入居するパターンもめずらしくありません。
元気なうちは夫婦二人の暮らしが快適だと感じていても、配偶者が亡くなったり、介護が必要になったりして生活状況が一変することがあります。
賃貸物件に住み続けるかぎり毎月家賃が発生するため、介護費用や医療費などを負担しながら年金と預貯金だけで暮らしていくことに不安を感じる部分もあるでしょう。
自宅を所有していれば家賃の負担はないため、自宅を売却すべきなのかは、将来のことも考えながら慎重に判断する必要があります。また、高齢者が安心して一人暮らしを続けるには、家族や地域の協力が不可欠です。
高齢になると保証人となる家族がいない場合もあるため、行政が行っている保証人の支援制度や家賃補助などの仕組みをうまく活用していくことが大切です。
一人暮らしの高齢者が賃貸物件を選ぶときのポイント

高齢者が賃貸物件で一人暮らしを行うときには、今後の生活のイメージを持ったうえで、気になる点についてあらかじめ考えておく必要があります。どのような点がポイントになるのかを解説します。
家賃の支払いに問題がないか
年金と預貯金だけで生活していくことをベースとして、家賃負担に問題がないかをチェックしておきましょう。65~70歳程度であればアルバイトなどをすることも可能ではありますが、無理のない範囲で家賃設定を行っておく方が無難です。
荷物が多い場合は少しずつ整理をして、暮らしに適したスペースを基準に部屋の広さや間取りを考えてみましょう。
生活動線に負担はないか
加齢に伴い、思うように体が動かなくなることを想定して、生活動線をシンプルにしておくことが大切です。よく利用する水回り設備などが一ヶ所にまとまり、移動距離が短い方が暮らしやすいでしょう。
また、棚の位置や段差などに問題がないかを確認しておくことも重要です。転倒防止を考えて、自宅内でケガが起こりづらい物件を選んでみましょう。
頼れる家族や行政機関が近くにあるか
自宅の近くに頼れる家族が住んでいれば、病気やケガの際にも不安が和らぐでしょう。家族が遠方に住んでいる場合は、いざというときに支援してもらえる行政機関などが、近くにあるかを確認しておくことが大事です。
家族や地域からどの程度のサポートを受けられるのかを考えて、住むエリアを選んでみましょう。
買い物や通院、交通手段などに問題がないか
高齢になれば、買い物や通院のために出かけるだけでも負担を感じやすくなるものです。そのため、買い物をする商業施設や医療機関などは自宅の近くにある方がよいといえます。
また、バスや電車など公共交通機関の利用に問題がないかも確認しておく必要があります。買い物などが不便なエリアであれば、スーパーなどの宅配サービスを受けられるのかもチェックしておきましょう。
高齢者向け賃貸住宅を選んでみるのもよい
今後の生活に不安を感じる場合、高齢者向けの賃貸住宅を選んでみるのも1つの方法です。高齢者にとって便利な設備が整っていたり、バリアフリー化が施されていたりするので、入居後も安心して暮らせるでしょう。
高齢者向けの賃貸住宅は、公的機関や民間企業が運営するものなどさまざまなため、十分に比較検討してみましょう。
シニア・高齢者歓迎の物件
いつまでも安心して暮らせる物件を探してみよう

高齢者が安心して老後の生活を営んでいくには、暮らしの基盤となる住まい選びが特に重要です。高齢者の一人暮らしにも対応している賃貸物件は多いので、さまざまな物件を比較して決めてみましょう。
LIFULL HOME’Sでは、住みたいエリアやこだわりの条件から絞り込んで物件を見つけることが可能です。また、シニア・高齢者歓迎の物件やバリアフリーに対応した物件の特集なども組んでいるので参考にしてみてください。
まとめ

- 内閣府の「令和3年版高齢社会白書」によれば、高齢者の4人に1人程度が一人暮らしの割合となっている
- 高齢者は病気や認知症、経済的な問題など不安を抱えやすい
- 高齢者が一人暮らしを続けるには、家族や地域の協力が必要
- 住まい選びでは、高齢者向けの物件を選んでみると安心できる場合がある
- 高齢者の一人暮らしにも対応している物件は多い
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