引越し時には役所を通して、さまざまな手続きを済ませる必要があります。引越す人の事情によって、必要な手続きには違いがあるので、今回はケース別に詳しく見ていきましょう。

また、気になるポイントのひとつとして「住民税」に関する手続きについても併せて解説します。
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引越しの手続き

 

役所で済ませる引越し手続きには、さまざまな種類があります。まずは、具体的にどのようなものがあるのか、一覧表でまとめて確認しておきましょう。

手続き

備考

転居届

同一市区町村内に引越す場合

転出届

市区町村外へ引越す場合

国民健康保険の資格喪失手続き

加入者のみ

児童手当受給事由消滅届

該当者のみ

印鑑登録廃止

登録者のみ

介護保険の資格喪失手続き

該当者のみ

幼稚園・保育園の転園手続き

該当者のみ

犬、指定動物の手続き

該当者のみ

原付の廃車手続き

所有者のみ

手続き

備考

転入届

市区町村外へ引越す場合

マイナンバーの住所変更

原則全員が対象

国民健康保険の再加入手続き

加入者のみ

児童手当認定請求書

該当者のみ

印鑑登録

登録者のみ

介護保険の要介護・要支援認定

該当者のみ

幼稚園・保育園の転園手続き

該当者のみ

犬、指定動物の手続き

該当者のみ

このうち、どの手続きが必要になるかは、転居者の事情によって異なります。ここからは、ケース別に必要な手続きを整理していきましょう。

転居届

 

まずは、引越しを行う際に「誰もが行わなければならない手続き」について見ていきましょう。いずれの手続きでも「本人確認書類」と「印鑑」は必須なので、忘れずに用意しておくことが大切です。

 

転居届は、同一市区町村内の引越しを行う際に、必ず提出しなければならない書類です。引越しから14日以内に手続きを行わなければ、5万円以下の過料が科せられてしまうこともあるので注意しましょう。

 

市区町村をまたいで引越しする場合には、旧居を管轄する役所に「転出届」を提出し、転出証明書を受け取る必要があります。その後、引越しが済んだら、新居を管轄する役所に「転入届」を提出します。

 

なお、マイナンバーカードを利用すれば、「特例転出・転入」が行え、転出証明書がなくても転入の手続きができるようになっています。

 

転入届についても、引越しから14日以内に手続きを行わなければ、5万円以下の過料が科せられてしまうこともあるので注意しましょう。

 

マイナンバーカードに記載された住所も、引越しから14日以内に変更手続きを行う必要があり、場合によっては5万円の過料が科せられる可能性があります。

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手続きをする

 

続いて、一定の条件に該当する人が行う手続きについて見ていきましょう。

 

本籍地については、引越しをしても基本的に変更する必要はありません。ただ、本籍地の変更も併せて行いたい場合には、別途で「転籍届」の作成・提出が必要となります。

 

不動産や車の売買など、実印が必要となる取引を行う場合、印鑑証明の手続きも行っておく必要があります。旧住所で転出届を提出するタイミングで登録抹消し、新住所で再登録を行います。

 

なお、同一市区町村内での引越しなら、転居届の提出と同時に印鑑登録の住所も変更されるため、基本的には特別な手続きを行う必要がありません。

 

ただ、政令指定都市で異なる行政区に移る場合は手続きが必要なケースもあるので、事前に確認しておきましょう。

 

国民健康保険に加入している場合は、転出のタイミングで「資格喪失手続き」を行い、新住所の役所で「再加入手続き」を済ませる必要があります。なお、同一市区町村内での引越しであれば、「住所変更」のみで手続きは完了します。

 

原則として、引越し後14日以内の手続きが必要なので、期限に注意しましょう。

 

国民年金の第1号被保険者で、異なる市区町村へ引越す場合には、新住所で手続きを行う必要があります。なお、同一市区町村内であれば、手続きの必要はありません。

 

こちらも同じく、原則として引越し後14日以内の手続きが必要です。

 

介護保険についても、同一市区町村内での引越しと、異なる市区町村への引越しとで必要な手続きが異なります。同一市区町村内なら、住所変更の申請を行って、新しい介護保険被保険者証をもらいましょう。

 

ほかの市区町村へ引越す場合は、引越し前に「資格喪失」手続きを行い、引越し後に新住所で「要介護・要支援認定」を申請する必要があります。引越し後14日以内の手続きが必要です。

 

犬や指定動物を飼育していて、同一市区町村内で引越す場合には、「登録事項変更届」を役所・保健所に提出しましょう。

 

異なる市区町村に引越す場合には、引越し前に旧住所の役所・保健所で「登録事項変更届」を提出し、鑑札をもらう必要があります。

 

その後、引越し後に新住所の役所・保健所で改めて住所の変更手続きを行いましょう。なお、自治体によっては「狂犬病の注射済票」などが必要なる場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

母子手帳

 

子どもがいる世帯や妊婦さんがいる世帯では、特別に行わなければならない手続きがいくつかあります。具体的な内容について見ていきましょう。

 

母子手帳については、特に引越しにともなう手続きはありません。ただ、異なる市区町村へ引越す際には、母子手帳と一緒にもらえる「検診補助券」の再発行手続きが必要となります。

 

検診補助券の名称は自治体によって異なり、「妊婦健康診査費用補助券」や「妊産婦健康診査費用補助券」など、さまざまな呼び名があるので事前に引越し先の制度をチェックしておきましょう。

 

異なる市区町村へ引越す場合には、旧住所の役所で「児童手当受給事由消滅届」を提出し、引越し後に新住所の役所で「児童手当認定請求書」を提出する必要があります。

 

なお、児童手当は申請の翌月から支給される決まりとなっているので、本来は申請月の手当を受けることはできません。

 

ただ、児童手当には「15日特例」と呼ばれる制度があり、引越しから15日以内に手続きをすれば、その月から支給してもらえる決まりとなっています。そのため、申請の期限を忘れないように注意しましょう。

 

引越しによって転園を行う場合には転園手続きが必要となりますが、その方法や内容は自治体によって異なります。

 

また、シーズンによって手続きの窓口が異なる場合もあるので、引越し先の市区町村役所の窓口で確認しておく必要があります。

 

具体的なチェックポイントとしては、以下のような項目が挙げられます。

チェックポイント

  • 転園手続きの窓口
  • 手続きの必要書類
  • 幼稚園、保育園の空き状況
  • 入園費用
  • 転園の申し込み期限
  • 補助金の有無、申請方法
  • 引越し者の救済措置の有無

引越し者の救済措置とは、万が一保育園の入園において住民票の異動が間に合わなくても、選考時に不利になるのを防ぐ仕組みです。

 

一定期間内に引越すことが証明されれば、まだ転居先に移れていなかったとしても、通常の条件で審査を受けられるのがメリットです。

 

幼稚園・保育園に関する仕組みは自治体によって大きく異なるポイントなので、よく確認しておきましょう。

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引越し後の住民税の変更手続き

 

住民税は、1月1日時点で住んでいる地域に、前年の所得から算出された税額を支払う仕組みとなっています。そのため、たとえば2月に引越しをしたとしても、次の1月1日を迎えるまでは、旧住所に納付する必要があります。

 

つまり、「新住所にこれまで住んでいた地域から納付書が届く」といったケースも決してイレギュラーではないということです。1月1日を迎えるまでは旧住所の地域に納付をして、次の年から引越し後の地域に納付しましょう。

 

そのうえで、住民税については、引越しをしても特に手続きの必要がありません。転出届・転入届の提出が住んでいれば、自動的に納付書が届く仕組みとなっています。

 

ただし、万が一転出届・転入届が未提出だと、引越し後の1月1日を越えても前に住んでいた地域から納付書が届き、正しく納付できなくなってしまうため注意が必要です。

  • 引越す人や世帯の状況によって、必要な手続きは異なる
  • 誰もが必要な手続きには、転居届や転出、転入届の住所変更がある
  • 国民健康被保険者や国民年金加入者、犬や指定動物の飼い主は別途で手続きが必要
  • 幼稚園や保育園の転園手続きは事前にチェックすべき項目を押さえる
  • 住民税の引越し手続きは必要ない
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